農業現場では、ウイルスによる被害により経済的・文化的損失が世界的に問題となっています。そのため、ウイルスの早期診断や感染防止の研究開発が求められています。
DECS法は、岩手生工研が開発した網羅的RNAウイルス検出技術であり、タンパク質を用いて植物ウイルス由来の2本鎖RNAを検出し、その塩基配列情報より感染ウイルス種を同定する技術です。同法の社会実装を進める岩手生工研の関根健太郎主任研究員が病害診断に関わる研究者や実務者などを集め、DECS法の実習を株式会社医学生物学研究所(MBL)協力のもと行いました。
本学からは、本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授が先導・革新的人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術の確立と社会実装について紹介しました。また本学が研究拠点を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」から、コンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAが事業説明と革新的なウイルス診断・防除法の研究開発と推進のあり方について、その概要と研究への協力・連携について紹介しました。
ワークショップの基調講演では、東北大学大学院農学研究科植物病理学分野の宮下脩平助教が「ウイルス社会学から考える防除技術開発」と題して、ウイルスが生存する環境に着目した防除技術の開発のアイデアなどについての講演が行われました。
参加した国、都道府県公設試験研究機関の関係者や大学の研究者などは、最新技術の普及と国内の病害防疫業務の高度化のため、熱心に実習と講演に参加しました。
なお本ワークショップは、本学が研究拠点を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みとして実施されました。今後も農林畜産水産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進め、社会実装を目指します。
DECS法の原理・応用とWS実習成果について紹介する岩手生物工学研究センターの関根健太郎主任研究員
人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術について紹介する世良貴史教授
農林水産省事業の取り組みと今後の戦略を紹介する佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA
基調講演を行う東北大学大学院の宮下脩平助教
DECS法の実習に熱心に取り組む参加者ら