2017年10月30日月曜日

【情報発信】糖尿病治療薬メトホルミンによる制御性T細胞の抑制効果を発見

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科免疫学分野の鵜殿平一郎教授、榮川伸吾助教と口腔顎顔面外科学分野の佐々木朗教授、國定勇希大学院生の共同研究グループは、2型糖尿病治療の第一選択薬であるメトホルミンが、がん局所に存在する制御性T細胞の増殖と機能を抑制することを明らかにしました。

本研究成果は10月15日、Cell PressとThe Lancetのパートナー科学雑誌「EBioMedicine」のResearch Article(Online版)として掲載されました。
がん局所に浸潤した制御性T細胞は免疫細胞の一種ですが、がん細胞を攻撃する細胞傷害性T細胞の機能を抑制することが知られています。メトホルミンによる制御性T細胞の抑制効果は、がんに対する免疫作用を増強することにつながり、がんの免疫治療に貢献できる可能性が明らかになりました。
 

<論文情報等>
論文名:Attenuation of CD4+CD25+ regulatory T cells in the tumor microenvironment by metformin, a type 2 diabetes drug 「2型糖尿病治療薬メトホルミンによる腫瘍微小環境内CD4+CD25+制御性T細胞の抑制」掲載誌:EBioMedicine
著 者:Yuki Kunisada, Shingo Eikawa, Nahoko Tomonobu, Shohei Domae, Takenori Uehara, Shohei Hori, Yukihiro Furusawa, Koji Hase, Akira Sasaki, and Heiichiro UdonoDOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.ebiom.2017.10.009

論文発表はこちらからご確認いただけます。

<詳しい研究内容について>
糖尿病治療薬メトホルミンによる 制御性T細胞の抑制効果を発見

<お問い合わせ>
大学院医歯薬学総合研究科 免疫学分野
教授 鵜殿平一郎
(電話番号)086-235-7192
(FAX番号)086-235-7193


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id507.html

2017年10月18日水曜日

【情報発信】岡山大学広報「いちょう並木」10月号を発行 植物は“小さな宇宙”~その未知なる可能性を探る~

岡山大学の活動などを紹介する広報誌「いちょう並木」の2017年10月号(Vol.87)を発行しました。
ぜひ、ご覧ください。
全ページ通してご覧いただくのはこちらから

 ● 植物は“小さな宇宙”~その未知なる可能性を探る~
   ・謎に満ちた光合成の世界
    沈 建仁 異分野基礎科学研究所 教授
    菅 倫寛 異分野基礎科学研究所 准教授
   ・植物の生存メカニズムに迫る
    馬 建鋒 資源植物科学研究所 教授
    山地 直樹 資源植物化学研究所 准教授
 ● 津波を受けた土地で大麦づくり
   復興ビールで被災地の力に 被災地と岡山をつなぐ
    佐藤 和広 資源植物科学研究所 教授
 ● HISTO+REAL
 ● 学都基金の紹介
 ● OU NAVI



広報誌「いちょう並木」2017 10月号(Vol.87)表紙


植物は“小さな宇宙”~その道なる可能性を探る~


津波を受けた土地で大麦づくり 復興ビールで被災地の力に 被災地と岡山をつなぐ
 

新制岡山大学、開学前夜

 
国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています

2017年10月12日木曜日

【光生命】名古屋大学との大学間協定調印式を開催 「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の実用化に向けて

名古屋大学と岡山大学は9月29日、革新的ながん治療法である「ホウ素中性子捕捉療法」(BNCT)の実用化に向け、大学間協定を本学津島キャンパスで締結しました。

名古屋大学の松尾清一総長を招いて開催した調印式では、松尾総長と槇野博史学長が協定書に署名し、笑顔で固い握手を交わしました。


松尾総長は「本協定は中性子発生装置の開発とホウ素薬剤の開発という両大学の強みを生かし、有機的に統合することができる協力協定であり、実用化に向け、関係者一同の一層の努力を期待する」と話し、槇野学長は「これまで治療が困難とされてきた悪性の腫瘍に対する治療法としてBNCTが注目を集めており、今後、さまざまな種類のがんへの適用が期待される。両大学の共同研究をさらに推し進めていきたい」と述べました。
名古屋大学と岡山大学とは、今後さらに共同研究を推進し、国際原子力機関(IAEA)や他の研究機関とも連携してBNCTの世界標準の確立を目指します。



握手を交わす松尾総長(左)と槇野学長


松尾総長(左)と槇野学長が協定書に署名
 

2017年10月2日月曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.44 発行

岡山大学は10月2日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.44を発行しました。

2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、中性子医療研究センターの小野俊朗教授と花房直志准教授らの、ラベンダーやパクチーに含まれる精油成分に放射線防護効果がある研究成果について紹介しています。

小野教授らの研究グループは、精油成分の中で代表的な3 種類のモノテルペノイド(チモール、リナロール、メントール)について放射線防護効果を調べ、リナロールに放射線防護効果があることを明らかにしました。500マイクロモルのリナロール処理を施したマウスリンパ腫細胞へ、致死的である5グレイのX線を照射した場合でも、細胞の生存には影響を及ぼさないことが判明しました。さらに、放射線による細胞損傷の第一標的である核DNAの損傷もリナロールの抗酸化作用により、ほぼ完全に防護されることも解明しました。

リナロールはラベンダーの主成分であり、香料として広く日用品に使用されています。また香味野菜として親しまれているパクチーにも含まれており、ヒトに安全な化合物であることが大きな特徴です。今後、精油成分を用いた安全な放射線防護剤の開発と利用が進展することが期待されます。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.44:Protection from plant extracts


<Back Issues:Vol.37~Vol.43>
Vol.37:Protein dosage compensation mechanism unraveled (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.38:Bioengineered tooth restoration in a large mammal (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)
Vol.39:Successful test of retinal prosthesis implanted in rats (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.40:Antibodies prolong seizure latency in epileptic mice (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)西堀正洋教授)
Vol.41:Inorganic biomaterials for soft-tissue adhesion (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)
Vol.42:Potential drug for treating chronic pain with few side effects (自然生命科学研究支援センター 宮地孝明准教授)
Vol.43:Potential origin of cancer-associated cells revealed (大学院自然科学研究科(工学系) 妹尾昌治教授)


<参考>
Okayama University e-Bulletin//www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/




本号で紹介した研究成果を担当した小野俊朗教授と花房直志准教授(右)

国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています