2020年12月30日水曜日

【情報発信】岡山リビングラボ 2020年度「ヘルスケアビジネス・メンタリングデイ」を開催

岡山大学は全学を挙げて研究力強化・産学共創に力を入れており、本学のオープンイノベーションの強化推進の取組のひとつとして、「岡山リビングラボ」(企画運営担当:志水武史本学大学院ヘルスシステム統合科学研究科特任准教授)の取組を実施しています。今回、2020年度の「ヘルスケアビジネス・メンタリングデイ」を12月21日、岡山リビングラボとおかやまスタートアップ支援拠点運営委員会(ももスタ)が主催、岡山大学オープンイノベーション機構の共催でオンライン形式で開催しました。 
 
「ヘルスケアビジネス・メンタリングデイ」は、今後ニーズが高まる有望な成長分野でありながら事業化が難しいとされるヘルスケア/生活関連サービス分野において、当該分野の知見を豊富に有する複数のメンターがヘルスケアビジネスアイデアの事業化を個別に支援(相談・助言)するもので、今回が初の開催となります。 
 
メンターを務めたのは、本学大学院ヘルスシステム統合科学研究科の志水武史特任准教授、BCC株式会社代表取締役社長(大阪市立大学客員教授)の伊藤一彦氏、株式会社Japan&IndiaProjectDesign代表取締役社長(神戸大学客員教授)の佐藤正和氏の3人です。当日のメンタリングは、事業化を検討している参加グループ(5グループ)に対し3人のメンターが順次にオンライン上でそれぞれ約20分の相談・助言などを行う流れで行い、1グループあたり合計60分の事業化支援を受けることが可能になっています。メンタリングを受けたグループは本学学生のほか、県内の法人および個人事業主、県外企業などでした。 
 
今回のメンタリングを通じて、「自分の事業モデルに自信が持てた」、「今後の事業化に向けた課題が明らかになって良かった」といった参加者からのさまざまな声が聞かれました。また、メンターからは今後の事業化に向けた期待の声や事業アイデアの多様性を評価する声がありました。 
 
会の企画運営担当である志水准教授は「ヘルスケア分野の事業化は他の産業分野と異なる難しさがあるだけに、メンターによる事業化支援はヘルスケア分野において特に有効。今後も岡山リビングラボの広域連携を通じて事業化を支援してくれるメンターの発掘・確保を図り、来年度以降はメンタリングディをより拡充したい」とコメント。今後、オープンイノベーションをもとに地域から産学共創などを加速させるとともに、新たなイノベーションを創出させる取り組みを活性化させていきます。



【本件問い合わせ先】
大学院ヘルスシステム統合科学研究科 特任准教授 志水武史
TEL:086-251-8612
Email:shimizu.takeshi◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。

 


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9909.html

【情報発信】アジア最大級のIT技術とエレクトロニクス展「CEATEC 2020 ONLINE」に出展

岡山大学は10月20~23日、オンライン展示会「CEATEC 2020 ONLINE」に出展し、以下の3人の研究者の研究内容を動画などで紹介しました。

CEATECとは、「CPS / IoT」と「共創」をテーマとしたビジネス創出のための展示会です。2020年は、「CEATEC-Toward Society 5.0 with the New Normal(ニューノーマル社会と共に歩むCEATEC)」をスローガンに、初めての完全オンライン開催となりました。岡山大学ブースには、約1,400人の来場者にお越しいただきました。

○Society 5.0

社会の在り方に影響を及ぼす新たな先端技術(IoT、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等)をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立する新たな社会のことを指します。

○会期後も12月31日までアーカイブ期間として、CEATEC公式ホームページでオンライン公開されていますので、ぜひ、岡山大学ブースをご覧ください。(アカウントの登録が必要です(無料)。CEATEC公式ホームページはこちら)  
・『磁気的非破壊検査法を用いた鋼材内の部分領域における材質評価』
 岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科 准教授 堺健司

・『画像解析を用いた広範囲の日射量計測法とその応用技術』
 岡山大学大学院自然科学研究科(工) 准教授 高橋明子

・『日本語の述語を中心とした文書の構造化技術』
 岡山大学大学院自然科学研究科(工) 講師 竹内孔一

○岡山大学研究推進機構では、研究成果の普及や更なる進展、企業への技術移転の促進を目指しています。岡山大学研究推進機構ホームページにも資料を掲載しておりますので、ご覧ください。

【本件問い合わせ先】
岡山大学研究推進機構 産学連携・知的財産本部
E-mail:ceatec◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。

 





https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9878.html


【情報発信】転落防止機能付きX線透視下用の手術/検査板を開発

◆発表のポイント

  • X線下で行われる血液透析用の血管手術や心臓カテーテル検査では、検査台からの転落の危険性があり、思わぬ事故につながる事があります。
  • 体、検査台、治療部をベルトで一体的に固定し、転落を予防できる新しい器具を開発しました。
  • 良好なX線透過性を持ち、検査の妨げにならないデザインにする事で、より安全な治療や検査が行われる事が期待されます。

 

X線下で行われる血液透析用の血管手術や心臓カテーテル検査では、検査台からの転落の危険性があり、検査台が高い事もあり、思わぬ事故につながる事があります。岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病理学(免疫病理)の大原利章助教は重井医学研究所附属病院の櫻間教文部長、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体制御学講座(循環器内科学)吉田雅言医員と共に、X線を透過できて強度のある樹脂素材を使い、体、検査台、治療する部位を専用のベルトで一体的に固定し、転落を予防できる新しい器具を開発しました。

本器具は手術や検査の妨げにならないようにデザインされており、本器具を使う事でより安全な手術や検査が行われ、医療従事者の方々の負担も軽減される事が期待されます。

研究成果の詳細については12月22日、本学の英文誌である「Acta Medica Okayama」に掲載されました。使い方については動画共有サイトYouTubeで一般公開しています。また、本器具および付属品は株式会社ホクシンメディカルより12月22日から発売されました。

 

◆研究者からのひとこと

岡山県で開発されたので、専用のベルトではデニム生地を使用しています。体を載せる大きな樹脂製の板は市販されていないので、試作品を作るのに苦労しました。初めて動画も作りましたが、出演してくれた関係者の熱演(?)もあり、楽しく撮影する事ができました。
大原利章助教

■論文情報
論 文 名:New Vascular-Access Intervention Assistance Plate Provides Good Operability and Safety by Preventing Accidental Falls:First Experience of 1,872 Cases
掲 載 紙:Acta Medica Okayama
著  者: Toshiaki Ohara, Kazufumi Sakurama, Satoshi Hiramatsu
D O I:http://doi.org/10.18926/AMO/60880


■関連動画(Youtube)
 透析用(日本語)
 透析用(英 語)
 心臓用(日本語)
 心臓用(英 語)



<詳しい研究内容について>
転落防止機能付きX線透視下用の手術/検査板を開発

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科病理学(免疫病理)
助教  大原利章
(電話番号) 086-235-7143
(FAX) 086-235-7648


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id803.html


【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.84「Friend to Foe — When Harmless Bacteria Turn Toxic」 発行

岡山大学は11月27日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.84を発行しました。

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行して来ました。またAAAS(American Association for the Advancement of Science)が提供する、世界最大規模のオンラインニュースサービス「EurekAlert!」を利用し、世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)分子生物学分野の垣内力教授らの大腸菌が遺伝子変異により病原性を獲得する過程を明らかにした研究成果について紹介しています。

これまで病原性を持たない細菌が病原性を持つ細菌へと進化するメカニズムは明らかになっていませんでした。垣内教授らは、昆虫であるカイコを用いて感染実験を繰り返すことにより、病原性を持たない大腸菌から病原性を持つ大腸菌を得ました。病原性を持つ大腸菌のゲノム解析を行うことにより、病原性獲得の原因となる遺伝子変異を特定しました。また、遺伝子変異により、大腸菌は宿主動物の免疫に対して抵抗することが判明しました。

この遺伝子変異は患者から分離された大腸菌にも見出されたことから、自然界においても病原性細菌の進化が起きていると推察されます。また、本研究が確立した病原性細菌の進化実験系は、病原性細菌の進化予測や病原性細菌の出現を抑える薬の開発に役立つと期待されます。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示すリサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学を構築し、「岡山から世界に新たな価値を創造し続けるSDGs推進研究大学」となるため、強みある医療系分野などの国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も本学から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.84:Friend to Foe — When Harmless Bacteria Turn Toxic.


<Back Issues:Vol.76~Vol.83>
Vol.76:The molecular pathogenesis of muscular dystrophy-associated cardiomyopathy (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)片野坂友紀講師)
Vol.77:Green leafy vegetables contain a compound which can fight cancer cells (大学院環境生命科学研究科(農学系)中村宜督教授)
Vol.78:Disrupting blood supply to tumors as a new strategy to treat oral cancer  (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)河合穂高助教)
Vol.79:Novel blood-based markers to detect Alzheimer's disease  (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)阿部康二教授)
Vol.80:A novel 3D cell culture model sheds light on the mechanisms driving fibrosis in pancreatic cancer  (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授&大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)田中啓祥助教)
Vol.81:Innovative method for determining carcinogenicity of chemicals using iPS cells  (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 妹尾昌治教授&杜娟博士)

Vol.82:Making memories—the workings of a neuron revealed (異分野基礎科学研究所 墨智成准教授)

Vol.83:Skipping a beat — a novel method to study heart attacks (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)高橋賢研究准教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp

 


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9819.html


【情報発信】“ホウ素”と“ペプチド”でがんをやっつける! がん治療法・BNCTに利用可能なホウ素薬剤の高性能な新薬を開発

◆発表のポイント

  • BNCTは2020年に世界初の病院での治療がスタートしたがん治療法で、ホウ素薬剤を点滴し、ホウ素が取り込まれたがんの部位に中性子を照射する新しいタイプの治療法です。BNCTの成否は、いかにしてホウ素薬剤を効率的かつ確実にがん細胞へ取り込ませるかという点が担っています。
  • ペプチドにより構成されるナノ粒子と、従来のホウ素薬剤を混合するだけで、容易に作成可能な世界初のホウ素薬剤を開発しました。
  • この薬剤は、BSHには無いがん組織への高い集積性と、がん細胞内部まで到達できる新しい機能を有しており、またBSHと比較して数十倍高い細胞内取り込みになることを確認しました。

 

※本件は、岡山大学が「革新的BNCT用ホウ素薬剤OKD-001の研究開発」に関する共同研究契約締結について記者発表(2018/11/2)を行った研究成果に関連するものです。

 

岡山大学中性子医療研究センター(NTRC)の道上宏之准教授らの研究グループは、近畿大学、京都大学との共同研究で、がん治療法のBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)に利用可能な世界初のホウ素薬剤の開発に成功しました。この研究成果は11月11日、国際科学誌「Journal of Controlled Release」にResearch Article として掲載されました。

BNCTは、がん患者へホウ素薬剤を点滴し、目標とするがん部位に到達したタイミングで中性子を照射し、ホウ素と中性子の核反応によりがん細胞を殺傷する、新しいタイプのがん治療法です。2020年6月より日本国内で、再発の頭頚部がんに対し保険診療が開始されました。

BNCTの成否を分けるのは、ホウ素薬剤をいかにして、効率的に、確実にがん細胞へ取り込ませるかという点です。今回我々は、ペプチドにより構成されるナノ粒子とホウ素薬剤(BSH)を混合するだけで容易に作成可能な世界初のホウ素薬剤を開発しました。この薬剤は、従来のホウ素薬剤(BSH)では難しかった、がん組織への高い集積性と、がん細胞内部まで到達するという、新しい機能を有しています。

また、従来薬剤(BSH)と比較して数十倍高いホウ素濃度の細胞内取り込みになることを確認しました。今回利用したペプチドナノ粒子は、ライフサイエンス分野で実用化開発を行っている株式会社スリー・ディー・マトリックスより無償提供いただいており、今後の共同研究開発を目標に活動しています。今回の発明は、BNCTがん治療に使用可能な新しいホウ素薬剤の候補薬剤へ寄与できることが期待されます。

 

◆研究者からのひとこと

ホウ酸団子などにも使われるホウ素と、アミノ酸7個からなるペプチドを利用した、がん治療に用いる新しい治療薬を開発しました。BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)は、2020年日本で医療化スタートした、世界初のがん治療法です。いろいろながん治療法と組み合わせることも可能な、非常に発展性の高い分野です。この技術により、がんが治る人が一人でも増えるように、これからも研究活動を頑張りたいと思います。
道上
宏之准教授

■論文情報
論 文 名:Self-assembling A6K peptide nanotubes as a mercaptoundecahydrododecaborate (BSH) delivery system for boron neutron capture t (BNCT)
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)へ利用可能なホウ素薬剤(BSH)運搬のための自己集 合A6Kペプチドナノチューブを用いた創薬
掲 載 紙:Journal of Controlled Release (ジャーナル・オブ・コントロールド・リリース)著  者:Hiroyuki Michiue, Mizuki Kitamatsu, Asami Fukunaga, Nobushige Tsuboi, Atsushi Fujimura, Hiroaki Matsushita, Kazuyo Igawa, Tomonari Kasai, Natsuko Kondo, Hideki Matsui, Shuichi FuruyaD O I:10.1016/j.jconrel.2020.11.001


<詳しい研究内容について>
“ホウ素”と“ペプチド”でがんをやっつける!がん治療法・BNCTに利用可能なホウ素薬剤の高性能な新薬を開発


<お問い合わせ>
岡山大学中性子医療研究センター
准教授  道上宏之
(電話番号)086-235-7785
(FAX)  086-235-7784


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id796.html


【情報発信】大きな大顎を持つオスは死んだふりをしやすい? 甲虫を用いた検証により世界で初めて明らかに

◆発表のポイント

  • 鹿やカブトムシの角など、メスをめぐって戦うために武器を発達させる動物は多く存在し、武器サイズの大きなオスが戦いに有利となりますが、大きな武器を持つことは生存にとってコストでもあり、死亡率が高いこともあります。
  • オスのみが大きな大顎を発達させた甲虫であるオオツノコクヌストモドキを用いて、天敵から襲われても生き残るための「死んだふり」戦術と大顎のサイズの関係を調べたところ、大顎サイズが大きなオスほど死んだふりをよく行うことが明らかになりました。
  • 闘争に使われる武器と捕食回避行動の関係について明らかにした世界初の研究となります。

 

香川大学農学部の松村健太郎研究員、岡山大学大学院環境生命科学研究科の宮竹貴久教授および岡山大学農学部生(弓瀬滉太さん(4年)、藤井結さん(3年)、林冬馬さん(3年))は、オオツノコクヌストモドキ(Gnathocerus cornutus)という昆虫を用いて、天敵に襲われたときに示す「死んだふり行動」を調べました。

この虫のオスは、クワガタムシのように発達した大顎を持ち、この大顎を用いてメスとの交尾を巡ってオス同士が戦うことが知られています。オスの大顎サイズと死んだふり行動の関係を調査した結果、大顎サイズが大きなオスほど、死んだふり行動をより高頻度に行うことが明らかになりました。

この研究結果は、12月23グリニッジ標準時0:01(日本時間9:01)、英国王立協会の国際雑誌「Biology Letters」のResearch Articleとして掲載されました。

武器形質の進化における闘争への影響については、これまでに数多くの研究が行われてきましたが、オスの武器サイズと捕食回避行動の関係について明らかにしたのは、本研究が世界で初めてとなります。

 

◆研究者からのひとこと

子どものころカブトムシやクワガタムシを戦わせて遊んだことはあるでしょうか? クワガタムシやカブトムシを使って多くの実験を行うのは、広いスペースと長い時間が必要ですが、クワガタムシを小型にしたようなオオツノコクヌストモドキは、小麦粉だけで容易に飼えることから世界でまだ誰も明らかにしていない研究課題への挑戦が可能です。学生や研究員が生物の行動をワクワクした気持ちを持って調べるのを見守るのは楽しいですね。
宮竹
貴久教授

■論文情報論 文 名:Anti-predator behaviour depends on male weapon size
   邦題名「対捕食者行動はオスの武器サイズに依存する」
掲 載 紙:Biology Letters著  者:Kentarou Matsumura, Kota Yumise, Yui Fujii, Toma Hayashi, Takahisa MiyatakeU R L:https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsbl.2020.0601

<詳しい研究内容について>
大きな大顎を持つオスは死んだふりをしやすい?甲虫を用いた検証により世界で初めて明らかに

<お問い合わせ>
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)
教授 宮竹貴久
(電話番号)086-251-8339 
(FAX番号)086-251-8388
 
香川大学農学部
特別研究員 松村 健太郎
(電話番号)080-1796-8803


【情報発信】「岡山イノベーションコンテスト2020」受賞の久保さん(理学部4年、グランプリ)、宮本さん(工学部4年、大賞)の学長表彰を行いました

岡山大学は12月8日、「岡山イノベーションコンテスト2020」でグランプリを受賞した久保駿貴さん(理学部4年)と、大賞を受賞した宮本大輝さん(工学部4年)の学長表彰を行いました。

同コンテストは11月29日にファイナルステージが開催され、92組の応募の中から二次審査を通過した16組が、独自のビジネスプランを3分間という短い時間でプレゼンテーションしました。今年で4度目となる同コンテストで、大学生がグランプリを獲得するのは初の快挙で、大学生の部門で本学の学生が大賞となるのも初めてです。

久保さんは、最終面接に落ちた学生を企業間で推薦・採用できるプラットフォーム『ABABA』を提案。企業側はフィルタリングされた優秀な学生を確保でき、採用フローを大幅にカットできるメリットがあるほか、学生にとっても効率的な就職活動が実現します。

宮本さんは、草食系男女のためのマッチングアプリ 『スキッテ』を企画。草食系の男女が告白の失敗を回避するために、LINE友達限定でマッチングをするアプリを提案しました。LINEの友達の中から気になる人を3人選択し、お互いに気持ちがあることがわかった場合にのみ『スキッテ』が通知をするという仕組みです。

表彰式後の懇談の中で、槙野博史学長は、「2人が考えたプランは、どちらも大学生らしく身の回りの課題に向き合って、それを解決するためのものであるところが大変意義深い。本学としても、起業家マインドを持っている人を今後も支援していきたい」、同席した佐野寛理事は「後輩も刺激を受けて続きたいと思うはず。大人しい印象のある岡大生への刺激となって、他の学生も積極的にエントリーしてほしい」、横井篤文副学長は、宮本さんが高校時代からアイディアを温めていたと話していたことに触れ、「受賞という結果だけを見ればスピーディーに成し遂げたことのように感じられるが、2人とも普段からいろいろと考えてプランを醸成させている。社会や地域の課題に直結しているプランであり、私たちには思いつかない形で解決策を具現化・実装化している」と評しました。

受賞を振り返って、久保さんは、「今回のアプリは採用問題に直結している。今後は、2カ月や1年など期間限定で地方で働きたいUターン、Iターンの人材と、企業をマッチングするプラットフォームをつくりたい。地方で働くリモート人材を探している企業と地方人材とのマッチングにも需要を感じている。自分自身、すでに起業しているが、大学には、起業家育成のためのサポートを今後も期待している」、宮本さんは、「多くの方にヒアリングしながら今回のアプリを作った。自分だからこそ、若者に共感してもらえるアプリを作れたと感じている。アイディアは24時間いくらでも浮かぶが、それを形にする学生がなかなかいない。小さなことでも、アイディアを形にする経験を積むことが重要なので、それを後押しする大学の支援を期待している」と話していました。


【本件お問い合わせ先】
学務部学生支援課
TEL:086-251-7176



https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9859.html

【情報発信】大学院環境生命科学研究科の門田有希准教授が「日本農学進歩賞」を受賞

岡山大学大学院環境生命科学研究科の門田有希准教授が、農学の進歩に顕著な貢献をした若手研究者に与えられる「日本農学進歩賞」(公益財団法人農学会)の受賞者に選ばれ、11月27日に東京大学農学部弥生講堂で挙行された授賞式で表彰を受けました。

門田准教授は、作物の遺伝育種学的な研究に取り組んでおり、サツマイモなど遺伝的に複雑な作物種を対象とした遺伝解析や、優良品種の保護に向けた技術開発など基礎から応用にまたがる研究を進めています。門田准教授は受賞を受け、「日本農学進歩賞という大変名誉ある賞を受賞することができ、非常にうれしく思っております。推薦者の方々ならびに共同研究者の皆様、そして学生諸君にも感謝申し上げます。今後も粘り強く研究に励んで行きたいです」と話しています。

本賞は日本学術会議に登録されている農学系学協会の長、国公私立大学農学系学部の長、農学に関する産官学いずれかの研究所の長、あるいは日本農学アカデミー会員から推薦された候補者から、日本農学進歩賞選考委員会が審査し、人類と多様な生態系が永続的に共生するための基盤となる農学の進歩に顕著な貢献をした40歳未満の研究者に授与されます。

門田准教授および昨年度同賞を受賞した同研究科の赤木剛士准教授の受賞を祝し、12月15日、農学部『受賞の森』に2本の西洋シャクナゲの苗木を植樹しました。当日は、木村吉伸農学部長、久保康隆同副学部長、加藤鎌司教授他、受賞者の研究ユニットに所属する学生・院生らとともに植樹を行いました。本学農学部教員の同賞の受賞は、門田准教授で6人目になります。

○シャクナゲ(石楠花)は、大きく豪華な花びらをつけることから「花木の女王」とも呼ばれ、毎年5月から6月が見頃となります。農学部へお越しの際は、すでに植樹されているシャクナゲとともにぜひご覧ください。

○2020年度日本農学進歩賞の発表についてはこちらをご覧ください。(公益財団法人農学会HP)

○今回の受賞者と業績
門田有希(応用植物科学コース)
■受賞名 公益財団法人農学会「2020年度(第19回)日本農学進歩賞」
■受賞業績 高次倍数性作物種における遺伝育種学的解析と品種識別技術の開発

赤木剛士(応用植物科学コース)
■受賞名 公益財団法人農学会「2019年度(第18回)日本農学進歩賞」
■受賞業績 果樹作物における性決定機構の解明


(過去の受賞者)
松浦健二(環境生態学コース)
■受賞名 財団法人農学会「平成17年度(第4回)日本農学進歩賞」
■受賞業績 シロアリの社会生態に関する総合的研究

中村宜督(農芸化学コース)
■受賞名 財団法人農学会「平成17年度(第4回)日本農学進歩賞」
■受賞業績 植物性食品由来の生体防御活性化物質とその作用機構に関する研究

豊田和弘(応用植物科学コース)
■受賞名 財団法人農学会「平成16年度(第3回)日本農学進歩賞」
■受賞業績 植物病原菌の宿主適応への新たな分子機構と病原性制御

中野龍平(応用植物科学コース)
■受賞名 財団法人農学会「平成15年度(第2回)日本農学進歩賞」
■受賞業績 カキ果実の流通中の早期軟化現象の原因究明と防止法の確立

【本件問い合わせ先】
大学院環境生命科学研究科(農)(農学部応用植物科学コース コース主任)
教授 豊田和弘
TEL:086-251-8357
pisatin◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。

大学院環境生命科学研究科 准教授 門田有希
TEL: 086-251-8354



https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9898.html


【情報発信】世界につながるSDGsビジネスコンテスト「HultPrize岡山大学大会」を初開催! ~SDGsアンバサダー4人を中心に企画・運営~

12月13日、世界的ビジネスコンテスト「HultPrize」の岡山大学大会が岡山大学創立五十周年記念館で行われました。この大会はSDGsアンバサダーの4人の学生(経済学部4年西本光輝さん、経済学部3年澤山幸也さん、経済学部3年岡本真さん、理学部3年大野さくらさん)が中心となって企画・運営を行いました。

「HultPrize」は、SDGs達成のために世界中の学生(大学生および大学院生のみ)を対象に行っている世界最大規模のビジネスコンテストです。優勝チームには1 million doller(1億円以上)が事業資金として与えられ、 現在は国際連合がパートナーとなり、121カ国、100万人を超える学生が参加しています。今年度のテーマは「food for good ~transforming food into a vehicle for change~」。世界の食糧システムの問題点を根本的に解決し、持続可能な社会を発展させるためのビジネスプランを競います。

その第一次選考となるOn Campus大会を、岡山大学で初めて開催。全7組(24人)の本学学生がプレゼンターとして登壇し、英語でビジネスプランを披露しました。会場とオンライン中継を通して、国内外から約40人の観覧者が参加しました。

7組のプレゼンターからは、タイをターゲットにした家畜肥料を刷新するアイデアや先進国をターゲットに食品廃棄を解決するビジネスモデルなどさまざまなビジネスアイデアが発表されました。4人の審査員による審査の結果、食物繊維が豊富かつ、環境への負荷が牛乳などに比べ圧倒的に小さいオーツミルクを日本国内で生産・加工・販売まで行うビジネスモデルを発表したチーム「Oaternative」が優勝しました。審査員からは、ビジネスアイデアはもちろん、質疑応答の際も随所まで調査されていることがわかり、将来性を感じられる案であった。実現可能性も高く中長期的にも収益性を感じられる優れた案という評価がなされました。

2位には、アメリカミズアブを飼料として活用し低コストながら高い栄養価をもつ家畜を育てるアイデアを発表したチーム「ムーシ/Mooshi」が、3位には、廃棄が近い食品を用いたビジネス案を発表したチーム「LEL」が、それぞれ優れたビジネス案として評価され表彰されました。

見事、一位に輝いた「Oaternative」のメンバーであるSonava Tadaoさん(グローバル・ディスカバリー・プログラム(GDP)2年)はHultPrizeを振り返り「日本やアジアだけでなく、地球全体としての私たちの将来について考え、主体的に行動を起こす素晴らしい機会になった」と語りました。また、同じくメンバーのAlyana Moralesさん(GDP2年)は「チームで協力し、議論を通してビジネスを考える日々がとても充実していた。これからさらに調査やさまざまな方からのアドバイスを生かしてビジネスモデルに磨きをかけていきたい」と話しました。

その他、今回は入賞がかなわなかったチームのメンバーからも「HultPrizeを通して自分たちのチームだけでなく、他のチームメンバーやワークショップにご協力を頂いた先生方など素晴らしい出会いがあった。この出会いを機に互いに刺激を与え続けながらこれからもSDGsやビジネスについて学び挑戦を続けていきたい」との声が聞かれました。

優勝チームの「Oaternative」は、2021年3~4月に東京やシンガポールなど世界的大都市で行われるRegional大会に岡山大学の代表として出場します。

【HultPrize岡山大学大会の結果】

<優勝> Oaternative
Alyana Moralesさん(GDP2年)
Sonava Tadaoさん(GDP2年)
遠山成美さん(教育学研究科2年)
岡本真さん(経済学部3年)

<2位> ムーシ/Mooshi
三輪拓真さん(工学部2年)
有澤可菜さん(文学部2年)
Mahasawin Sikarasさん(理学部2年)

<3位> LEL
宮本あゆはさん(法学部3年)
KYI KYI THARさん(社会文化学研究科博士前期2年)
呉恪さん(文学部2年)

主催:岡山大学SDGsアンバサダー HultPrize企画・運営メンバー
   西本光輝さん(経済学部4年)、澤山幸也さん(経済学部3年)
   岡本真さん(経済学部3年)、大野さくらさん(理学部3年)
共催:岡山大学-Ceed、L-Café、岡山大学オープンイノベーション機構

【本件問い合わせ先】
総務・企画部社会連携課 
TEL:086-251-8374 
E-mail:SDGs◎adm.okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。



https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9902.html

【情報発信】「消えては結ぶ磁気の渦」ノーベル賞予言に迫る渦と反渦の観察 磁気模様の直接観察に世界で初めて成功

◆発表のポイント

  • 2次元性の強い磁性結晶K2CuF4で渦と反渦の磁気模様が対を成して現れる様子を観察しました。
  • 電界放出透過型電子顕微鏡を用いて超高感度の磁気構造解析を摂氏-269度近くの極低温で行いました。実施可能な施設は我が国にしかありません。
  • 観察結果は2次元系物質が示す相転移現象の特徴と整合していますが、更なる検証が必要です。
  • この物理現象は1970年代に理論予言され2016年にノーベル物理学賞が授けられましたが、理論模型となった磁性体では実験報告がありませんでした。

 

岡山大学異分野基礎科学研究所の秋光純特任教授、大阪府立大学の戸川欣彦教授、放送大学の岸根順一郎教授らの研究チームは、株式会社日立製作所と共同で、2次元性の強い磁性結晶において渦と反渦の磁気模様が対を成して現れる様子を直接観察することに世界で初めて成功しました。

“消えては結ぶ磁気の渦”は結晶が磁性を示すようになる温度をまたいで観察されます。この観察結果は、半世紀前に理論予言され2016年にノーベル物理学賞が授けられながらも、これまで実験が報告されていなかった“磁性体における2次元系特有の相転移現象”を示している可能性があります。

物質が示す多彩な相転移現象に潜む普遍的な性質を明らかにする基礎学術的に重要な研究成果であり、日本物理学会が発刊する「Journal of the Physical Society of Japanl」誌に12月7日に掲載されました。


◆研究者からのひとこと

なかなか、ambitious なテーマで、まだ議論の余地のある結論なのですが、大きな橋頭保の一歩を築いたと思っています。出来たらこのgroup でゆるぎない結論にまでもっていきたいと思っています。
秋光純教授
物質評価・試料作製・観察・データ解析・物理的解釈の各段階で大変な苦労があり共同研究者の総力を結集した研究成果となっています。どの研究でも同じですが、喜びもひとしおです。御礼申し上げます。
戸川
欣彦教授
磁性体における「渦と反渦が織りなす相転移現象」は、実験的な検証がないまま誰もが信じる現象として“確立”しています。今回、この不思議な渦の形成を直視できたことは大きな進歩だと思います。
岸根
順一郎教授


■論文情報
論 文 名:「Formations of Narrow Stripes and Vortex-Antivortex Pairs in a Quasi-Two-Dimensional Ferromagnet K2CuF4
掲 載 紙:日本物理学会誌「Journal of the Physical Society of Japanl
著  者:Yoshihiko Togawa, Tetsuya Akashi, Hiroto Kasai, Gary Paterson, Stephen McVitie, Yusuke Kousaka, Hiroyuki Shinada, Jun-ichiro Kishine, and Jun Akimitsu
D O I:10.7566/JPSJ.90.014702
U R L:https://doi.org/10.7566/JPSJ.90.014702

<詳しい研究内容について>
「消えては結ぶ磁気の渦」ノーベル賞予言に迫る渦と反渦の観察 磁気模様の直接観察に世界で初めて成功

<お問い合わせ>
岡山大学 異分野基礎科学研究所 
特任教授 秋光 純
(電話番号)086-251-8632



https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id793.html

【情報発信】中国・四国地方を中心とした広域医療圏が協力しての遺伝性がん予防の取り組み「中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究」が始まりました

◆発表のポイント

  • 中国・四国地方および東京都・兵庫県の医療機関16施設が協力して、遺伝性腫瘍に対する取り組みをスタートしました。
  • 遺伝性腫瘍家系を対象に、人口1,100万人の医療圏全体で長期に渡ってきめ細かく丁寧に支援する体制を作っていくことで、日本人に対する最適な医療(マネジメントやサーベイランス)に関するエビデンスを構築します。
  • 「地域医療としての遺伝性腫瘍診療」を、地域のみなさんとともに作っていくことが期待されます。

 

がんの約1割は遺伝因子によって生じることが知られており、一般に「遺伝性腫瘍」と呼びます。遺伝性腫瘍の原因遺伝子を調べることで、がん予防に結びつけることが可能な場合があります。遺伝性腫瘍はリスク低減をはかることでがん予防が可能となることが多いものの、日本人に関するデータはまだ十分ではありません。

このたび、岡山大学病院を含む中国・四国地方および東京都・兵庫県の医療機関16施設が協力して、遺伝性腫瘍予防に対する取り組み「中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究」がスタートしました。中国・四国地方を中心とした広域医療圏から日本人のがん予防に係るエビデンスを発信することで、国民の健康管理に役立つものと期待しています。

 

◆研究者からのひとこと

遺伝の情報はあなたの大切な情報ですが、あなただけのものではありません。遺伝情報は血縁者や地域で共有しているものです。
「がんに罹りやすい」という遺伝情報(遺伝性腫瘍の関連遺伝子)をきちんと調べることで、あなたのがん予防が可能になるだけでなく、血縁者の方にとっても、がん予防のきっかけにもなることがあります。
遺伝性腫瘍の診療は「究極の地域医療・家庭医療」といえます。

平沢晃教授

 
 


<詳しい研究内容について>
中国・四国地方を中心とした広域医療圏が協力しての遺伝性がん予防の取り組み「中央西日本遺伝性腫瘍コホート研究」が始まりました

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 病態制御科学専攻 腫瘍制御学講座 (臨床遺伝子医療学分野)
教授 平沢 晃
(電話)岡山大学病院 臨床遺伝子診療科
086-223-7151(代表)


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id801.html


【情報発信】岡山大学-Ceedと教育学部がコラボし、2つのプログラミング講座を開催

学生が主体となりアントレプレナーシップを共に学び、共に発揮し、共に未来を創造することを掲げて活動している岡山大学-Ceedと岡山大学教育学部がコラボレーションし、12月5日と13日に2つの初学者向けプログラミング講座を開催しました。

12月5日は、新型コロナ感染拡大防止のため対象を学内の学生・教職員に限定し、附属図書館3階のセミナー室で、『micro:bitを用いたアクションゲームの製作』を行いました。講師は-Ceedの宮本大輝さん(工学部4年)が担当し、サバティカルを利用して岡山大学教育学部の客員研究員を務めている専修大学の石井健太郎准教授と、-Ceedの鈴木真理子助教がサポーターとなって実施。11人の参加者のうち半数以上が大学の教職員で、宮本さんの「じゃぁ、早速やってみましょう!」という実践中心の講座に目を白黒させながらも、和気あいあいと参加者同士教え合って楽しく進みました。最終的に全員が基本のアクションゲームを完成させ、敵を増やしたり移動スピードを早めたりして、よりスリリングなゲームに拡張していました。

参加者からは、「プログラミング学習の大切さを色々と聞きますが、『こうすればこうなる』『こうすればどうなる?』と考えることを遊び感覚で行えるのは本当に有意義ですね」、「手取り足取り教えていただき、おかげさまで勝手に持っていた苦手意識を少しだけ払拭することができました」、「特に良かったところは、ガンガン進んだところ。『説明する・教える・伝える』に重きを置いてしまいがちですが、こういう講座では、実際にして、ちょっと困った状態でアドバイスや模範例を聞くのが有効だと思いました」といった感想が寄せられました。

12月13日は、岡山大学五十周年記念館大会議室で、新型コロナ感染拡大防止に配慮し、小学4~6年生と保護者10組に限定した岡山大学公開講座「デジタル灯篭をプログラミング」を開催しました。講師は石井准教授、サポーターは宮本さんと鈴木助教が務めました。「Arduino」というマイコンボードを使い、赤・青・緑のLEDを制御してデジタル灯篭を作ってみよう!という内容で、せっかくの機会なので一緒に来られた保護者の方にも挑戦していただきました。Arduino、LED、抵抗を配線して回路を組み、簡単なコーディングもする、という高度な内容でしたが、全組が思い思いのパターンで光る灯篭を見事完成させました。

参加した小学生からは、「初めてだったので難しかったけれど楽しかったです。よくエラーやミスなどもあったけれど、オリジナルのものができました」、「文字を使うプログラミングをやってみたかったので、とても楽しかったです」といった感想が寄せられたほか、保護者の方からも「親子ともども貴重な体験をさせていただきました。娘もプログラミングがより具体的にイメージでき、興味を持つきっかけになったように思います」といった声をいただきました。


○小学生向けの「デジタル灯篭をプログラミング」公開講座は、2月も開催予定です。
詳しくはこちらをご覧ください。

【主催】岡山大学-Ceed、岡山大学教育学部
【共催】岡山大学オープンイノベーション機構

【本件担当】
岡山大学全学教育・学生支援機構 基幹教育センター 
助教(特任) 鈴木真理子
E-mail: suzuk-m1◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。



https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9890.html


【情報発信】氷の衛星の表面と内部の氷の正体を理論的に特定!

◆発表のポイント

  • 極低温や低圧で、気体と水が存在する場合に、氷とガスハイドレートのどちらが生じるのかを理論的に予測する方法を発見しました。
  • その結果を用いて、水が豊富に存在している極低温の天体の表面や内部における、水の状態を明らかにしました。
  • 外惑星の衛星や冥王星における、内部海の存在や地殻から大気へのガス放出についての原因解明に役立つと期待されます。

 

岡山大学異分野基礎科学研究所(理学部)理論化学研究室の田中秀樹教授、矢ヶ崎琢磨特任講師(現大阪大学大学院基礎工学研究科特任准教授)、松本正和准教授は、太陽系の外惑星とその衛星等に豊富にある水が、低温かつ他の天体構成物質が存在する環境下で、どのような状態であるのかを理論的に突きとめました。

本研究成果は12月17日、アメリカ天文学会の国際科学雑誌「Planetary Science Journal」オンライン版に掲載されました。

外惑星系天体の表面のみならず内部液体の水に至るまでの水の状態の解明は、これらの天体や彗星における水の存在の程度とその役割を研究するための基盤となります。

 

■論文情報
論 文 名:On the Occurrence of Clathrate Hydrates in Extreme Conditions: Dissociation Pressures and Occupancies at Cryogenic Temperatures with Application to Planetary Systems
掲 載 紙:Planetary Science Journal
著  者:Hideki Tanaka, Takuma Yagasaki and Masakazu Matsumoto
D O I:10.3847/PSJ/abc3c0

<詳しい研究内容について>
氷の衛星の表面と内部の氷の正体を理論的に特定!

<お問い合わせ>
岡山大学異分野基礎科学研究所(理学部)
理論化学研究室
教授 田中秀樹
(電話番号)086-251-7769
(URL)http://theochem.chem.okayama-u.ac.jp

 


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id804.html


2020年12月27日日曜日

【情報発信】先天性ミオパチーの発症メカニズムを分子レベルで解明!~骨格筋の難病の診断・治療法開発に光~

◆発表のポイント

  • 先天性の筋疾患である中心核ミオパチーは、骨格筋の収縮に必要な筋組織の構造(T管)に生まれつき異常があり、筋力や筋緊張の低下が起こる難病です。
  • 本研究では、T管の形成が異常になるプロセスを試験管内および細胞内再構成系を用いて解析し、ミオパチーの発症機構を明らかにしました。
  • 本研究の成果は、難病である中心核ミオパチーの新たな治療法や創薬開発に役立つことが期待されます。

 

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生化学分野の藤瀬賢志郎大学院生、竹田哲也助教、竹居孝二教授らと、国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部の大久保真理子研究員、野口悟室長、西野一三部長の共同研究グループは、先天性筋疾患である中心核ミオパチーにおいて、骨格筋の収縮に必要な筋組織の構造である「T管」の形成異常が起こる仕組みを解明しました。本研究の成果は11月13日、米国生化学分子生物学会(The American Society for Biochemistry and Molecular Biology)の国際科学誌「Journal of Biological Chemistry」に掲載されました。

中心核ミオパチーは、骨格筋の先天的な構造異常により筋力が低下する筋疾患で、根治的な治療法がありません。骨格筋は高度に組織化された器官で、神経細胞を介して脳からのシグナルが伝達され、筋収縮が起こります。T管は、神経細胞からのシグナルを筋細胞深部にまで伝える役割を持ちますが、中心核ミオパチーの患者で、T管の形成異常が起こるメカニズムは明らかになっていませんでした。

研究グループは、試験管内や培養細胞内でT管構造を再構成する実験系を確立し、中心核ミオパチーでT管の形成異常が起こる仕組みを解析しました。その結果、細胞膜を「切る」機能を持つダイナミンが、細胞膜を「曲げる」機能を持つBIN1と相互作用し、T管を安定化する新たな機能を発見しました。

一方、中心核ミオパチー型のダイナミン変異体は、細胞膜を切る活性が高まり、T管が正常に形成されなくなることを明らかにしました。本研究で用いた研究手法や得られた研究成果は、中心核ミオパチーの早期診断法や治療法、創薬開発に役立つことが期待されます。

 

◆研究者からのひとこと

  • 骨格筋研究を推し進める研究者になれるよう邁進していきます!(藤瀬)
  • 難治性疾患の治療や創薬開発につながる基礎研究を、今後も精力的に展開していきます。(竹田、竹居)

藤瀬大学院生  竹田助教  竹居教授

■論文情報
論 文 名:Mutant BIN1-Dynamin 2 complexes dysregulate membrane remodeling in the pathogenesis of centronuclear myopathy
掲 載 紙:Journal of Biological Chemistry
著  者:Kenshiro Fujise, Mariko Okubo, Tadashi Abe, Hiroshi Yamada, Ichizo Nishino, Satoru Noguchi, Kohji Takei* and Tetsuya Takeda* (*Corresponding authors)
D O I:10.1074/jbc.RA120.015184
U R L:https://www.jbc.org/content/early/2020/11/13/jbc.RA120.015184.long


<詳しい研究内容について>
先天性ミオパチーの発症メカニズムを分子レベルで解明!~骨格筋の難病の診断・治療法開発に光~


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
助教 竹田哲也
(電話番号)086-235-7125
(FAX)086-235-7126


岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
教授 竹居孝二
(電話番号)086-235-7120
(FAX)086-235-7126


国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター総務課 広報係
(電話番号)042-341-2711(代表)
(FAX)042-344-6745


 

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id797.html

 

【情報発信】空き家の発生抑制を目指す産官学の専門家組織による実践 「岡山・空き家を生まないプロジェクト」

◆発表のポイント

  • 空き家の増加によって地域の治安や景観の悪化、それによる魅力の低下が懸念されています。
  • 昨年度は「自宅の将来について、あらかじめ考えて行動してもらうための取組」を試行し、一定の成果を得ました。
  • 今年度より、産官学の連携によって専門家組織の体制を構築し“空き家の発生抑制を目的とした取組”について、本格的に実施します。「岡山・空き家を生まないプロジェクト」
  • 岡山市内の特定の団地において、住宅に関する情報提供、自宅の将来について考えてもらうためのきっかけづくり、具体的な行動に移すための専門家による相談会等を実施していきます。

 

人口減少によって空き家が増加し、景観や治安の悪化、それに伴う地域の魅力の低下などが懸念されています。空き家の対策は、空き家の利活用などを目的とした空き家発生後の対策と、空き家自体の発生を抑制させる対策に分類できます。一般に、空き家発生後の対策に比べて、発生前の対策は遅れています。

このため、昨年度は空き家の発生抑制を目的として自宅の将来についてあらかじめ考えて行動してもらうための取組を岡山市中区の団地を対象に、岡山大学、岡山市、中電技術コンサルタント株式会社の3者で試行的に実施しました。調査の結果、この取組をきっかけとして、(アンケート回答者のうち)エンディングノートの作成・登記の確認など具体的な行動をされた方が10%、自宅の将来に関する意識が変容した方が44%などの成果が得られました。

今年度より空き家の発生抑制を目的とした産官学の専門家組織を立ち上げ、特定の地区を対象に実践していくことで、他地域への応用可能な手法を検討します「岡山・空き家を生まないプロジェクト」。構成メンバーは、建設コンサルタント、士業(弁護士、司法書士、建築士など)、デザイナー、行政、大学です。岡山市中区及び南区の団地を対象に、以下1)~3)の取組を実施します。
 

1) 情報提供:住宅、空き家に関するさまざまな情報を提供
2) 関係者での話し合い:自宅の将来について話し合ってもらうためのきっかけづくり
3) 専門家への相談:具体的な行動につなげるための相談会を実施
 

上記にあわせて、アンケート調査を実施することで、本プロジェクトにおける効果や課題を明らかにし、次年度以降の取組につなげていきます。
 

なお、本プロジェクトは国土交通省の「令和2年度空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」に採択されて実施しております。

 

◆研究者からのひとこと

将来の空き家の発生を抑制し、魅力ある地域にするために、ご自宅の将来について、早い段階から考えてみませんか?その行動は、ご自宅が空き家になることを防ぐ第一歩です。
氏原
岳人准教授


<住民配布用リーフレット>



<詳しい研究内容について>
空き家の発生抑制を目指す産官学の専門家組織による実践 「岡山・空き家を生まないプロジェクト」

<お問い合わせ>
岡山大学大学院環境生命科学研究科
准教授 氏原岳人
(電話番号)086-251-8850
(FAX番号)086-251-8850

http://www.okayama-u.ac.jp/user/civil/Labs/regional/regional.html


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id798.html


【情報発信】またしても、新種と知らずに食べていた! -食用海産巻貝類「シッタカ」の一種、クサイロクマノコガイ-

◆発表のポイント

  • 日本各地の海岸潮間帯に産するバテイラ属(Tegula)の諸種は一般に「シッタカ」等と俗称され、食用に供されるなど比較的よく知られた海産巻貝類の一群です。
  • その一員であるクマノコガイには、殻が漆黒色のものと緑褐色のものが見られ、後者にはクサイロクマノコガイの和名があるものの、これまでずっと同種(変異)と見なされてきました。
  • ところが今回、分子系統解析や形態・生息環境の比較、古文献再読等を行った結果、両者は完全に別種で、しかもクサイロクマノコガイは有効な学名を持たない新種であると判明しました。

 

東北大学東北アジア研究センターの山崎大志学術研究員、平野尚浩助教、千葉聡教授、および岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)の福田宏准教授の共同研究チームは、「シッタカ」と呼ばれる海産食用巻貝の一群バテイラ属(Tegula)に属すクサイロクマノコガイが実は未記載種であったことを突き止め、学名を「Tegula kusairo」と新たに命名しました。この種は従来、一貫してクマノコガイ(Tegula xanthostigma)の種内変異(つまり異名、無効名)と信じられてきましたが、DNA塩基配列や形態・生息環境等の比較の結果、両者は完全な別種と認められます。本研究成果は日本時間12月10日、日豪共同刊行の軟体動物学雑誌「Molluscan Research」にオンラインで掲載されました。
2017年にはサザエが新種であったことが判明しましたが、今回もそれと類似した事例です。食用とされるごく身近な貝類ですら、分類未確定の種がいまだに少なからず含まれており、貝類の識別・同定・体系化の困難さが改めて浮き彫りとなりました。同時に本研究は、分子系統解析と形態比較等を組み合わせた多角的な検討が、生物多様性の認識に貢献した好例とも考えられます。

 

◆研究者からのひとこと

私は小学校1年生の時、夏休みの自由研究で、主に山口県周辺の貝類229種を集めて名前を調べたのですが、そのうちの2種(サザエ、チョウシュウシロマイマイ)が2015年以降に新種として新たな学名を与えられました。同様の例はさすがにもうないだろうと思っていたら、今回のクサイロクマノコガイ(徳山市[現・周南市]四郎谷で採った標本が今も実家にあります)が3例目となりました。小学生が気軽に集めた種でもおよそ70種に1種は新種で、しかもそれらの正確な同定に行き着くまで50年近くかかっており、分類学の奥深さを改めて痛感させられます。結局私は、小1の夏休みの宿題を今も完成できずに続けているのです。
福田
宏准教授

■論文情報
 論 文 名:A new replacement name for Chlorostoma lischkei Pilsbry, 1889 (not of Tapparone-Canefri, 1874) (Vetigastropoda: Trochida: Tegulidae)
 掲 載 誌:Molluscan Research
 著  者:Daishi Yamazaki, Takahiro Hirano, Satoshi Chiba, and Hiroshi Fukuda
 D O I:https://doi.org/10.1080/13235818.2020.1831716


<詳しい研究内容について>
またしても、新種と知らずに食べていた!-食用海産巻貝類「シッタカ」の一種、クサイロクマノコガイ-


<お問い合わせ>
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)
准教授 福田 宏
(電話番号・FAX)086-251-8370

東北大学東北アジア研究センター
学術研究員 山崎大志
(電話番号・FAX)022-795-7560

 

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id799.html