2014年2月22日土曜日

【異分野・産学官】研究広報戦略ワークショップ-革新的イノベーション創出を生み出す研究広報とは- 開催

2014年2月22日(土)岡山市北区

研究活動は、論文や書籍にすることだけが最終目的ではなく、社会実装などを視野に入れて活動することもとても大切だと考えます。その過程において「広報」は、自身の研究を社会に広めることで様々なチャンスを得ることのできる大変有効な手段のひとつでもあり、研究における重要な要素とも言えます。

岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室は、岡山大学の研究力を広く社会に発信するための方策を参加者らと対話を通して共に探るため、「研究広報戦略ワークショップ -革新的イノベーション創出を生み出す研究広報とは-」を、222日に本学本部棟で開催しました。

今回のワークショップは、ファシリテーターのテレビせとうち株式会社の江草明彦報道制作局長のもと、株式会社マイナビの小林行雄氏、株式会社大伸社常務取締役の上平泰輔氏、豊橋技術科学大学学長補佐(国際化推進担当)・教授のAdarsh Sandhu先生、株式会社山陽新聞社編集局メディア本部長・論説委員の綾野雄紀氏らが登壇し、国内外に研究内容を効果的に広めるための方法や企業と研究機関における広報戦略の違いなど、戦略的な広報活動が組織力や研究力の推進と向上に深く関わっていることなどを紹介しました。

ワークショップに参加した学生や教職員、一般・企業の方々ら約80人、研究を分かりやすく伝えること難しさを感じながらも、より良い研究広報のあり方について、熱心に対話を行いました。また、今回のワークショップは、テレビニュースでも取り上げられたため、広く世間の関心を呼び、ワークショップ終了後も演者や参加者らによるミニワークショップが開催されました。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省が選定した「研究大学強化促進事業」の支援対象大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上を実施しており、今回のワークショップの成果も研究大学運営に活かして行きます。

今回のワークショップの話題提供者とファシリテーターら。
 
ワークショップ開催の挨拶を行う山本進一理事(研究担当)・副学長。「研究大学:岡山大学」として、広報戦略は中核に位置するものであり、今回のワークショップの成果を今後の研究大学運営に活かして行きたいと述べました。
 
 ファシリテーター役のテレビせとうち株式会社報道制作局長の江草明彦氏。長年、報道現場の第一線に立っておられた方だけに、対話が深まるファシリテートを行って頂きました。
 
さまざまな大学における広報スタンスと企業における広報スタンスから見える広報戦略について講演する株式会社マイナビの小林行雄氏

先進企業のブランディングの観点から広報戦略のあり方について講演する株式会社大伸社常務取締役の上平泰輔氏

日本の教育・研究機関の国外向けビジビリティ向上に有効な戦略について講演する豊橋技術科学大学学長補佐(国際化推進担当)・教授のAdarsh Sandhu先生

地元マスメディアから見た岡山大学について講演する株式会社山陽新聞社編集局メディア本部長・論説委員の綾野雄紀氏
 
ワークショップ主催者として対話の総括を行う佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーター。今後も産業界で蓄積されたノウハウをアカデミアに活かしていく施策を講じていきたいと述べました。
 
対話するワークショップ参加者ら。対話では特に、研究者の広報に対する認識のあり方について、深い議論が行われました。
 
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html

【光生命・産学官】放射光科学と創薬科学融合による革新的イノベーション創出ワークショップ 開催

2014年2月21日(金)兵庫県佐用郡佐用町、岡山市北区

岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室と独立行政法人理化学研究所放射光科学総合研究センターは、岡山大学の研究力の強みのひとつである、「光技術分野」を創薬分野での活用を探るため、「放射光科学と創薬科学融合による革新的イノベーション創出ワークショップ」を、221日、独立行政法人理化学研究所放射光科学総合研究センター(兵庫県佐用町)と本学本部棟で開催しました。

はじめに参加者らは、同センターにある放射光施設SPring-8SACLA*を見学。わが国が世界に誇る放射光施設の概要と実際の使用現場にじかに触れました。また、同センターの高田昌樹副センター長からは、SPring-8/SACLAから生み出された数多くの製品の紹介や産学官連携の取り組みなどが紹介され、参加者と活発な「現場対話」が行われました。

次に会場を岡山大学に移し、光技術分野と創薬科学を融合し、社会に革新的なイノベーションを生み出す薬や研究方法のあり方について対話。参加した学生や研究者、製薬や光技術関係の企業の方々ら約30人は熱心に対話を行い、特に薬学研究者をはじめとする生命科学研究者が放射光などの光技術分野を活発に利用し、かつ企業と連携することで今までにない研究活動と社会実装の可能性について探索しました。

岡山大学は、SPring-8/SACLAにもっとも近地の総合大学であり、数多くの研究者が施設を利用し、光合成研究などで大きな研究成果を輩出し続けています。今後もこの研究力の強みを更に伸ばし、世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上を実施しています。

次回は、314日(金)に光技術と生命科学融合事業の小括ワークショップとして、「放射光科学による革新的イノベーションワークショップ」(会場:岡山大学理学部大会議室)を開催する予定です。

*SPring-8SACLA
SPring-8(スプリング・エイト)は、世界最高性能の放射光を利用することで物質の種類や構造、性能などを詳細に解析することができる大型放射光施設です。本学の数多くの研究者が研究のために利用しており、また学生への教育の一環としても利用されています。
http://www.spring8.or.jp/ja/

SACLA(サクラ)は、X線自由電子レーザーによって原子や分子の瞬間的な動きを観察できる施設であり、国家戦略のもと取り組む「国家基幹技術」のひとつです。本学の大学院自然科学研究科(理学部)・光合成研究センター長の沈建仁教授らがSACLA供用開始第1として世界初の実験を開始しています。
http://xfel.riken.jp/

今回のワークショップの参加者ら(一部)。研究者、学生、医師、企業人、マスコミ関係者など多用な方々に参加していただきました。

 
 
SPring-8/SACLAでは高田副センター長らが施設の説明や生み出される成果について詳しく説明して頂けました。学生の参加者らにもわかりやすく説明いただいたため、活発な現場対話が進みました。本事業の重要な点のひとつであり「現場対話」を深めることのできた一日となりました。

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
独立行政法人理化学研究所放射光科学総合研究センター:http://rsc.riken.jp/

2014年2月19日水曜日

【産学官・異分野】イノベーションの未来を拓く処方箋8 ー 共用スペース?いえ違います“コワーキングスペース”です ー

「岡山大学シーズ・ニーズ創出強化イノベーション対話プログラム2013」では、事業の名前が意味するように「イノベーション(Innovation)」がひとつの“鍵”となっています。しかし、「イノベーション」とはどのようなものでしょうか。「イノベーション」という言葉をヨーゼフ・シュンペーターが形作ってから1世紀が経過しましたが、その時間の中でイノベーションを創出する環境はさまざまに入れ替わりました。その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」(第8回)を本学津島キャンパスで開催しました。

話題提供者は、本事業実施責任者である岡山大学学長特命(研究担当)・URAの佐藤法仁が務めました。今回の対話は、「共用スペース?いえ違います“コワーキングスペース”ですと題して行われました。

本対話では、これまでに様々なキーワードやイノベーション創出環境事例についてスポットを当ててきました。その中で、「シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(4.ニューヨークのイノベーション好循環への挑戦)」の回において、ニューヨークにおける「コワーキングスペース(Coworking Spaces)」の利用について紹介し、対話のポイントともなりました。今回は、その深堀として、コワーキングスペースを取り上げる会となりました。

話題提供者の佐藤法仁URAは、前述の「ニューヨークのイノベーション好循環への挑戦」の振り返りとともに、コワーキングスペースについて説明。働く場の共同利用という視点から異分野交流が生まれ、かつ加速されている点やコワーキングスペースをビジネスとして用いることで利益を得る点などについて、事例をもとに紹介しました。さらには日本の大学、特に研究環境で流行っている「共用スペース」との大きな違いや研究環境の閉鎖性、小さく細かく仕切った間取りのデメリットなどについても話題を提供しました。

佐藤URAは、「ニューヨーク、特に中心地であるマンハッタン島は地価が高いため賃料が高騰しており、ベンチャー企業には手が届かない。しかし働く場を共同利用化することでベンチャー企業や数人で起業を目指すグループなどが、中心地でオフィスを利用することができる。このコワーキングスペースの利点は、単に労働を行う場という点ではなく、さまざまな人と共に創造性のある議論を交わせたり、またそのような人たちが交わることができる“異分野融合の場”が実践形成されている点にある。ただ、自然科学系の実験などを行うものには向かず、ITなどクリエイティブ関係やデータ関係の仕事に向いている。中にはフリーの人たちが資金を出し合ってコワーキングスペースを利用する場合もある。他方で、単に不動産会社がコワーキングスペースをビジネスとして提供するのではなく、一般のお店(飲食店)がコワーキングスペースを提供する場合もある。例えば夜から開業するお店は、日中はお店を閉めているため、この時間帯を利用してコワーキングスペースとして開放している。もともと食事ができる設備が整っている飲食店であり、昼食などもその場で提供、とることができる。時にはイベントをそのまま夜のお店でやることある。コワーキングスペースの利用者も提供者もWin-Winの関係である」など、事例をもとに紹介しました。

また、「共用スペースはメリットもあるが、個となる狭い空間から出て来て、一時的に開放空間に触れるというものであり、その開放空間で誰かと共に作業(仕事)をするという流れにはならず、また再び個となる狭い空間に戻る。また日本の大学の多くの実験室や研究室というものが、いくつもの壁で細かく分断されている。○○研究室、××研究室のように一室一室持つことのメリットはもう失われており、共同・共創というイノベーションの芽を摘んでいるかもしれない」と話題を提供しました。
参加者からは、実験を行う際の環境のあり方やコワーキングスペースが大学で作ることができるのかなど、さまざまな視点で対話。まだアメリカでも都市部にしか浸透していないコワーキングスペースについて、わが国でもどのようにすれば使いこなせるかなどの意見を出し合いました。

コワーキングスペースは、研究者や教員などの従来の働き方を変える“種”となるかもしれません。この種がイノベーション創出環境の強化促進につながるのかは、まだ未知数の点があり今後もコワーキングスペースだけではなく、従来の働き方を含めたあり方について考えていく必要があると思われます。

<過去開催>

第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html

第2回 大学発ベンチャーの“企業”としての自立化:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_25.html
第3回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(1.シリコンバレーのハブ機能):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_30.html
第4回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(2.シリコンビーチ台頭の兆し):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html
第5回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(3.イノベーション大国になりつつあるイスラエルの活動):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/3.html
第6回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(4.ニューヨークのイノベーション好循環への挑戦):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/4.html
第7回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(5.ドイツIndustry4.0の挑戦):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/01/5industrie40.html

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html

2014年2月7日金曜日

【光生命】革新的光技術で次世代グローバル研究シーズ・ニーズを探る 岡山大学フューチャーセッション in 岡山 開催

2014年1月23日(木)岡山市北区

岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA )執務室と本学大学院自然科学研究科計測システム工学研究室は、岡山大学の研究力の強みのひとつである、光技術分野」をさらに強化し、国際展開の推進を図るため、「12回岡山大学フューチャーセッション(Future Session)」として「in 岡山」を、123日、岡山大学津島キャンパスの工学部で開催しました。

今回の対話提供者は、レーザー研究で世界有数の研究施設と研究力を誇るカナダのケベック先端科学技術大学院大学(INRSInstitut national de la recherche scientifiqueの尾崎恒之教授です。

尾崎教授と主催者の紀和利彦准教授、佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーターは、昨年12月にケベックで、フューチャーセッション in ケベック」を開催し、カナダにおける光技術の応用についての対話を行っています。

今回は場所をカナダから岡山大学に移し、わが国とカナダの光技術連携や本学の異分野研究者との連携などについて対話しました。参加した学生や研究者、企業関係者ら約40人は熱心に意見交換を行い、革新的光技術の創出につながるシーズ・ニーズを探索しました。
 
また、尾﨑教授は山本進一理事(研究担当)・副学長らと国際共同研究についての意見交換も実施。今後、本学とのより密な研究連携を図っていくことで積極的な国際展開を推進していくことになりました。
 
岡山大学では、社会と共に革新的イノベーションや高付加価値産業の創出し、世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上を実施しています。
 
山本進一理事(研究担当)・副学長との意見交換(中:尾崎恒之教授、右:紀和利彦准教授)
 
セッション・ファシリテーターを務める紀和利彦准教授
 
対話材料を提供するINRS尾崎恒之教授
 
フューチャーセッションに参加した皆さん(集合写真にご参加した一部の方々)
 
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html