ヒトと動物に感染する病原微生物は数多く知られており、ヒトには生命の危機やQOL(Quality of Life)の低下を引き起こします。動物でも同様であり、家畜などの場合は経済的・社会的損失が大きな問題となります。今回、ヒトと動物の両方に危害を加える人獣共通感染症(Zoonosis)について、日中双方の研究者らが叡智を共有化することで、隣国同士の研究連携や技術開発、社会実装の強化促進を図りました。
会のモデレーターは、本学卒業生である内蒙古大学生命科学学院の韓紅燕講師(本学環境生命科学研究科修了)、内蒙古自治区人民医院生殖科の莎如拉医師(本学大学院保健学研究科、同大学院医歯薬学総合研究科修了)が務め、同医院の血液科の医師らを中心に開催されました。
はじめに本学の佐藤法仁研究担当学長特命・URAが開催の挨拶とともに趣旨を説明。
続いて、理化学研究所分子ウイルス特別ユニットの間陽子ユニットリーダーらが牛に白血病を引き起こすBLV (bovine leukemia virus)について講演。ウイルス検査法やワクチン開発のみならず、ヒトへの影響の可能性などについて、参加者らと情報を交換しました。
また、同医院の医師らからは、ブルセラ症(brucellosis)が近年、人獣共通感染症として問題となって来ている点を紹介。佐藤法仁研究担当学長特命・URAが、わが国における人獣共通感染症の現状とブルセラ症の感染症法における法的対策や疫学調査などについて紹介。内モンゴル自治区内での疫学調査など全体概要解明を進める方策について熱心に意見交換を行いました。
他方、会に参加した本学卒業生らからは、感染症制圧や医師教育などの本学の国際的な取り組みについての質問が寄せられ、佐藤法仁研究担当学長特命・URAから、本学インド拠点であるインド感染症共同研究センター(CRCOUI)のコレラ、赤痢といった下痢症の制圧プロジェクトの取り組みや本会と同様な感染症制圧に関する研究交流会などを精力的に行っていることを紹介。卒業生らとともに、本学やわが国研究機関と本学卒業生が在籍する大学や病院、研究機関との有機的な国際共同研究・教育の強化促進について議論を重ねました。
岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。この高い研究力と今回の会で得られた叡智をもとに、より良い国際社会の実現を目指して、今後も精力的に活動していきます。
なお、本ワークショップは本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授)を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みとして実施されました。
<これまでのグローバル・フューチャーセッション(過去3回)>
第9回グローバル・フューチャーセッションin日本 (テーマは「テラヘルツ波」 2015.01.08)
第10回グローバル・フューチャーセッションinカナダ (テーマは「光技術」 2015.10.13)
第11回グローバル・フューチャーセッションinインド (テーマは「感染症」 2015.12.21)
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