理化学研究所と東京大学、愛知県がんセンター、岡山大学、国立がん研究センター、佐々木研究所附属杏雲堂病院の共同研究成果プレスリリースです
◆概 要
理化学研究所(理研)生命医科学研究センター基盤技術開発研究チームの碓井喜明特別研究員、桃沢幸秀チームリーダー、東京大学医科学研究所人癌病因遺伝子分野の村上善則教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻クリニカルシークエンス分野の松田浩一教授、愛知県がんセンターがん予防研究分野の松尾恵太郎分野長、岡山大学病院長(大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科学分野)の前田嘉信教授、国立がん研究センター中央病院遺伝子診療部門の吉田輝彦部門長、佐々木研究所附属杏雲堂病院遺伝子診療科の菅野康吉科長らの共同研究グループは、日本の2,000人以上の悪性リンパ腫患者群と非がん対照群を用いた世界最大規模の症例対照研究を行い、悪性リンパ腫の中に単一遺伝子疾患型が存在する可能性を明らかにしました。
本研究成果は、日本の悪性リンパ腫患者それぞれに適した診療を行う個別化ゲノム医療に貢献すると期待できます。
過去の研究から、悪性リンパ腫の一部の発症原因は遺伝的要因であると示唆されてきました。しかし、これまで悪性リンパ腫の大規模なゲノム解析データは少なく、遺伝的要因が原因とされる悪性リンパ腫の分類は確立されていません。
今回、共同研究グループは、理研で独自に開発したゲノム解析手法を用いて、バイオバンク・ジャパンにより収集された悪性リンパ腫患者群2,066人のDNAを解析しました。非がん対照群38,153人のデータも併せて、27個の遺伝性腫瘍に関連する遺伝子を評価した結果、309個の病的バリアントを同定しました。そして評価した遺伝子のうち、BRCA1、BRCA2、ATM、TP53の病的バリアントが悪性リンパ腫の発症リスクに関連することが分かりました。特に、悪性リンパ腫の病理組織型の一つであるマントル細胞リンパ腫の発症リスクに病的バリアントの影響が大きい可能性が示されました。
本研究は、科学雑誌『Cancer Science』オンライン版(日本時間2022年9月6日)に掲載されました。
図1 病的バリアントが各病理組織型に対する発症リスク
4個の遺伝子(BRCA1、BRCA2、ATM、TP53)の病的バリアントの各病理組織型に対しての疾患リスク(オッズ比)とその95%信頼区間を示す。オッズ比は悪性リンパ腫患者群と対照群間の病的バリアント保持者の割合を比較し、年齢と性別の違いを調整して算出した。悪性リンパ腫の病理組織型の一つである、マントル細胞リンパ腫への病的バリアントの影響がオッズ比21.57と特に強かった。
◆論文情報
<タイトル>
Association between germline pathogenic variants in cancer-predisposing genes and lymphoma risk
<著者名>
Yoshiaki Usui, Yusuke Iwasaki, Keitaro Matsuo, Mikiko Endo, Yoichiro Kamatani, Makoto Hirata, Kokichi Sugano, Teruhiko Yoshida, Koichi Matsuda, Yoshinori Murakami, Yoshinobu Maeda, Hidewaki Nakagawa, Yukihide Momozawa
<雑誌>
Cancer Science
<DOI>
10.1111/cas.15522
<URL>
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/cas.15522
◆共同研究グループ
理化学研究所 生命医科学研究センター 基盤技術開発研究チーム
チームリーダー 桃沢幸秀 (モモザワ・ユキヒデ)
特別研究員 碓井喜明 (ウスイ・ヨシアキ)
(岡山大学医学部血液・腫瘍・呼吸器内科学分野 客員研究員、愛知県がんセンター研究所 がん情報・対策研究分野 任意研修生)
上級テクニカルスタッフ 岩崎雄介 (イワサキ・ユウスケ)
テクニカルスタッフ 遠藤ミキ子(エンドウ・ミキコ)
がんゲノム研究チーム
チームリーダー 中川英刀 (ナカガワ・ヒデワキ)
東京大学医科学研究所 人癌病因遺伝子分野
教授 村上善則 (ムラカミ・ヨシノリ)
東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 クリニカルシークエンス分野
教授 松田浩一 (マツダ・コウイチ)
複雑形質ゲノム解析分野
教授 鎌谷洋一郎(カマタニ・ヨウイチロウ)
愛知県がんセンター がん予防研究分野
分野長 松尾恵太郎(マツオ・ケイタロウ)
岡山大学病院長(大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科学分野)
教授 前田嘉信 (マエダ・ヨシノブ)
国立がん研究センター中央病院 遺伝子診療部門
部門長 吉田輝彦 (ヨシダ・テルヒコ)
医長 平田 真 (ヒラタ・マコト)
(東京大学医科学研究所 人癌病因遺伝子分野 非常勤講師)
佐々木研究所附属杏雲堂病院 遺伝子診療科
科長 菅野康吉 (スガノ・コウキチ)
(国立がん研究センター中央病院 遺伝子診療部門 非常勤医員)
◆研究支援
本研究は、日本医療研究開発機構(AMED)ゲノム創薬基盤推進研究事業「乳がん・大腸がん・膵がんに対する適切な薬剤投与を可能にする大規模データ基盤の構築(研究開発代表者:桃沢幸秀)」による支援を受けて行われました。
◆詳しい研究内容について
悪性リンパ腫の大規模ゲノム解析-単一遺伝子疾患型が存在する可能性-
http://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20220906-1.pdf
◆本件お問い合わせ先
<発表者> ※研究内容については発表者にお問い合わせください
理化学研究所 生命医科学研究センター 基盤技術開発研究チーム
特別研究員 碓井喜明 (ウスイ・ヨシアキ)
チームリーダー 桃沢幸秀 (モモザワ・ユキヒデ)
東京大学医科学研究所 人癌病因遺伝子分野
教授 村上善則 (ムラカミ・ヨシノリ)
東京大学大学院新領域創成科学研究科 メディカル情報生命専攻 クリニカルシークエンス分野
教授 松田浩一 (マツダ・コウイチ)
愛知県がんセンター がん予防研究分野
分野長 松尾恵太郎(マツオ・ケイタロウ)
岡山大学病院長(大学院医歯薬学総合研究科血液・腫瘍・呼吸器内科学分野)
教授 前田嘉信 (マエダ・ヨシノブ)
国立がん研究センター中央病院 遺伝子診療部門
部門長 吉田輝彦 (ヨシダ・テルヒコ)
佐々木研究所附属杏雲堂病院 遺伝子診療科
科長 菅野康吉 (スガノ・コウキチ)
<機関窓口>
理化学研究所 広報室 報道担当
E-mail:ex-press[at]ml.riken.jp
東京大学医科学研究所 国際学術連携室(広報)
E-mail:koho[at]ims.u-tokyo.ac.jp
東京大学大学院新領域創成科学研究科 広報室
E-mail:press[at]k.u-tokyo.ac.jp
愛知県がんセンター 運用部経営戦略課企画・経営グループ
TEL:052-762-6111(代表)
E-mail:tmushika[at]aichi-cc.jp
岡山大学 総務・企画部 広報課
E-mail:www-adm[at]adm.okayama-u.ac.jp
国立研究開発法人国立がん研究センター 企画戦略局 広報企画室
E-mail:ncc-admin[at]ncc.go.jp
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2022年9月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000846.000072793.html
岡山大学『THEインパクトランキング2021』総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
0 件のコメント:
コメントを投稿