<発表のポイント>
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ペロブスカイト太陽電池の性能と耐環境性を向上する添加剤“ベンゾフェノン(BP)”を発見しました。
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BPを添加したペロブスカイト太陽電池において、室温・湿度30%の環境で700時間経過後も90%の性能を保持する高い安定性を実現しました。対照的に、BPを添加しなかった場合、電力変換効率(PCE)は急速な劣化を示し、同じ条件下で300時間以内に初期値の30%しか維持できませんでした。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学大学院環境生命自然科学研究科のHytham Elbohy外国人客員研究員(日本学術振興会 外国人特別研究員、Damietta University(エジプト)助教)、学術研究院環境生命自然科学学域(工)の鈴木弘朗助教、西川亘助教、林靖彦教授らは、Southern University of Science and Technology(中国)のAung Ko Ko Kyaw准教授と共同で、次世代太陽電池として期待されているペロブスカイト太陽電池の性能と安定性を向上する添加剤分子として“ベンゾフェノン”を発見しました。
今回の研究成果は、2023年9月12日に米国化学会(American Chemical Society)発行の学術雑誌「ACS applied materials & interfaces」に掲載され、2023年12月26日に岡山大学ホームページで公開されました。
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン太陽電池に比べて、作製工程が容易で、フィルム状の柔軟な太陽用電池が作製でき、発電効率が同程度であることから、安価で様々な場所に活用できる太陽電池として期待されています。しかし、ペロブスカイト材料の環境安定性が低いことが大きな課題でした。
今回の研究では、ベンゾフェノンという分子を添加剤として用いることで、ペロブスカイト太陽電池の性能と安定性を向上することに成功しました。高性能・高安定性のペロブスカイト太陽電池は、今後エネルギーハーベスティングやInternet of Everything(IoE)の発展に大きく寄与します。
図1. (a) ペロブスカイト太陽電池の模式図。(b,c) 添加材(b)ありと(c)なしの場合のペロブスカイト太陽電池の出力特性。(d) 電力変換効率(PCE)の劣化特性
図2. (a,b) 添加材(a)ありと(b)なしの場合のペロブスカイト薄膜表面のSEM像。(c) α相およびδ相のFAPbI3の結晶構造の模式図。(d) 添加剤BPがペロブスカイト結晶に及ぼす影響の模式図
◆研究者らからのひとこと
この研究は、高い性能と安定性を兼ね備えたペロブスカイト太陽電池の実現につながるもので、クリーンエネルギー技術の発展に寄与します。再生可能エネルギー技術に革新をもたらし、持続可能な社会の実現を目指していきたいです。(Elbohy)
分子の添加という簡易な手法により、ペロブスカイトの高い安定性を実現できることは驚くべき発見です。この研究によりペロブスカイト太陽電池の社会実装が進むことを期待しています。(鈴木)
◆論文情報
論 文 名:Benzophenone: A Small Molecule Additive for Enhanced Performance and Stability of Inverted Perovskite Solar Cells
掲 載 紙:ACS Applied Materials and Interfaces
著
者:Hytham Elbohy, Hiroo Suzuki, Takeshi Nishikawa, Thiri Htun, Kosei
Tsutsumi, Chiyu Nakano, Aung Ko Ko Kyaw, and Yasuhiko Hayashi
D O I:10.1021/acsami.3c09835
U R L:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.3c09835
◆研究資金
本研究は、日本学術振興会外国人特別研究員(FY2021 JSPS Postdoctoral Fellowship)の支援を受けて実施しました。
◆詳しいプレスリリースについて
次世代太陽電池・ペロブスカイト太陽電池の欠点を補完する画期的な添加材“ベンゾフェノン”を発見!~性能と耐環境性の向上により、再生可能エネルギーの発展に貢献~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20231226-1.pdf
◆参 考
・岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域(工)ナノデバイス・材料物性学研究室
https://hayashi-lab.org/
・岡山大学大学院 環境生命自然科学研究科
https://www.elst.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学 工学部
https://www.engr.okayama-u.ac.jp/
◆参考情報
・【岡山大学】ヤーヌス構造をもつ二次元半導体の生成と生成過程の解析に成功 ~二次元半導体の新しいデバイス応用展開に期待~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001426.000072793.html
・【岡山大学】原子層半導体の一次元構造化に成功 ~次世代ナノスケール光電子デバイスへの応用に期待~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001417.000072793.html
・【岡山大学】閉じ込め空間を利用した原子レベルに薄い半導体の大面積・高品質合成に成功~次世代フレキシブル光電子デバイスの実現に期待~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000764.000072793.html
・【岡山大学】メモリスティブな振る舞いを持つ新規材料を発見 ~人間と同様の思考を持つコンピュータの実現に向けて~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000224.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 環境生命自然科学学域
助教 鈴木弘朗
教授 林 靖彦
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 工学部3号館
TEL:086-251-8133
FAX:086-251-8133
https://hayashi-lab.org/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
「岡大TV」(YouTube):https://www.youtube.com/channel/UCi4hPHf_jZ1FXqJfsacUqaw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2023年12月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001849.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001930.000072793.html
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