2019年2月6日水曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.62 発行 「3D tissue model offers insights into treating pancreatic cancer」

岡山大学は1月31日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果を英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.62を発行しました。

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院ヘルスシステム統合科学研究科の狩野光伸教授と大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)の田中啓祥助教らの膵がんの線維化組織を試験管内で再現することに成功した研究成果について紹介しています。
 

狩野教授と田中助教らは、東北大学、慶応義塾大学、大阪大学、弘前大学、日本女子大学との共同研究において、膵がんの特徴である線維化を、独自の三次元培養技術により試験管内で再現し、線維化において注目されるコラーゲンやフィブロネクチンなどの線維の異常構築のメカニズムを明らかにしました。
 

膵がんは予後不良で、抗がん剤では大変治りにくいがんの一つです。その原因に、がん組織の線維化があります。近年、コラーゲンやフィブロネクチンなど、線維化で多量に産生され組織中に蓄積する線維成分の異常な構築が、膵がんに薬剤治療が効きにくい原因となることが明らかになってきました。しかし、こうした異常な構築がどのように起こるかは分かっていませんでした。

今回の研究では、実際の膵がん患者の線維化組織の解析に基づき、膵がん患者由来の細胞を三次元的に培養し、試験管内で線維化組織を簡便に再構成することに成功しました。今後、本研究を基盤に、線維化のメカニズム解析を推進することで、膵がんの新たな治療戦略の開発への貢献が期待されます。
 

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある医療分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.62:
3D tissue model offers insights into treating pancreatic cancer


<Back Issues:Vol.54~Vol.61>
Vol.54:
Measuring ion concentration in solutions for clinical and environmental research (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.55:
Diabetic kidney disease: new biomarkers improve the prediction of the renal prognosis (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 和田淳教授、三瀬広記医員)
Vol.56:
New device for assisting accurate hemodialysis catheter placement (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 大原利章助教)
Vol.57:
Possible link between excess chewing muscle activity and dental disease (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)皆木省吾教授、加藤聖也医員)
Vol.58:
Insights Into Mechanisms Governing the Resistance to the Anti-Cancer Medication Cetuximab (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)
Vol.59:
Role of commensal flora in periodontal immune response investigated (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、福原大樹医員)
Vol.60:
Role of commensal microbiota in bone remodeling (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、内田瑶子歯科医師)
Vol.61:
Mechanical stress affects normal bone development (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)池亀美華准教授)


 <参考>
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8309.html


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