2022年8月25日木曜日

【情報発信】地域の特性に応じた自殺対策の推進へ 政策単位間での自殺の地域差を可視化

九州大学、千葉大学、国立長寿医療研究センター、浜松医科大学、東京理科大学、芝浦工業大学、宮崎大学、岡山大学の共同研究成果プレスリリースです

 



<発表のポイント>
  1. 自殺対策の基礎資料となる自殺の地域格差を可視化した。
  2. 2009〜2018年の自殺統計資料から自殺の割合の高低を数値化し、政策単位(市町村、二次医療圏、都道府県)間の見え方の違いを検証し、都道府県単位のみで評価すると見落としかねない自殺の多い/少ない地域を明らかにした
  3. 都道府県・市町村が相互連携した自殺対策計画策定への活用が期待される。


◆概 要
 2016年4月の自殺対策基本法の改正により、すべての都道府県と市町村に自殺対策計画の策定が義務付けられました。計画策定のガイドラインには、市町村と都道府県の連携の必要性が明記されています。

 香田(九州大学)、近藤(千葉大学、国立長寿医療研究センター)、髙橋(国立長寿医療研究センター)、尾島(浜松医科大学)、篠崎(東京理科大学)、市川(芝浦工業大学)、原田(岡山大学)、石田(宮崎大学)の研究グループは、その自殺対策計画の基礎資料となる自殺の地域格差を可視化しました。

 一般に市町村で自殺死亡の高低を評価する際には、自殺死亡率や標準化死亡比(standardized mortality ratio: SMR)という指標が用いられますが、人口規模の小さい地域では変動が大きくなることが知られています。本研究では、階層ベイズモデルという手法で、2009〜2018年の自殺統計資料から人口の影響を小さくしたSMRを算出しました。政策単位(市町村、二次医療圏、都道府県)間の見え方の違いを検証し、都道府県単位のみで評価すると見落としかねない自殺の多い/少ない地域を明らかにしました

 本研究結果をもとに、それぞれの地域で自殺のリスク要因や保護要因を比較・分析するきっかけになることや、市町村は地域の特性に応じた自殺対策を推進し、都道府県は地域格差を把握し二次医療圏など市町村の圏域を越えた地域との連携協力を発展する役割を果たすことが期待されます。

 本研究成果はアメリカ合衆国の雑誌「PLOS Global Public Health」に2022年8月16日(火)(日本時間午前4時)に掲載されました。
 

 

 



◆謝 辞
 本研究はJSPS科研費(JP19K19462)、革新的自殺研究推進プログラム(R1: 1-4, H30: 3-2 and H29: 3-2)の助成を受けたものです。


◆論文情報
 掲 載 誌:PLOS Global Public Health
 タイトル:Spatial statistical analysis of regional disparities in suicide among policy units in Japan: Using the Bayesian hierarchical model
 著 者 名:Masahide Koda*, Katsunori Kondo, Satoru Takahashi, Toshiyuki Ojima, Tomohiro Shinozaki, Manabu Ichikawa, Nahoko Harada, Yasushi Ishida
 D  O  I:10.1371/journal.pgph.0000271
 U  R  L:https://journals.plos.org/globalpublichealth/article?id=10.1371/journal.pgph.0000271

◆発表者
 香田 将英(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター 健康科学部門 講師)
 近藤 克則(千葉大学 予防医学センター 教授/国立長寿医療研究センター 老年学評価研究部長)
 高橋 聡 (国立長寿医療研究センター 外来研究員)
 尾島 俊之(浜松医科大学 医学部 医学科 健康社会医学講座 教授)
 篠崎 智大(東京理科大学 工学部 情報工学科 講師)
 市川 学 (芝浦工業大学 システム理工学部 環境システム学科 准教授/社会システム科学研究センター センター長)
 原田 奈穂子(岡山大学 学術研究院ヘルスシステム統合科学学域 教授)
 石田 康 (宮崎大学 医学部 臨床神経科学講座 精神医学分野 教授)


◆詳しいプレスリリースについて
 地域の特性に応じた自殺対策の推進へ 政策単位間での自殺の地域差を可視化
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20220818-1.pdf
 



◆本件お問い合わせ先
<研究に関して>
 九州大学キャンパスライフ・健康支援センター 健康科学部門 講師 香田将英

<報道に関すること>
 九州大学広報室
 TEL:092-802-2130
 FAX:092-802-2139

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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000828.000072793.html

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