2016年6月16日木曜日

【情報発信】国際基準の大学評価の在り方を考える~平成28年度第1回大学研究力強化ネットワーク・カンファレンスを開催~

文部科学省の「研究大学強化促進事業」に選定された機関のうち、自然科学研究機構(NINS)や本学などでつくる「大学研究力強化ネットワーク」が6月2日、筑波大学東京キャンパス文京校舎(東京都文京区)で、平成28年度第1回大学研究力強化ネットワーク・カンファレンス「国際基準の大学評価の在り方を考える」を開催しました。

今回のカンファレンスは、現在、世界的な大学改革の波が押し寄せている中で、海外における大学評価の在り方を学ぶことで、日本での大学評価の在り方について考えるものです。主催者であるNINSの小泉周特任教授の開催挨拶に続き、同ネットワークで大学・ランキング指標タスクフォース座長を務める本学の山本進一理事・副学長(研究担当)が「大学評価の今」と題して講演。さまざまな報道などで大きく取り上げられる世界大学ランキング指標の問題点に触れ、日本の大学が持つ独自性や多様性を失うことにもなりかねないとの危惧を表しつつ、定量的・定性的な両面を組み合わせた大学評価が必要であると述べました。

独立行政法人大学改革支援・学位授与機構研究開発部の林隆之教授は、「国立大学法人評価における研究評価-多様な研究活動の評価と根拠指標の設定」と題して講演。研究の水準に関する2つの分析項目のうち、特に「研究成果の状況」を取り上げ、その水準判定について言及。卓越した研究業績を示す根拠データを具体的に示すことの必要性、特に社会・経済・文化的に貢献できる根拠データの明示を強調しました。

エルゼビア社SciVal(サイバル)のモハメッド・アイサティ(M'hamed Aisati)コンテンツ分析ディレクターは、「大学評価:意味のある評価指標に向けての挑戦と機会(Measuring university performance: challenges and opportunities towards a meaningful assessment framework)」と題して講演。英国高等教育財政審議会(Higher Education Funding Council for England:HEFCE)の「研究における卓越性の枠組み2014(Research Excellence Framework:REF 2014)」など、世界的に評価機関が増加傾向にあることや大学ランキングが重要視されていることについて言及。一方で、現状の課題である評価基準のばらつき、社会にもたらすインパクトを計る困難さを指摘しました。このような課題に対処し、公平な評価をするための「共通言語」として、大学など高等教育・研究機関に必要と思われる主要な共通評価指標を定義した「スノーボールメトリックス(Snowball Metrics)」の取り組みも紹介されました。

参加した行政機関、各大学、研究機関、リサーチ・アドミニストレーター(URA)、研究推進担当の事務職員ら約40人は、海外における大学評価の在り方を学び、現状の課題である評価指標の透明性・公平性について、今後も行政機関、大学、研究機関などが協力していく必要性を認識しました。

岡山大学は同ネットワークの運営委員として参画。同ネットワークを構成するタスクフォース(プロジェクトのためのチーム)のひとつ「大学ランキング指標に関するタスクフォース」の幹事機関も務めています。日本の研究力強化の促進のため、各機関と密に連携しながら国内外に向けて効果的な研究大学運営の在り方についての提言を発信していきます。

大学研究力強化ネットワーク*
文部科学省「研究大学強化促進事業」に採択された22機関を中心として、大学の研究力強化を強く推進する機関に呼びかけ、賛同を得られた機関で構成(窓口:NINS)。各大学の個性・特徴を尊重しつつ、研究者-URA-事務担当者の三者の緊密な連携の下、大学・研究機関の枠を超えて、大学の研究力強化および支援機能の拡大を図る方策に関する議論と情報交換を行う。「共同して行うべきところは共同して行う」という発想の下、相互の連携の推進を図り、また、必要な施策について行政等に働きかけるなど、個々の大学の研究力強化に資する活動を行っている。
大学研究力強化ネットワークホームページ:
http://www.runetwork.jp/

【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室
TEL:086-251-8919

 

「大学評価の今」と題して講演する本学の山本理事・副学長
 

2016年6月15日水曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.25 発行

岡山大学は6月8日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」をVol.25を発行しました。
2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。国際科学雑誌「Science」を扱うAAAS(米国科学振興協会)のメーリングリストを利用し、世界の研究者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行。
 

本号では、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)公衆衛生学分野の江口依里助教、舟久保徳美大学院生、荻野景規教授らが報告した、アロマフットマッサージが血圧値改善や不安軽減に効果について紹介しています。
江口助教らの研究グループは、自身で実施するアロマフットマッサージが血圧値改善、不安の軽減、精神的健康の向上傾向に効果があることを世界で初めて明らかにしました。本研究は、クロスオーバー無作為化比較試験の手法にて、アロママッサージの血圧、不安、精神的健康への効果が同時に認められたのは初めてであり、他の生活習慣改善に比べて比較的実施しやすく、補完代替的な健康改善の手段として期待されます。
岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術としてより早く届けられるように研究を推進していきます。
なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.25:
Self-administered aroma foot massage may reduce symptoms of anxiety

<Back Issues:Vol.16~Vol.24>
Vol.16:
Epigenetics research traces how crickets restore lost legs  (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)板東哲哉助教)
Vol.17:
Cell research shows pathway for suppressing hepatitis B virus (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)加藤宣之教授)
Vol.18:
Therapeutic protein targets liver disease (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)和田淳教授)
Vol.19:
Study links signalling protein to osteoarthritis (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)
Vol.20:
Lack of enzyme promotes fatty liver disease in thin patients (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)和田淳教授、中司敦子助教)
Vol.21:
Combined gene transduction and light therapy targets gastric cancer (大学病院香川俊輔准教授、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)石田道拡医師)
Vol.22:
Medical supportive device for hemodialysis catheter puncture Combined gene transduction and light therapy targets gastric cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)大原利章助教)
Vol.23:
Development of low cost oral inactivated vaccines for dysentery (大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)三好伸一教授)
Vol.24:
Sticky molecules to tackle obesity and diabetes (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)和田淳教授、村上和敏医師)


<参考>
Okayama University e-Bulletin
//www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/

【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
 


2016年6月10日金曜日

【情報発信】心不全の進行を抑制する分子を特定

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)の片野坂友紀助教、川崎医科大学の氏原嘉洋助教、毛利聡教授らの研究グループが、心不全の発症・重篤化の過程でNa+/Ca2+ 交換体 (NCX1) の活性が著しく低下していることを発見。低下したNCX1活性を回復させることで、心不全の進行を抑制できることを、遺伝子改変マウスを用いた実験により明らかにしました。
 
本研究成果は5月26日、ヨーロッパ心臓病学会誌「Cardiovascular Research」に公開されました。
 
今後、細胞外へのCa2+排出系として働くNCX1の活性低下を防ぐ薬剤の開発により、心不全の治療への応用が期待されます。
 
 


心不全の進行を抑制する分子を特定

 <論文情報>
タイトル:Induced NCX1 overexpression attenuates pressure overload-induced pathological cardiac remodeling.著  者:Yoshihiro Ujihara, Keiichiro Iwasaki, Satomi Takatsu, Ken Hashimoto, Keiji Naruse, Satoshi Mohri, Yuki Katanosaka.掲 載 誌:Cardiovascular ResearchD O I:10.1093/cvr/cvw113
発表論文はこちらからご確認いただけます。


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)
助教 片野坂 友紀
(電話番号)086-235-7117
(FAX番号)086-235-7430


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id399.html

2016年6月3日金曜日

【情報発信】メスの目移りを防ぐオスメダカ 〜恋敵に奪われないための二重の戦略〜

異性を手に入れるために努力し、同性で競い合う、というのは人間の世界だけでなく広く動物界で観察される現象ですが、その行動の意義や行動発現のメカニズムに関しては、観察を越える実験的評価が難しいことなどから、まだ十分に明らかになっていません。
 
今回、基礎生物学研究所の横井佐織博士、岡山大学大学院自然科学研究科の竹内秀明准教授らの研究グループは、メダカの三角関係(オス、オス、メス)において、オスは配偶者防衛行動(ライバルオスとメスとの間の位置をキープし、両者の接近を防ぐ)により、メスがライバルオスを記憶することを妨害することを発見しました。これまで配偶者防衛行動の生態的意義として、ライバルオスとメスとの直接的な接触を防ぎ、配偶行動を妨害するという点が注目されてきましたが、それに加え、メダカの三角関係では「ライバルオスを記憶できないようにすることで、自らが配偶相手として選ばれる確率を上昇させる」という意義も存在することが実験的に示されました。
 
本研究は雌雄間の記憶を介した絆形成の過程を生態学、行動学、神経科学等の多くの側面から明らかにするモデル系になると期待されます。本研究成果は動物学専門誌「Frontiers in Zoology」に2016年6月2日付けで掲載されました。
 
 

メス(右)とライバルオス(左)の間の位置をキープするために割り込むオス(中央)

メスの目移りを防ぐオスメダカ 〜恋敵に奪われないための二重の戦略〜

 
【発表雑誌】
雑誌名:「Frontiers in Zoology

論文タイトル:”Mate-guarding behavior enhances male reproductive success via familiarization with mating partners in medaka fish”著者:Saori Yokoi*, Satoshi Ansai, Masato Kinoshita, Kiyoshi Naruse, Yasuhiro Kamei, Larry J. Young, Teruhiro Okuyama, Hideaki Takeuchi*

発表論文はこちらからご確認いただけます


【研究サポート】
本研究は、科学研究費補助事業(26290003, 26115508)・日本学術振興会特別研究員奨励費(15J06688, 13J01682)・ブレインサイエンス財団・山田科学振興財団、および基礎生物学研究所共同利用研究(15-331, 15-702)のサポートを受けて実施されました。

【問い合わせ先】
岡山大学大学院自然科学研究科 分子行動学研究室  
准教授 竹内秀明
TEL: 086-251-7860

【報道担当】
岡山大学 広報・情報戦略室
TEL: 086-251-7293
FAX: 086-251-7294


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id398.html

2016年6月1日水曜日

【情報発信】アジア最大のバイオ展「ライフサイエンス ワールド 2016」に出展

岡山大学は5月11~13日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されたアジア最大のバイオ展/国際会議「ライフサイエンス ワールド 2016(第13回アカデミックフォーラム)」に出展し、医療、創薬、生命医用工学など、8件の最先端研究成果を展示・発表しました。

本学大学院環境生命科学研究科の森田英利教授は、「ヒトマイクロバイオームによる俯瞰的ヒト健康評価法」と題して、現在取り組んでいるトップアスリートの腸内細菌叢の解析内容を紹介。糞便と唾液は非侵襲的かつ自宅でも採取できることから、自身での健康チェックに貢献できる可能性について発表しました。

本学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)の大原利章助教は、自然科学研究科の妹尾昌治教授らによって研究・開発された「iPS細胞から誘導したがん幹細胞モデル」を使い、腫瘍の幹細胞化を可能にした新規腫瘍モデルと鉄コントロールによる新しいがん幹細胞治療法の開発について発表しました。

同研究科(医学系)の森田瑞樹准教授は、昨年4月、新しい医療技術や治療薬などの研究開発を推進するための研究基盤として、岡山大学病院に設立された日本人のヒト生体試料を提供する「岡山大学病院バイオバンク」の役割や事業内容について紹介しました。
会場内のパートナリング商談ルームでは、各研究やバイオバンクに興味を持った製薬企業や医療・医薬関係団体と、技術移転や共同研究の実施に向けて精力的に意見交換を行いました。
岡山大学研究推進産学官連携機構は、研究成果の普及やさらなる進展、企業への技術移転の促進を図るため、今後も展示会への出展を積極的に支援します。

【本件問い合わせ先】
研究推進産学官連携機構 産学官連携本部
TEL:086-251-7112