岡山大学大学院教育学研究科の寺澤孝文教授が、一般社団法人e-Learning Initiative Japanが主催する「eラーニングアワード2019フォーラム」において文部科学大臣賞を受賞することが10月17日、同法人より発表されました。
同法人は、eラーニングに関する学術および技術の振興をはかることにより、eラーニングの発展に寄与することを目的とした法人です。毎年、eラーニングを活用した人材教育、組織戦略の現状と未来を語り合う専門フォーラムを東京で開催しており、その中で当該分野において活躍する第一人者の表彰制度を設けています。今回、寺澤教授は「高精度教育ビッグデータによる学力測定精度の飛躍的向上」という題目のもと、受賞が決定しました。
寺澤教授はこれまでの長年の研究に基づき、「マイクロステップ・スケジューリング法」という新しい技術を開発しました。これは収集した大量の学習データ(高精度教育ビッグデータ)を分析することで、これまで意識できなかったわずかな学習の効果の積み重ねを個人ごとに可視化し、学習者の実力の変動を正確に推定することを可能にするものです。これにより、実力レベルで習得されたと判定される問題を学習から外すことで、実効性を持つテーラーメイドの個別学習が提供できるようになりました。現在は産学官民とともに教育現場でのさらなる実装化を進めています。
また、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が進める科学技術イノベーションを実現するためのプログラム「戦略的イノベーション創造プログラム」(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program;SIP)の第2期の課題のひとつである「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))においても「高精度教育ビッグデータをベースとした教育支援の公教育への導入推進」(実施期間:2018~2022年度)として研究開発と社会実装を進めています。
今回の文部科学大臣賞の受賞決定を受けて寺澤教授は、「常識を覆す基礎研究から始まった研究を20年以上かけて新しい教育サービスにまでつなげられた結果が評価されたことは、素直にうれしいです。岡山大学がEd-Tech(教育とテクノロジーの融合)の最先端を走っていることやSIPに採択されたことがあってのことで、恵まれた環境と研究開発のサポートに深謝します。わが国の教育産業に貢献する他、意欲を失っている子どもや学生たちに一日も早く役立てるように今後も活動を推進したいと思います」とコメント。今後の研究開発と教育や産業界における新たな価値提供に意欲を見せました。
なお今回の大賞表彰式と受賞講演は、11月13日に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(千代田区神田駿河台)にて開催されます。
<参考>
eラーニングアワード2019フォーラム(2019年11月13日~15日):Webサイトはこちら
【本件問い合わせ先】
大学院教育学研究科 教授 寺澤孝文
TEL:086-251-7714
https://edu.okayama-u.ac.jp/~shinri/terasawa/index.html
- 口に関わる生活の質(Quality of Life; QOL)が高いことは、口の中のトラブルのせいで「話しにくい」「食べにくい」といったことがない状態を意味します。
- 大学入学時に自分の口が健康であると自覚のある大学生は、3年後においても口に関わるQOLが高いことが明らかになりました。
- さらに、むし歯の治療経験が少ない、歯並びがよい、口内炎ができにくいことが、自分の口の中が健康であると自覚するための要因であることも明らかになりました。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の佐保輝医員・森田学教授、同大学保健管理センターの岩﨑良章教授らの共同研究グループは、大学入学時に自分の口が健康であると自覚していることが、3年後の口に関わる生活の質(QOL)の高さを予測する指標となることを世界で初めて明らかにしました。
また、「むし歯の治療経験」、「歯並び」、「口内炎のできやすさ」は「自分の口が健康であると自覚していること」と関連していました。この研究成果は7月29日、オランダの学術雑誌「Quality of life research」に掲載されました。
むし歯や口内炎を予防すること、歯並びをよくすることで口に関わるQOLを高く保ち、健康で充実した大学生生活を送るとともに、その後の将来のQOLを高めることが期待されます。
◆研究者からのひとこと
大学生は食生活などのライフスタイルの変化に伴い、口の状態が変化しやすい時期です。自分の口の状態を把握するために、まずは歯科健診に足を運んでみましょう♪ | 佐保医員 |
■論文情報
論 文 名:Structural equation modeling to detect predictors of oral health-related quality of life among Japanese university students: a prospective cohort study.掲 載 紙:Quality of life research : an international journal of quality of life aspects of treatment, care and rehabilitation.著 者:Saho H, Ekuni D, Kataoka K, Taniguchi-Tabata A, Toyama N, Sugiura Y, Islam MM,Iwasaki Y, Morita M.D O I:10.1007/s11136-019-02251-4.
<詳しい研究内容について>
自分の口が健康だと自覚のある大学生は「話す」「食べる」などの口に関わる生活の質が高いことを、3年の追跡調査で明らかに
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX)086-235-6714