<発表のポイント>
-
食道がんの手術後は、口腔機能が低下して誤嚥などが起こりやすく、安全かつ有効な予防方法が切望されていました。
-
ガムを噛むトレーニングによって、食道がん術後の合併症を予防する可能性が示されました。
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)岡山大学病院歯科・予防歯科部門の山中玲子助教、同大学術研究院医歯薬学域(歯)予防歯科学の江國大輔教授らのグループと、消化管外科・野間和広講師らのグループ、集中治療部・清水一好講師、新医療研究開発センター・三橋利晴助教を含む研究グループは、手術前後の「ガム咀嚼トレーニング」が、食道がん術後の口腔機能低下や、発熱などの術後合併症予防に有用であることを世界で初めて確認しました。
これらの研究成果は2024年10月12日、イギリスの総合科学雑誌「Scientific Reports」、コレクション「全身と口腔の健康」のResearch Articleとして掲載されました。
これまで、歯科医師や歯科衛生士が行う専門的な口腔清掃を主体とする手術前の口腔管理が、術後の感染予防などに有用であることが確認されてきました。今回、専門的な口腔清掃に加えて、患者さん自ら、楽しく、簡単に、安価に実践できる「ガム咀嚼トレーニング」が、口腔機能を向上させ、術後の合併症を予防する可能性が示されたことは画期的です。
特に誤嚥リスクの高い、食道がん術後患者さんにおいて、安全性と有効性が確認されたことから、オーラルフレイル)に悩む数多くのみなさまにとって、役に立つ可能性があります。
本件は、2024年11月27日に開催された「岡山大学2024年11月定例記者会見」において公開されました。
◆山中玲子助教からのひとこと
患者さんはもちろんのこと、歯科、外科、麻酔科、統計、看護などのさまざまな専門家のご協力により安全に成し遂げることができました。COVID-19パンデミックの最中に行った研究であり、検診や病院の受診控えにより食道がんが重症化して手術を受けた患者さんが多かったのですが、その中で安全性や有効性を確認できたことは、この研究の意義をさらに大きくしています。
今回、ガムを噛んでもらうだけではなく、専門的な口腔衛生処置やガムを使用した舌のストレッチも行っています。きれいで噛めるお口の状態で、舌のストレッチも実施することが、より高い効果が得られるポイントと考えられます。おいしく、味持ちがよく、噛み心地のよいガムで実施できたのが、楽しく継続できたポイントかもしれません。ICUの看護師さんからは、何も食べることができない術後の絶食期間中に味のあるものを少しでも口にできたのは、心理的にもよかったのかも、というお話がありました。患者さんからは、手術に対して不安がある中、ガムを噛んでいるときは不安が和らいでよかったとの感想もありました。
◆論文情報
論
文 名:Perioperative gum-chewing training prevents a decrease in tongue
pressure after esophagectomy in thoracic esophageal cancer patients: a
nonrandomized trial
掲 載 紙:Scientific Reports
著
者:Reiko Yamanaka-Kohno, Yasuhiro Shirakawa, Aya Yokoi, Naoaki Maeda,
Shunsuke Tanabe, Kazuhiro Noma, Kazuyoshi Shimizu, Toshiharu Mituhashi,
Yoshihide Nakamura, Souto Nanba, Yurika Uchida, Takayuki Maruyama,
Manabu Morita, Daisuke Ekuni
D O I:https://doi.org/10.1038/s41598-024-74090-4
U R L:https://www.nature.com/articles/s41598-024-74090-4
◆研究資金
本研究は、独立行政法人日本学術振興会(JSPS)「科学研究費助成事業」(基盤研究(C)・19K10444、研究代表:山中玲子)、公益財団法人8020研究財団「令和4年度8020公募研究事業」(22-3-11、研究代表:山中玲子)の支援を受けて実施しました。
また、本論文のオープンアクセス化は、文部科学省「オープンアクセス加速化事業」の取り組みの一環で実施している「インパクトの高い国際的な学術誌へのAPC支援」による支援を受けています。
◆詳しい研究内容について
世界初!ガムを噛むトレーニングが食道がん術後の誤嚥、発熱予防に有用であることを発見
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r6/press20241127-4.pdf
◆参 考
・岡山大学 歯学部
https://www.okayama-u.ac.jp/user/dent/
・岡山大学 学術研究院 医歯薬学域(歯)予防歯科学分野
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~preventive_dentistry/top.html
・岡山大学病院 予防歯科部門
https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index159.html
◆参考情報
・【岡山大学】舌の筋力がサルコペニアと関連していることが判明!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002036.000072793.html
・【岡山大学】歯の数が多く、嚥下機能が良好だと、2年後の栄養状態が良好!フレイルやサルコペニア予防に期待
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001919.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学病院 歯科・予防歯科部門 助教 山中玲子
〒700-8525 岡山県岡山市北区鹿田町2丁目5番1号 岡山大学鹿田キャンパス
TEL:086-235-6712
FAX:086-235-6714
http://www.cc.okayama-u.ac.jp/~preventive_dentistry/top.html
<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
岡山大学病院 新医療研究開発センター
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/
<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
TEL:086-235-7983
E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 機器共用推進本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8745、086-251-8746
FAX:086-251-8748
E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://fspp.kikibun.okayama-u.ac.jp/
<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
※ ◎を@に置き換えて下さい
https://venture.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年12月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002721.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
-
岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
0 件のコメント:
コメントを投稿