2013年10月30日水曜日

【産学官・異分野】イノベーションの未来を拓く処方箋3 ーシリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出現場(1.シリコンバレーのハブ機能)ー

「岡山大学シーズ・ニーズ創出強化イノベーション対話プログラム2013」では、事業の名前が意味するように「イノベーション(Innovation)」がひとつの“鍵”となっています。しかし、「イノベーション」とはどのようなものでしょうか。「イノベーション」という言葉をヨーゼフ・シュンペーターが形作ってから1世紀が経過しましたが、その時間の中でイノベーションを創出する環境はさまざまに入れ替わりました。その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」(第3回)を本学津島キャンパスで開催しました。

話題提供者は、本事業実施責任者である岡山大学学長特命(研究担当)・URAの佐藤法仁が務めました。今回の対話は、「シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出現場(1.シリコンバレーのハブ機能)」と題して行われました。

世界のイノベーションを牽引するといわれているアメリカ合衆国カリフォルニア州の北部ベイエリアにあるシリコンバレー(Silicon Valley)。誰もが一度は見聞きしたことのあるシリコンバレーですが、かの地が必ずしもイノベーション創出の起爆地であるとは限りません。世界にはシリコンバレーを目指し、あるいはまったく別の手法でイノベーション創出環境を作り出そうとしていう国や地域が数多くあります。シリコンバレーのみならず、イノベーションを牽引する世界の取組について俯瞰的に把握することは、私たちに足りないものを補完し、今後のわが国、大学等におけるイノベーション創出環境のさらなる構築に役立ちます。今回はの対話は、その1「シリコンバレーのハブ機能」と題して、まずはシリコンバレーを見つめる会となりました。

話題提供者の佐藤法仁URAは、まずはシリコンバレーの歴史について紹介。砂漠であったかの地に産業が興り、その過程で社会のトレンドをどのように掴み、それを素早く社会実装して行ったのか、いわゆる「オープンイノベーション(Open Innovation)手法」について話題を提供。佐藤URAは、「シリコンバレーには長い歴史があり、その歴史が積み重なっていまのイノベーション創出環境(地域)が出来上がっている。国の政策として考える際には、短期的視点ではなく、歴史を作り出すという長期的視点でのイノベーション創出環境を作り上げていく必要である。またシリコンバレーがすべてを抱え込めない、あるは抱え込んでいない点もある。実際に一部の産業、トレンドはシリコンバレーから南カリフォルニアに拠点を移動しつつある。またニューヨーク、ボストンなどの東海岸地域にスタートアップ拠点を移す動きも出ている。これはシリコンバレーにとっては決してマイナスではなく、シリコンバレーが“ハブ(Hub)”として機能している点でもあり、このハブ機能がアメリカ全体のイノベーション、新産業を牽引しているかもしれない」と語りかけ、シリコンバレーのハブ機能に着目した事例を示しながら対話を行いました。

岡山大学では、シリコンバレー(サンノゼ市)に出先機関を設けており、本学のシーズをアメリカに売り込む活動を行っています。また日本企業なども数多く進出しています。しかし、それらの活動が必ずしもうまく行っているとは限りません。むしろ日本の大学の場合は、シリコンバレー撤退という幕引きが多いかもしれません。シリコンバレーを利活用する前に、かの地の歴史、大学においてはスタンフォード大学などと地域の関係、シリコンバレーというイノベーション創出環境がいかにして出来上がってきたのかを知ること、そして今、さらなる発展としてハブ(Hub)機能を備えようとしている仕組みをよく知ることでわが国に適したフィードバックができるのではないかと考えられます。
その2では、シリコンバレーから他の国や地域でのイノベーション創出環境の現状についての対話を開催する予定です。

<過去開催>
第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html
第2回 大学発ベンチャーの“企業”としての自立化:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_25.html

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html

2013年10月29日火曜日

【異分野】研究者のキャリアパス形成と研究シーズ・ニーズ発掘「SCIENCE Editor Talk 2013」 開催

2013年10月29日(火)岡山市北区

岡山大学は、アメリカの総合科学誌「Science」のエディター(編集者)による講演会「SCIENCE Editor Talk 2013」を10月29日、岡山大学創立五十周年記念館で開催し、若手研究者やポスドク、大学院生らが熱心に聴講しました。


今回は、ScienceのエディターであるTianna Hicklin博士が、博士号(Ph.D.)取得者のキャリア開発をテーマに講演。「Career Options and Job Resources for Young Scientists」と題し、「Science」エディターへのキャリアパスや必要なスキルについてわかりやすく話しました。

参加した若手研究者らを対象にした本テーマでの「Science」エディターによる講演は日本では初めて。「これからどのようなことをしたらよいのか」といった質問に対し、Hicklin博士は、さまざまな経験を積むことや経験を通じたネットワーキングの重要性について、自身の経験を交え回答、熱心に対話を繰り広げ、講演会終了後も講師を囲んでの質問が続きました。

エディターによる講演会は、「Science」を発行するアメリカ科学振興協会(AAAS)が、世界の大学や研究機関などで実施しており、岡山大学での開催は昨年に続いて2回目となります。今後も、世界で通用する研究者の育成とイノベーション創出につながる研究アイデアのシーズを育むため、積極的に同種の催しを開催していく予定です。


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講演するHicklin博士
 
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熱心に講演を聞く参加者ら

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html



2013年10月25日金曜日

【産学官・異分野】イノベーションの未来を拓く処方箋2 ー大学発ベンチャーの"企業"としての自立化ー

「岡山大学シーズ・ニーズ創出強化イノベーション対話プログラム2013」では、事業の名前が意味するように「イノベーション(Innovation)」がひとつの“鍵”となっています。しかし、「イノベーション」とはどのようなものでしょうか。「イノベーション」という言葉をヨーゼフ・シュンペーターが形作ってから1世紀が経過しましたが、その時間の中でイノベーションを創出する環境はさまざまに入れ替わりました。その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」(第2回)を都内で開催しました。

話題提供者は、本事業実施責任者である岡山大学学長特命(研究担当)・URAの佐藤法仁が務めました。今回の対話は、「大学発ベンチャーの“企業”としての自立化」と題して行われました。

大学におけるベンチャー創出は産業活性化におけるひとつの要素であり、また大学においては外部資金を獲得するうえので手段ともなります。しかし、大学発ベンチャーの実態はというと不透明な部分が多いのが実情です。大学のみならず、我が国のイノベーション創出環境の整備の中で大学発ベンチャーのあり方について対話することはとても重要な点でもあります。

話題提供者である佐藤法仁URAは、文部科学省や経済産業省などが発表している大学発ベンチャーのデータ資料などをもとに話題を提供。「そもそも国などが出しているデータの多くは“数”が重視されている。大学発ベンチャーのきっかけとして数を増やすことに意味がある時もあるが、今の時代では数はあまり意味がない。またどこの大学が、どれだけ大学発ベンチャーを作っているのかというランキング(順位付)も中身がなくナンセンス過ぎるというもの。大学発ベンチャーは利益を求める“企業体”であるため、経営状況を深堀することの方がよっぽど重要である。これをしないことで休眠大学発ベンチャーがゴロゴロと出来てくる。また大学発ベンチャーと大学教員の関係においては、利益相反などコンプアライアンスの面も関わってくるが、それらを議論される場はあまりにも少ない。より良い関係を構築するためには法律や規則をしっかりと理解すること、さらには大学自身が持つローカルルール(その大学だけで通用する暗黙のルール)を洗い出し、それらを見直す必要があるのではないか」と語りかけ、これまでに分析してきた大学発ベンチャーの経営や教員関係などを示しながら対話を行いました。

大学には数多くのシーズが眠っており、このシーズを磨き産業活性化につなげる大学発ベンチャーはイノベーション創出を加速させる鍵となります。今回の対話テーマである「大学発ベンチャー」について、大学発ベンチャーがどの大学からどれだけ誕生したかという数値を追うだけではなく、経営や戦略、売上などの中身をより重視した調査と分析を行っていくことで課題を解決し、よりよいベンチャーと大学と教員の関係がうまれると考えられます。岡山大学でも数多くの大学発ベンチャーが生まれていますが、ただ単に研究活動のみをするのではなく、真に産業活性化につながる経済活動を行うことのできる「大学発企業」へと成長(自立化)できる戦略を考えていきます。

<過去開催>
第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html

【異分野・産学官】最先端の研究成果をアグリイノベーションへ アグリビジネス創出フェア2013 出展

2013年10月23日(水)~25日(金)東京都江東区

全国の産・学各機関が農林水産・食品分野における最新技術や研究成果を紹介し、交流・連携を促進する国内最大級の技術交流展示会「アグリビジネス創出フェア2013」(農林水産省主催)が10月23~25日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、本学は最先端の研究成果を発表。農林水産関係者に広くPRしました。

本学の出展ブースでは、大学院環境生命科学研究科長・神崎浩教授が、オリーブ葉抽出物や針葉樹バイオマスなど地域に眠る植物資源を、
発酵技術を用いて抗酸化性新規化合物を含むエキスや畜産混合飼料などの有用素材に変化させる研究を、大学院自然科学研究科の世良貴史教授が、ウイルスの複製を阻害する人工DNAタンパク質を用いてトマトなどの農作物にDNAウイルスに対する免疫性を付与させる研究成果を大型パネルで紹介。関係者を集めた研究・技術プレゼンテーションでは、研究成果を詳しく説明し熱心に意見交換を行いました。

本フェアには、全国から約200機関が出展しており、本学からは大学院自然科学研究科の大学院生らも参加。来場者や他の出展者と積極的に交流しました。

岡山大学では、研究推進産学官連携機構を中心に、研究成果の普及や技術移転などの促進を図るため、展示会への出展を積極的に支援し、岡山大学が世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」を目指して行きます。



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本学の出展ブースで意見交換を行う神崎浩・大学院環境生命科学研究科長(右)


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DNAウイルス免疫性について説明する本学学生(右)


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本学の出展ブースを訪れた参加者ら

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プレゼンテーションを行う世良貴史教授

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
アグリビジネス創出フェア2013:http://agribiz-fair.jp/

2013年10月9日水曜日

【光生命・産学官】光で生命科学の次世代研究シーズ・ニーズを探る 岡山大学フューチャーセッションin浜松 開催

2013年10月9日(水)静岡県浜松市

岡山大学の研究力の強みひとつである「生命科学と光技術分野」の推進・向上、およびネットワークの拡大をはかるため、今回のファシリテーターを務める本学大学院医歯薬学総合研究科の狩野光伸教授をはじめとする教員・大学院生ら約10人が10月9日、日本の光技術産業を支える企業のひとつである浜松ホトニクス株式会社(浜松市)を視察し、浜松医科大学医学部附属病院[New window]で関係者らと「岡山大学フューチャーセッション(Future Session)in浜松」を開催しました。

狩野教授らは、浜松ホトニクス株式会社中央研究所の原勉所長(同社常務取締役)らと光技術の新たな産業創出について対話し、意見交換を行いました。


次に浜松医科大学で開催した、フューチャーセッションでは、本学の佐藤法仁リサーチ・アドミニストレーター(URA)が「岡山大学における研究力と異分野融合研究の推進について」と題して、大学院自然科学研究科計測システム工学研究室の紀和利彦准教授が「テラヘルツ波工学の医療応用探索」と題して講演しました。

続いて、浜松ホトニクス株式会社中央研究所主幹の松永茂専任部員や浜松医科大学皮膚学講座の平川聡史准教授らが、浜松における科学技術イノベーションとその展開についての話題提供を行い、参加した約50人は岡山と浜松の生命科学・光技術コラボレーションや新たな革新的研究の模索について熱心に対話を繰り広げました。

岡山大学では、研究力における強みのひとつである
「生命科学と光技術分野」をさらに強化し、社会と共に革新的イノベーションや高付加価値産業の創出や「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上のため、精力的に研究ネットワークの拡大を行っています。

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光技術分野の革新的イノベーション創出に向けて現場で対話する紀和利彦准教授(左)と本学大学院生ら
 
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浜松ホトニクス株式会社中央研究所で意見交換した狩野光伸教授ら(右から7人目)

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浜松医科大学で開催されたフューチャーセッションで対話材料を提供する紀和俊彦准教授
 
対話材料を提供する浜松ホトニクス株式会社中央研究所の松永茂先生
 
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対話材料を提供する佐藤法仁URA
 
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
浜松ホトニクス株式会社:http://www.hamamatsu.com/jp/ja/index.html
浜松医科大学:http://www.hama-med.ac.jp/
 


2013年10月6日日曜日

【異分野】普段は触れない分野から新たなイノベーションの芽を見つける 技と伝統の継承のメカニズムのワークショップ 開催

2013年10月6日(日)岡山市北区

岡山大学大学院教育学研究科の寺澤孝文教授(認知心理学)の研究室とリサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室は、伝統技術と研究活動の継承について、その共通点を探る異分野ワークショップ「技と伝統の継承のメカニズム ~酒造りの技と伝統を科学でひも解く~」を10月6日、岡山市北区の後楽園内にある鶴鳴館で開催しました。

岡山大学の研究者と岡山県酒造組合、岡山県下の杜氏・蔵人らが異分野コラボレーションし、一般にはなかなか知られていない酒造りの技と伝統について説明。岡山大学の山本進一理事(研究担当)・副学長による日本の森と酒作りの接点についての講演や、知的障害者が特定の領域で優れた能力を示すサヴァン症候群と同様の驚異的な記憶能力を誰もが持っているという最新の研究成果と酒造りの技をからめた寺澤教授の講演があり、参加者らは伝統とアカデミアの異分野を融合させる試みを熱心に聴講しました。

また、岡山大学のオリジナルブランド日本酒「おお岡大」の試飲もあり、同大大学院環境生命科学研究科の神崎浩研究科長が、農学部附属山陽圏フィールド科学センターで栽培した「アケボノ」を100%使用した濃醇な味わいについて説明し、参加した100名近い市民、学生、研究者らは、互いに無関係に見えるものを関連つけて、新たな知見を見出す場を楽しみました。
 

岡山大学の強みは12学部、1コース、7研究科を有する総合大学であるため、他分野・異分野が存在し、それを有機的に結合させることで今までにない革新的な創出が生まれると考えています。今後もこのような異分野が出会え、対話できるイノベーション創出の場を提供し続ける計画です。
 


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会場の後楽園鶴鳴館(岡山市北区)

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寺澤孝文教授の対話材料を熱心に聴講する参加者ら

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基調講演する山本進一理事(研究担当)・副学長

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岡山大学オリジナルブランド日本酒「おお岡大」を紹介する神崎浩同大学院環境生命科学研究科長
 
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html 

2013年10月4日金曜日

【光生命・異分野】「数理科学」から医療革新を探る 第8回岡山大学フューチャーセッション 開催

2013年10月4日(金)岡山市北区

少人数の対話で次世代シーズ・ニーズ創出を探るとともに、未来について多様な立場から解決すべき問題を提起し、活発な対話を通してより良い未来を実現する解決策を構築する「第8回岡山大学フューチャーセッション(Future Session)」を10月4日、岡山大学研究推進産学官連携機構で開催しました。

今回の対話材料の提供者は、戦略的創造研究推進事業(CREST
「放射線医学と数理科学の協働による高度臨床診断の実現」の研究代表者を務める、本学大学院環境生命科学研究科の 水藤寛教授が、「数理科学と臨床医療の協働 -研究ネットワークの構築と将来戦略-」と題して講演。CRESTにおける研究を基に、数理科学者と臨床医師の密接な連携とフィードバックの積み重ねによる真の協働実現について紹介し、異分野連携の課題と問題解決方法を例示しました。

水藤教授は、文部科学省
「数学イノベーション委員会」での議論も踏まえ、今後、高度な臨床力を有する臨床研究中核病院である岡山大学病院と連携し、数理科学から新たな医療革新を引き起こす可能性について話し、参加者らと熱心に対話を繰り広げました。

岡山大学では、今後も社会と共に革新的イノベーションや高付加価値産業の創出し世界で研究の量、質ともに存在感を示す、
「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながるように、積極的な研究推進・研究力向上を精力的に行っています。

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対話材料を提供する水藤寛教授

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具体的な解決策を絞り込む参加者ら

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html