「岡山大学シーズ・ニーズ創出強化イノベーション対話プログラム2013」では、事業の名前が意味するように「イノベーション(Innovation)」がひとつの“鍵”となっています。しかし、「イノベーション」とはどのようなものでしょうか。「イノベーション」という言葉をヨーゼフ・シュンペーターが形作ってから1世紀が経過しましたが、その時間の中でイノベーションを創出する環境はさまざまに入れ替わりました。その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」(第3回)を本学津島キャンパスで開催しました。
話題提供者は、本事業実施責任者である岡山大学学長特命(研究担当)・URAの佐藤法仁が務めました。今回の対話は、「シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出現場(1.シリコンバレーのハブ機能)」と題して行われました。
世界のイノベーションを牽引するといわれているアメリカ合衆国カリフォルニア州の北部ベイエリアにあるシリコンバレー(Silicon Valley)。誰もが一度は見聞きしたことのあるシリコンバレーですが、かの地が必ずしもイノベーション創出の起爆地であるとは限りません。世界にはシリコンバレーを目指し、あるいはまったく別の手法でイノベーション創出環境を作り出そうとしていう国や地域が数多くあります。シリコンバレーのみならず、イノベーションを牽引する世界の取組について俯瞰的に把握することは、私たちに足りないものを補完し、今後のわが国、大学等におけるイノベーション創出環境のさらなる構築に役立ちます。今回はの対話は、その1「シリコンバレーのハブ機能」と題して、まずはシリコンバレーを見つめる会となりました。
話題提供者の佐藤法仁URAは、まずはシリコンバレーの歴史について紹介。砂漠であったかの地に産業が興り、その過程で社会のトレンドをどのように掴み、それを素早く社会実装して行ったのか、いわゆる「オープンイノベーション(Open Innovation)手法」について話題を提供。佐藤URAは、「シリコンバレーには長い歴史があり、その歴史が積み重なっていまのイノベーション創出環境(地域)が出来上がっている。国の政策として考える際には、短期的視点ではなく、歴史を作り出すという長期的視点でのイノベーション創出環境を作り上げていく必要である。またシリコンバレーがすべてを抱え込めない、あるは抱え込んでいない点もある。実際に一部の産業、トレンドはシリコンバレーから南カリフォルニアに拠点を移動しつつある。またニューヨーク、ボストンなどの東海岸地域にスタートアップ拠点を移す動きも出ている。これはシリコンバレーにとっては決してマイナスではなく、シリコンバレーが“ハブ(Hub)”として機能している点でもあり、このハブ機能がアメリカ全体のイノベーション、新産業を牽引しているかもしれない」と語りかけ、シリコンバレーのハブ機能に着目した事例を示しながら対話を行いました。
岡山大学では、シリコンバレー(サンノゼ市)に出先機関を設けており、本学のシーズをアメリカに売り込む活動を行っています。また日本企業なども数多く進出しています。しかし、それらの活動が必ずしもうまく行っているとは限りません。むしろ日本の大学の場合は、シリコンバレー撤退という幕引きが多いかもしれません。シリコンバレーを利活用する前に、かの地の歴史、大学においてはスタンフォード大学などと地域の関係、シリコンバレーというイノベーション創出環境がいかにして出来上がってきたのかを知ること、そして今、さらなる発展としてハブ(Hub)機能を備えようとしている仕組みをよく知ることでわが国に適したフィードバックができるのではないかと考えられます。
その2では、シリコンバレーから他の国や地域でのイノベーション創出環境の現状についての対話を開催する予定です。
<過去開催>
第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html
第2回 大学発ベンチャーの“企業”としての自立化:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_25.html
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
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