「岡山大学シーズ・ニーズ創出強化イノベーション対話プログラム2013」では、事業の名前が意味するように「イノベーション(Innovation)」がひとつの“鍵”となっています。しかし、「イノベーション」とはどのようなものでしょうか。「イノベーション」という言葉をヨーゼフ・シュンペーターが形作ってから1世紀が経過しましたが、その時間の中でイノベーションを創出する環境はさまざまに入れ替わりました。その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」(第2回)を都内で開催しました。
話題提供者は、本事業実施責任者である岡山大学学長特命(研究担当)・URAの佐藤法仁が務めました。今回の対話は、「大学発ベンチャーの“企業”としての自立化」と題して行われました。
大学におけるベンチャー創出は産業活性化におけるひとつの要素であり、また大学においては外部資金を獲得するうえので手段ともなります。しかし、大学発ベンチャーの実態はというと不透明な部分が多いのが実情です。大学のみならず、我が国のイノベーション創出環境の整備の中で大学発ベンチャーのあり方について対話することはとても重要な点でもあります。
話題提供者である佐藤法仁URAは、文部科学省や経済産業省などが発表している大学発ベンチャーのデータ資料などをもとに話題を提供。「そもそも国などが出しているデータの多くは“数”が重視されている。大学発ベンチャーのきっかけとして数を増やすことに意味がある時もあるが、今の時代では数はあまり意味がない。またどこの大学が、どれだけ大学発ベンチャーを作っているのかというランキング(順位付)も中身がなくナンセンス過ぎるというもの。大学発ベンチャーは利益を求める“企業体”であるため、経営状況を深堀することの方がよっぽど重要である。これをしないことで休眠大学発ベンチャーがゴロゴロと出来てくる。また大学発ベンチャーと大学教員の関係においては、利益相反などコンプアライアンスの面も関わってくるが、それらを議論される場はあまりにも少ない。より良い関係を構築するためには法律や規則をしっかりと理解すること、さらには大学自身が持つローカルルール(その大学だけで通用する暗黙のルール)を洗い出し、それらを見直す必要があるのではないか」と語りかけ、これまでに分析してきた大学発ベンチャーの経営や教員関係などを示しながら対話を行いました。
大学には数多くのシーズが眠っており、このシーズを磨き産業活性化につなげる大学発ベンチャーはイノベーション創出を加速させる鍵となります。今回の対話テーマである「大学発ベンチャー」について、大学発ベンチャーがどの大学からどれだけ誕生したかという数値を追うだけではなく、経営や戦略、売上などの中身をより重視した調査と分析を行っていくことで課題を解決し、よりよいベンチャーと大学と教員の関係がうまれると考えられます。岡山大学でも数多くの大学発ベンチャーが生まれていますが、ただ単に研究活動のみをするのではなく、真に産業活性化につながる経済活動を行うことのできる「大学発企業」へと成長(自立化)できる戦略を考えていきます。
<過去開催>
第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
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