「岡山大学シーズ・ニーズ創出強化イノベーション対話プログラム2013」では、事業の名前が意味するように「イノベーション(Innovation)」がひとつの“鍵”となっています。しかし、「イノベーション」とはどのようなものでしょうか。「イノベーション」という言葉をヨーゼフ・シュンペーターが形作ってから1世紀が経過しましたが、その時間の中でイノベーションを創出する環境はさまざまに入れ替わりました。その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」(第6回)を本学津島キャンパスで開催しました。
話題提供者は、本事業実施責任者である岡山大学学長特命(研究担当)・URAの佐藤法仁が務めました。今回の対話は、「シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出現場(4.ニューヨークのイノベーション好循環への挑戦)」と題して行われました。
本対話のその1では「シリコンバレーのハブ機能」と題して、カリフォルニア州の北部ベイエリアにあるシリコンバレー(Silicon Valley)の取組について紹介し、その2では「シリコンビーチ台頭の兆し」と題して、南カリフォルニアのロサンゼルス周辺としたシリコンビーチ(Silicon Beach)のイノベーション創出環境について、その3では「イノベーション大国になりつつあるイスラエルの活動」と題して、中東に位置するイスラエルのイノベーション創出活動について取り上げて来ました。今回はアメリカ東海岸の大都市ニューヨークに注目し、「ニューヨークのイノベーション好循環への挑戦」と題しての会となりました。
話題提供者の佐藤法仁URAは、西海岸のシリコンバレーやシリコンビーチだけではなく、アメリカの東海岸、特にニューヨークで取り組まれているeコマース(電子商取引)について紹介。eコマースを核として、VCのベンチャー企業への投資が拡大している点を紹介。また、ニューヨークの狭い土地にさまざまな人種、習慣、文化などがミックスされており、「異分野」が生まれやすい雰囲気があることも紹介しました。
佐藤URAは、「金融街を持つニューヨークは、eコマースへの対応が早い。eコマースの導入には金融街が障壁となる可能性もあるが、ニューヨークではベンチャー企業が積極的にeコマースを利用し、そのベンチャーにVCが多額の資金を投下している。この後押しがeコマースの拡大につながっている。Etsyがいい事例と言え、同社にはさらなるVCの資金が投下されてる。またマンハッタン島では、コワーキングスペースの整備が急速に進んでおり、この場でのビジネス交流も加速している。何より家賃が高いニューヨークでの起業にはよいシステムであり、同じ地価が高いわが国にも応用できる点でもある。ニューヨークにはシリコンバレーのようにユニコーンがドンドン輩出されているという環境ではないが、さまざまな仕組みがよい循環をしているのがニューヨークであり、今後のイノベーションの加速が期待される。」とニューヨークのeコマースを核にした取組事例について紹介し、対話を行いました。
ニューヨークのイノベーション創出への取組については、なかなかわが国に情報が入らず、不透明な点があります。しかし人・物・金の循環が大規模であるニューヨークでは、日々新しいシーズやニュースが生まれています。それをうまくマッチングする仕組みである、e-コマースやコワーキングスペース、VC資金などがうまく絡み合っていることがわかります。また日本人起業家もニューヨークで挑戦し出しており、今後の動向が注目されます。
<過去開催>
第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html
第2回 大学発ベンチャーの“企業”としての自立化:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_25.html
第3回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(1.シリコンバレーのハブ機能):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_30.html
第4回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(2.シリコンビーチ台頭の兆し):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html
第5回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(3.イノベーション大国になりつつあるイスラエルの活動):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/3.html
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
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