2014年11月1日土曜日

【情報発信】農林水産省「革新的技術創造促進事業」革新的ウイルス対策技術分野研究拠点 始動



岡山大学は、農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発分野(革新的ウイルス対策技術分野)の研究拠点を担っており、農林畜産分野において今までにないウイルス対策の技術開発を進めています。


今回、研究拠点である本学をサポートする公募(補完)研究機関が決定したことに伴い、当事業のキックオフとなる第1回全体会議を本学(岡山市北区)にて開催しました。


現在、農林畜産分野ではウイルスによる被害が大きな問題となっています。例えば鳥インフルエンザウイルスによる家畜業界への経済的打撃や私たちの食生活への不安などは大変深刻です。また観梅の名所がウイルス感染によりすべて伐採に至るなど文化的損失も問題となっています。当事業では、産学官連携のもと今までにない革新的な手法を開発することで、ウイルス感染の完全防御や早期感染診断などを実施します。


全体会議では、はじめに研究拠点を代表して山本進一研究担当理事・副学長が、「それぞれの機関が持つ強みと弱みを共有することでやるべきことが明確になる。やるべきことを迅速かつ的確に実施するためにも密な連携で進めて行きたい」と挨拶。続いて、コンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチ・アドミニストレーター(URA)が全体戦略についての概要説明を、研究拠点代表者の本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授や補完研究機関の各代表者らが実施内容について講演しました。


参加した農林水産省農林水産技術会議事務局研究推進課産学連携室の田中健一室長や独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)新技術開発部基礎的研究課の江上智一課長らと、より効率的な技術開発や社会実装の進め方について熱心に議論を行いました。


岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。この高い研究力を社会実装に結びつけるには、他機関や企業などとの連携が必要不可欠となります。今後も本事業において多種多様な幅広い機関・企業の参画を募るとともに、農林畜産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進めていきます。


<拠点研究機関(岡山大学)の取り組みについて>
・先導・革新的人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術の確立と社会実装
 RNAウイルスを認識する人工RNA結合タンパク質デザイン法の確立
抗インフルエンザタンパク質製剤の開発
ウイルス耐性小麦の創出
ウイルス簡易検査キットで日常的に使用されているイムノクロマト法の高感度検知技術の確立

<補完研究機関とその取り組み、代表研究者について>
・農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所:H5・H7亜型高(低)病原性鳥インフルエンザの診断・防除法の開発(内田裕子博士)
・理化学研究所:Reverse vaccinology手法を用いた新規牛白血病VLP(ウイルス様粒子)ワクチンの開発(間陽子博士)
・岩手生物工学研究センター:高効率なウイルス・ウイロイドRNA検出技術の開発(関根健太郎博士)
・鹿児島大学:ナノテクノロジーとラップトップ型PCR測定機による家禽・家畜ウイルスの正確・超高感度・簡便検出法の開発(隅田泰生博士)
・岡山県農林水産総合センター生物科学研究所:抵抗性誘導剤による革新的ウイルス防除技術の開発(鳴坂義弘博士)


2014年7月7日月曜日

【情報発信】農林水産省「革新的技術創造促進事業」研究拠点に採択、ならびに公募(補完)研究公募ワークショップのお知らせ

2014年6月27日(金)

農林水産省「革新的技術創造促進事業」研究拠点に採択】
岡山大学は627日、農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」の研究拠点に採択されました。

本事業は、医学、工学、理学など様々な異分野との境界領域が数多く存在する農林水産・食品産業において、異分野領域との融合共同研究を前面に打ち出し、新たな発想のもと、革新的な技術創造促進を目指します。

本学は、理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発分野において、「先導・革新的人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術の確立と社会実装」(研究代表者:世良貴史・大学院自然科学研究科(工学系)教授)をテーマに、企業とコンソーシアムを形成し、

 ①RNAウイルスを認識する人工RNA結合タンパク質デザイン法の確立
 ②抗インフルエンザタンパク質製剤の開発
 ③ウイルス耐性小麦の創出
 ④ウイルス簡易検査キットで日常的に使用されているイムノクロ  マト法の高感度検知技術の確立

などを目指します。
 
コンソーシアム名は「革新的ウイルス不活性化技術研究コンソーシアム(仮称)」。コンソーシアムの全体統括役であるコンソーシアム・プログラム・ディレクター(CPD)には山本進一理事(研究担当)・副学長が、同コンソーシアムの研究管理総括役であるコンソーシアム・プログラム・マネージャー(CPM)を佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーターが担い、事業運営機関である独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)のプログラム・オフィサー(PO)と緊密に連携。戦略的に研究と社会実装を進めます。

本学では、これまでに先導的な異分野研究機関である「岡山大学異分野融合先端研究コア」の運営やフューチャーセッション(Future Session)、シーズ・ニーズワークショップなど、異分野研究分野で様々な取り組みと実績を残してきています。

また、文部科学省の「研究大学強化促進事業」、厚生労働省の「臨床研究中核病院」(岡山大学病院)に選定され、文部科学省の「全国共同利用・研究拠点」(岡山大学資源植物科学研究所)を有しており、農学・植物系でこの3つの強みを持つわが国唯一の研究機関です。この強みを最大限に利活用し、社会を革新する技術創造を促進させます。


(左から)コンソーシアム・プログラム・ディレクター(CPD)を務める山本進一理事(研究担当)・副学長、コンソーシアム・プログラム・マネージャー(CPM)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーター、研究代表者の世良貴史大学院自然科学研究科(工学系)教授


【ワークショップと公募(補完)研究公募について】

本学の拠点研究機関と共に事業達成を目指す「公募(補完)研究」を公募する予定です。公募に先立ち、714日(月曜日)に東京都千代田区内神田のTKP大手町ビジネスセンターにおいて、ワークショップを開催いたします。
本事業ならびに公募(補完)研究公募にご興味、ご関心がある機関、研究者の方々のご来場を心よりお待ちしております。
(ワークショップのお問い合わせ先は、生研センターとなります)



革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発
・開催日時:2014714日(月曜日)1300分~
・開催場所:TKP大手町ビジネスセンター(東京都千代田区内神田2-1-2 5中央ビル)
・お問い合わせ:生研センター 新技術開発部基礎的研究課      kisoken[at]ml.affrc.go.jp

異分野融合共同研究「理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発」のワークショップの開催と公募(補完)研究の公募について(生研センター):http://www.naro.affrc.go.jp/project/research_activities/laboratory/brain/053061.html

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
農林水産省 農林水産技術会議(農林水産・食品分野と異分野との連携に係る研究について):http://www.s.affrc.go.jp/docs/ibunya/index.htm

2014年6月30日月曜日

【情報発信】農林水産省「革新的技術創造促進事業」岡山大学研究拠点ホームページを開設

 2014年6月30日(月)

 

 岡山大学は、2014(平成26)年6月27日、農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」の研究拠点に採択されました。
 本事業は、医学、工学、理学など様々な異分野との境界領域が数多く存在する農林水産・食品産業において、異分野領域との融合共同研究を前面に打ち出し、新たな発想のもと、革新的な技術創造促進を目指します。
 さらに、補完研究機関と密に連携し、共に事業達成=社会実装を成し遂げるべく、事業を推進します。 

 

 研究拠点である岡山大学では、「先導・革新的人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術の確立と社会実装」をテーマに、補完研究機関や企業らとコンソーシアムを形成。下記の研究を行っています。

1.人工RNA 結合タンパク質デザイン法の確立
 DNAウイルスで培った革新的技術のRNAウイルスへの拡大適用を実施するため、標的配列に特異的に結合できる人工RNA結合タンパク質のデザイン法を世界に先駆けて確立する。ウイルスに感染したり、ガンになるのを防ぐ(バイオ医療)。

2.抗インフルエンザタンパク質製剤の開発
 世界に先駆けて成功した抗DNAウイルス剤での手法をさらに発展させて、効率よくRNAウイルスを不活性化する革新的な技術を開発し、インフルエンザウイルスの不活性化を実施する。

3.小麦矮小ウイルス耐性小麦の創出
 全世界的な穀物感染防止ならびにその需要を満たすべく、まず穀物の中でも特に重要な小麦について、保有技術を用いて、ウイルス耐病性小麦を創出する。

4.高感度イムノクロマト法の開発
 安価かつ簡便なイムノクロマト法を高感度で機動的に農業現場においてウイルス検出できるキットと検出器を含めたシステムとして改良する。

 

 研究拠点として、 全体統括役であるコンソーシアム・プログラム・ディレクター(CPD)を本学研究担当理事・副学長である山本進一が、研究管理総括役であるコンソーシアム・プログラム・マネージャー(CPM)を本学学長特命(研究担当)リサーチアドミニストレーターの佐藤法仁が務め、研究代表者である世良貴史教授を支援します。

 


 今後の研究拠点の取組や成果などを公開する専用のホームページを開設しました。積極的な情報発信などを通じて、社会課題解決の推進とともに、革新的技術育成や次世代を拓く秀逸な研究者の育成など、科学技術・イノベーション創出へ寄与していきます。どうぞご期待ください。

 

https://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

 

 

2014年6月13日金曜日

【光生命・産学官・異分野】イノベーション対話促進プログラム報告会 ~イノベーション創出の種となる産官学連携活動とは何か~ 開催

2014年6月13日(金)岡山市北区

本学は昨年度、文部科学省の「大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業(イノベーション対話促進プログラム)」に採択されたのを機会に、本学の強みである生命科学分野と光技術分野の融合研究広報戦略ワークショップ、病院地区で開催した医療展示会「岡山メディカル・イノベーション」の主催など、様々な取り組みを実施して来ました。

今回、本学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室は、本事業の総括として「イノベーション対話促進プログラム報告会 ~イノベーション創出の種となる産官学連携活動とは何か~」を613日、本学本部棟にて開催しました。

報告会では、まずはじめに今回の事業実施責任者を務めた本学の佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAが事業全体の取り組みを報告。本事業を通じて、様々な異分野連携研究が進んでいることや産業界との研究振興・人材育成連携強化を目的とした(一社)岡山経済同友会との連携提携の成果などを紹介しました。

次に本事業の調査活動である、「産官学連携活動における問題点の洗い出しと他機関での成功事例調査」と題して、株式会社大伸社の佐藤武史ストラテジストが講演。大学の産学連携担当者に対する聞き取り調査で、産学連携の組織体制の違いによる実績の違いや産学連携を活性化させるための外的要因、企業とのコミュニケーション方法などを中心について紹介。参加した教職員や産学連携担当者、広報関係者ら約40人とともに、イノベーション創出の種となる産官学連携活動のあり方について熱心に議論しました。

本学は、昨年8月に文部科学省が選定した「研究大学強化促進事業」の支援対象大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上を実施しており、その中で産学連携活動は非常に重要な点です。今回の報告会の成果も研究大学運営に活かして行きます。

今回の事業総括を述べる事業実施責任者の佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA。本学の強みや培ってきた異分野融合のさらなる進展など、本事業を通じて数多くの成果が得られたことを報告しました。

産学官連携調査を踏まえた、岡山大学でのより効果的で戦略的な産学連携事業のあり方を講演する株式会社大伸社の佐藤武史氏。

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
 

2014年5月21日水曜日

【情報発信】研究広報戦略ワークショップIV -Top Journal を利活用したサイエンスコミュニケーション術- 開催

2014年5月21日(水)岡山市北区

本学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室は、岡山大学の研究力を広く社会に発信する方策を広く考える場として、「研究広報戦略ワークショップIV Top Journal を利活用したサイエンスコミュニケーション術-」を、521日に本学本部棟で開催致しました。

今回で4回目となる研究広報戦略ワークショップでは、グローバルな場面で学術関係のジャーナルを発行しているNature Publishing Groupから、ディレクターの米山ケイト氏、マネジャーの藤原由紀氏を招聘し、Natureを通して可能なサイエンスコミュニケーション術や全世界での岡山大学のブランディングの機会、Nature Index (本年9月に発行予定の主要科学誌のグローバルランキング)研究評価関連、主要科学ジャーナルに論文投稿をするためのテクニカルワークショップなど、トップジャーナルを利活用したサイエンスコミュニケーションやブランディングについて、最新の情報を交えて対話材料を提供。
特に米山ディレクターからは、優れた研究者がいるのに知られていない大学や研究所などの現状を、独自の調査結果を示しながら説明し、全世界へのブランディングの重要性を強調し、参加した約30名の学生、教職員らと熱心に対話を深めました。

また米山ディレクターと藤原マネージャーは、山本進一理事(研究担当)・副学長、古矢修一副理事(研究担当)・URAらと、国際研究広報についての意見交換も実施。今後も密に戦略的な国際研究広報活動に寄与する情報交換を行うことを確認しました。

本学では、世界で研究の量、質ともに存在感を示すリサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上を実施しており、今回のワークショップで得た情報も研究大学運営に積極的に活かして行きます。

研究広報戦略ワークショップI -革新的イノベーション創出を生み出す研究広報とは-:
研究広報戦略ワークショップII -記者と共に革新的光技術のイノベーション創出を探る-:
研究広報戦略ワークショップIII -研究広報におけるロゴタイプの役割と活用-:
ブランディングの重要性について語る米山ケイト氏。

Natureの取り組みについて講演する藤原由紀氏。
 
 
Top Journalの利活用について参加者と対話する米山氏ら。

ワークショップに先立ち、学術誌のあり方や運用についての意見交換を実施しました(左から:佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA、米山ケイト氏、藤原由紀氏、山本進一理事(研究担当)・副学長、古矢修一副理事(研究担当)・URA)
 

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
 

2014年5月20日火曜日

【光生命・産学官】「テラヘルツ波ケミカル顕微鏡」の技術意見交流会 開催

2014年5月20日(火)岡山市北区

本学は、研究力における強みのひとつ、「光技術分野」をさらに強化し、国際展開や産業化を推進するための技術意見交流会を520日、本学研究推進産学官連携機構で開催しました。

今回、光技術のひとつである「テラヘルツ光」を利用し、本学大学院自然科学研究科計測システム工学研究室の紀和利彦准教授が世界に先駆けて独自開発した「テラヘルツ波ケミカル顕微鏡」に注目。紀和教授が、これまで見ることが難しかった水溶液中の化学反応分布を可視化できる革新性について説明しました。本学の山本進一理事(研究担当)・副学長やニプロ株式会社の佐野嘉彦代表取締役社長、有限会社スペクトルデザインの深澤亮一代表取締役らが参加。本学のリサーチ・アドミニストレーター(URA)や研究推進産学官連携機構各本部長らと、生命科学・医療分野への応用や産業界での汎用化などについて熱心に対話を行いました。

本学は、平成258月に文部科学省が選定した「研究大学強化促進事業」の支援対象大学(国内19大学)で、世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上を実施しています。本学が独自に開発した製品の汎用化戦略は非常に重要なポイントであり、今回の技術意見交流会で得られた知見も研究大学運営に活かしていきます。

テラヘルツ光とは:周波数にして1Hz付近の高周波電磁波のことです。レーザー工学・電子工学の発展とともに、そのアプリケーションが世界的に注目されています。近年では、テラヘルツにより生命科学を解明する研究が数多く立ち上がっています。

技術交流会の参加者ら。紀和利彦准教授が開発した「テラヘルツ波ケミカル顕微鏡」の産業応用などについて熱心に対話をくり広げました。また、本学のシーズ紹介も併せて行いました。

 
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html

2014年4月25日金曜日

【情報発信】岡山大学と岡山経済同友会が連携協定を締結 全国的にもめずらしい「研究力強化」に特化して協力

2014年4月24日(木)岡山市北区

岡山大学と一般社団法人岡山経済同友会424日、研究振興や研究人材育成などの「研究力強化」に特化した、全国的にも非常にめずらしく、特色ある包括連携協定を結びました。今後、産学官の共同研究や研究者の相互交流などを進めていきます。

本学と同友会は昨年度、文部科学省事業「大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業(イノベーション対話促進プログラム)」を連携して事業を運用してきました。研究や産学連携の具体的なシーズとニーズのマッチングの対話やワークショップを開催。シーズ・ニーズの洗い出しや地域課題の強み抽出などを対話を通じて行ってきました。本事業終了後も、引き続き密な連携を維持し、今回の協定をもとに地元企業との共同研究などを通して、地域をリードする新産業を生み出します。
そのほか、本学と同友会会員で構成するメーリングリストを作成。文部科学省など国や科学技術振興機構(JST新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などの研究資金を管理するファンディングエージェンシーと呼ばれる機関などから得た情報を迅速に共有することで、大学と地元企業とのネットワークを増強します。そのほか、双方が開催するワークショップ、研修会などの告知も発信します。

岡山市内のホテルで調印式が開かれ、森田潔学長、同友会の泉史博(中国銀行会長)、萩原邦章(萩原工業社長)両代表幹事が協定書に署名しました。森田学長は「これまでも同友会とは連携を進めてきたが、協定によりさらに強固にしたい。経済界の皆さんとともに、岡山の発展に尽くしたい」とあいさつしました。泉、萩原両代表幹事は「技術立国日本を岡山から発信していきたい」、「大学の研究・教育において、多様性、国際化の実学の場として企業が役立てれば」などと述べました。

本学は昨年8月、文部科学省の「研究大学強化促進事業」の支援対象大学(国内19大学)に採択されました。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」を目指すため、今回の取り組みを研究大学運営に活かしていきます。

協定書に署名する森田潔学長、泉史博、萩原邦章両代表幹事(左から)。
 
署名後の握手。全国的に非常にめずらしい「研究力強化」に特化した連携協定が日本に誕生しました。今後、岡山の地から世界で戦える研究力発信や革新的イノベーションの創出を大学・企業とともに力強く進めていきます。

署名後、参加者や記者らに今回の連携協定に至る経緯や今後の具体的な方向性について説明する佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーター。まずはメーリングリストを構築し、迅速な情報共有の展開を進めるほか、ナショナルプロジェクトへの共同申請などを進める予定。
 
会場の様子。本学関係者のみならず、地元企業やマスコミ関係者など数多くの方々にお越し頂けました。

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html

一般社団法人岡山経済同友会:http://okadoyu.jp/

2014年4月16日水曜日

【情報発信】研究広報戦略ワークショップIII -研究広報におけるロゴタイプの役割と活用- 開催

2014年4月15日(火)東京都渋谷区

岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室と株式会社大伸社は、研究力を広く社会に発信するための方策を参加者らと対話を通して共に探るため、「研究広報戦略ワークショップIII -研究広報におけるロゴタイプの役割と活用-」を、415日に都内にて開催しました。

今回、第3回目となる研究広報戦略ワークショップでは、ワークショップテーマとして、「ロゴタイプ(ロゴマーク)」を取り上げました。ロゴタイプが与える研究広報へのイメージやその役割について参加者らとともに意見交換を行いました。本学からは、佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーターが「研究広報戦略におけるロゴタイプの立ち位置を考える」と題して対話材料を提供。星の数ほどのロゴタイプが世の中にはあり、企業活動の分野だけに限らず研究活動においても重要な役割を果たしていることや、考案したロゴタイプがロゴタイプの海に埋もれてしまわないための有効かつ戦略的な使い方などについて事例を挙げて紹介。研究広報におけるロゴタイプの役割と活用について参加者らとともに熱心に意見交換を行いました。

岡山大学は、昨年8月に文部科学省が選定した研究大学強化促進事業」の支援対象大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」につながる積極的な研究推進・研究力向上を実施しており、今回のワークショップの成果も研究大学運営に活かして行きます。
また現在、本学の研究大学強化促進事業の研究活動拠点となる研究特区「グローバル最先端異分野融合研究機構」のロゴタイプを作成中です。今回のワークショップで得られた幅広い知見を活かし、戦略的にロゴタイプを活用して行く予定です。

なお、今回の研究広報ワークショップは、昨年度本学が採択された文部科学省のCOI STREAM「大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業(イノベーション対話促進プログラム)」の補完事業の一環として実施されました。

研究広報戦略ワークショップI -革新的イノベーション創出を生み出す研究広報とは-:http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id3258.html
研究広報戦略ワークショップII -記者と共に革新的光技術のイノベーション創出を探る-:http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id3301.html


ロゴタイプが与えるイメージについて意見を述べる参加者。それぞれがロゴタイプについて感じるイメージや制作者の思いなどを推察し、用い方について意見を述べました。
 
研究広報におけるロゴタイプの役割や戦略の位置づけなどについて対話材料を提供する佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーター。企業活動における事例などをもとにアカディアで応用できる点や留意点などについてわかりやすく講演しました。
岡山大学のおもなロゴタイプ(左から、岡山大学学章岡山大学コミュニケーションシンボル岡山大学病院臨床研究中核病院シンボルマーク)。それぞれのロゴタイプが持つ意味と背負っているものの価値について対話する機会ともなりました。

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html
株式会社大伸社:http://www.daishinsha.co.jp/

2014年3月31日月曜日

【産学官・異分野・産学官】大学改革は大学病院経営がキモ ~シーズ・ニーズからのイノベーション創出を担うHospitalTechの可能性~

大学、特に国立大学には国や産業界などから大学改革が強く求められており、その分野は教育・研究・社会貢献のすべての分野に及んでいます。今回の「大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業(イノベーション対話促進プログラム)」における岡山大学の取り組みは、生命科学分野をひとつのコアにしています。この生命科学分野は、大学において見た場合、「大学病院」というひとつの大きな部局が存在しています。大学病院は、ある程度の独立性を持ちつつ、大学の一部局として学長のもと病院長(病院担当理事)が経営を担っていますが、もちろん国から国立大学法人に配分されている運営費交付金も大学病院に流れています。

昨今の大学改革においては、特に研究力強化や産学連携の促進、人事管理・会計システムの改善などが指摘されることが多いですが、大学病院を持つ多くの国立大学においては、この大学病院の経営を効率化することが大きな大学改革のひとつでもあると思われます。

今回、これまで開催してきた「イノベーションの未来を拓く処方箋シリーズ」の 最終回として、「大学改革は大学病院経営がキモ ~シーズ・ニーズからイノベーション創出を担うHospitalTechの可能性~」と題した対話を本学津島キャンパスで開催しました。

話題提供は、本事業の実施責任者であり、岡山大学の医療系を含めた生命科学系分野の研究力強化を担当している佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAが務めました。はじめに佐藤URAは、大学の財務状況に見る大学病院のウェートの高さと大学病院における病院経営全般に関する点などについて紹介。さらに大学病院という「最後の砦」である医療機関における経営の難しさがある点や大学病院に勤務する医療従事者らの労働環境に関連し、労務管理だけでなく、研究力強化促進の観点からみた研究時間の確保の難しさなどについても紹介しました。特に時間の確保の難しさについては、医療のみに費やす時間だけではなく、雑務に費やす時間が多いこと。その時間に費やす労務費は単価の高い医療従事者である点から他の分野と比べて高額になることなどが挙げられました。このような中で佐藤URAは、大学病院の中にあるシーズ・ニーズのマッチからイノベーション創出を担うヒト・モノ・カネが揃う中で、時間を確保することの手始めとして、病院の業務で人でなくても担えるものはできる限りテクノロジーに落とし込めること、そのために病院がテクノロジーのデザイン志向を持って課題をオープンイノベーションで解決するHospital × Technologyの「HospitalTech(ホスピタルテック)」の重要性について、事例をもとに紹介しました。

対話では、病院(Hospital)の課題をテクノロジー(Technology)で解決するHospitalTechに該当する分野の洗い出しやそこに関わる法律や規則などの規制が改革のブレーキとなる面があること、医療従事者とベンチャーなどの企業との関係(特に人と人の付き合い方)などについて、さまざまな課題について議論が交わされました。さらに今回の対話の題名である「大学改革」において、大学病院が担う点がかなり大きいことが再確認され、引き続き、大学病院の改革を行うことで、引いてはそれが大学改革につながることが認識されました。

最後に挨拶した佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAは、「大学改革強化の視点から外部資金の獲得を進めることなどが言われる。この点は重要なことだが、大学病院の数ある診療科において、一診療科の運用次第で数千万~数億円の増減が出る。どれだけ外部資金を確保しても吹っ飛んでしまう額でもある。附属病院を持つ国立大学において、病院は財務上、授業料収入に次いで大きなウェートを占めることが多い。企業で言えば中核事業の一つである。企業の運命を左右する中核事業の改革を進めず、経営改革を行う企業がないのと同じように、大学改革における大学病院の改革は極めて重要であり、本学のように改革を進め、黒字化を進める大学は稀である。また大学病院には多くのシーズ・ニーズのマッチングチャンスが眠っており、その新しい開拓分野としてHospitalTechは、大学病院だけではなく、産業界にも大きなチャンスがあり、イノベーション創出の機会、引いてはわが国の産業力活性化になるのではないか」と述べ、今後、大学改革とイノベーション創出における大学病院の役割の重要性について力強くコメントしました。

いま多く注がれている大学改革の取り組みにおいて、大学病院をターゲットにしたものは非常に少なく、またその経営改革の視点としてテクノロジーを駆使した改善と経営改革を担う取り組みも稀だと思われます。多くの規制のしがらみがある分野でもありますが、シーズ・ニーズの宝が眠っている大学病院をうまく使うことで大学改革に結び付け、引いてはわが国を代表するテクノロジー、産業を創出していく可能性を切り開いていくことが重要だと思われます。



大学改革における大学病院経営の重要性と大学病院のシーズ・ニーズをさらに活かすHospitalTechについて説明する佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA

  
国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html



2014年3月28日金曜日

【産学官・異分野】イノベーションの未来を拓く処方箋12 ー クラウドファンディング(Crowdfunding)と知的財産ー

イノベーション創出が強く求められている中で、その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」を本学津島キャンパスで開催しました。

前回の第11回では、「共感から共創へ 夢を実現するクラウドファンディング(Crowdfunding)”という方法と題して対話会が開催され、わが国ではまだまだ知られていない「クラウドファンディング(Crowdfunding)」についての対話を行いました。
この対話の中では、研究や実験などの社会の人達にとっては難しいキーワードをクラウドファンディングのプロジェクトに上げ、共感を生み、資金を集める中で共創(プロジェクト共創)へと牽引する効果的なプロセスについて対話が行われました。また対話の中では、クラウドファンディングのプロジェクトにおける知的財産の取扱についても対話が広がり、第11回内では収まりきらなかったため、今回の第12回「クラウドファンディング(Crowdfunding)と知的財産」として継続して対話を行うことになりました。ファシリテーターは前回に引き続き、本学の佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAが務めました。

対話会のはじめに佐藤URAからクラウドファンディングに関係する知的財産の概要について紹介を行いました。「クラウドファンディングのプロジェクトをWeb上で公開した際、その時点でプロジェクトのアイデアは公開情報となる。つまり、特許の権利を主張することができなくなる。クラウドファンディングにおける特許、例えばアイデア特許などはプロジェクト公開前に行っておくことが原則である。またこのプロジェクトのアイデアは自分が考えたと思っていても、すでに誰かが考えており、既に特許にしているかもしれない。その場合は、相手から訴えられることもある。特に商標権の場合は厄介である」とクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げる前の知的財産の確認の重要性を説明しました。


その後の対話では、一般的なクラウドファンディングのプロジェクトから大学における、特に自然科学系研究のクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げる際の課題について議論が行われました。
議論の中では、創薬などの部分を除いたものつくり分野について検討。前回で紹介したクラウドファンディングの実施方法(寄付型、購入型、投資型、貸付型)において条件が異なることなどにも触れつつ、プロジェクトを立ち上げる際の諸規定をしっかりと明記しておく重要性について、さまざまな意見が出されました。さらには、これらの諸規定について、大学の契約担当組織・者がクラウドファンディングに対応した仕事の進め方(制度改革)を行う必要についても意見が出されました。

会の最後に挨拶した佐藤法仁URAは、「クラウドファンディングの対話会は1回で終わると思っていたが、2回シリーズとなり今回の知的財産の話だけでも、数多くの意見、対話が行われた。それだけクラウドファンディングに対する関心が高いと言えるかもしれない。クラウドファンディングはお手軽さがあるので、研究者でも手を出しやすいが、プロジェクトが成立すれば約束履行の義務が生じる。研究の場合、どこまですれば約束履行の義務が果たせたのかはプロジェクト概要に明記することだけではなく、資金を投じる多くの人たちの理解が必要である。人によっては、約束履行を果たしていないと感じる人も出てくる。そのため大学、あるいは研究者がクラウドファンディングを行う際は、大学組織として統一した取り決めなどを整備し、構成員がそれを理解しておく必要がある」と挨拶し、今後の制度改革の必要性についても述べました。

クラウドファンディングに関する対応は、岡山大学でもまだ議論がされていません。アメリカではクラウドファンディング企業であるKickstarterなどに注目が集まり、多額の投資資金を集めながら大きな成長を遂げており、その波は近いうちにわが国にも波及することでしょう。また、本格的に始動しはじめた日本のクラウドファンディング企業も触発され、わが国におけるクラウドファンディングは大きな市場となり、誰もが手軽にプロジェクトを立ち上げらえるものとなると思われます。クラウドファンディングは、本シリーズで取り上げた「オープン・イノベーション(Open Innovation)」の流れにもリンクする点ですが、今回の対話でも出された大学としてきちんとした取り決めやバックオフィスの整備が必要だと思われます。また、クラウドファンディングを行う企業との包括連携協定などを結ぶ可能性も十分に視野に入れて対応を進めることも考えられらます。今後、継続してクラウドファンディングの議論は行う必要があると思われます。

クラウドファンディングの知的財産の取扱について、事例をもとに説明する話題提供者の佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA。大学組織と教職員のクラウドファンディングに対する理解と制度改革の必要性についても紹介しました。


<過去開催>

第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html

第2回 大学発ベンチャーの“企業”としての自立化:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_25.html
第3回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(1.シリコンバレーのハブ機能):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_30.html
第4回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(2.シリコンビーチ台頭の兆し):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html
第5回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(3.イノベーション大国になりつつあるイスラエルの活動):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/3.html
第6回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(4.ニューヨークのイノベーション好循環への挑戦):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/4.html
第7回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(5.ドイツIndustry4.0の挑戦):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/01/5industrie40.html
第8回 共用スペース?いえ違います“コワーキングスペース”です:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/02/blog-post_37.html
第9回 社会問題をイノベーションで解決 “ソーシャル・イノベーション(Social Innovation)という方法:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/03/social-innovation.html
第10回 IPOやM&Aがゴールではない 持続可能なベンチャーを目指して:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/03/ipom.html
第11回 共感から共創へ 夢を実現するクラウドファンディング(Crowdfunding):https://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/03/crowdfunding.html

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html

【産学官・異分野】イノベーションの未来を拓く処方箋11 ー 共感から共創へ 夢を実現するクラウドファンディング(Crowdfunding)ー

「岡山大学シーズ・ニーズ創出強化イノベーション対話プログラム2013」では、事業の名前が意味するように「イノベーション(Innovation)」がひとつの“鍵”となっています。しかし、「イノベーション」とはどのようなものでしょうか。「イノベーション」という言葉をヨーゼフ・シュンペーターが形作ってから1世紀が経過しましたが、その時間の中でイノベーションを創出する環境はさまざまに入れ替わりました。その環境の中でイノベーションの“鍵”となるキーワードついて対話を行う会「イノベーションの未来を拓く処方箋」(第11回)を本学津島キャンパスで開催しました。

第11回目となる今回の対話のお題目は、「共感から共創へ 夢を実現するクラウドファンディング(Crowdfunding)”という方法と題して行われました。

「クラウドファンディング(Crowdfunding)」とは、「Crowd(大勢の人々)」と 「Funding(資金調達)」を組み合わせた造語です。その歴史は古く、欧米を中心に一般人や投資家、金融機関などからプロジェクトに合わせて資金を集める方法です。ソーシャル・ファンディング(Social-Funding)とも呼ばれていますが、日本では「クラウドファンディング」という名前が知られはじめています。主流はKickstarterなど、まだまだ欧米企業が現地で活動していますが、わが国でもReadyforMakuakeサーチフィールドKibidangoなど、いろいろな会社がクラウドファンディングの事業をはじめています。そのプロジェクトの中には、大学の教育や研究、国際活動などを対象にしたものも多くあります。今回の対話では、この「クラウドファンディング(Crowdfunding)」を中心に、今後クラウドファンディングがイノベーション創出への鍵となるのかについて対話する場となりました。

話題提供者は、本事業の実施責任者でもある本学学長特命(研究担当)・URAの佐藤法仁が務めました。佐藤URAは、クラウドファンディングの実施方法について、寄付型や購入型、投資型、貸付型などがある点。プロジェクトの達成方法として、All or Nothing(目標額に達成しないとプロジェクトが成立しない方法)かAll-In(集められた金額の額に限らず期間内に集められた資金でプロジェクトを成立させる方法)など、基本概要について説明。さらには、プロジェクトの成功の基本は、そのプロジェクトの魅力もさることながら「共感」を呼び、その共感として資金を投じるとともにプロジェクトを立てた人と一緒にプロジェクトを作り上げていく「共創」が重要なキーワードであることを紹介。研究力強化促進の面で、単純に研究室でやっている研究テーマをクラウドファンディングのプロジェクトにしても共感や共創を呼び込むことは難しく、「この研究をやりたいのでお金をください」ではなく、研究が社会や個人、環境などに対して「変化」をもたらし、それを感じさせることのできるテーマを絞り込むことが重要である点を紹介しました。

対話では、専門用語などの難しい言葉を使わずにプロジェクトの内容を伝えることの難しさや創薬などの完成までに長い道のりと大半が薬に結びつかない現実において、クラウドファンディングは有効な手段となりうるのかなどについて対話が盛り上がりました。
また知的財産面についての疑問が多く出されました。知財についての対話は今回の午後の部に急遽、引き続き第12回として開催することにし、課題の洗い出しを参加者らと行いました。


話題提供者の佐藤法仁URAは、「対話の中にも出てきた専門用語などの難しい言葉を使わずに相手に伝えるというのはスキルの部分でもある。例えば日頃、研究プレスリリースなどの広報をやっていない研究者にはそのスキルがない方も多い。これはバックオフィスである広報部署のサポートも重要であるが、日ごろから自分の研究をどのようにして社会に伝えて行くのか、その中で「共感」のポイントはどこに置けば、社会の人達が「共感から共創」へ心が動くのかという経験を積まなければならない。他方で、クラウドファンディングは大学の教育研究力強化促進の面でも有効な手段のひとつであることは確かだが、クラウドファンディングの資金を受け入れる大学側の財務、知財、契約などの諸々の整備も必要であり、今日の対話で洗い出された点は貴重なものだと思う」と(午前の部)の総括を行いました。

クラウドファンディングの可能性は大きいものであり、社会課題を解決することを目的として教育研究を行うことが多い大学では、親和性のある取組になるかもしれません。現在、クラウドファンディングはまだまだ一般的ではなく、そのシステムの理解が十分に社会に浸透しているとも言えません。このような状況の中で大学がいち早くクラウドファンディングの可能性を見つめ、その取り組みを実践するための、大学組織内の制度改革に取り組むことは、わがく国の寄付文化や投資文化のさらなる定着、そしてイノベーション創出の改善に大きくつながると思われます。

<過去開催>

第1回 オープンイノベーション(Open Innovation) 大学と企業の関係:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/09/open-innovation.html

第2回 大学発ベンチャーの“企業”としての自立化:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_25.html
第3回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(1.シリコンバレーのハブ機能):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/10/blog-post_30.html
第4回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(2.シリコンビーチ台頭の兆し):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html
第5回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(3.イノベーション大国になりつつあるイスラエルの活動):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/3.html
第6回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(4.ニューヨークのイノベーション好循環への挑戦):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2013/11/4.html
第7回 シリコンバレーだけじゃない世界のイノベーション創出(5.ドイツIndustry4.0の挑戦):http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/01/5industrie40.html
第8回 共用スペース?いえ違います“コワーキングスペース”です:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/02/blog-post_37.html
第9回 社会問題をイノベーションで解決 “ソーシャル・イノベーション(Social Innovation)という方法:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/03/social-innovation.html
第10回 IPOやM&Aがゴールではない 持続可能なベンチャーを目指して:http://okayama-univ-ura-sn2013.blogspot.jp/2014/03/ipom.html

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html