2017年6月30日金曜日

【情報発信】沈副所長・教授が平成29年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(研究領域提案型)」の領域代表に決定

本学異分野基礎科学研究所(RIIS)の沈建仁副所長・教授が6月30日、平成29年度科学研究費助成事業(科研費)「新学術領域研究(研究領域提案型)」の領域代表に決定しました。

同事業は、多様な研究者グループにより提案された、我が国の学術水準の向上・強化につながる新たな研究領域について、共同研究や研究人材の育成、設備の共用化等の取組を通じて発展させることを目的としています。

今回、沈教授は「光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光-物質変換系の創製」(略称:革新的光物質変換)(研究期間:平成29~33年度)の研究領域代表を務める予定です。当該領域研究では、植物などが行う天然光合成の作動原理を原子レベルで解明し、その原理を利用して太陽エネルギーの高効率変換・有用物質生産を目指した人工光合成システムの開発につなげ、社会が直面するエネルギー問題、環境問題の解決に貢献します。

今回の採択を受けて沈教授は、「これまでの私たちの研究成果が評価され、今回の研究領域の採択につながったことを大変うれしく思っています。天然光合成の分子機構はまだ十分解明されておらず、また、それを利用した人工光合成系の開発にもまだ多くの課題が残っています。本領域の研究を通して両分野を大きく発展させ、世界をリードする成果を輩出することを期待しています」とコメント。これからの5年間の研究活動に意欲を見せました。
沈教授はこれまでに光合成の酸素発生機構を原子レベルで研究することにより、光合成研究を新たな地平へと導いてきました。2011年には、水分解・酸素発生反応を引き起こす「光化学系II」タンパク質の構造を、世界最高の解像度で明らかにすることに成功し、成果がアメリカの国際科学雑誌Science『2011年に得られた科学10大成果』 の一つに選ばれるなど、国際的にも高く評価されています。

また、本年4月には、天皇皇后両陛下の御臨席のもと「平成29年(第11回)みどりの学術賞」1を受賞。光合成研究において、国内外から高い注目を集める世界トップ研究者の一人です。本学では今後も沈教授の研究ならびに高い研究力を持つ植物学分野※2の強化を戦略的に実施するとともに、異分野融合から生まれるさまざまな研究成果をもとに、私たちの生活と地球環境をより豊かにしていけるように活発な取り組みを進めていきます。

※1 みどりの学術賞
国内において植物、森林、緑地、造園、自然保護等に係る研究、技術の開発、その他の「みどり」に関する学術上の顕著な功績のあった個人に対して、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、内閣総理大臣が授与し、その功績を讃えることにより、「みどり」の大切さについて広く国民の理解を深めることを目的としています。
http://www.cao.go.jp/midorisho/(内閣府)

※2 植物学の研究力が高い岡山大学
岡山大学の強みである研究分野の一つとして植物学分野が挙げられます。文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の調査では、本学
資源植物科学研究所(IPSR)が、Top10%補正論文割合(Q値)の最も高い組織として評価されています。また「平成23年(第5回)みどりの学術賞」では、本学の佐藤公行名誉教授が受賞するなど、本学は我が国のみならず世界の植物学分野を先導し続ける「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」です。

平成29年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(研究領域提案型)」新規の研究領域について(文部科学省):
http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/kenkyuryouiki/1388066.htm


平成29年度「新学術領域研究(研究領域提案型)」に内定した沈建仁・副所長教授
 

【情報発信】松本匡史URAが「論文と特許を用いた分析事例」と題して講演

本学は「世界に伍する教育研究大学」化の推進のため、書誌情報等を活用した研究力の把握と強化に取り組んでいます。今回、書誌情報の世界的企業の一つであるクラリベイト・アナリティクス社が主催する「第5回学術シンポジウム 産学連携とオープンイノベーション~大学経営力強化に向けて~」(後援:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST))が6月30日、学士会館(東京都千代田区)で開催され、本学の松本匡史URAが登壇しました。

松本URAは、「論文と特許を用いた分析事例」と題して、特許情報を組み合わせた研究力の分析事例などについて講演。これまでの当該分析は、主に学術論文の情報を分析したものが多く、適切に把握できる研究領域が限られている欠点があり、松本URAは「論文情報と特許情報を組み合わせて実施することで、従来の方法では適切に把握できなかった領域の研究や産学連携についても、客観的なエビデンスによる把握が可能となる」と話しました。


岡山大学は、文部科学省が平成25年8月に、我が国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つです。岡山大学ではこれまでもURAによる独自の書誌情報等を用いた研究力分析やそれを活用した研究力強化及び研究戦略の策定・実行などを実施してきました。今後も基礎科学力から産学連携までを把握し、さらなる研究力強化を戦略的に進めることで、持続的に発展する「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」を目指していきます。



講演を行う松本匡史URA

2017年6月27日火曜日

【情報発信】駐日欧州連合代表部と共同で欧州助成金プログラム説明会を開催

岡山大学は6月27日、駐日欧州連合代表部(東京)と連携し、欧州助成金プログラムに関する説明会と相談会を創立五十周年記念館で開催しました。
駐日欧州連合代表部は、日本と28の加盟国からなる欧州連合間の政治や経済、文化、教育、科学などの協力、発展、強化を任務とした機関であり、科学技術部は、EU加盟国と日本の研究機関との関係調整を行いながら日欧共同研究の推進に向け支援を行っています。
本説明会には、駐日欧州連合代表部公使参事官/科学技術部長のレオニダス・カラピペリス(Leonidas Karapiperis)氏、科学技術アドバイザーのトム・クチンスキ(Tom Kuczynski)氏、広報部学術協力担当のリチャード・ケルナー (RichardKelner)氏、Euraxess日本代表 のマチュ・ピー (Matthieu Py)氏、ホライズン2020ナショナルコンタクトポイントの山田尚道氏が参加しました。

セミナーでは、日本から参画可能な欧州助成金プログラムについての説明に加え、大学院自然科学研究科の池田直教授、大学院環境生命科学研究科の舟橋弘晃研究科長・教授、ベルナール・シュヌヴィエ上級URAが、本学が参画している欧州プログラム「マリー・キュリー・アクション(MSCA)」「エラスムス(Erasmus)+」プログラムの具体的な事例を紹介。本学の留学生らも多く参加し、岡山大学で感じたこと、なぜ岡山大学に来たのかなどの体験談を紹介しました。
 

本イベントは、岡山大学国際研究力強化セミナーとして研究大学強化促進事業の取組の一環として実施し、山本進一エグゼクティブ・アドバイザーがファシリテーターを務め、個別相談を含み約80人の学生・教職員が参加しました。

同日に行われた槇野博史学長、竹内大二理事・副学長(研究担当)、神崎浩理事・副学長(国際担当)との会談では、岡山大学の国際化の取り組みや、今後の欧州との連携強化、欧州大学との学生交流、欧州プログラムへの参画等の可能性について意見交換をしました。

岡山大学は、今後も欧州助成金プログラムの「エラスムス+」「マリー・キュリー・アクション」等への参画を通して、人材交流、学生交流を活性化し、国際連携強化に取り組みます。




あいさつをするカラピペリス公使参事官


エラスムス+プログラムについて紹介する池田教授(左)とシュヌヴィエ上級URA


欧州からの留学生による発表の様子
 

欧州との連携強化に向けた取り組みなどについての意見交換
 

2017年6月20日火曜日

【情報発信】文部科学省が実施する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プランに採択

岡山大学は、文部科学省が実施する多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プランに6月20日、採択されました。

同プランは、大学間の連携による「がん医療人材養成拠点」において、各大学の特色を生かした教育プログラムを構築し、がん医療の新たなニーズに対応できる優れた「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」を養成することを目的として、平成29年度予算額15億円で運用されます。

岡山大学は「全人的医療を行う高度がん専門医療人育成」というテーマのもと、代表機関を務め、愛媛大学、香川大学、川崎医科大学、高知大学、高知県立大学、徳島大学、徳島文理大学、広島大学、松山大学、山口大学でつくる11大学連合で事業を実施します。中国・四国地方全域の大学院・がん診療拠点病院が連携した教育プログラムを構築し、がん医療の新たなニーズに対応できる優れた人材を育成します。

具体的には、各施設の特色と患者会との連携を生かしながら「ゲノム医療・高齢者・小児・希少がん・全人的医療」の領域において高度なレベルで標準化された共通コアおよびeラーニングによる域内統一カリキュラムを設計し、評価修正を行い、大学間連携と拠点間連携による、大学、分野、職種を超えた専門職教育を行います。その他、英語教育と海外先進施設との連携による国際的に活躍できる人材育成も積極的に実施していきます。

事業推進責任者を務める
本学大学院医歯薬学総合研究科の藤原俊義教授は「ゲノム医療の最先端から高齢者がん医療などの社会的課題まで、多様なニーズに対応できるがん医療専門人を育成したい」と抱負を述べました。

岡山大学は、文部科学省が平成24~28年度に実施した
「がんプロフェショナル育成基盤推進プラン」の最終評価において、最高評価であるS評価を受けるなど、がん医療に携わるがん専門医療人養成に対しての長い経験と高い実績があります。

また、岡山大学病院は、平成29年3月23日に高度な臨床研究や医師主導治験に取り組む「医療法上の臨床研究中核病院」に認定されています。認定には過去の臨床研究や治験実績、医師・看護師・薬剤師などの人員要件、診療科数・病床数・安全管理体制といった施設要件などの厳しい条件があり、これらを満たした病院の中から厚生労働大臣が認可します。中国・四国地域の医療機関の核として臨床研究を支援し、日本における臨床研究の向上に貢献し続けている本院と密に連携することで、独自性ある先導的ながん専門医療人材を養成していきます。

多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プランの選定結果(文部科学省)):
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/iryou/1386945.htm



岡山大学


岡山大学病院
 

【情報発信】文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」で最高評価Sを獲得

岡山大学などが採択されていた文部科学省「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」について、同省は平成24~28年度事業が終了した取り組みに対して実施状況や成果などを検証し、6月20日、15大学の最終評価結果を公表しました。本学は総合評価で最高の「S評価」を獲得。また、委員会からの「改善を要する点等」のコメントも、他にS評価を受けた大学の中で一番少なく、本学の取り組みが高く評価されました。

同事業は、わが国の死因第一位であるがんに対して、5年間の事業期間の間に手術療法、放射線療法、化学療法その他のがん医療に携わるがん専門医療人を養成する大学の取り組みを支援するものです。岡山大学は
「中国・四国高度がんプロ養成基盤プログラム」の名のもと、本学と愛媛大学、香川大学、川崎医科大学、高知大学、高知県立大学、徳島大学、徳島文理大学、広島大学、山口大学でつくる10大学連合(連携拠点病院数は岡山大学病院を含む37病院)の代表を務めました。

中国・四国地方の全域にわたる大学院、がんセンター、がん診療連携拠点病院が参加する多職種の高度がん専門医療人養成の教育プログラムを構築し、高度専門知識に加えて、チーム医療・リサーチマインドを身につけた全人的高度がん専門医療人を多数輩出することで、中国・四国地域におけるがん治療の均てん化、標準化を実現し、各大学、地域における臨床研究や橋渡し研究の活性化に貢献しました。

事業推進責任者を務めた
本学大学院医歯薬学総合研究科の藤原俊義教授は「学生・教員が一同に会するチーム医療合同演習からICTを活用したe-ラーニングまで、幅広く多彩な10大学の連携が評価されたものと思います」と話しました。

今後も具体的なエビデンスをもとにした独自性ある取り組みを推進するとともに、平成29年3月23日に高度な臨床研究や医師主導治験に取り組む「医療法上の臨床研究中核病院」に認定された岡山大学病院との連携を密にすることで、先導的ながん専門医療人材を養成し続けていきます。

「がんプロフェッショナル養成基盤推進プラン」の最終評価について(文部科学省)):
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/1386955.htm



岡山大学


岡山大学病院