同事業は、多様な研究者グループにより提案された、我が国の学術水準の向上・強化につながる新たな研究領域について、共同研究や研究人材の育成、設備の共用化等の取組を通じて発展させることを目的としています。
今回、沈教授は「光合成分子機構の学理解明と時空間制御による革新的光-物質変換系の創製」(略称:革新的光物質変換)(研究期間:平成29~33年度)の研究領域代表を務める予定です。当該領域研究では、植物などが行う天然光合成の作動原理を原子レベルで解明し、その原理を利用して太陽エネルギーの高効率変換・有用物質生産を目指した人工光合成システムの開発につなげ、社会が直面するエネルギー問題、環境問題の解決に貢献します。
今回の採択を受けて沈教授は、「これまでの私たちの研究成果が評価され、今回の研究領域の採択につながったことを大変うれしく思っています。天然光合成の分子機構はまだ十分解明されておらず、また、それを利用した人工光合成系の開発にもまだ多くの課題が残っています。本領域の研究を通して両分野を大きく発展させ、世界をリードする成果を輩出することを期待しています」とコメント。これからの5年間の研究活動に意欲を見せました。
沈教授はこれまでに光合成の酸素発生機構を原子レベルで研究することにより、光合成研究を新たな地平へと導いてきました。2011年には、水分解・酸素発生反応を引き起こす「光化学系II」タンパク質の構造を、世界最高の解像度で明らかにすることに成功し、成果がアメリカの国際科学雑誌Scienceの『2011年に得られた科学10大成果』 の一つに選ばれるなど、国際的にも高く評価されています。
また、本年4月には、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、「平成29年(第11回)みどりの学術賞」※1を受賞。光合成研究において、国内外から高い注目を集める世界トップ研究者の一人です。本学では今後も沈教授の研究ならびに高い研究力を持つ植物学分野※2の強化を戦略的に実施するとともに、異分野融合から生まれるさまざまな研究成果をもとに、私たちの生活と地球環境をより豊かにしていけるように活発な取り組みを進めていきます。
※1 みどりの学術賞
国内において植物、森林、緑地、造園、自然保護等に係る研究、技術の開発、その他の「みどり」に関する学術上の顕著な功績のあった個人に対して、天皇皇后両陛下の御臨席のもと、内閣総理大臣が授与し、その功績を讃えることにより、「みどり」の大切さについて広く国民の理解を深めることを目的としています。http://www.cao.go.jp/midorisho/(内閣府)
※2 植物学の研究力が高い岡山大学
岡山大学の強みである研究分野の一つとして植物学分野が挙げられます。文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の調査では、本学資源植物科学研究所(IPSR)が、Top10%補正論文割合(Q値)の最も高い組織として評価されています。また、「平成23年(第5回)みどりの学術賞」では、本学の佐藤公行名誉教授が受賞するなど、本学は我が国のみならず世界の植物学分野を先導し続ける「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」です。
平成29年度科学研究費助成事業「新学術領域研究(研究領域提案型)」新規の研究領域について(文部科学省):http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/kenkyuryouiki/1388066.htm
平成29年度「新学術領域研究(研究領域提案型)」に内定した沈建仁・副所長教授
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