2017年7月28日金曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.42 発行

岡山大学は7月28日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.42を発行しました。

2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。国際科学雑誌「Science」を扱うAAAS(米国科学振興協会)のメーリングリストを利用し、世界の研究者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、自然生命科学研究支援センターゲノム・プロテオーム解析部門の宮地孝明准教授と加藤百合特任教授らが解明した骨粗鬆症治療薬クロドロン酸が慢性疼痛に効く作用メカニズムについて取り上げています。

宮地准教授と加藤特任助教らは、骨粗鬆症治療薬である「クロドロン酸」が分泌小胞内にATPを運ぶ輸送体(VNUT)を阻害することで、神経因性疼痛や炎症性疼痛、さらには慢性炎症を改善できることを世界で初めて突き止めました。

慢性疼痛の罹患者は世界の人口の20~25%であると言われていますが、副作用の少ない効果的な鎮痛薬は開発されていません。本研究成果により、輸送体を標的とした全く新しいタイプの鎮痛薬・抗炎症薬を提案することができました。また、クロドロン酸は欧米では既承認医薬品であるため、ヒトでの安全性も実証されています。ドラッグリポジショニングにより、開発期間の短縮・開発コストの軽減等が可能になり、より早く研究成果が社会還元できると期待されます。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施しています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.42:Potential drug for treating chronic pain with few side effects


<Back Issues:Vol.35~Vol.41>
Vol.35:Potential cause of Lafora disease revealed (大学院自然科学研究科(工学系)佐藤あやの准教授)
Vol.36:Overloading of protein localization triggers cellular defects (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.37:Protein dosage compensation mechanism unraveled (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.38:Bioengineered tooth restoration in a large mammal (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)
Vol.39:Successful test of retinal prosthesis implanted in rats (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.40:Antibodies prolong seizure latency in epileptic mice (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)西堀正洋教授)
Vol.41:Inorganic biomaterials for soft-tissue adhesion (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)


<参考>
Okayama University e-Bulletin//www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/




本号で紹介した研究成果を担当した宮地孝明准教授と加藤百合特任助教(右)

国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています
 

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