<発表のポイント>
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瀬戸内海の自然海岸にひっそりと生息している腸がない不思議な生き物「ナイカイムチョウウズムシ」の感じる仕組みに、動かない「毛」が関係していることが分かりました!
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たった2mmの体長で、この動かない「毛」を頼りに、障害物をよけ、暑い寒いを感じ、美味しい不味いを判断、なんとそこにヒトの病気に関係する遺伝子の関与が明らかとなりました!
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ヒトを含めた左右相称動物の進化の大本(ご先祖様)となる本種の環境応答機構を調べることで、あらゆる動物が持っている感覚の起源に迫ることができるかもしれません!
◆概 要
国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)大学院環境生命科学研究科博士後期課程の坂上登亮大学院生と岡山大学学術研究院教育学域(生命科学領域)の安藤元紀教授の研究グループは、無腸動物に備わる感覚に着目し、新しい研究手法を開発、本種が有する刺激受容機構に関与する分子基盤の一端を明らかにしました。
研究成果は2024年2月2日、国際誌「Cell and Tissue Research」(Springer Nature)の電子版に掲載されました。
無腸動物は体腔・肛門を欠損する体制を有し、系統進化学的には左右相称動物の起源に位置していることから世界的に大きな注目を集めています。本研究で用いた無腸動物「ナイカイムチョウウズムシ」は瀬戸内海沿岸に生息する固有種で、一般にはほとんど知られていません。
本研究では、本種に備わる感覚器と脳・神経系の関係、それらの機能を担う分子的基盤を明らかにしました。表皮感覚細胞では新たな構造体を発見し、その関連分子として我々ヒトを含めた多くの動物に備わる一過性受容体電位型(TRP)チャネル遺伝子群の発現が確認されました。特に注目すべき分子としてヒトの病気に関わるTRP polycystin(PKD2)の発現が認められ、この分子を介して外部環境の変化を感知し、脳・神経系を介して情報伝達されることが予想されます。
今後の研究の進展により、無腸動物が有する表皮感覚細胞を介した刺激受容応答機構の全貌が明らかとなり、左右相称動物の感覚の起源に遡る分子機構の解明が期待されます。
◆安藤元紀教授からのひとこと
坂上さんを中心に研究室一丸となって取り組んできた研究成果の2報目の論文となります。無腸動物研究にどっぷりはまり、通学中の電車の車窓(瀬戸大橋線)から体長2mmの無腸動物の生息場所を見つけてしまう人智を超えた能力を獲得してしまった坂上さんです。謎がいっぱいの無腸動物(と坂上さん)に興味を持たれた方は是非ご連絡ください!我々といっしょに、五感を研ぎ澄まし研究しましょう!
◆論文情報
論 文 名:Structure of putative epidermal sensory receptors in an acoel flatworm, Praesagittifera naikaiensis.
掲 載 紙:Cell and Tissue Research
著 者:Tosuke Sakagami, Kaho Watanabe, Mayuko Hamada, Tatsuya Sakamoto, Toshimitsu Hatabu, Motonori Ando
D O I:10.1007/s00441-024-03865-y
U R L:https://link.springer.com/article/10.1007/s00441-024-03865-y
◆研究資金
本研究は、科研費特別研究員奨励費(22KJ2308)、水産無脊椎動物研究所個別研究助成(KO2021-05)および特別電源所在県科学技術振興事業における大学等委託研究事業の一部支援を受けて実施しました。
◆詳しい研究内容について
腸がない「無腸動物」の感じるしくみ~ナイカイムチョウウズムシの動かない「毛」の役割~
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240222-3.pdf
◆参 考
・岡山大学教育学部・大学院教育学研究科
https://edu.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学大学院・教育学研究科・自然教育学系・理科教育講座 細胞生理学研究室(動物学)
https://edu.okayama-u.ac.jp/~rika/cell_physiology/index.html
◆参考情報
・【岡山大学】原生生物有中心粒太陽虫における生物界最速の細胞運動機構の解明 ~細胞の屋台骨「微小管」が一瞬で消失してしまう謎?~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001132.000072793.html
・【岡山大学】岡山と世界を繋ぐ「無腸動物」の不思議! ~ナイカイムチョウウズムシの環境応答機構の解明~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000065.000072793.html
◆本件お問い合わせ先
岡山大学 学術研究院 教育学域(生命科学領域)教授 安藤元紀
TEL:086-251-7753
FAX:086-251-7755
https://edu.okayama-u.ac.jp/~rika/cell_physiology/index.html
<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
TEL:086-251-8463
E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/
岡山大学メディア「OTD」(アプリ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000072793.html
岡山大学メディア「OTD」(ウェブ):https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000215.000072793.html
岡山大学統合報告書2023:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001926.000072793.html
岡山大学SDGsホームページ:https://sdgs.okayama-u.ac.jp/
岡山大学SDGs~地域社会の持続可能性を考える(YouTube):https://youtu.be/Qdqjy4mw4ik
岡山大学Image Movie (YouTube):https://youtu.be/pKMHm4XJLtw
産学共創活動「岡山大学オープンイノベーションチャレンジ」2024年2月期共創活動パートナー募集中:
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001972.000072793.html
岡山大学「THEインパクトランキング2021」総合ランキング 世界トップ200位以内、国内同列1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000070.000072793.html
岡山大学『大学ブランド・イメージ調査2021~2022』「SDGsに積極的な大学」中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000373.000072793.html
岡山大学『企業の人事担当者から見た大学イメージ調査2022年度版』中国・四国1位!!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html
国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています。地域中核・特色ある研究大学として共育共創を進める岡山大学にご期待ください
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岡山大学 文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に採択~地域と地球の未来を共創し、世界の革新の中核となる研究大学:岡山大学の実現を加速とともに世界に誇れる我が国の研究大学の山脈を築く~
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002026.000072793.html
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