2016年5月31日火曜日

【情報発信】ミャンマー国会議員団が来学

ミャンマー日本友好国会議員団の7名が5月11日、同国の人材育成支援を要請するため、医療分野において長年にわたり支援の実績がある本学を訪問しました。


森田学長は会談で、本学における約20年間にわたるミャンマーの医療系人材育成支援をはじめとして、文部科学省及びJICAの人材育成支援プロジェクトを実施してきた経緯を述べ、「日本とミャンマー両国の交流の促進やさらなる発展につなげていきたい」と話しました。


議員団の代表のティン・アウン議員(下院教育部会部会長)は、「国民の教育の定着及び水準の向上は国の優先課題であり、また、労働者の職業訓練教育も必要としている。岡山大学には、これまでミャンマーから多くの留学生を受け入れてきた経験から、医療分野とその他の分野における人材育成の協力を引き続きお願いしたい」と話しました。


ミャンマー国会議員団は、本学が推進しているミャンマー人材育成支援のプロジェクトの説明を受けた後、ミャンマーの留学生が多く在籍する工学部のナノデバイス・材料物性学研究室を訪問。林靖彦教授と大学院教育についての意見交換をした後、医学部生化学研究室を視察し竹居孝二教授の説明を受けました。


岡山大学は、文部科学省のミャンマー留学コーディネーター配置事業を受託し、同国からの留学生を多数受け入れています。本年3月11日には、本学が中心となり多数の大学・企業・各省庁と連携したオールジャパンの体制で、ミャンマーにおける人材育成支援のための枠組み「ミャンマー人材育成支援産学官連携ぷらっとフォーム」を設立し、ミャンマーにおける人材育成支援に積極的に取り組んでいます。

【本件問い合わせ先】
グローバル・パートナーズ 国際企画課
TEL:086-251-8326 

 

森田学長(右から9人目)らの歓迎を受けた議員団
 

【情報発信】企業が目指す新事業と知的財産とは 知財フォーラム2016 第1回を開催

岡山大学研究推進産学官連携機構知的財産本部は5月23日、企業が目指す新事業と知的財産について考える「岡山大学知財フォーラム2016 第1回」を、創立五十周年記念館で開催しました。
フォーラムでは、サッポロビール株式会社技術知財戦略部の長原静華課長代理が「食品業界における知財活動」をテーマに、企業における知的財産の活用や本学との共同の取り組みなどについて講演しました。

また、株式会社デンソー新事業推進室の渥美欣也事業企画担当部長が、「バイオマスを利用した微細藻類に関する研究開発の現状」と題して、新規事業の立ち上げや未来を見据えた事業展開について具体例を挙げながら紹介。参加した教職員、学生、企業などの関係者らとともに、知的財産の取り扱いや事業開発について熱心に対話しました。

<昨年度の知財フォーラム>
 知財フォーラム2015 第1回:
国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)が進める新しい医療の実現とあるべき知的財産
 知財フォーラム2015 第2回:革新的で新しい価値を創り出すために
知財フォーラム2015 第3回:医薬品産業における知的財産戦略~TPP大筋合意の影響を含めて~

【本件お問合わせ先】
研究推進産学官連携機構 知的財産本部
TEL:086-251-8472



渡邊本部長による開会あいさつ
 

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5784.html


 

2016年5月30日月曜日

【情報発信】新型の超伝導体「トポロジカル超伝導体」を実験的に証明-量子コンピューターへの応用が期待-

岡山大学大学院自然科学研究科(理)の鄭 国慶(テイ コクケイ)教授、俣野 和明(マタノ カズアキ)助教らの共同研究グループは、六角形構造を有する物質CuxBi2Se3の超伝導状態を核磁気共鳴法を用いて測定。CuxBi2Se3がトポロジカル超伝導体という“新型の超伝導体”であることを世界で初めて実験的に証明しました。
本研究成果は5月30日、英国の科学雑誌「Nature Physics」のArticleとして電子版に掲載されます。また、本研究成果についての解説記事も印刷体版に掲載される予定です。

トポロジカル超伝導は従来の超伝導とは違い、表面と内部で異なる超伝導物性を持っています。この特殊な表面状態は次世代のコンピューターとされる量子コンピューターへの応用が期待されています。これまで、トポロジカル超伝導体は理論的に存在が期待されていましたが、実験的に証明することはできていませんでした。

本研究成果はトポロジカル超伝導だけでなく、超伝導研究全般にも重要な知見を与えるものと期待されます。
 
 
<本研究のポイント>
  • トポロジカル超伝導体の存在が理論的に期待されていたが、これまで実験的に証明することはできていなかった
  • 六角形構造を有する物質CuxBi2Se3において、トポロジカル超伝導状態を発見。“新型の超伝導体”を世界で初めて実験的に証明することに成功した。
  • 表面の特殊な超伝導状態を利用することで、量子コンピューターなどの次世代デバイスへの応用が期待される。

左図:トポロジカル超伝導体CuxBi2Se3の結晶構造


 
<詳しい研究内容について>
新型の超伝導体「トポロジカル超伝導体」を実験的に証明―量子コンピューターへの応用が期待―

<論文情報>
論文名:Spin-Rotation Symmetry Breaking in the Superconducting State of CuxBi2Se3
    「CuxBi2Se3の超伝導状態におけるスピン回転対称性の破れ」
掲載誌:Nature Physics  DOI: 10.1038/NPHYS3781
掲載日:平成28年5月31日(火)午前0時 (ロンドン時間5月30日午後4時)
著 者:俣野和明, Markus Kriener, 瀬川耕司, 安藤陽一, 鄭国慶

発表論文はこちらからご確認いただけます。

http://www.nature.com/nphys/index.html


<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(理)
教授 鄭 国慶
助教 俣野 和明
(電話番号)086-251-7821
(FAX番号)086-251-7830

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id396.html

2016年5月26日木曜日

【情報発信】文部科学省・小松弥生研究振興局長らが来学

文部科学省の小松弥生研究振興局長ら6人が5月16日、本学を訪問しました。森田潔学長との懇談後、山本進一理事・副学長(研究担当)が、本学の研究分野の現状と今後の研究推進方策について説明。内容について質疑応答を行うとともに、学術振興のため今後実施すべき政策について活発な意見交換を行いました。


続いて、異分野基礎科学研究所の久保園芳博所長、沈建仁教授、笹尾登教授、自然生命科学研究支援センターの多田宏子教授らの研究室を視察。小松局長らは、各研究者からの説明に熱心に耳を傾け、研究内容について質問していました。

【問い合わせ先】
研究交流部研究交流企画課
TEL:086-251-7115



森田学長を訪問した小松局長(左から2人目)
 

2016年5月24日火曜日

【情報発信】オオムギの休眠を制御する新たな仕組みを発見 -降雨による収穫前の発芽防止が可能に-

岡山大学資源植物科学研究所の佐藤和広教授、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の小松田隆夫主席研究員らの国際共同研究グループは、オオムギの発芽を一定期間休止させる主要な種子休眠性遺伝子「Qsd1(キューエスディーワン)」の配列を特定。Qsd1が種子の胚の中で特異的に作用し、植物種子の休眠性では報告のないアラニンアミノ酸転移酵素を制御することで、休眠をコントロールする仕組みを世界で初めて突き止めました。
また、300品種余りの遺伝子配列の比較解析によって、イスラエル付近(南レバント)の野生オオムギから醸造用のオオムギ(休眠の短い品種)の祖先が起源し、その後その中から、ビールなどの麦芽製造の際に休眠の短い突然変異品種が選抜され、世界各地に伝わった歴史も判明しました。本研究成果は5月18日(英国時間午前10時)、「Nature Communications」電子版に公開されました。
現在、世界で栽培されているオオムギは、地域やその用途によって種子休眠の長短に大きな差があります。ビールやウイスキー用のオオムギは、醸造を効率的に行うため、休眠が短く、一斉に発芽するものが適しています。一方、日本や北欧など収穫期に雨の多い地域では、休眠が短い品種などで、穂についたまま芽の出る穂発芽(ほはつが)が発生。農業生産に大きな損害が出ています。
オオムギの休眠性を制御することは、オオムギの生産や醸造業にとって極めて重要な課題です。本研究成果によって、オオムギ品種の遺伝子配列の差を利用した種子休眠の調節が可能になり、穂発芽の防止や麦芽醸造に適したオオムギの品種開発が進むと大いに期待されます。


<本研究のポイント>
①オオムギの発芽を一定期間休止させる主要な種子休眠性遺伝子「Qsd1」の配列を特定した。本遺伝子は、これまで植物種子の休眠性では報告のないアラニンアミノ酸転移を制御し、種子の胚のみで特異的に作用することで休眠をコントロールしていた。
②醸造用のオオムギは、ビールやウイスキー用の麦芽醸造の際に休眠性の短い突然変異品種が選抜され、世界各地に伝わった歴史を持つことが判明した。
③穂発芽(ほはつが)の防止や、麦芽製造に適したオオムギの開発が可能となる。



休眠型(左)と非休眠型(右)の遺伝子のみが異なるオオムギ系統の5週間後の発芽
受精後19日目の野生オオムギの種子。分子交雑で着色した休眠性遺伝子が、写真右上の胚で作用している。


 
<詳しい内容について>
オオムギの休眠を制御する新たな仕組みを発見 -降雨による収穫前の発芽防止が可能に-

 【論文情報】
論  文  名: Alanine aminotransferase controls seed dormancy in barley
発  表  誌: Nature Communications

著    者: Kazuhiro Sato*1, Miki Yamane1, Nami Yamaji1, Hiroyuki Kanamori2, Akemi Tagiri2, Julian G. Schwerdt3, Geoffrey B. Fincher3, Takashi Matsumoto2, Kazuyoshi Takeda1, and Takao Komatsuda2 (*責任著者)
1 Institute of Plant Science and Resources, Okayama University, 710-0046 Kurashiki, Japan (岡山大学資源植物科学研究所)
2 National Institute of Agrobiological Sciences, 305-8602 Tsukuba, Japan
(農業生物資源研究所、現:農研機構)
3 ARC Centre of Excellence in Plant Cell Walls, School of Agriculture, Food and Wine, University of Adelaide, Waite Campus Glen Osmond, SA 5066, Australia(豪・アデレード大)
D  O  I: 10.1038/NCOMMS11625
発表論文はこちらからご確認いただけます

【問い合わせ先】
 国立大学法人岡山大学資源植物科学研究所 教授 佐 藤 和 広
(電話番号)086-434-1244 

 農研機構次世代作物開発研究センター 主席研究員 小松田 隆 夫
                   上級研究員 中 村 信 吾
(電話番号)029-838-7482


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id394.html

2016年5月22日日曜日

【情報発信】カナダ政府の大臣が来学 理事らと会談、新研究所を視察

G7倉敷教育大臣会合に出席するカナダ連邦政府のメアリーアン・ミハイチャック雇用・労働力開発・労働大臣らが5月13日、本学を訪問し、荒木勝理事・副学長(社会貢献・国際担当)らと会談したほか、異分野基礎科学研究所を視察しました。


メアリーアン・ミハイチャック大臣やカナダ連邦政府関係者と荒木理事らが、附属中央図書館の岡山県産ヒノキの香り漂う落ち着いたエリア「サルトフロレスタ」で会談。荒木理事が、本学とカナダの大学が活発に交流していることを説明しました。本学とカナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)が、UBCの長期インターンシップ「Co-op プログラム」の一環として「Co-op in Okayamaプログラム」を行っていることや、2015年には最初のインターンシップ生をUBCから受け入れたことなどを紹介しました。また同プログラムでは、県内企業でインターンシップを行うことから、銘建工業株式会社の安東慎吾取締役総務部長や、倉敷木材株式会社の大久保陽平代表取締役社長によるプログラムの説明なども行われました。同プログラムに参加した文学部3年の瀬﨑景己さんも出席しました。


また、大臣一行は、本学の強みである「物理学」と「基礎生命科学」の研究基盤を強化するために4月に新設した異分野基礎科学研究所を視察。久保園芳博研究所長や、田中秀樹大学院自然科学研究科長と懇談しました。久保園研究所長による同研究所の概要説明のほか、研究の様子や研究発表などを見学しました。
岡山大学がカナダの大学と活発に交流していることや、「スーパーグローバル大学創成支援(Top Global University Project)」採択校として国際的な「実践人」育成にも力を注いでいることなどから、大臣来訪となりました。

〇Co-opプログラム

UBCでは、5 年間の修学期間の間に 3回以上の長期インターンシップを行う Co-op プログラムを実施しています。同プログラムは学生が専門教育の知見を実務経験で確認し、就業体験を勉学にフィードバックすることで専門知識の習得を促進します。

【問い合わせ先】
総務・企画部総務課
TEL:086-251-7005




カナダ政府と本学の関係者



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5770.html

2016年5月20日金曜日

【情報発信】グラフェンと有機合成を同時に行う新たな合成法を発見

岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太准教授らの研究グループは、非常に薄い炭素シート(酸化グラフェン)と、有機化合物(ベンゼン類)を混合すると、グラフェンの形成反応とベンゼン類の炭素―水素(C-H)結合の活性化反応が同時に起こることを見いだしました。本研究成果は5月16日(英国時間午前10時)、イギリスの科学雑誌『Scientific Reports』のAccepted Articleにオンライン速報として掲載されました。
 
これまで同様のC-H結合の活性化反応を行うためには、金属酸化物や超原子価ヨウ素などが必要で、反応後にはこれらの還元体が副生成物として生じるという問題がありました。
 
本成果によるC-H結合の活性化反応は、有用なグラフェンを得つつ、機能性有機分子を合成することができます。さらに、酸化グラフェンやグラフェンは固体であるため簡便に除去でき、医薬品や有機電子材料など、超高純度が求められる化合物の合成に適したC-H結合の活性化剤になると期待されます。本研究成果は特許出願済であり、現在、工業化などの社会実装に向けた取り組みを進めています。
 
 
 図:C-H活性化反応とグラフェン形成の同時進行 

<詳しい研究内容について>
グラフェンと有機合成を同時に行う新たな合成法を発見

【論文情報】
掲  載  誌:Scientific Reports

論文タイトル:Concurrent Formation of Carbon–Carbon Bonds and Functionalized Graphene by Oxidative Carbon-Hydrogen Coupling Reaction著    者:Kumika Morioku, Naoki Morimoto, Yasuo Takeuchi and Yuta Nishina*
発表論文はこちらからご確認いただけます

【問い合わせ先】
岡山大学異分野融合先端研究コア
准教授 仁科 勇太
(電話番号)086-251-8718
(FAX番号)086-251-8718


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id392.html

2016年5月16日月曜日

【情報発信】細く、しなやかな人工筋肉の大学発ベンチャーを設立

東京工業大学と岡山大学の両大学発のベンチャー企業s-muscle (エスマスル)が4月1日に誕生し、細径人工筋肉の販売を開始します。従来にはない、細く、しなやかな人工筋肉で、軽く柔らかく着心地のよいサポートスーツなど福祉介護用具実現のキーデバイスとなるものです。


7月より関連メーカーや研究機関にサンプル出荷を開始、用途開拓と実用化を進め、来年春には普及用人工筋肉を量産、提供する計画です。

東京工業大学と岡山大学の両大学発のベンチャー企業 s-muscle (エスマスル、本社 岡山県倉敷市、代表取締役:鈴森康一)が4月1日に誕生し、空気圧で動作する細径人工筋肉の販売を開始します。外径が2mm~5mmと従来の人工筋肉に比べてはるかに細くしなやかなため(従来市販されているものは外径が10~40mm程度)、これを筋繊維として編み込むことで、軽く、柔らかく着心地のよい介護福祉用サポートスーツやコルセットの実現が期待できます。また、人間と同じようななめらかな動きを行う人型ロボットや超軽量ロボットなど、新しいロボット、福祉機器のブレイクスルーとなりうる「人工筋肉」です。7月より人工筋肉のユーザーメーカーや研究機関にサンプル出荷を開始し、用途開拓と実用化を進め、来年度を目標にネット販売を通じた一般の小口ユーザーへの販売も始める計画です。

この人工筋肉は東京工業大学工学院の鈴森康一教授と岡山大学大学院自然科学研究科の脇元修一准教授らが中心となって、平成23年より研究を進めてきました。その過程でアパレル、福祉介護機器、ロボット等に関する多くのメーカーや研究機関から、この人工筋肉を使いたいとの要望を受け、鈴森教授、脇元准教授に株式会社池田製紐所(本社岡山県倉敷市、代表:清板祝士)、株式会社コガネイ(本社、東京都小金井市、社長:岡村吉光)が協力して、会社設立に至りました。

 <詳しい内容について>
細く、しなやかな人工筋肉の大学発ベンチャーを設立

 【問い合わせ先】
岡山大学 広報・情報戦略室
TEL: 086-251-7292 

FAX: 086-251-7294

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id393.html

2016年5月14日土曜日

【情報発信】馬建鋒教授、山地直樹准教授に「Highly Cited Researchers 2015」認定証を授与

トムソン・ロイター社が科学研究の各分野において、その年の最も注目を集めた研究者を選定する「論文の引用動向分析による、影響力の高い科学者(Highly Cited Researchers)」(2015年)に、資源植物科学研究所(IPSR)の馬建鋒教授、山地直樹准教授が選出され、4月27日、認定証の授与式が本学にて行われました

「高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)」は、科学研究の各分野において高い影響力を持つ科学者を論文の引用動向から分析したもので、今回は全世界で3,126人の科学者が選出され、日本の研究者は80人が選出されています。本学から「Highly Cited Researchers」に選出されたのは今回が初めてであり、1度に2人の選出は極めて画期的なことです。
授与式には、トムソン・ロイター社を代表して三輪唆矢佳アカウントマネージャーが参加。本学からは森田潔学長、山本進一理事・副学長(研究担当)、森川研究推進副本部長、リサーチ・アドミニストレーター(URA)が参加しました。今回の授与にあたり森田学長は、「本学からHighly Cited Researchersに選出されるほどの秀逸な研究者を一度に2名も認定されるのは、大変誇りに思います。馬教授、山地准教授のさらなる活躍を期待しています」と激励しました。
馬教授と山地准教授らはこれまでに、植物が受けるさまざまなストレスのうち、栄養不足や有害金属の過剰などを含むミネラルストレスに対して植物が持つ耐性機構の解明に取り組んでいます。特に植物がどのようにして生育に必要な栄養分を獲得し、各器官へ輸送するか、また有害な金属をいかにして無毒化するかについて圃場レベルから遺伝子レベルまでの研究を精力的に行っており、この世界を先導する研究成果が今回の選出につながったと思われます。
岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。これまでに強みある分野の研究力強化・促進を戦略的かつ精力的に行ってきており、文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の報告資料「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2015」でTop10%補正論文数(研究の質)の伸び率が全国第2位、ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)のレポート「Nature Index 2016 Japan」で高品質論文数の伸び率が全国第2位、トムソン・ロイター社がわが国全大学で実施した「インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキング」で第10位(研究機関で13位)にランクインするなど、目覚ましい成果を出しています。これらの成果には、馬教授と山地准教授らの秀逸な研究成果も大きく寄与しています。今後、本学の強み領域のひとつである植物分野のさらなる強化・促進を進め、世界をリードし、かつ社会に研究成果を還元できる研究大学として運営強化を図っていきます。

論文の引用動向分析による、影響力の高い科学者(トムソン・ロイター社):
http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2016/Scientific-Minds-2015/

【本件問い合わせ先】
資源植物科学研究所 教授 馬 建鋒
TEL:086-434-1209



授与式の様子
 

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5750.html

 

2016年5月13日金曜日

【情報発信】温泉微生物の光受容体タンパク質の構造を決定-安定化原理の解明と光遺伝学への応用-

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の塚本卓助教、須藤雄気教授、千葉大学大学院理学研究科の水谷健二助教、村田武士教授らの共同研究グループは、高温の温泉にすむ微生物から初めて発見された、光受容体レチナールタンパク質「サーモフィリックロドプシン(TR)」の立体構造を解明しました。さらに、高い安定性をもたらす分子メカニズムの解明と、高い安定性を生かした神経活動の光制御にも世界で初めて成功しました。本研究成果は4月18日、アメリカ生化学・分子生物学会誌『The Journal of Biological Chemistry』電子版に掲載されました。

本研究成果は、タンパク質の熱耐性メカニズムの理解や、光による脳神経活動の制御技術の発展につながります。今後は、本タンパク質の熱耐性メカニズムを応用することで、不安定で研究の難しいタンパク質を安定化する技術の開発が期待されます。
 
 
TRの結晶(左図、写真)を作成し、X線回折データを解析することによって、TRの立体構造を明らかにした(中央、右図)。

 <詳しい研究内容について>
温泉微生物の光受容体タンパク質の構造を決定-安定化原理の解明と光遺伝学への応用-

 【論文情報】
掲  載  誌:The Journal of Biological Chemistry
論文タイトル:“X-ray Crystallographic Structure of Thermophilic Rhodopsin: Implications for High Thermal Stability and Optogenetic Function”
(サーモフィリックロドプシンのX線結晶構造:熱耐性メカニズムとオプトジェネティクスへの応用可能性の示唆)
著    者:Takashi Tsukamoto, Kenji Mizutani, Taisuke Hasegawa, Megumi Takahashi, Naoya Honda, Naoki Hashimoto, Kazumi Shimono, Keitaro Yamashita, Masaki Yamamoto, Seiji Miyauchi, Shin Takagi, Shigehiko Hayashi, Takeshi Murata and Yuki Sudo.
発表論文はこちらからご確認いただけます

【問い合わせ先】
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)
教授 須藤雄気
(電話番号)086-251-7980


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id397.html

2016年5月12日木曜日

【情報発信】森田学長が内閣府「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の行動宣言に賛同

本学の森田潔学長が4月25日、内閣府が進めている「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」の行動宣言に賛同しました。

この行動宣言は平成26年3月、首相官邸で「輝く女性応援会議」を開催し、各地域・分野で、輝く・輝こうとする女性たちを応援していくムーブメントがスタートしたことに端を発しています。同年6月には、これまで女性の活躍に積極的に取り組んできた各界の男性リーダーが集まり、具体的な活動指針を定めた「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言を策定・公表しました。行動宣言では「自ら行動し、発信する」「現状を打破する」「ネットワーキングを進める」の三つの柱があり、男性リーダーがさまざまな女性の意欲を高め、その持てる能力を最大限発揮できるよう、具体的に取り組んでいくことを宣言しています。

今回の行動宣言の賛同には、岡山県・市の自治体、企業のリーダーらも賛同しており、岡山の地を挙げて「輝く女性の活躍」を加速することになります。今後、これまでの取り組みだけではなく、行動宣言など国の政策ともさらに密に連携し、かつ実行性のある取り組みを他地域に先駆けて取り組めるようにします。


岡山大学では、平成21年1月に多様な職員が持つ力を最大限発揮することができるようにするために
「ダイバーシティ推進本部」を設置し、同年10月には「岡山大学ダイバーシティポリシー」を策定しています。同推進本部男女共同参画室では、大学におけるダイバーシティ推進にとって欠くことができない理系分野での女性研究者の増加、さらに上位職における女性比率の増加を図るために、女性教員の雇用、女性研究者のサポート体制整備、意識啓発・広報活動などに取り組んでいます。
本学は、平成27年度文部科学省科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ事業(特色型)の採択を受け、今後さらに質の高い女性研究者の雇用・育成と、その持続性を図る仕組みを構築するなど、ダイバーシティ推進体制の構築を目指しています。

同推進本部次世代育成支援室では、本学が子育てをしやすい組織になるように積極的に環境整備を整えていくとともに、産学官が密に連携した支援の一つとして、普段はなかなか伝えることのできない親への感謝の気持ちを伝える論文コンクール「仕事を続けてくれてありがとう -子から親へのエール-」の実施なども行っています。

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言(内閣府):
http://www.gender.go.jp/policy/sokushin/male_leaders.html

岡山大学ダイバーシティ推進本部男女共同参画室:http://okayama-u-diversity.jp/gender-equality-room/

【本件問い合わせ先】
ダイバーシティ推進本部 男女共同参画室
TEL:086-251-7303
 

内閣府「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言に賛同した森田学長
 

【情報発信】IoT、AIなどの情報化社会の基盤となるセキュリティ研究の強化促進を目指して~第27回フューチャーセッションを開催~

岡山大学大学院自然科学研究科(工学系)セキュア無線方式学研究室の野上保之准教授らの「岡山大学セキュリティ研究グループ」は4月27日、「第27回フューチャーセッション」を津島キャンパスで開催しました。

今回のセッションは、本学セキュリティ研究グループの研究力強化促進をさらに図ることなどを目的に開催され、特別講演ではフランスの
レンヌ第一大学からデュケン・シルバン(Duquesne Sylvain)教授を招聘。「楕円ペアリング暗号のための大きな整数計算を効率化する手法」と題して、大きな整数による四則演算を計算機を用いて効率よく行うための最新の研究成果を紹介しました。

本学の説明者とテーマは以下のとおりです。
■大学院自然科学研究科博士課程1年 カアンダカル・エムディ・ アルアミン(Md.Al-Amin Khandaker)『ペアリング暗号に用いられるベクトル空間における計算の効率化について』
■同研究科修士課程1年 アルシャド・エムディ・アリ(Md. Arshad Ali)『セキュリティ応用のための擬似符号付き二値乱数の生成法について』
栗林稔准教授『放送型のコンテンツ配信システムにおいて、不正コピーを作成して流通させた場合、その不正者を特定できる手法や不正コピー作成に供与したユーザを特定し、なるべく多く検挙するための検出方法ついて』
五百旗頭健吾助教『暗号機器へのサイドチャネル攻撃の概要と電磁的情報漏洩挙動のモデリングならびにシミュレーション技術について』
それぞれが、インターネットやSNSが普及した情報化社会において、個人・企業情報を守る技術やサイバー犯罪撲滅への糸口となる研究開発について分かりやすく紹介し、参加した学生や教職員、URAらと情報化社会や将来のIoT(Internet of Things)1)や人工知能(Artificial Intelligence:AI)、バーチャルリアリティ(Virtual Reality:VR)などが普及した社会におけるサイバーセキュリティのあり方について熱心に対話を行いました。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した
「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。

また、国の「第5期科学技術基本計画」を柱とした科学技術・イノベーション政策では、サイバー空間とフィジカル空間(現実社会)が⾼度に融合した「超スマート社会」を未来の姿として共有し、その実現に向けた⼀連の取り組み「Society 5.0」を強力に推進している中で、サイバーセキュリティは重要なポイントとなります。今回のセッションで得られた最先端の知見やアイデアを最大限に利活用し、より良い社会の実現に向けて今後も研究力強化促進や国との政策連携などを精力的に行っていきます。

なお本セッションは、
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の平成28年度「海外研究者招へい」事業(受入責任者:大学院自然科学研究科(工学系) 野上保之准教授)の支援および同研究機構の後援を受けて実施されました。

1) IoT(Internet of Things)
インターネットに多様かつ多数の物が接続され、及びそれらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の円滑な流通が国民生活及び経済活動の基盤となる社会のこと。

※本学が開催する「フューチャーセッション(Future Session)」とは、次世代シーズ・ニーズ創出を探るとともに、未来について多様な立場から解決すべき問題を提起し、少人数で活発な対話を通してより良い未来を実現する解決策を構築するセッションのことです。

※直近3回の岡山大学フューチャーセッション

第24回(テーマ「磁力」)はこちら
第25回(テーマ「サイバーセキュリティ」)はこちら
第26回(テーマ「アメリカ英語における教育研究」)はこちら

【本件問い合わせ先】
大学院自然科学研究科(工学系)准教授 野上保之
TEL:086-251-8127

 


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5739.html

2016年5月11日水曜日

【情報発信】味覚受容の第1段階で起こる味覚受容体の構造変化を解明

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)山下敦子教授、理化学研究所放射光科学総合研究センター南後恵理子研究員、芦川雄二研究員(研究当時)、眞木さおり研究員、分子科学研究所秋山修志教授、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)食品研究部門日下部裕子ユニット長、大阪大学大学院工学研究科内山進准教授らの研究グループは、口の中で味物質のセンサーとして働く味覚受容体タンパク質の細胞外領域が、味物質を結合することで構造変化することを初めて明らかにしました。本研究成果は5月10日、英国の科学雑誌「Scientific Reports」に掲載されました。
 
味覚受容体のうち、甘味とうま味を感知する受容体は、味物質感知を行う味細胞の細胞膜上で、細胞外に受容体全体の約3分の2を突き出して存在しています。本研究グループは、この細胞外領域に味物質が結合すると、細胞外領域が広がった状態からコンパクトな状態に構造変化することを明らかにしました。この構造変化が、細胞外で起こった味物質の結合を味細胞内に伝える引き金になっていると考えられます。

本研究成果は、味覚がどのような仕組みで起こるのかを理解するための基盤情報になるとともに、味覚受容体の構造変化の検出を利用した新しい味物質評価システム開発にもつながると期待されます。
 

 
<詳しい研究内容について>
味覚受容の第1段階で起こる味覚受容体の構造変化を解明

 
【論文情報】
掲  載  誌:Scientific Reports

論文タイトル:Taste substance binding elicits conformational change of taste receptor T1r heterodimer extracellular domains著    者:Eriko Nango, Shuji Akiyama, Saori Maki-Yonekura, Yuji Ashikawa, Yuko Kusakabe, Elena Krayukhina, Takahiro Maruno, Susumu Uchiyama, Nipawan Nuemket, Koji Yonekura, Madoka Shimizu, Nanako Atsumi, Norihisa Yasui, Takaaki Hikima, Masaki Yamamoto, Yuji Kobayashi, Atsuko YamashitaD  O  I: 10.1038/srep25745

【問い合わせ先】
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)
構造生物薬学 教授 山下 敦子
 Tel : 086-251-7974
 Fax : 086-251-7974

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id391.html

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.24 発行

岡山大学は5月9日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」をVol.24を発行しました。

2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。国際科学雑誌「Science」を扱うAAAS(米国科学振興協会)のメーリングリストを利用し、世界の研究者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上を推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行。

本号では、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)腎・免疫・内分泌代謝内科学分野の和田淳教授、国立療養所邑久光明園の村上和敏内科医長(米国シンシナティ大学研究員)らが報告した、メタボと糖尿病の発症を予防する細胞接着分子の特定について紹介しています。

和田教授、村上内科医長らの研究グループは、細胞接着分子である「ACAM(エイキャム)」がメタボリックシンドロームと糖尿病の発症を予防することを世界で初めて突き止めました。ACAMは本研究グループが肥満ラットの内臓脂肪組織から2005年に発見した分子です。
今回、脂肪細胞のACAMを増やしたマウス(トランスジェニックマウス)を高脂肪高蔗糖食で飼育したところ、肥満、糖尿病、脂質異常症の発症が予防されました。今後、細胞接着分子を用いた新たな治療法の開発が発展すれば、肥満・糖尿病を予防し、健康寿命の維持・延長につながると期待されます。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術としてより早く届けられるように研究を推進していきます。


なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.24:
Sticky molecules to tackle obesity and diabetes

<Back Issues:Vol.15~Vol.23>
Vol.15:Metamaterial absorbers for infrared inspection technologies (大学院自然科学研究科(工学系)石川篤助教)Vol.16:Epigenetics research traces how crickets restore lost legs  (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)板東哲哉助教)Vol.17:Cell research shows pathway for suppressing hepatitis B virus (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)加藤宣之教授)Vol.18:Therapeutic protein targets liver disease (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)和田淳教授)Vol.19:Study links signalling protein to osteoarthritis (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)Vol.20:Lack of enzyme promotes fatty liver disease in thin patients (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)和田淳教授、中司敦子助教)Vol.21:Combined gene transduction and light therapy targets gastric cancer (大学病院香川俊輔准教授、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)石田道拡医師)Vol.22:Medical supportive device for hemodialysis catheter puncture Combined gene transduction and light therapy targets gastric cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)大原利章助教)Vol.23:Development of low cost oral inactivated vaccines for dysentery (大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)三好伸一教授)
<参考>
Okayama University e-Bulletin:

//www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/

【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp

 



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5736.html

【情報発信】岡山大学がインパクトの高い論文数で日本の大学の第10位にランクイン

トムソン・ロイター社が4月18日に発表した「インパクトの高い論文数分析による日本の研究機関ランキング」で、本学が日本の大学で第10位(研究機関では第13位)にランクインしました。
本調査は、「研究の量・質」を反映する同社のESI1)指標高被引用論文(Highly Cited Papers:HCP) 2)を用いた、自然科学分野全体を含む総合分野におけるランキングです。

現在、多様な研究組織の研究パフォーマンスを相対的に評価できる指標として、高被引用論文(被引用数がトップ1%の論文)が世界大学ランキングの結果にも大きく影響しています。岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室では、高被引用論文による日本国内の大学のベンチマーキングを行い、トムソン・ロイター社が毎年発表しているデータと合わせて研究分析結果の一部を公開しています。

本学に関して、主な調査結果は以下のとおりです。
1. 総合(自然科学全体)
 直近11年間(2005~2015年)高被引用論文数は183報で、わが国全大学中、第10位。
 総論文数における高被引用論文数の割合が1.20%であり、高被引用論文数は4位。
2. 分野別の詳細
(1)国内全大学分野別ランキング10位に入った分野:植物学・動物学(4位)、臨床医学(6位)、社会科学(10位)
(2)高被引用論文数が最も多い分野:物理学(61報)、臨床医学(49報)、植物学・動物学(34報)

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。
これまでに、強みのある分野(物理学、臨床医学、基礎生命科学)の研究力強化・促進を戦略的かつ精力的に行ってきており、文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の報告資料「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2015」でTop10%補正論文数(研究の質)の伸び率が全国第2位ネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)のレポート「Nature Index 2016 Japan」で高品質論文数の伸び率が全国第2位と目覚ましい結果を出しています。

今回のトムソン・ロイター社の発表結果も本学の研究力強化の取り組みが適切な方向に進んでいる経過証明になっています。今後も研究力強化促進の核として設置されている「グローバル最先端異分野融合研究機構(G研究機構)」を中心に、グローバル社会において「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての立ち位置を増強する改革を進めていきます。また、本学は研究大学の有志で構成する「大学研究力強化ネットワーク」の運営委員を務めており、本学のみならず日本の大学全体の研究力強化に寄与するため、他の大学・研究機関と密に協同していきます。

1)ESI(Essential Science Indicators)
トムソン・ロイター社のデータベースから得られる学術論文の出版数と被引用数のデータに基づき、研究業績に関する統計情報と動向データを集積した研究分析ツールのこと。
http://ip-science.thomsonreuters.jp/products/esi/

2)高被引用論文(Highly Cited Papers:HCP)
論文の発表年、研究分野、文献タイプが考慮され、世界全体の被引用数によるベースラインでトップ1%に入る論文のこと。

【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室
TEL:086-251-8919


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5731.html

2016年5月3日火曜日

【情報発信】異分野基礎科学研究所(RIIS)の野原実教授と工藤一貴准教授が超伝導科学技術賞を受賞

岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)の野原実教授と工藤一貴准教授が4月2日、一般社団法人未踏科学技術協会が主催する「第42回超伝導科学技術シンポジウム」(東京都江戸川区)において「超伝導科学技術賞」を受賞しました。

同賞は、超伝導科学技術の研究に卓越した業績を残した研究者を顕彰するもので、最初の高温超伝導体が発見された年から10年目に当たる平成8年度に創設され、今年度が20周年に当たります。


野原教授と工藤准教授の受賞は、「新構造鉄系超伝導物質群の発見」によるもので、物質設計において置換サイト選択や局所構造制御などの要素を独自の観点と経験に基づいて考慮し、CaFeAs2に代表される数十種の新超伝導体を次々と発見したことが評価されました。野原教授は「伝統ある賞を頂くことができたのは、すばらしい同僚と学生、共同研究者に恵まれたからです。これからも物質開発の教育研究に励みながら、超伝導分野の発展に尽くしていきたい」と今回の受賞について述べました。


これまでに野原教授と工藤准教授らは、同分野で先導的な研究開発を数多く進めてきました。3月19~22日に開催された「日本物理学会第71回年次大会」(東北学院大学泉キャンパス)では、
第21回(2016年)日本物理学会論文賞を受賞。また4月15日には、日本物理学会国際ジャーナルの年間高引用論文ベスト10に2件ランクインするなどの素晴らしい研究成果を挙げています。これらは、文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の報告資料「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2015」におけるTop10%補正論文数(研究の質)の伸び率が全国第2位、ネイチャー・パブリッシング・グループ(Nature Publishing Group)が発表している「Nature Index」においても、本学の自然科科学分野の高品質論文数の伸び率が全国第2位になるなどの秀逸な研究成果に大きな貢献を果たしています。今後も研究の量、質において世界的に存在感のある「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の一翼を担い、社会を革新する研究開発を精力的に進めていきます。

【本件問い合わせ先】
岡山大学異分野基礎科学研究所 教授 野原 実
TEL:086-251-7828

 


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id5732.html