脳梗塞後に神経細胞を新たに生み出すことに成功!~脳内グリア細胞から神経細胞を誘導する新技術を開発~
- 脳梗塞後、神経細胞が死滅してしまうことで起こる運動麻痺などの後遺症には、現状根本的治療法がなく、寝たきりの大きな原因の一つとなっています。
- 脳内グリア細胞に3つの転写因子を発現させることで、脳梗塞後の脳内に神経細胞を新たに供給することに成功しました。
- 脳梗塞後の後遺症に苦しむ多くの患者を救う新たな治療法開発につながることが期待されます。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)の阿部康二教授と山下徹講師の研究グループは、脳梗塞後の脳内で神経細胞を新たに生み出すことに成功しました。
脳梗塞で一旦失われた神経細胞は再生されず、根本的治療がないのが現状です。今回3つの転写因子(Ascl1, Sox2, NeuroD1)を脳内に発現させることで、脳内に豊富に存在するグリア細胞という細胞から神経細胞を直接誘導することに成功しました。本研究成果は、脳梗塞後の運動麻痺などの後遺症に苦しむ多くの患者を救う新たな治療法開発につながることが期待されます。
これらの研究成果は7月29日、英国科学誌「Scientific Reports」のResearch Articleとして掲載されました。
◆研究者からのひとこと
脳梗塞の後遺症で苦しむ患者さんにむけて、新しい治療を提案できる可能性が出てきました。今後実用化にむけた研究を進める予定です。共同研究も大歓迎です。 | 阿部教授 |
実験当初、脳梗塞モデル作成やウイルス精製など実験過程で、様々なトラブルに見舞われましたが、ようやく成果が出て喜びで一杯です。患者さんに役立つ治療法に繋げるよう、今後とも頑張ります。 | 山下講師 |
■論文情報
論 文 名: In vivo direct reprogramming of glial linage to mature neurons after cerebral ischemia
邦題名「脳梗塞脳内グリア細胞を用いた神経細胞の誘導」掲 載 紙: Scientific Reports著 者: Yamashita T, Shang J, Nakano Y, Morihara R, Sato K, Takemoto M, Hishikawa N, Ohta Y, Abe KD O I: 10.1038/s41598-019-47482-0発表論文はこちらからご確認できます。
<詳しい研究内容について>
脳梗塞後に神経細胞を新たに生み出すことに成功!~脳内グリア細胞から神経細胞を誘導する新技術を開発~
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
教授 阿部康二
(電話番号)086-235-7365
(FAX) 086-235-7368
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学
講師 山下徹
(電話番号)086-235-7365
(FAX) 086-235-7368
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