2015年8月21日金曜日

【情報発信】農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」:公益財団法人岩手生物工学研究センターが簡便・迅速なウイルスRNAの検出技術の実用化に成功

公益財団法人岩手生物工学研究センターが簡便・迅速なウイルスRNAの検出技術の実用化に成功

岡山大学が研究拠点を担っている農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」について、本拠点研究分野の補完研究機関である公益財団法人岩手生物工学研究センター(研究計画名「高効率なウイルス・ウイロイドRNA検出技術の開発」)では、網羅的RNAウイルス検出技術「DECS法(DsRNA isolation Exhaustive amplification, Cloning and Sequencing)」(※)の洗練・普及を行い、植物ウイルス病害の感染拡大を未然に防ぎ、農林水産物・食品の安定供給の実現を目指しています。



今般、植物由来のDRBタンパク質(Double-stranded-RNA-Binding protein)の2本鎖RNA結合活性領域の利用により、簡便・迅速なウイルスRNAの検出技術が開発・実用化されました。既知のウイルスの検出だけでなく、検出が困難であった新規のウイルス検出に大きく貢献することが期待されます。

(※)DRBタンパク質を用いて植物ウイルス由来の2本鎖RNAを特異的に検出し、未知のウイルスも含めた感染の有無の判別や、その塩基配列情報を調べることにより、感染ウイルス種を同定する技術(図)。



図1. DRBタンパク質を用いたウイルス2本鎖RNAの検出方法 

<特徴>
・最短2時間でウイルス2本鎖RNAの検出が可能
・100mg(生重量)の試料からウイルス2本鎖RNAの検出が可能

ウイルスは微小であり、電子顕微鏡を用いなければ見ることができない病原体のため、観察による診断は大変困難です。植物に感染するウイルスの大部分は遺伝子暗号をRNAとして持つRNAウイルスであり、これらは植物体中で2本鎖状のRNAを作ります。このウイルス感染時に作られる2本鎖RNAを検出することで、ウイルス感染の有無を判別できます。



従来2本鎖RNAを感染組織から抽出するためには煩雑な操作が必要でした。岩手生物工学研究センターでは、植物の持つ2本鎖RNA結合タンパク質を活用して簡便・迅速に2本鎖RNAを抽出する手法を開発し(参考文献)、「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム (拠点機関:国立大学法人岡山大学)」のもと、株式会社医学生物学研究所と共同で試薬キット化しました。

詳細は、下記の公益財団法人岩手生物工学研究センターのHPをご覧ください。

http://ppathol.ibrc.or.jp/home/diagnosis



参考文献 Atsumi, G., Sekine, K.-T. and Kobayashi, K. (2015) New method to isolate total dsRNA. Methods in Molecular Biology, 1236:27-37.

お問い合わせ
公益財団法人岩手生物工学研究センター
園芸資源研究部 主任研究員 関根健太郎
(電話番号)0197-68-2911(代表)



公益財団法人岩手生物工学研究センター
園芸資源研究部 植物病態分子研究チーム
(上段左 関根健太郎 主任研究員)




農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発:http://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

2015年8月13日木曜日

【情報発信】日中の叡智でウイルス感染から家畜を守る「第2回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」開催

岡山大学は、中華人民共和国黒竜江省ハルビン市にある中国農業科学院ハルビン獣医研究所(Harbin Veterinary Research Institute:HVRI)において、ウイルス感染から家畜を守る研究についてのワークショップ「第2回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ-」を7月20~22日に開催しました。


家畜現場では、さまざまなウイルスによる被害により経済的・社会的損失が世界的に問題となっています。そのため、家畜をウイルス感染から守る早期診断や感染防止の研究開発が強く求められています。今回、高度な家畜感染制御技術を有するHVRIとともに、参加した日中双方の当該分野の研究者らが叡智を共有化することで、隣国同士の研究連携や技術開発、社会実装の強化促進を図りました。


日本側からは理化学研究所、農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所、そして本学が参加しました。農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」で、コンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAが事業説明と革新的なウイルス診断・防除法の研究開発と推進のあり方について紹介しました。


またワークショップ開催後には、HVRIの新研究所の研究施設や付属ワクチン製造企業等も視察し、研究者や企業関係者らと最新の当該分野叡智の共有化とより強力な共同研究や社会実装につながる意見交換を熱心に行いました。


なお、本ワークショップは本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みとして実施されました。今後も農林畜産水産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進め、社会実装を目指します。


農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究):http://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html


 <参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム>
第1回 網羅的RNAウイルス検出技術DECS法(2015年5月28~29日)




 
ワークショップにおいて話題提供を行った日中の研究者ら
 
 
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話題提供に熱心に聴き入る参加者ら
 
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より強力な共同研究と社会実装の推進につい
てディスカスションする参加者ら
 
 
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ディスカッション参加者ら
 
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ハルビン獣医研究所の研究設備紹介と共同研究利用について意見交換を行う参加者ら
 
 
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会場となったハルビン獣医研究所
 
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ハルビン獣医研究所の新研究所
 
 
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ハルビン獣医研究所の付属ワクチン製造企業



農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発:http://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

2015年8月6日木曜日

【情報発信】感染症から人類を守る術を見出す 岡山大学感染症制圧研究コア「感染症研究国際展開戦略プログラム」キックオフ・シンポジウム開催

本学は7月16日、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の平成27年度「感染症研究国際展開戦略プログラム」の採択を受けて、本事業の取り組み紹介と共に今後の展開について意見交換を行う岡山大学感染症制圧研究コア「感染症研究国際展開戦略プログラム」キックオフ・シンポジウムを本学鹿田キャンパスのJunko Fukutake Hall(岡山市北区)にて開催しました。

開催あたり森田潔学長から「長年、インド国コルカタ市を拠点に活動してきた岡山大学インド感染症共同研究センターを更に強化しつつ、本学の持つ基礎研究力と岡山大学病院の持つ臨床力の強みを融合し、感染症制圧に寄与していきたい」と挨拶。

来賓挨拶では、AMEDの神田忠仁プログラムスーパーバイザーと文部科学省の小林秀幸先端医科学研究企画官が本事業の方針と成果のあり方について紹介しつつ、本学への期待について述べました。

続いて、佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAがモデレーターを務めつつ、岡山大学インド感染症共同研究センターの篠田純男センター長・特任教授がこれまでセンターが独立行政法人国際協力機構(JICA)と共に取り組んで来た下痢症制圧プロジェクトについて紹介。本学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)の三好伸一教授からは、インド国を拠点とした下痢症感染症の予防・診断・創薬における国際協同研究について紹介しました。

またベトナムを拠点としている長崎大学熱帯医学研究所からは森田公一所長が蚊媒介感染症などの感染症制圧について紹介しました。講演の最後には、AMEDの創薬支援戦略部の榑林陽一執行役・部長からAMEDが進める創薬支援や本事業との協同体制について紹介しました。シンポジウムに参加した教職員、医療従事者、企業関係者などは、迅速かつ効果的な感染症制圧のあり方やそれに伴う人材育成などについて熱心に意見交換を行いました。

閉会の挨拶では、山本進一研究担当理事・副学長が「より効果的な感染症制圧を行うために本学が持つ強みある基礎研究力と臨床医学を融合しつつ、人類の感染症制圧の夢を実現していきたい」と述べ、キックオフ・シンポジウムを閉幕しました。

本学は平成19年9月に文部科学省の「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」に採択されており、インド西ベンガル州のコルカタ市にあるインド国立コレラ及び腸管感染症研究所(NICED)に岡山大学インド感染症共同研究センターを設置。下痢症の積極的動向調査や安価な経口ワクチンの開発研究、コレラ菌の環境適応に関する研究、下痢原因微生物等の変異、病原性、薬剤耐性に関する研究などを進めています。また、今年は「日印科学技術協力協定締結30周年」であり、本学も国際研究力強化・推進のために連携を深めています。今後、本学の強みあるコア事業として育成しつつ、世界の医療・研究を先導し、人類の発展に全力で貢献していきます。

岡山大学インド感染症共同研究センター:http://wwwcid.ccsv.okayama-u.ac.jp/

開催の挨拶を述べる森田潔学長
 
 
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本事業の概要と方向性について述べるAMEDの神田忠仁プログラムスーパーバイザー
 
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文部科学省が取り組んで来た感染症制圧プログラムについて述べる小林秀幸先端医科学研究企画官
 
 
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岡山大学インド感染症共同研究センターの取り組みを紹介する篠田純男センター長・特任教授
 
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本プログラムで実施する下痢症制圧プロジェクトについて説明する三好伸一教授
 
 
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シンポジウムでモデレーターを務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA
 
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ベトナムでの取り組みを紹介する長崎大学熱帯医学研究所の森田公一所長
 
 
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AMEDの創薬支援について紹介する榑林陽一執行役・創薬支援戦略部長
 
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熱心に講演に聴き入るシンポジウム参加者ら
 
 
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閉会の挨拶を述べる山本進一研究担当理事・副学長

2015年6月12日金曜日

【情報発信】2015国際食品工業展で新たな食品加工技術に関する最新研究を紹介

本学は、6月9~12日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された食品に関する製造プロセスや加工方法などの最新技術や研究成果を紹介する日本最大級のビジネスイベント「2015国際食品工業展(FOOMA JAPAN 2015)」に出展。本学が世界を先導する最先端の研究成果を紹介しました。


同展示会で産学官の研究紹介を行う「アカデミックプラザ2015」では、本学大学院自然科学研究科(工学系)バイオプロセス工学研究室の今村維克教授が、「糖の有機溶媒に対する過溶解現象とその応用 ~糖と油を界面活性剤を使わずに混合する方法」について紹介。一般に糖は、アルコールなどの有機溶媒に溶解しないと考えられていますが、糖をあらかじめ非結晶状態にしてから有機溶媒に加えると、しばらくの間、完全に溶解させることができます。ここで糖が溶けた有機溶媒に香気成分や親油性の呈味成分を溶かしておけば、有機溶媒中で糖と香気・呈味成分を共存させることが可能となります。これらの技術は、界面活性剤および乳化操作が不要であり、今後、糖および難水溶性物質の組み合わせによる新たな食品加工技術に発展する可能性があります。講演ならびに展示ブースでは、今村教授や研究室員、リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室の佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAらが来場した企業関係者らと熱心に意見交換を行いました。


本学は、平成25年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。この高い研究力を社会実装に結びつけるには、企業などへの技術移転などの連携が必要不可欠となります。今後も多種多様な企業連携をもとに、食品製造・加工分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進めていきます。

2015国際食品工業展(FOOMA JAPAN 2015):https://www.foomajapan.jp/2015/index.html


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糖と油を界面活性剤を使用せずに混合する技術について紹介する今村維克教授
 
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出展ブースの来場者に技術説明を行う今村維克教授(左)

2015年5月29日金曜日

【情報発信】革新的診断法で植物をウイルスから守る「第1回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」開催

岡山大学と公益財団法人岩手生物工学研究センター(岩手生工研)、岩手県農業研究センターは、5月28・29日、岩手生工研(岩手県北上市)において、植物をウイルス病害から守る研究についてのワークショップ「第1回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム 網羅的RNAウイルス検出技術DECS法」を開催しました。


農業現場では、ウイルスによる被害により経済的・文化的損失が世界的に問題となっています。そのため、ウイルスの早期診断や感染防止の研究開発が求められています。


DECS法は、岩手生工研が開発した網羅的RNAウイルス検出技術であり、タンパク質を用いて植物ウイルス由来の2本鎖RNAを検出し、その塩基配列情報より感染ウイルス種を同定する技術です。同法の社会実装を進める岩手生工研の関根健太郎主任研究員が病害診断に関わる研究者や実務者などを集め、DECS法の実習を株式会社医学生物学研究所(MBL)協力のもと行いました。


本学からは、本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授が先導・革新的人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術の確立と社会実装について紹介しました。また本学が研究拠点を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」から、コンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・URAが事業説明と革新的なウイルス診断・防除法の研究開発と推進のあり方について、その概要と研究への協力・連携について紹介しました。


ワークショップの基調講演では、東北大学大学院農学研究科植物病理学分野の宮下脩平助教が「ウイルス社会学から考える防除技術開発」と題して、ウイルスが生存する環境に着目した防除技術の開発のアイデアなどについての講演が行われました。
参加した国、都道府県公設試験研究機関の関係者や大学の研究者などは、最新技術の普及と国内の病害防疫業務の高度化のため、熱心に実習と講演に参加しました。


なお本ワークショップは、本学が研究拠点を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」の取り組みとして実施されました。今後も農林畜産水産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進め、社会実装を目指します。


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DECS法の原理・応用とWS実習成果について紹介する岩手生物工学研究センターの関根健太郎主任研究員
 
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人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術について紹介する世良貴史教授

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農林水産省事業の取り組みと今後の戦略を紹介する佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA
 
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基調講演を行う東北大学大学院の宮下脩平助教

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DECS法の実習に熱心に取り組む参加者ら
 
農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発:http://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html



2015年5月1日金曜日

【情報発信】岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室のHPリニューアル

岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室は5月1日、ホームページをリニューアルしました。
URAは、「University Research Administrator(ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター)」の略で、大学等の研究機関において執行部や研究者らとともに研究活動の企画や研究成果の活用促進などを総合的に行う高度マネジメント専門人材のことです。
 

岡山大学では、平成24年9月1日に本学自主経費にてURAを設置。学長直属として配置され、研究担当理事・副学長とともに行動する執行部の研究ブレーン組織です。研究面で学長を補佐し、本学における研究方針の策定や大学改革の推進など経営の判断に立って行動しています。また、文部科学省「研究大学強化促進事業」などの研究系重点事業の管理も行っています。現在、本学URAには国内外の産・学・官・金の分野の第一線で活躍した8人が在籍しています。
リニューアルに伴い、ロゴマークも公開。「岡山大学特色のURA」、「グローバル」、「戦略的支援」、「牽引」のキーワードを基に、色・形・文字デザインでURAロゴマークを設計・ビジュアル化しています。頭文字に用いた「O」は「岡山大学URA」を明瞭に表しているほか、世界を連想させ、細い罫線がネットワークや繋がりを表現しています。「A」には躍動感あるアクセントとしてオレンジ色のラインを入れ、戦略的サポートと上昇を強調しました。

ホームページのデザイン、コンテンツともに一新し、見やすく、多様な情報が豊富に網羅されたサイトに生まれ変わりました。今後、岡山大学の研究力強化促進に向けたURA執務室のさまざまな取り組みを速やかに紹介し、情報をより充実していきます。

ホームページはこちら
http://ura.okayama-u.ac.jp/

【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室
TEL:086-251-8919

(15.05.01)


2015年4月29日水曜日

【情報発信】文部科学省「感染症研究国際展開戦略プログラム」に採択

岡山大学は3月26日、文部科学省の平成27年度「感染症研究国際展開戦略プログラム」に採択されました。

大学院医歯薬学総合研究科(薬)の三好伸一教授を中心に、「インド国を拠点とした下痢症感染症の予防-診断-創薬における国際協同研究」という課題を設定。インドにある「岡山大学インド感染症共同研究センター」を拠点に、下痢症の積極的動向調査や安価な経口ワクチンの開発研究、コレラ菌の環境適応に関する研究、下痢原因微生物等の変異、病原性、薬剤耐性に関する研究などを進めていきます。




< 概 要 >
本プログラムは、感染症がグローバル社会に対する脅威となっている現在、日本のみならずアジア・アフリカに海外研究拠点を展開。各地で蔓延している感染症に対する疫学研究、診断治療薬などの開発に向けた基礎的研究を推進し、感染制御に向けた予防や診断治療に資する医薬品、技術の開発、高度専門人材の育成を図るものです。

岡山大学の研究は、医学系、歯学系、保健学系、環境理工学系、大学病院、研究推進産学官連携機構知的財産本部、リサーチ・アドミニストレーター1)(URA)執務室などの「オール岡山大学体制」で臨むほか、国立感染症研究所や創薬支援ネットワーク、他の採択機関校などと連携していきます。
また本年は「日印科学技術協力協定締結30周年」です。本学が採択されている文部科学省「研究大学強化促進事業」2)や「橋渡し研究加速ネットワークプログラム橋渡し研究支援拠点」3)、厚生労働省「臨床研究中核病院整備事業」4)などといった強みのある研究系コア事業との連携も含め、世界が求める医療・研究を先導し、人類の発展に全力で貢献していきます。

 

< 背 景 >
岡山大学は平成19年9月、文部科学省の「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」に採択されており、インド西ベンガル州のコルカタ市にあるインド国立コレラ及び腸管感染症研究所(National Institute of Cholera and Enteric Diseases:NICED)に岡山大学インド感染症共同研究センターを設置。篠田純男センター長・特任教授をはじめ専任教員と事務職員を配置し、インド側研究者との密接な国際共同研究体制のもと、コレラや赤痢といった下痢症制圧プロジェクトを精力的に実施しています。

また、さらなる研究力の強化促進や両国の科学技術を通した友好促進のために、本学執行部が中核となりインド側と密な連携を取っています。3月14~23日には本学の山本進一研究担当理事・副学長、古矢修一研究担当副理事・リサーチ・アドミニストレーターらの訪問団がインドを歴訪。NICEDや首都ニューデリーにある国立トランスレーショナル健康科学技術研究所(Translational Health Science and Technology Institute:THSTI)、UNESCO支援生物工学センター(Regional Centre for Biotechnology:RCB)、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)ニューデリー事務所、ケーララ州トリバンドラム市にある国立ラジーヴ・ガンディー生物工学センター(Rajiv Gandhi Centre for Biotechnology:RGCB)などを訪れました。各研究機関の執行部、研究者らと共に感染症制圧に向けた具体的な情報・意見交換、研究シーズの日本-インド間橋渡しや知的財産を含めた国際共同研究の戦略などについて密な議論を実施しています5)

なお、本事業所管省庁の組織・制度改革により、平成27年4月1日から国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)が事業運用を担います。



< 補 足 >
1)リサーチ・アドミニストレーター(University Research Administrator:URA):

「岡山大学におけるURA」は、学長直属として組織・配置され、研究担当理事・副学長と共に行動する執行部の研究ブレーン組織。「学長特命(研究担当)」として、研究面で学長を補佐し、本学の研究方針の策定や大学改革の推進など経営的判断に立って行動する高度専門人材・組織です。
http://ura.okayama-u.ac.jp/

2)研究大学強化促進事業:

平成25年8月に文部科学省が全国の大学・研究機関から選定されました。大学等における研究力強化を促進し、世界水準の優れた研究活動の支援を目的とした事業です。22の大学、大学共同利用機関法人が選定され、本学は研究の量、質において世界的に存在感のある「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」を目指しています。 
//www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id2681.html

 3)橋渡し研究加速ネットワークプログラム橋渡し研究支援拠点:
平成26年9月に文部科学省に拠点として採択されました。本事業は、生命科学分野の基礎研究の成果を実際の医療に活用するための橋渡し研究(トランスレーショナル・リサーチ)を推進。基礎研究から実用化まで一貫した流れのもと、日本発の革新的な医薬品などを創出する体制を構築するものです。本学は「健康寿命の延伸を目指した次世代医療橋渡し研究支援拠点」という課題名のもと、日本の高齢化による新たな医療分野での研究開発を視野に見据え、医学、歯学、介護などの多様なニーズへ適切に対応できる橋渡し研究拠点を確立させます。(リリース(平成26年9月10日):文部科学省「橋渡し研究加速ネットワークプログラム」橋渡し研究支援拠点に採択
//www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id3832.html 

 4)臨床研究中核病院整備事業:

平成25年4月に厚生労働省に選定されました。本事業は、日本発の革新的な医薬品・医療機器の創出等を目的に、国際水準の臨床研究、難病等の医師主導治験及び市販後臨床研究等の中心的役割を担う「臨床研究中核病院」の整備を目的としており、国内10機関が選定されています。岡山大学病院は、「臨床研究中核病院」として小児・稀少疾患難病等疾患別ネットワークを形成。医師主導治験でなければ実施困難な研究の支援や、国際水準の臨床研究において中心的役割を担います。
また、薬事開発の規制当局との高度な連携や、薬事承認を目指した研究を行う人材の育成、日本発の医薬品や医療機器の早期実用化、日本国内での医療産業化の加速を促し、社会に貢献できる体制を整備します。(リリース(平成25年4月23日):岡山大学病院が「臨床研究中核病院」に選定
 //www.okayama-u.ac.jp/tp/topix/topix_id252.html

 5)岡山大学ホームページ新着ニュース「研究担当理事らがインド歴訪 さらなる研究連携強化へ」(平成27年3月31日) 
//www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id4464.html


< 参 考 >
岡山大学インド感染症共同研究センター:
http://wwwcid.ccsv.okayama-u.ac.jp/
平成27年度「感染症研究国際展開戦略プログラム」(文部科学省):http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/1356213.htm


報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)
教授 三好 伸一
(電話番号)086-251-7966

岡山大学インド感染症共同研究センター
センター長・特任教授 篠田 純男



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id285.html

2015年4月26日日曜日

【情報発信】よく見える光学顕微鏡の開発へ ナノファンクショナルマテリアルセミナーを開催

機能性ナノ材料の最先端研究や、広範囲な異分野融合から革新的な新技術創出などに取り組む本学大学院自然科学研究科(工)石川篤助教らは4月15日、「第1回ナノファンクショナルマテリアルセミナー」を本学津島キャンパスで開きました。
 

大阪大学大学院工学研究科の藤田克昌准教授を招き、「超解像光学顕微鏡の進展」をテーマに開催。藤田准教授は講演で、蛍光分子の発光特性を活用した超解像光学顕微鏡などを紹介しました。また、自身で開発した飽和励起顕微鏡や、超解像光学顕微鏡に適した蛍光分子の新規開発についてもふれるなど、物理、生物、化学にわたる幅広い視点から解説しました。
講演後の質疑応答では、参加した教員、学生、企業などの関係者らとともに、熱心な議論を繰り広げました。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が全国の大学・研究機関から選定した
「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。同セミナーで得られた知見や人的ネットワークを最大限に利活用して、社会を革新する研究開発や学術の基幹を築いていく予定です。
なお同セミナーは、本学異分野融合研究育成支援事業の支援によって開催されました。

【本件問い合わせ先】
大学院自然科学研究科(工)助教 石川篤
TEL:086-251-8140
(15.04.24)



講演する藤田克昌准教授


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id4513.html

2015年4月24日金曜日

【情報発信】胃がんとピロリ菌:ピロリ菌成分は突然変異を引き起こす

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の有元佐賀惠准教授(医薬品安全性学)らの研究グループは、高感度検出系を用いてピロリ菌成分が突然変異を引き起こすこと、他の発がん物質の変異原性を増強することを発見しました。本研究成果は3月24日、英国の科学誌『Mutagenesis』オンライン版で公開されました。
がん発症とピロリ菌感染は強い相関があること、すべてのがん細胞のDNAには突然変異があることは知られています。本研究成果によって、胃上皮細胞変異と胃がん発症のメカニズムの解明が進めば、突然変異を阻害する薬の開発が見込まれ、胃がん予防につながると期待されます。
 
 
<業 績> 
本学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の有元准教授、岡山理科大学、京都府立医科大学、松下記念病院の共同研究グループは、ピロリ菌に感染したスナネズミで、通常は胃がんを起こさない低濃度のアルキル化剤系発がん物質投与でも胃発がんを起こすという報告があることに着目。突然変異を高感度に検出する方法を用いて、ピロリ菌成分を加えたネズミチフス菌、ヒト由来の培養細胞で突然変異が起こることを発見しました。

さらに、ピロリ菌成分とアルキル化剤系発がん物質の両方を加えた場合、アルキル化剤系発がん物質を単体で加えた場合よりも多くの突然変異を確認。ピロリ菌成分がアルキル化剤系発がん物質の変異原性を増強することも分かりました。なお、同じく消化管にいる大腸菌でも同実験を行ったところ、突然変異は確認できなかったため、ピロリ菌独特の成分と考えられます。
また、ピロリ菌成分を100℃で加熱したところ、変異原性が低下。ピロリ菌の持つ変異原性物質は熱不安定な低分子化合物で、菌体タンパクに付着して存在していると考えられることも分かりました。

<背 景>
これまで胃がん発症とピロリ菌感染は強い相関があること、すべてのがん細胞のDNAには突然変異があることは知られています。また、ピロリ菌が慢性感染すると胃上皮細胞の突然変異率が上昇するという報告もありました。しかし、ピロリ菌は突然変異を引き起こさないと報告もあり、ピロリ菌感染が突然変異を引き起こす機構はわかっていませんでした。



<見込まれる成果>
本研究成果によって、ピロリ菌の変異原性成分がピロリ菌の慢性感染による胃上皮細胞変異&胃がん発症に関与している可能性が示唆されました。今後、胃上皮細胞変異と胃がん発症のメカニズムの解明が進めば、突然変異を阻害する薬の開発が見込まれ、胃がん予防につながると期待されます。

本研究の一部は感染症研究国際ネットワーク推進プログラム(J-GRID)の援助を受けました。

<原論文情報>
タイトル:Mutagenicity and clastogenicity of extracts of Helicobacter pylori detected by the Ames test and in the micronucleus test using human lymphoblastoid cells

著  者:Sakae Arimoto-Kobayashi, Kaori Ohta, Yuta Yuhara, Yuka Ayabe, Tomoe Negishi, Keinosuke Okamoto, Yoshihiro Nakajima, Takeshi Ishikawa, Keiji Oguma and Takanao Otsuka掲載誌:Mutagenesis (2015) 
doi: 10.1093/mutage/gev016

発表論文はこちらからご確認いただけます。
(著者:有元佐賀惠1、太田香織2、湯原悠太1、綾部ゆか2、根岸友恵1、岡本敬の介1、中島善洋3、石川 剛4、小熊恵二1、大塚隆尚5 (1岡山大・院医歯薬、2岡山大・薬学部、3松下記念病院、4京都府立医大、5岡山理科大・工))

報道発表資料はこちらをご覧ください

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)
准教授 有元 佐賀惠
(電話番号)086-251-7947
(FAX番号)086-251-7947


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id288.html

【情報発信】ユネスコが岡山大学ユネスコチェアの設置認可を更新

岡山大学は3月14日、ユネスコから「岡山大学ユネスコチェア:持続可能な開発のための研究と教育」の設置認可の更新を受けました。認可期間は2019年3月までの4年間。
 
岡山大学は2007年4月に、国連による「持続可能な開発のための教育(ESD)」の取組を推進することを目的とするアジアで唯一のユネスコチェアに選ばれており、2014年8月にユネスコ本部に対して認可更新の申請を行っていました。
今後も国内外の高等教育機関と連携しながら、ESDのさらなる促進に向けた教育研究活動を展開していきます。


<今後の取組>
 「国連ESDの10年」が2014年に終了し、その後継プログラムである「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」が2014年秋の第69回国連総会で採択され、2015年から開始されました。今後は、政府や岡山市のGAPを踏まえた新たなESD推進策検討の動きを考慮しながら、ESDのさらなる促進に向けた教育研究活動を展開します。
取組責任者であるチェアホルダーは、2007年から大学院環境生命科学研究科の阿部宏史教授(理事・副学長、日本ユネスコ国内委員会委員)が務めています。


 <背景>
ユネスコが1992年に開始したUNITWIN(University Twinning and Networking)/UNESCO Chairsプログラムは、世界の異なる地域の高等教育機関が連携し、相互の緊密なネットワーク形成を通じて知識移転を促進することにより、国際的な能力開発と人材育成に貢献することを目的としています。2013年9月時点で、世界134ヵ国の高等教育機関に763のユネスコチェアと69のUNITWINネットワークが設置されています。本学ユネスコチェアは、ESD推進を目的とするアジアで唯一のユネスコチェアとして、2007年に設置認可を受けました。
岡山地域は、「国連ESDの10年」(2005年~2014年)が始まった2005年6月、国連大学から「ESDに関する地域拠点RCE(Regional Centres of Expertise on ESD)」として、世界最初の7カ所の1つに認定されました。本学はユネスコチェア設置認可後、岡山市とESD推進に関する協定を締結し、RCE岡山の関係機関である行政、学校、NGO、NPOなどと連携したESD活動を進めてきました。岡山市はESDに関する先進的な取組が評価され、2014年秋の「ESDに関するユネスコ世界会議」では愛知県名古屋市とともに開催都市となり、5つの国際会議に世界97の国・地域から約3千人が参加しました。
岡山大学では、環境生命科学研究科と教育学研究科が中心となって、ESDを基盤とした高度専門人材の育成や教育・実践活動支援を行うとともに、HESDフォーラム(国内高等教育機関のESDネットワーク)、ProSPER.Net(国連大学のアジア・太平洋大学院ESDネットワーク)、ASPUnivNet(ユネスコスクール支援大学間ネットワーク)などに参画し、国内外の高等教育機関とのESD連携を進めています。


報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ>
岡山大学大学院環境生命科学研究科
教授 阿部 宏史
(電話番号)086-251-8977
(FAX番号)086-251-7021

 
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id286.html

2015年4月19日日曜日

【情報発信】女性研究者のシーズ集完成 WTT教員の研究紹介

岡山大学ダイバーシティ推進本部男女共同参画室は、女性研究者の研究概要やコラムを掲載した「岡山大学女性研究者シーズ集 ―WTT教員編―」を3月に作成し、配布しています。

本室は“働きやすい岡山大学、魅力ある岡山大学”を目指し、ウーマン・テニュア・トラック(WTT)教員制度による女性教員の雇用、研究支援体制の充実、保育環境の整備などに取り組んでいます。

冊子は掲載された研究者にとって共同研究の芽になることを目的に制作。女性研究者14人の研究紹介や、人となりの分かるコラムを設けた見開きカラー誌面にまとめています。また、本学のWTT制度に関する情報や、ママとしてのWTT教員の活躍事例、本学保育施設などもあわせて紹介しています。

冊子のデータはこちら

【本件問い合わせ先】
ダイバーシティ推進本部男女共同参画室
TEL:086-251-7303

(15.04.17)


できあがった「岡山大学女性研究者シーズ集」

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id4493.html

2015年4月18日土曜日

【情報発信】「岡山大学ロンドン事務所」開所

本学は4月1日、さらなるグローバル化推進を目的に、英国にロンドン事務所を開所しました。本事務所は欧州地域における初めての海外拠点。本学の広報活動を行いながら、英国の大学・研究機関等との関係構築、連携強化活動を展開し、学生、教職員間のグローバル化を加速させていきます。

また、これに先立ち3月26日、設置場所となるジャパングリーンメディカルセンターとの業務委託の調印が行われました。当日は本事務所開所に向けてサポートしていただいた英国総領事館の立ち会いのもと調印式が行われ、在英日本人向け、在英外国人向けの入試情報の確認や現地大学、研究機関との連携に向けた検討が行われました。


同センターは岡山大学の英国における窓口としての役割を担い、英国で20年以上事業を展開し現地事情に精通した強みを活かし、本学の知名度向上に向けて積極的な情報発信を行う予定です。

【本件問い合わせ先】
グローバル・パートナーズ事務室
TEL:086-251-7048

(15.04.01)



2015年4月15日水曜日

【情報発信】第48回岡大サイエンスカフェを開催

本学研究推進産学官連携機構は4月14日、本学の研究者が最新の科学を分かりやすく説明する「第48回岡大サイエンスカフェ」を創立五十周年記念館で開催しました。

大学院環境生命科学研究科の綾野克紀教授が「コンクリートの環境負荷低減とインフラの長寿命化」をテーマに講演。豊かな生活を支えているコンクリート製のインフラストラクチャーの問題や、将来起こりうる課題、対策などについて解説し、参加した101人の市民らは熱心に聞き入っていました。

 次回は6月15日。大学院社会文化科学研究科の北川博史教授が「世界でも有数の「住み良いまち」とは-リヴァブル・シティの特徴と形成過程-」と題し、住み良いまちづくりについて講演する予定です。


【本件問い合わせ先】
研究推進産学官連携機構 社会連携本部
TEL:086-251-7112
(15.04.14)

 

2015年4月11日土曜日

【情報発信】食道がんに対する放射線治療を併用した腫瘍融解ウイルス 「テロメライシン」の臨床研究の中間報告(第I報)

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学分野の藤原俊義教授、白川靖博准教授らの研究グループは、食道がんに対する腫瘍選択的融解ウイルス製剤「テロメライシン」を用いた放射線併用ウイルス療法の臨床研究を推進。7例の食道がん患者に治療を実施し、その安全性と有効性に関するデータを蓄積しました。本成果は4月19日、米国フィラデルフィアにて開催される第106回米国がん研究会議(AACR 2015)で発表します。

今回でレベル1(低容量)の投与群を終了し、今後、レベル2(中容量)、レベル3(高容量)へと進めていきます。また、岡山大学発ベンチャー オンコリスバイオファーマ(株)と医師主導治験への移行も検討中です。テロメライシンは、手術や標準的な抗がん剤治療が難しい高齢の食道がん患者などで、低侵襲で安全な治療法となることが期待されます。
 
テロメライシン(Telomelysin、OBP-301)は、岡山大学で開発された国産の抗がんウイルス製剤であり、感染したがん細胞を殺傷するとともに放射線に対する感受性を増強することが明らかとなっています。平成25年11月29日から、食道がん患者を対象に、テロメライシンの内視鏡的腫瘍内投与と放射線治療を併用する臨床研究が進んでいます。治療は、第1日目に局所麻酔下に内視鏡を用いて胸部食道の患部に0.2 mlずつ5ヶ所に計1 mlのテロメライシンを投与し、第4日目から週10Gyの放射線治療を6週間、計60Gy実施し、その間に第18日目と32日目にテロメライシンの腫瘍内投与を追加します。

レベル1(1×1010 virus particles(vp);低容量)では、53~92歳の食道がん患者7例に治療が実施され、有害事象としては発熱、食道炎、放射線肺臓炎、白血球減少などが40%以上でみられました。リンパ球減少は全例に認められましたが、放射線治療の中断などで回復がみられています。内視鏡的には7例中5例で腫瘍縮小が認められ、2例では組織検査でがん細胞が消失しました(CR)。本治療前に抗がん剤が使用された2例では、1例が不変(SD)、1例が進行(PD)で試験から脱落しました。


今後は、レベル2(1×1011 vp;中容量)、レベル3(1×1012 vp;高容量)へと進めていき、有効性を検証します。また、オンコリスバイオファーマ(株)と医師主導治験への移行も検討しています。


期待される効果:
がんは1981年以来、日本人の死亡原因の第1位を占めており、国民の健康と安全・安心な社会を確保するためには、既存の治療コンセプトとは異なる革新的な治療技術の開発が不可欠です。テロメライシンは、テロメラーゼ活性を標的とするがん治療を目的とした生物製剤であり、生体内で自立性を持って増殖することによる従来の抗がん剤にない抗腫瘍効果の作用機序を有しています。また、放射線によるがん細胞のDNA損傷の修復を阻害することで、放射線治療の感受性を格段に増強することができます。
今回の臨床研究が順調に進み、標準的な手術や抗がん剤治療が受けられない高齢の合併症を有する食道がんの患者にとって安全で有効な治療法であることが明らかになれば、今後、拡大していく高齢化社会において国民の健康増進や医療経済の節減にも役立つと期待されます。


テロメライシンについて:
 「テロメライシン」は、風邪ウイルスの一種であるアデノウイルスのE1領域に、多くのがん細胞で活性が上昇しているテロメラーゼという酵素のプロモーターを遺伝子改変によって組込み、がん細胞中で特異的に増殖してがん細胞を破壊することができるようにしたウイルス製剤です。「テロメライシン」がヒトのがん細胞に感染すると一日で10万~100万倍に増え、がん細胞を破壊します。一方、「テロメライシン」は正常組織細胞にも同様に感染はしますが、テロメラーゼ活性がないためウイルスは増殖せず、正常組織での損傷は少ないと考えられます。オンコリスバイオファーマ(株)が米国で実施した、がん患者に対する「テロメライシン」単独の臨床試験において、重篤な副作用は認められておらず、投与部位での腫瘍縮小効果などの有効性が認められました。


オンコリスバイオファーマ株式会社について:
オンコリスバイオファーマは、がんと感染症を克服するための新薬開発を行っている岡山大学発バイオベンチャー企業です。主要プロダクトである「テロメライシン」(開発コード:OBP-301)は、現在各種固形がんをターゲットとして米国での第Ⅰ相臨床治験を終了しています。
報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
消化器外科学分野
(電話番号)086-235-7257
(FAX番号)086-221-8775




図1 テロメライシンの作用機序



図2 テロメライシンの放射線増感作用



図3 テロメライシン投与と放射線治療スケジュール

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id284.html

2015年4月8日水曜日

【情報発信】岡山大学・北海道大学発「リン酸化プルランを用いた世界初の多目的接着性人工骨を開発するベンチャー企業」を設立

岡山大学と北海道大学は、4月1日(水)にベンチャー企業「メディカルクラフトン株式会社」を設立しました。
 
北海道大学大学院歯学研究科吉田靖弘教授[元岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 准教授]は、平成24年からリン酸化プルランを用いた世界初の多目的人工骨の開発を推進。医療用多糖類のプルランから得られるリン酸化プルランとリン酸カルシウム(骨の類似成分)を混合することにより、歯や骨に強固に接着する人工骨の開発に成功しました。

今回設立したベンチャー企業は、本研究成果を用いて、新規人工骨の開発・実用化さらに医療分野における幅広い展開を目指します。
 
北海道大学大学院歯学研究科吉田靖弘教授[元岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 准教授]は、骨や歯などの生体硬組織に強固に接着する新規生体材料である多糖誘導体リン酸化プルランを主成分とする新しい人工骨の開発に成功。岡山大学が起業支援し、本研究成果を実用化するベンチャー企業(代表取締役:松尾健哉氏)を設立しました。

 
開発した人工骨は、高い接着力、圧縮強度の最適化、生体吸収性・骨置換速度の最適化を実現し、歯科領域以外に外科領域(整形外科や脳外科)への応用も期待できます。

 
今後は、設立したベンチャー企業を通じて、歯科領域、そして将来は整形外科領域を中心とした医科領域へと広く普及していく計画です。平成33年度を目途に歯科領域での製造販売業の取得を経て、製品の市販3年後には売上高6.5億円を目指します。

本ベンチャー企業は、岡山大学が科学技術振興機構(JST)から受託していた研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)本格研究開発ステージ起業挑戦タイプの研究開発課題「リン酸化プルランを用いた世界初の多目的人工骨の開発」の研究開発成果を事業展開したものです。

本件に関しては、JST、日本医療研究開発機構(AMED)、北海道大学から文部科学記者会、科学記者会、北海道庁教育記者クラブに同様の内容について、プレスリリースされています。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20150408/index.html

報道発表資料はこちらをご覧ください


<お問い合わせ>
岡山大学研究推進産学官連携機構産学官連携本部
産学官連携コーディネーター  齋藤 晃一
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1
 Tel:086-251-8465   Fax:086-251-8467

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id283.html


2015年4月7日火曜日

【情報発信】世界初 脳死・生体肺同時の“ハイブリッド移植”に成功

岡山大学病院は4日、特発性間質性肺炎を患う男性への両肺移植手術で、左肺に脳死した人からの肺、右肺に生きている人の肺(右肺下部の「下葉」)を同時に移植する手術に成功しました。脳死・生体肺同時の“ハイブリッド移植”は、世界初です。

手術は同日、呼吸器外科の大藤剛宏肺移植チーフを執刀医とするチームが担当。約10時間かけて、脳死ドナーから提供された肺と生体ドナーから提供された肺の一部を移植しました。

手術後の会見で大藤教授は、「機能の優れた生体肺も使うことで、一つの命を救うことができた。医学的理由で使用が断念される肺が利用されるのは意義深い。使われない肺を少しでも減らしたい」と説明しました。

【本件問い合わせ先】
 岡山大学病院 病院長室 
 TEL:086-235-6749

(15.04.06)


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id4469.html

2015年3月7日土曜日

【情報発信】第17回フューチャーセッション 「(医療経営を中心とした)ヘルスケア産業動向と今後の展望」 開催

岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室は3月4日、「第17回フューチャーセッション」を岡大インキュベータ会議室(岡山市北区)で開催しました。


今回、株式会社日本政策投資銀行(DBJ)企業金融第6部ヘルスケア室の青山竜文室長が、「(医療経営を中心とした)ヘルスケア産業動向と今後の展望」と題して話題提供。我が国のヘルスケア産業の推移について紹介に始まり、最新のトピックとして「地域ヘルスケア成長ファンドの組成」や「シリコンバレーの先端医療機器ファンドへの出資」などのヘルスケア産業育成の情報を紹介。また、事業展開の課題として挙げられる、「技術導入」、「小規模多量化」、「(オペレーションなどを)変えることのへの対応」について、如何に解決に導くかについて話題提供を行いました。


セッション・モデレーターを務めた佐藤法仁岡山大学学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーター(URA)からは、「大学の医療系研究シーズを手当たり次第にヘルスケア産業に持って行くのではなく、産業構造をよく理解して、その産業の将来性をも加味した際に、どの研究シーズがベストマッチするのかを熟慮する必要があると思う」と総括。参加した職員、企業、自治体、金融機関などの関係者らとともに、大学の研究シーズの社会実装化のあり方やヘルスケア産業の活性化、国際化などについて熱心な対話を行いました。


岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。また、岡山大学病院は平成25年4月に厚生労働省が全国の医療機関から選定した中国・四国地区唯一の「臨床研究中核病院」として、同地区の基幹病院とのネットワークを利活用した大規模な臨床研究や治験、基礎研究から臨床応用にいたる橋渡し研究を精力的に実施しています。これら本学の強みのひとつである医療系研究力のさらなる強化促進を行うために、今回のセッションで得られた知見や人的ネットワークを最大限に利活用して行く予定です。


本セッションは、岡山大学が採択を受けている独立行政法人科学技術振興機構「我が国の未来を拓く地域の実現に関する調査研究」事業の関連イベントとして実施されました。

 <参考資料>
シリコンバレーにみる医療機器開発エコシステムと日本への示唆(DBJ):
http://www.dbj.jp/pdf/investigate/mo_report/0000013662_file2.pdf
医療周辺産業研究会報告書(DBJ):http://www.dbj.jp/pdf/investigate/etc/pdf/book1311_02.pdf



対話材料を提供する青山竜文室長



セッション・モデレーターを務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・URA


熱心に聴講する参加者ら



国立大学法人岡山大学http://www.okayama-u.ac.jp/index.html



2015年2月19日木曜日

【情報発信】農林水産省「革新的技術創造促進事業」革新的ウイルス対策技術分野 年度研究報告会 開催

農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」の研究拠点を担う岡山大学は2月19日、事業の年度報告会を岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)で開催しました。


現在、農林畜産分野ではウイルスによる被害が大きな問題となっています。例えば鳥インフルエンザウイルスによる家畜業界への経済的打撃や私たちの食生活への不安などは大変深刻です。また、観梅の名所がウイルス感染で、すべて伐採に至るなど、文化的損失も問題となっています。同事業では、産学官連携のもと今までにない革新的な手法を開発することで、ウイルス感染の完全防御や早期感染診断などを実施します。


本事業は本年度より開始され、今回が初めての年度報告会となります。研く裕拠点である岡山大学を代表してコンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチアドミニストレーター(URA)が「異なる研究分野が課題に対して協働するには様々な情報を共有する必要がある。本年度、活発に行ってきた研究や連携会議などをもとに社会が求める事柄に迅速に対応できるように皆さんとともに進めて行きたい」と挨拶。研究拠点代表者の岡山大学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授や拠点と連携して課題解決を図る補完研究機関の各代表者らによる年次報告では、植物のウイルス感染防御の工学的な視点からの研究取り組み報告や今までにないウイルス検知技術の開発過程などについて報告を行いました。

参加した農研機構生物系特定産業技術研究支援センターの川口尚選考・評価委員会事務局長、神尾次彦研究リーダー、吉田幸二研究リーダーらと、より効率的な技術開発や社会実装の進め方について熱心な議論が行われました。


岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。この高い研究力を社会実装に結びつけるには、他機関や企業などとの連携が必要不可欠となります。今後も本事業において多種多様な幅広い機関・企業の参画を募るとともに、農林畜産分野のウイルス感染の完全防御や早期感染診断などの研究開発を精力的に押し進めていきます。


挨拶を行う佐藤法仁コンソーシアム・プロジェクト・マネージャー


 研究拠点の研究報告を説明する世良貴史教授

感想を述べる川口尚選考・評価委員会事務局長

国立大学法人岡山大学:http://www.okayama-u.ac.jp/index.html