岡山大学異分野基礎科学研究所(RIIS)の野原実教授と工藤一貴准教授らの研究論文が4月15日、一般社団法人日本物理学会(JPS)が発行する国際ジャーナル「Journal of the Physical Society of Japan (JPSJ) 」の年間高引用論文ベスト10に2件入る快挙を成し遂げました。
両論文は、「112型CaFeAs2」に関するもので、今までにない新しい結晶構造を持つ鉄系超電導体です。従来の超電導体には多くのレアアースが使用されており、価格や汎用性で課題がありましたが、新しい超電導体のレアアース含有量は元素比5 %以下に抑えられており、安価で高性能な超電導線材の実現の可能性があるものです。野原教授は「学生たちの工夫と頑張りで、今回の成果をあげることができました。今後も、学生たちが最先端の研究を体験できるよう、教育研究に邁進したい」と述べました。
野原教授と工藤准教授らはこれまでに、同分野で先導的な研究開発を数多く進めてきました。3月19~22日に開催された「日本物理学会第71回年次大会」(東北学院大学泉キャンパス)では、第21回(2016年)日本物理学会論文賞を受賞。また日本学術振興会の平成27年度新学術領域研究(研究領域提案型)である「J-Physics:多極子伝導系の物理」の計画研究代表者を務めており、わが国の将来を担う重要な課題解決に挑戦しています。
これらの研究成果は、文部科学省科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の報告資料「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2015」におけるTop10%補正論文数(研究の質)の伸び率で本学が全国第2位、ネイチャー・パブリッシング・グループ(Nature Publishing Group)が発表している「Nature Index」においても、本学の自然科科学分野の高品質論文数の伸び率が全国第2位になるなどの秀逸な成果に大きな貢献を果たしています。今後も研究の量、質において世界的に存在感のある「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の一翼を担い、社会を革新する研究開発を精力的に進めていきます。
<参考:年間高引用論文ベスト10に入った2論文>
K. Kudo, T. Mizukami, Y. Kitahama, D. Mitsuoka, K. Iba, K. Fujimura, N. Nishimoto, Y. Hiraoka, and M.Nohara:Enhanced Superconductivity up to 43 K by P/Sb Doping of Ca1−xLaxFeAs2. J. Phys. Soc. Jpn. 83, 025001 (2014).
K. Kudo, Y. Kitahama, K. Fujimura, T. Mizukami, H. Ota, and M. Nohara:Superconducting Transition Temperatures of up to 47 K from Simultaneous Rare-Earth Element and Antimony Doping of 112-Type CaFeAs2. J. Phys. Soc. Jpn. 83, 093705 (2014).
【本件問い合わせ先】
岡山大学異分野基礎科学研究所 教授 野原 実
TEL:086-251-7828
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