2017年11月21日火曜日

【情報発信】国連「持続可能な開発目標(SDGs)」の大学等向けガイド「大学でSDGsに取り組む」日本語翻訳版を公開

岡山大学は、「槇野ビジョン」と関連が深い国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」に着目し、SDGsを支援しつつ、本学の教育研究、社会貢献活動などの活性化を精力的に進めています。
今回、国連が支援する持続可能な社会を実現するためのグローバルなネットワークである「The SDSN(Sustainable Development Solutions Network)Australia/Pacific」が2017年8月に取りまとめた大学でSDGsに取り組むためのガイド「Getting started with the SDGs in Universities」の翻訳を行い、本学のSDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」で公開しました。

同ガイドは、SDGsの達成のために大学ができることを取りまとめたガイドであり、SDGsの基本的な説明をはじめ、大学のSDGsへの貢献方法、ケーススタディなどが豊富に掲載されています。この度、日本語翻訳版ができたことで、日本の大学での活用のみならず、社会全体の方々にSDGsを知ってもらい、目標達成のための行動の加速などに寄与できればと考えています。


翻訳を担当した大学院医歯薬学総合研究科の狩野光伸副理事(研究担当)・教授は、「大学でSDGsに取り組むといっても、具体的にどうしたらいいのかすぐには分かりにくいところがあると思います。このガイドの内容は、国の違いから社会的背景の違いはあっても、大学という組織として共通してあてはまるところは想像よりずっと多く、日本における実践のためにも大変良い参考になると思います」と述べ、本翻訳ガイドの活用とあらゆるセクターが共同してSDGsの目標達成を目指す重要性を述べました。

岡山大学などでつくる「岡山ESDプロジェクト」は、2016年9月に
ユネスコ/日本ESD賞を受賞。岡山市は2017年1月にユネスコ学習都市賞2017を受賞するなど、わが国を代表するESDの実践の場です。この岡山でしかできない特色ある取り組みを継続しつつ、本学ではSDGsと協同できる体制を構築しており、先日も岡山から国連持続可能な開発目標「SDGs」を考えるシンポジウムとワークショップを開催するなどしています。

また、12月5日には「SDGsの達成に向けたRCE第一回世界会議」を開催する予定です。今後も、地域と世界の課題解決を着実に進めていくとともに、本学の教育研究のイニシアチブ向上とともにSDGsの目標達成を図っていきます。

Getting started with the SDGs in Universities
(日本語翻訳版:狩野光伸 翻訳、SDSN Japan/蟹江憲史 監修「大学でSDGsに取り組む 大学、高等教育機関、アカデミアセクターへのガイド」オーストリア、ニュージーランド、太平洋版)

 <参考>
岡山大学SDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」

 


「Getting started with the SDGs in Universities」の日本語翻訳版


日本語版の翻訳を担当した狩野副理事(研究担当)・教授


SDGsのロゴマーク(国連広報センターホームページより)

国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています

【情報発信】国連「持続可能な開発目標(SDGs)」の実現の加速を!専用WEBページ「岡山大学×SDGs」を公開

岡山大学は、理念・目的に基づき、持続可能な社会の実現に向けて教育・研究・社会貢献の諸活動を強力に推進して来ました。本年4月には、第14代学長として槇野博史学長が就任し、「槇野ビジョン:しなやかに超えていく『実りの学都』へ」を発表、さらなる活動の推進を実施しています。

この「槇野ビジョン」は、国連が掲げる「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)」と深い関連性があります。岡山の地は、「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development;ESD)」において、本学などでつくる「岡山ESDプロジェクト」が、2016年9月に「ユネスコ/日本ESD賞」を受賞。さらに岡山市は2017年1月に「ユネスコ学習都市賞2017」を受賞するなど、わが国を代表するESDの実践の場となっています。この持続可能な社会づくりのための担い手を育てるESDは、SDGsの開発目標に取り組み、達成するための人材育成として位置づけられます。

こうした背景を踏まえ、本学ではSDGsが求める「社会のための科学」を先導する体制の強化を、槇野学長のリーダーシップの下、学内改革だけではなく、学外の多様なパートナーとともに進めてきました。これらのさまざまな取組は、マッピング化とともにデータベース化を実施し、誰もが見聞きできるよう展開しています。
さらには、「SDGsに関する岡山大学の行動指針」を策定し、本学の理念・目的の下、SDGsの達成に貢献する活動に取り組み、持続可能な社会の実現を牽引していく指針を定めました。

これら本学における精力的なSDGsへの取組情報の一元化とともに、好事例の横展開の拡大やSDGsに関連した産学官連携強化推進などの観点から、SDGs専用のWEBページ「岡山大学×SDGs」を開設しました。ぜひ、ご覧ください。

 岡山大学SDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」はこちら




SDGsのロゴマーク(国連広報センターホームページより)


国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています
 

【情報発信】3年連続受賞の快挙! 馬教授と山地准教授が世界で最も影響力のある科学者に選出

Clarivate Analytics社(旧トムソン・ロイターIP&Science)が発表した論文の引用動向分析、高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)2017年版において、本学資源植物科学研究所植物ストレス学グループの馬建鋒教授、山地直樹准教授が選出されました。2015年版2016年版に続き3年連続の受賞となります。

馬教授、山地准教授は、植物の生育に不可欠な各種ミネラルの輸送メカニズムを数多く解明し、「植物・動物学/ Plant & Animal Science」分野において世界で最も影響力のある科学者として、国際的に高く評価されました。


毎年世界で注目されている本リストでは、自然科学および社会科学の21研究分野において、2005年1月から2015年12月の11年間に発表された論文のうち、被引用数が非常に高い論文を発表した約3,500人の各国の著名な研究者(うち、日本の研究機関に所属する研究者は約75人)が選出されています。引用数が顕著に高い論文は、科学コミュニティが意義深く有益であると判断した一つの目安となります。


岡山大学は、2013年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した
「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。その一つとして資源植物科学研究所(IPSR)は、Top10%補正論文割合(Q値)の最も高い組織として評価されており、馬教授と山地准教授は本学研究力強化促進の大きな原動力となる研究者です。

Highly Cited Researcher 2017受賞者リスト(Clarivate Analytics社):
https://clarivate.com/hcr/?utm_campaign=16508-hcrlaunch17&utm_source=eloqua&utm_medium=email&utm_content=report


本学広報誌「いちょう並木」の最新号(2017年10月号 Vol.87)に馬教授と山地准教授が紹介されています。
植物は“小さな宇宙”~その未知なる可能性を探る~




馬教授


山地准教授


岡山大学資源植物科学研究所(倉敷市)

岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています

 

【情報発信】横井副理事が第39回ユネスコ総会の「ユニツイン/ユネスコチェア事業25周年記念大会」に参加


国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第39回総会が10月30日、フランス共和国・パリのユネスコ本部で開幕し、「ユニツイン※1/ユネスコチェア※2事業25周年記念大会」が10月31日に行われました。本学はユネスコから、国連による「持続可能な開発のための教育(ESD)」の取り組みを推進するユネスコチェアに選ばれており、同大会に招待されました。本学からは槇野博史学長と岡山大学ユネスコチェアホルダーである本学大学院環境生命科学研究科の阿部宏史教授の代理として、横井篤文副理事・上級UGAが出席しました。

ユネスコが1992年に開始した「ユニツイン/ユネスコチェア事業」は、世界の異なる地域の高等教育機関が連携し、相互の緊密なネットワーク形成を通じて知識移転を促進することにより、国際的な能力開発と人材育成に貢献することを目的としています。2017年3月時点で、世界116ヵ国から約700機関以上の高等教育機関にユネスコチェアとユニツインネットワークが設置されており、
本学ユネスコチェアは、ESD推進を目的とするアジアで唯一のユネスコチェアとして、2007年に設置認可を受けています。
さらには、2014年に「ESDに関するユネスコ世界会議」が岡山市等で開催されるなど、岡山地域および本学は長きにわたりESDの分野で同事業に大きく貢献しています。


今回の記念大会では、ユネスコ事務局長補佐のチェン・タン氏をはじめ、パネリストとしてロシアのオリガ・ワシリエワ連邦教育・科学大臣、カナダ・ヨーク大学ユネスコチェアホルダーのチャールズ・ホプキンス教授など、世界48カ国から約200人以上の関係者が参加しました。


大会では、これまでの25年間の同事業の取り組みを振り返り、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」※3の達成に向けた更なる展開について議論しました。横井副理事は、世界のESDを牽引する第一人者のひとりであるホプキンス教授と会談し、本学のこれまでのESDの実績と「槇野ビジョン:しなやかに超えていく『実りの学都』へ」を踏まえたSDGsの推進についての意見交換を精力的に実施。


また、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)とRCE岡山および岡山大学が、12月5日~7日の3日間において岡山市で誘致開催する国連会議「SDGsの達成に向けたRCE第一回世界会議」についても紹介し、本学の国際的プレゼンスを高めました。


岡山大学も参画する「岡山ESDプロジェクト」は、2016年9月に「ユネスコ/日本ESD賞」を受賞。岡山市は2017年1月に「ユネスコ学習都市賞2017」を受賞するなど、わが国を代表するESDの実践の場です。この岡山でしかできない特色ある取り組みを継続しつつ、今後はSDGsと協同できる体制を構築し、地域と世界の課題解決を着実に進めていくとともに、本学の教育研究のイニシアチブ向上などを図っていきます。

※1 UNITWIN
University Twinningの略称であり、大学間連携ネットワークの促進を目的として、1992年の第26回ユネスコ総会で採択された事業のことです。

※2 UNESCO Chairs
ユネスコ講座のこと。地域において持続可能な社会を創造していくための人材を育成することを目的としています。本学では、2007年4月に認証を受け、取組責任者であるチェアホルダーは阿部宏史教授が務めています。

※3 
「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals;SDGs)
2015年9月に国連が開催した「国連持続可能な開発サミット」において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。このアジェンダでは人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標を掲げています。この17の目標と169のターゲットからなるものが「持続可能な開発目標」(SDGs)です。




カナダ・ヨーク大学のホプキンス教授と横井副理事(左)


事業25周年記念大会の様子


世界48ヵ国から約200人以上が参加し、意見交換を実施
 

事業25周年記念大会の会場となったユネスコ本部(フランス・パリ)

岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています


2017年11月20日月曜日

【情報発信】FOCUS ON(Vol.3)「キリスト教修道制研究とグローバルヒストリーへの展望」 発行

岡山大学は11月20日、さまざまな分野のユニークな研究者に焦点を当て、研究内容やその人柄を紹介する「FOCUS ON」のVol.3を発行しました。

本学は11学部・1コース、7研究科、3研究所を有しており、幅広い学問領域をカバーしています。
今回は、
大学院社会文化科学研究科西洋史学研究室の大貫俊夫准教授の研究活動について紹介しています。
近年、急速に進んでいる”グローバル化”。国家の垣根を越えてヒトやモノ、お金が動くことを言いますが、大学院社会文化科学研究科の大貫俊夫准教授は「グローバル化は、歴史研究の分野でも急速に進んでいるんですよ」と話します。歴史研究のグローバル化とは? また、歴史学がグローバル化することで得られるものは? 大貫准教授にその疑問を解説してもらいます。ぜひご覧ください。

FOCUS ON(Vol.3):
キリスト教修道制研究とグローバルヒストリーへの展望

<Back Issues>
Vol.2:
イメージの中の建築物を読み解く (大学院社会文化科学研究科 本田晃子准教授)
Vol.1:
身近な液体「水」の謎に迫る (異分野基礎科学研究所 松本正和准教授)


<参考:研究系web国際広報>

Okayama University e-Bulletin
Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)



大学院社会文化科学研究科の大貫准教授


ラテン語の文書

岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています
 
 

2017年11月16日木曜日

【情報発信】大気中のPMタンパク質は喘息汚染関連因子であるオゾンと窒素酸化物によりチロシンニトロ化修飾を受けることを発見

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)公衆衛生学の荻野景規教授、伊藤達男助教らの研究グループは、大気中に浮遊している粒子状物質(PM)に含まれるタンパク質がオゾンと二酸化窒素によって化学修飾を受けていることを明らかにしました。本研究成果は11月10日、英国の科学誌「Environmental Pollution」に掲載されました。

大気中に存在する粒子状物質は、その濃度と呼吸器疾患や心疾患との関連性が指摘されています。大気中には、花粉、ウイルス、真菌などのタンパク質成分が、粒子状物質に結合し浮遊しています。これまで、アレルゲンタンパク質のチロシンニトロ化修飾が、アレルギー性を促進するという報告はありましたが、人工空間での実験の結果にとどまっていました。本研究では、高湿度条件において、大気中のニトロチロシン生成はオゾンや、窒素酸化物、浮遊粒子状物質(PM)と関連性があることを見出しました。


本研究成果は、大気環境中の粒子状物質による健康影響を評価するための重要な知見を提供します。


図:PMに含まれるタンパク質のチロシン残基は高湿度においてオゾンと窒素酸化物によってニトロ基が導入され、ニトロチロシンとなる

<発表論文情報>
論文名:Relationship of particulate mater and ozone with 3-nitrotyrosine in the atmosphere
掲載誌:
Environmental Pollution
著者:Ito T, Ogino K, Nagaoka K, Takemoto K

<詳しい研究内容について>

大気中のPMタンパク質は喘息汚染関連因子であるオゾンと窒素酸化物によりチロシンニトロ化修飾を受けることを発見


<本件お問い合わせ>
大学院医歯薬学総合研究科(医)
公衆衛生学 教授 荻野 景規
(電話番号)086-235-7184
(FAX番号)086-226-0715


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id510.html

2017年11月12日日曜日

【情報発信】JST「産学官連携ジャーナル」に山本進一エグゼクティブアドバイザーが「岡山大学で活躍するURA」を寄稿

岡山大学エグゼクティブアドバイザーである山本進一岡山大学名誉教授・名古屋大学名誉教授が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が発行する「産学官連携ジャーナル」の2017年11月号において「岡山大学で活躍するURA」と題して寄稿しました。

山本進一エグゼクティブアドバイザーは、本学の前理事・副学長(研究担当)であり、岡山大学のリサーチ・アドミニストレーター(URA)を創設した方のおひとりです。前職時は、URAを取りまとめる立場として、URAひとりひとりの個性、自主性に合わせた柔軟な人材マネジメントを行い、厚い信頼関係のもと岡山大学の研究力強化促進に大きく寄与されました。また、現在でも研究大学の連合体である「研究大学コンソーシアム」の議長を務められるなど、わが国全体の研究力強化促進に尽力されています。

本寄稿では、岡山大学URAの活動のほんの一部について紹介しています。
ぜひご覧ください。

山本進一「岡山大学で活躍するURA」(2017.11):https://sangakukan.jp/journal/journal_contents/2017/11/articles/1711-06/1711-06_article.html

山本進一エグゼクティブアドバイザー

2017年11月11日土曜日

【情報発信】遺伝子を操作する“人工転写因子”でがんの増殖を阻害~がんの増殖を担う遺伝情報を読めないようにする革新的技術を開発~

岡山大学大学院自然科学研究科(工)生体機能分子設計学研究室の世良貴史教授、森友明特任助教らの研究グループは、川崎医科大学の猶本良夫教授、深澤拓也准教授との共同研究により、がんの遺伝情報のひとつである「がん増殖遺伝子」を読めなくする、テーラーメイドの人工タンパク質『人工転写因子』の開発に世界で初めて成功しました。この人工転写因子は、世良教授が開発した、標的のがん増殖遺伝子に特異的に結合する人工DNA結合タンパク質に、遺伝子を読めないようにするタンパク質を融合させた人工タンパク質です。本研究成果は10月5日、がん治療分野の総合科学雑誌「Oncotarget」のオンライン版に公開されました。

本研究では、デザインした人工転写因子を用いて、肺がんと食道がんで高発現し、がん化を促進する「SOX2遺伝子」の発現を効果的に抑制できることを細胞レベルだけでなく、動物レベルでも確認しました。この手法は、ほかのがん関連遺伝子に適応可能であり、それらの遺伝子の働きによるさまざまながんの予防や創薬への応用が期待されます。

また、本技術は、がん関連遺伝子だけではなく、あらゆる疾患関連遺伝子にも応用が可能であるため、革新的な技術として私たちの生活に大きく役立つことが期待されます。


図.肺がんおよび食道がんの原因遺伝子であるSOX2の発現を抑制できる「人工転写因子」を作製。その人工転写因子遺伝子を導入することにより、がん原因遺伝子の発現を抑えることでがんの誘発に働くタンパク質の産生が抑えられ、がんは増殖することができない。また、人工DNA結合タンパク質を換えることにより、あらゆる疾患の予防・治療にも応用することが可能である!


【論文情報】タイトル:Targeted silencing of SOX2 by an artificial transcription factor showed antitumor effect in lung and esophageal squamous cell carcinoma著  者:Etsuko Yokota, Tomoki Yamatsuji, Munenori Takaoka, Minoru Haisa, Nagio Takigawa, Noriko Miyake, Tomoko Ikeda, Tomoaki Mori, Serika Ohno, Takashi Sera*, Takuya Fukazawa*, Yoshio Naomoto
掲 載 誌:Oncotarget
掲 載 号:Volume 8(Advance Online Publicationのため詳細は現時点で未定)
DOI:
https://doi.org/10.18632/oncotarget.21523

 
発表論文はこちらからご確認いただけます。


<詳しい研究内容について>
遺伝子を操作する“人工転写因子”でがんの増殖を阻害~がんの増殖を担う遺伝情報を読めないようにする革新的技術を開発~


<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(工学系) 生体機能分子設計学研究室
教授 世良 貴史
(電話番号)086-251-8194
(FAX番号) 086-251-8194

//www.okayama-u.ac.jp/user/seralab/index.html


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id506.html

【情報発信】斜視発症に関連する遺伝子候補を発見

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)眼科学分野の松尾俊彦准教授らの研究グループは、目の病気の一つである「斜視」について、その発症に関連する遺伝子候補として二つの遺伝子(MGST2、WNT2)を世界に先駆けて明らかにしました。本研究成果は10月17日、アメリカのオンライン科学雑誌『PeerJ』に掲載されました。

斜視は、遺伝要因と環境要因の両方が発症に関わる「多因子疾患」です。斜視では一方の眼の視線がずれているため、両眼をうまく使うことが難しくなり、モノが立体的に見える機能が落ちたりします。
本研究成果は、今後の眼科医療に大きく貢献することが期待されます。


<論文情報等>
論文名:MGST2 and WNT2 are candidate genes for comitant strabismus susceptibility in Japanese patients. 掲載誌:PeerJ
掲載号:2017, 5, e3935;
著 者:Jingjing Zhang and Toshihiko Matsuo
D O I:10.7717/PeerJ3935


発表論文はこちらからご確認いただけます。

<参考論文>
論文名:Chromosomes 4q28.3 and 7q31.2 as new susceptibility loci for comitant strabismus.
掲載誌:Investigative Ophthalmology and Visual Science
掲載号:February 2009, Vol.50, 654-661.

著 者:Sherin Shaaban, Toshihiko Matsuo, Hirotake Fujiwara, Emi Itoshima, Takashi Furuse, Satoshi Hasebe, Qingrun Zhang, Jurg Ott, Hiroshi OhtsukiD O I:10.1167/iovs.08-2437

参考論文はこちらからご確認頂けます。

 <詳しい研究内容について>
斜視発症に関連する遺伝子候補を発見

 <お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)眼科学分野
准教授 松尾 俊彦
(電話番号)086-235-7297
(FAX番号)086-222-5059
(URL)
//www.okayama-u.ac.jp/user/opth/index.htm

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id504.html

【情報発信】インドで分離されたロタウイルスのゲノム解析により新型ロタウイルスの発生加速とワクチン効果低下の一因を解明

岡山大学インド感染症共同研究センターの前センター長・篠田純男名誉教授、今村大輔准教授と北里大学片山和彦教授(前国立感染症研究所室長)は、インドでのロタウイルス分離株の遺伝子全ゲノム解析により、非定型ウイルス株の成立・流行の要因、ワクチンの影響等について明らかにしました。本研究成果は7月25日、科学誌「Infection, Genetics and Evolution」に掲載されました。

同一患者に遺伝子型の異なるロタウイルスが複数株同時感染する事象が頻繁に起こる非衛生的な環境が、ワクチン効果を減少させ、新型ウイルスの出現頻度を上昇させています。インドなどの発展途上国では、年少者のロタウイルスが主要な下痢症病原体となっており、流行予防のためにも、ウイルスの継続的な解析・動向調査が必要です。
出典:篠田純男、Asish K. Mukhopadhyay, Munirul Alam. アジア・アフリカの感染症動向.
防菌防黴.44, 61-68 (2016)

<論文情報等>論文名:Complex reassortment events of unusual G9P{4} rotavirus strains in India between 2011 and 2013. 掲載誌:Infection, Genetics and Evolution掲載号:vol., 54, 417-428 (2017)著 者:Yen Hal Doan, Yoshiyuki Suzuki, Yoshiki Fujii, Kei Haga, Akira Fujimoto, Reiko Takai-Todaka, Yuichi Someya, Mukti K. Nayak, Anupam Mukherjee, Daisuke Imamura, Sumio Shinoda, Mamta Chawla-Sarkar and Kazuhiko Katayama.

<詳しい研究内容について>
インドで分離されたロタウイルスのゲノム解析により新型ロタウイルスの発生加速とワクチン効果低下の一因を解明

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
インド感染症共同研究センター
名誉教授・非常勤研究員 篠田 純男
(電話番号)086-462-5371

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id505.html


【情報発信】知財フォーラム2017 第2回~光り続ける企業とそれを目指して~を開催

岡山大学研究推進産学官連携機構知的財産本部は11月2日、「岡山大学知財フォーラム2017 第2回~光り続ける企業とそれを目指して~」を本学創立五十周年記念館で開催しました。

 フォーラムでは、興和株式会社医薬事業部薬粧薬事部の森田務部長が「一般用医薬品とセルフメディケーション」をテーマに、セルフメディケーションの重要性などについて講演しました。


また、東京証券取引所上場推進部の松井佳彦調査役が「最近の新規上場の傾向と上場審査のポイント~大学発ベンチャー~」と題して、上場審査のポイントや大学発ベンチャーの留意点などについて紹介しました。


参加した教職員や学生、企業などの関係者らは、事業に対する考え方や技術の事業活用について熱心に耳を傾けていました。

<今年度の知財フォーラム>
知財フォーラム2017 第1回:
岡山発のものづくり秘話




渡邊裕知的財産本部長による開会あいさつ


講演する森田部長


講演する松井調査役
 

熱心に聴き入る参加者ら

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7105.html
 

【情報発信】ミャンマー国保健省食品医薬品局(MFDA)一行が来学

ミャンマー国保健省食品医薬品局(MFDA)のタン・トゥ(Dr.Than Htut)局長、キン・チット(Dr.Khin Chit)副局長ら一行が10月28日に来学し、薬学部で意見交換会を開催しました。

MFDAと本学は、2016年5月23日に大学間協定を締結し、2017年4月にはMFDA職員2人を大学院研究生として受入れています。10月からは大学院博士後期課程に入学しており、本学で最先端の薬学研究手法を学び、博士学位を取得し、帰国後に医薬品管理行政への指導的立場として活躍することが期待されています。なお、修学中の奨学金は日本製薬工業協会(JPMA)より支給されています。

意見交換会には、神崎浩理事・副学長(国際担当)、檜垣和孝薬学部長、黒﨑勇二薬学部副学部長、三好伸一薬学部副学部長、ミャンマー国留学生と指導教員のほか、日本ミャンマー協会の仙谷由人副会長、特定NPO法人日本・ミャンマー医療人育成支援協会の岡田茂理事長が出席。
また、JPMAよりアステラス製薬や武田薬品工業、ミャンマー国と関連の深い大塚製薬工場、北島酸素、カワニシホールディングスなどの企業関係者も参加し、活発な意見交換が行われました。意見交換会の後に、MFDA一行は留学生の各研究室を訪問し、留学生から日頃の研究の様子について説明を受け、指導教員を交えた質疑応答も行われました。

その後開催された歓迎会では、槇野博史学長と金澤右理事・岡山大学病院長も参加し、和やかな雰囲気の中、互いに友好と親睦を深めました。

ミャンマー国と本学の交流は、医療系人材育成支援を始めとして約20年にわたっており、今後も研究交流や人材育成など、さまざまな分野で交流を発展させていきます。



あいさつするタン・トゥ局長


大学・学部紹介を行う檜垣薬学部長


研究の紹介をするハン・ミン・オン博士後期課程留学生
 

参加者による記念撮影

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7104.html
 

【情報発信】岡安教授らが国際ジャーナルの論文賞を受賞

岡山大学大学院自然科学研究科の岡安光博教授と元指導学生の呉紹華さん (平成29年3月大学院自然科学研究科博士前期課程修了)らが執筆した論文が11月2日、国際的な科学雑誌「Journal of Mechanical Science and Technology」の“2016 Second Best Paper Award”を受賞しました。同日、韓国・済州島で表彰式があり、岡安教授らが出席しました。

岡安教授らはアルミニウム合金鋳物の新素材を開発し、平成28年3月に論文が掲載されました。今回、本研究成果が将来の機械工学の発展に期待されることが評価され、受賞が決定しました。

Journal of Mechanical Science and Technologyは、独Springer社出版のジャーナルで、毎年およそ700篇の学術論文が掲載されています。この論文賞は、学術上優れた論文3篇以内が授与される賞です。

論文はこちらからご覧いただけます。



論文賞を受賞した岡安教授(右)と呉さんら


論文賞で授与された賞状

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7107.html
 

【情報発信】“変化”を体感することのできる大学経営と研究戦略を目指して 佐藤法仁URA・副理事が筑波大学で講演

岡山大学は2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)のひとつです。全学を挙げて研究力の向上や産学連携の推進、そして学術の探求・継承などの強化を進め、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築を実施しています。 今回、筑波大学URA研究戦略推進室が主催する研究戦略講演会に、岡山大学東京オフィス駐在の佐藤法仁URA・副理事(企画・評価・総務担当)が登壇。「“変化”を体感することのできる大学経営と研究戦略を目指してと題して、11月10日、筑波大学で講演しました。

本講演会は大学教職員を対象とした研究戦略に関するシリーズの講演会であり、今回が第5回となります。佐藤法仁URA・副理事は「変化の体感」をキーワードに、岡山大学の取り組み事例について、データなどをもとにして紹介しました。
さらにデータだけではなく、そのデータを活かす際、実際の現場の教職員や既存の大学システムにどう落とし込むのかという点についても言及。単にデータを集め、解析し、得られた結果をフォードバックするという単純なものではなく、いつどのようなデータを取集するのか、解析したデータを大学経営などに活かす際、そこには組織(部局)だけではなく、“生身の人”を相手としており、適切な合意形成術や野心的な変革ビジョン(Massive Transformative Purpose;MTP)を掲げた際の「幸福感」、「共感性」の重視と共有など、ポジティブな変化を体感することのできる研究戦略が重要であることなどを説明しました。さらに研究戦略は、単に研究・産学官連携分野の強化をターゲットとするのではなく、その戦略が大学改革に結び付き、改革を促進するものであることの重要性について、事例をもとに説明しました。

また講演では、URA(リサーチ・アドミニストレーター)の制度の運用についても意見交換が行われました。岡山大学URAのこれまでの取り組みや成功事例だけではなく、課題などについても意見交換を実施。さらに筑波大学URAの取り組みについても意見交換を行い、ポジティブな変化を体験することで物事を上手く進めるアイデアなどについて議論を行いました。

岡山大学では本学だけで出来ることのみならず、研究力強化に取り組む大学及び大学共同利用機関法人の集まりである「研究大学コンソーシアム」において、各大学等における先導的取組や課題の発信・共有によりネットワーク化を推進するとともに、それら取組の全国的な普及・定着を進めています。今回の筑波大学での場で得られた点も、本学のみならずより良い取り組みなどを共有し、研究力強化促進とそれに合わせた大学経営の改革など推進に寄与していきます。

【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)室 [岡山大学東京オフィス]
TEL:03-6225-2905

http://ura.okayama-u.ac.jp/topics/archives/topics-225-2/

2017年11月8日水曜日

【情報発信】高温超伝導転移直前に隠された電荷秩序を発見 ~高温超伝導発現機構解明へ重要な鍵~

岡山大学大学院自然科学研究科(理)の鄭国慶教授、川崎慎司准教授らの研究グループは、銅酸化物高温超伝導体において、未知の「電荷密度波秩序」が存在することを新たに発見しました。また、この秩序が、高温超伝導転移前の異常金属状態と関係があることを突き止めました。

電子は「スピン」と「電荷」という二大素性をもっています。高温超伝導は電子のスピンが関与する反強磁性秩序状態が抑制されてから発現するため、これまでの研究はスピンの役割の解明に集中していました[5]。本研究グループは、今回新たに電荷の役割を発見したのです。すなわち、超伝導発現し始めるところでは、スピン秩序に取って代わって電荷秩序が現れることを突き止めました。電荷秩序の臨界温度はスピン秩序温度の連続的な延伸であり、キャリア濃度の増加とともに減少します。

本研究成果は11月2日英国時間午前10時(日本時間午後6時)、英科学誌「Nature Communications 」に掲載されます。

高温超伝導は1986年に発見されましたが、現在も超伝導発現メカニズムは未解明です。本研究成果は、高温超伝導発見後30年余り続く謎を解く鍵を与えるもので、超伝導発現の機構を考える上で重要な手がかりを与え、今後の高温超伝導現象理解に進展をもたらすことが期待されます。


図1:Bi2Sr2-xLaxCuO6の結晶構造。銅酸化物において、高温超伝導は、銅(青丸)と酸素(赤丸)で構成されるCuO2面(水色)で生じることが知られています。

図2:(a) CuO2面で実現する、モット絶縁体。銅原子[青丸]上に電子スピン[赤矢印]が局在した様子を模式的に表しています。(b) モット絶縁体へ元素置換により空孔を導入(ドーピング)すると、電気伝導が生じ、高温超伝導が発現することが知られています。(c) 元素置換により超伝導が生じる過程において強磁場を加えると、超伝導転移前に電荷密度波秩序が生じることを発見しました。今回明らかになったCuO2面で生じる電荷密度波の空間変調の様子を模式図で示しています。


図3:本研究で得られた相図(当該論文より)。モット絶縁体に対し、元素置換と磁場印加を行うと、超伝導転移前に異常金属相「擬ギャップ(pseudogap)」が表れ、低温で「反強磁性(AF)」、「電荷密度波(CDW)」、「超伝導(SC)」が順番に表れます。今回、擬ギャップ温度と電荷秩序の転移温度が比例関係にあることも明らかになり、擬ギャップの起源解明にも繋がりうる成果となりました。

<発表論文情報>
論文名:Charge-density-wave order takes over antiferromagnetism in Bi2Sr2-xLaxCuO6 superconductors
掲載誌:Nature Communications
著者:S. Kawasaki, Z. Li, M. Kitahashi, C. T. Lin, P. L. Kuhns, A. P. Reyes, and Guo-qing Zheng

<詳しい研究内容について>
高温超伝導転移直前に隠された電荷秩序を発見
~高温超伝導発現機構解明へ重要な鍵~


<本件お問い合わせ>
大学院自然科学研究科
数理物理科学専攻(理学部物理学科)
准教授 川崎慎司
(電話番号)086-251-7803

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id508.html

【情報発信】青色光と二酸化炭素による気孔開閉運動を制御する分子機構の解明

九州大学大学院システム生命科学府博士後期課程の樋山麻美大学院生・日本学術振興会特別研究員(当時)、九州大学大学院理学研究院の島崎研一郎教授(当時)(現:九州大学名誉教授)、山口大学大学院創成科学研究科理学系学域の武宮淳史准教授、京都大学、名古屋大学遺伝子実験施設の多田安臣教授、岡山大学大学院環境生命科学研究科(農)の宗正晋太郎助教、村田芳行教授らの共同研究グループは、青色光と二酸化炭素に応答した気孔開閉運動を制御する分子機構の一端を明らかにしました。
 
本研究成果は11月3日英国時間午前10時(日本時間午後7時)、オンライン国際科学誌 「Nature Communications」に発表されます。


<発表論文情報>
論文名: Blue light and CO2 signals converge to regulate light-induced stomatal opening
発表雑誌: Nature Communications
著者: Asami Hiyama, Atsushi Takemiya, Shintaro Munemasa, Eiji Okuma, Naoyuki Sugiyama, Yasuomi Tada, Yoshiyuki Murata, Ken-ichiro Shimazaki
DOI: 10.1038/s41467-017-01237-5

<詳しい研究内容について>

青色光と二酸化炭素による気孔開閉運動を制御する分子機構の解明

<本件お問い合わせ>
大学院環境生命科学研究科(農)
教授 村田 芳行
(電話番号)086-251-8310


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id509.html

2017年11月6日月曜日

【情報発信】若手トップリサーチャー研究奨励賞 小塚准教授、菅准教授を表彰

岡山大学は、優れた業績を挙げた若手研究者を顕彰する「岡山大学若手トップリサーチャー研究奨励賞」の文系受賞者に大学院社会文化科学研究科(法)の小塚真啓准教授、理系受賞者に分野基礎科学研究所の菅倫寛准教授を選び、10月31日に学長室で表彰式を行いました。

小塚准教授は、著書「税法上の配当概念の展開と課題」で公認会計士協会学術賞を受賞。またインターネットのトランスポート技術に関する研究開発でWIDE賞を受賞するなど、幅広い領域で活動していることが高く評価されました。
 

菅准教授は、光合成を司る二つの酵素の結晶構造を世界で初めて明らかにし、Nature誌とScience誌に論文発表。さらに文部科学大臣賞など数多くの賞を受賞したことが高く評価されました。

式では、槇野博史学長が表彰状と記念品を手渡し、「これを記念として、社会のため、世界で活躍できる国際人として、さらに研究に励んでほしい」と激励。

小塚准教授は「新しいことに挑戦したいという気持ちがあり、今後新たな分野を築いていきたい」、菅准教授は「本賞の受賞は大きな目標であった。この制度により、本学の若手研究活動がより一層活発になることを切望します」と感想を述べました。

同賞は国際的に活躍できる若手研究者の育成を図るため、平成19年度に創設。実績や外部資金獲得、将来性などを評価基準に、学内で慎重に審査し、受賞者を決定しています。



左から、竹内大二理事・副学長(研究担当)、槇野学長、小塚准教授、菅准教授、森川良孝研究推進本部長
 

2017年11月5日日曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.45 発行

岡山大学は10月30日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.45を発行しました。

2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
本号では、大学院医歯薬学総合研究科(医学系)組織機能修復学分野の宝田剛志准教授らの、体内時計が血液脳関門の維持に重要であることを発見について取り上げています。

宝田准教授らの研究グループは、体内時計システムの構成因子の欠失が、脳血管周囲に存在する「ペリサイト」の機能破綻を起こすことで、血液脳関門の恒常性維持機能を減弱させることを見出しました。

睡眠・覚醒リズムや、成長ホルモン分泌のタイミングなどに代表されるように、多くの生命現象は約24時間周期のリズム(概日リズム)を刻みます。これらのリズムは、ほぼ全ての生物が体の中に備えている体内時計と呼ばれるシステムによって生み出されています。体内時計を動かしているのは、時計の部品ともいえる「時計遺伝子」と呼ばれる遺伝子産物の活性のリズムであることが知られています。

一方で、いくつかの中枢神経疾患、例えば、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患や、うつ病や統合失調症等の精神疾患では、睡眠障害を合併することが多く知られています。このようなことから、中枢神経疾患(脳の恒常性維持機能の破綻)と、体内時計システムの障害との間には関連性が指摘されていましたが、因果関係を含め、その実態は不明でした。

今回、体内時計システム構成因子の欠失が、ペリサイトの機能破綻を招くことで血液脳関門の恒常性維持機能を減弱させることが明らかとなりました。体内時計システム構成因子と脳血管恒常性維持の関連性を見出した今回の研究成果は、中枢神経疾患の病態解明に重要な知見となると考えられます。特に、神経変性疾患であるアルツハイマー病では、血液脳関門の破綻やペリサイトの機能異常が報告されています。今後、時計遺伝子によるペリサイト制御メカニズムを明らかにすることで、新たな治療薬や治療方法の開発につながることが期待されます。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.45:
Link between biological-clock disturbance and brain dysfunction uncovered

<Back Issues:Vol.38~Vol.44>
Vol.38:
Bioengineered tooth restoration in a large mammal (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)窪木拓男教授)
Vol.39:
Successful test of retinal prosthesis implanted in rats (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)松尾俊彦准教授、大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.40:
Antibodies prolong seizure latency in epileptic mice (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)西堀正洋教授)
Vol.41:
Inorganic biomaterials for soft-tissue adhesion (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)
Vol.42:
Potential drug for treating chronic pain with few side effects (自然生命科学研究支援センター 宮地孝明准教授)
Vol.43:
Potential origin of cancer-associated cells revealed (大学院自然科学研究科(工学系) 妹尾昌治教授)
Vol.44:
Protection from plant extracts (中性子医療研究センター小野俊朗教授)

<参考>
Okayama University e-Bulletin
//www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/



本号で紹介した研究成果を担当した宝田剛志准教授


国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています

【情報発信】クリエイティビティーあふれる人材の育成へ 動画広報強化推進ワークショップ(第1回)開催

岡山大学は10月19日、広報活動における強化推進と教職員のクリエイティブ・マネジメント人材育成などを目的とした「動画広報強化推進ワークショップ(第1回)」を、本学創立五十周年記念館(津島キャンパス)で開催しました。

開催にあたり、本学広報情報戦略本部副本部長である佐藤法仁副理事・URAから「広報に関するツールがさまざまある中で、近年動画を用いた広報は専門的な技術を持つ人のものから、誰もが手軽に扱えるものに急速に変化している。動画広報の積極的な利用とともに、クリエイティブな視点を持ちつつ大学のブランドを強化できる学内人材を育成していきたい」とあいさつがありました。


ワークショップでは、電気通信大学のサンドゥー・アダルシュ学長補佐(国際広報担当)・教授を講師として招聘。午前の部では、国内外で制作されている動画を見ながら、大学や研究機関での動画広報について紹介。また、研究者インタビューのセッティング方法や質疑応答内容など、実際に動画広報を制作する際のノウハウについて詳しく説明しました。

午後の部では、一般的な家庭用動画機材を利用し、参加者らが実際に動画広報の制作実習に挑戦。カメラの位置や照明の度合い、画面上での人物配置など、午前の部で得た知識を基に実習を行いました。参加者らは、互いのアイデアを出し合いながらより良い動画制作が作れる楽しさを学び、動画広報を活用して岡山大学のブランディングを行っていく可能性などについて意見を交わしました。
 

岡山大学では、紙面ならびにweb上での広報物を数多く制作しています。またYouTubeに「岡山大学チャンネル」を開設し、積極的に動画広報を進めています。今後、広報における活動をより戦略的・効果的に行うために、必要なクリエイティビティーあふれる人材の育成にも力を入れていきます。

<参考>
岡山大学チャンネル(YouTube):
https://www.youtube.com/user/okayamaunivpr
岡山大学広報活動//www.okayama-u.ac.jp/tp/profile/pr-act.html


大学における動画制作のノウハウについて講義するサンドゥー教授


講義の様子


研究者インタビュー動画のノウハウ実習を受ける参加者ら
 

家庭用機材を用いて動画制作に取り組む参加者ら