電子は「スピン」と「電荷」という二大素性をもっています。高温超伝導は電子のスピンが関与する反強磁性秩序状態が抑制されてから発現するため、これまでの研究はスピンの役割の解明に集中していました[5]。本研究グループは、今回新たに電荷の役割を発見したのです。すなわち、超伝導発現し始めるところでは、スピン秩序に取って代わって電荷秩序が現れることを突き止めました。電荷秩序の臨界温度はスピン秩序温度の連続的な延伸であり、キャリア濃度の増加とともに減少します。
本研究成果は11月2日英国時間午前10時(日本時間午後6時)、英科学誌「Nature Communications 」に掲載されます。
高温超伝導は1986年に発見されましたが、現在も超伝導発現メカニズムは未解明です。本研究成果は、高温超伝導発見後30年余り続く謎を解く鍵を与えるもので、超伝導発現の機構を考える上で重要な手がかりを与え、今後の高温超伝導現象理解に進展をもたらすことが期待されます。
<発表論文情報>
論文名:Charge-density-wave order takes over antiferromagnetism in Bi2Sr2-xLaxCuO6 superconductors
掲載誌:Nature Communications
著者:S. Kawasaki, Z. Li, M. Kitahashi, C. T. Lin, P. L. Kuhns, A. P. Reyes, and Guo-qing Zheng
<詳しい研究内容について>
高温超伝導転移直前に隠された電荷秩序を発見
~高温超伝導発現機構解明へ重要な鍵~
<本件お問い合わせ>
大学院自然科学研究科
数理物理科学専攻(理学部物理学科)
准教授 川崎慎司
(電話番号)086-251-7803
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id508.html
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