岡山大学臨海実験所の濱田麻友子助教と、沖縄科学技術大学院大学の佐藤矩行教授の研究グループ、キール大学のThomas C. G. Bosch教授の研究グループは、ヒドラとクロレラの共生関係の謎をゲノム解析によって明らかにしました。これらの研究成果の完全版が6月27日、英国の科学雑誌「eLife」に掲載されました。
動物と藻類の共生はサンゴやクラゲなどさまざまな動物で見られ、栄養の交換や安全な生活環境の提供などお互いに利益を与えあう関係を築いています。しかし、この共生システムにおける具体的なやりとりや、その進化の過程はよくわかっていませんでした。今回、緑藻クロレラが共生するグリーンヒドラの遺伝子を解析することで、クロレラからヒドラに光合成産物を与えることで、ヒドラからクロレラへのアミノ酸などの栄養供給が促されるという協調的な栄養のやりとりがわかりました。また、共生クロレラでは、ヒドラから供給されるアミノ酸を取りこむための輸送体遺伝子が増加している一方、通常の植物にとって重要な硝酸同化システムは退化しており、ヒドラの体内で効率的に生きるために特殊化していることがわかりました。
動物―藻類共生メカニズムの研究は、このようなユニークな共生関係の実態とその進化を理解することにつながるだけでなく、サンゴの白化現象のような環境問題への対策や藻類の産業利用などの基盤になると期待されます。
動物と藻類の共生はサンゴやクラゲなどさまざまな動物で見られ、栄養の交換や安全な生活環境の提供などお互いに利益を与えあう関係を築いています。しかし、この共生システムにおける具体的なやりとりや、その進化の過程はよくわかっていませんでした。今回、緑藻クロレラが共生するグリーンヒドラの遺伝子を解析することで、クロレラからヒドラに光合成産物を与えることで、ヒドラからクロレラへのアミノ酸などの栄養供給が促されるという協調的な栄養のやりとりがわかりました。また、共生クロレラでは、ヒドラから供給されるアミノ酸を取りこむための輸送体遺伝子が増加している一方、通常の植物にとって重要な硝酸同化システムは退化しており、ヒドラの体内で効率的に生きるために特殊化していることがわかりました。
動物―藻類共生メカニズムの研究は、このようなユニークな共生関係の実態とその進化を理解することにつながるだけでなく、サンゴの白化現象のような環境問題への対策や藻類の産業利用などの基盤になると期待されます。
◆発表のポイント
・動物と藻類の共生はサンゴやクラゲなどさまざまな動物で見られ、栄養交換や安全な生活環境の提供など、お互いに利益を与えあう関係ですが、その詳細はよく分かっていませんでした。
・今回、緑藻クロレラが共生するヒドラにおける、協調的な栄養のやりとりや共生クロレラのヒドラへの依存関係を、ゲノム(遺伝情報)解析によって具体的に明らかにしました。
・動物―藻類共生メカニズムの理解は、サンゴの白化現象のような環境問題への対策や藻類の産業利用などの基盤になることと期待されます。
◆研究者からのひとこと
“光合成人間”はSFの世界の話ですが、ヒドラは藻類と共生することで、光に当たれば栄養が供給されるという、夢の(?)生活を成し遂げています。また、共生クロレラは栄養たっぷりで安全なヒドラの体内に適応した結果、今やヒドラの体外では生きられない体になってしまいました。動物―藻類共生系には、究極の効率的生活を垣間見る思いがします。 今回の成果は、岡山大学の他、沖縄とドイツでの海を越えた共同研究によるもので、それぞれで素晴らしい研究仲間に恵まれました。今後もワクワクするような研究成果を発信していけたらと考えています。 | 濱田麻友子 助教 |
■論文情報
論 文 名:Metabolic co-dependence drives the evolutionarily ancient Hydra–Chlorella symbiosis.
邦題名:代謝系の共依存は長い進化の歴史を持つヒドラとクロレラの共生を推進する
掲 載 紙:eLife
著 者:Mayuko Hamada, Katja Schröder, Jay Bathia, Ulrich Kürn, Sebastian Fraune, Mariia Khalturina, Konstantin Khalturin, Chuya Shinzato, Nori Satoh, Thomas CG Bosch
D O I:10.7554/eLife.35122
U R L:https://elifesciences.org/articles/35122
<詳しい研究内容について>
動物と藻類の共生の謎を解明~ヒドラと共生クロレラの栄養の相互作用と進化をゲノムから読み解く~
<お問い合わせ>
岡山大学 理学部附属臨海実験所
助教 濱田麻友子
(電話番号)0869-34-5210
(FAX)0869-34-5211
(URL)http://www.science.okayama-u.ac.jp/~rinkai/index.html
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id559.html
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