現在、国内外の産学官民において盛んに取り組まれている国連の「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals ; SDGs)」は、2015年9月にニューヨークの国連本部で採択され、17のゴールと169のターゲットなどからなり、「誰一人取り残さない」世界の実現を目指しています。
岡山大学では、槇野博史学長が学長就任時に掲げた“槇野ビジョン”のもと、SDGsを大学経営の中核のひとつに置き、全学を挙げて地域などのさまざまなステークホルダーらと共にSDGsを強力に推進しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」を受賞するなど、わが国におけるアカデミアにおいて、SDGsを先導する大学として多方面で精力的に活躍しています。
今回、SDGsが掲げる17のゴールについて紐解き、個々のSDGsゴールにどのようにターゲット・指標ベースでSDGs達成に貢献して行くのかという点について議論する場が2月5日、都内で開催されました。今回は、SDGsの17のゴールのうち、「ゴール4:質の高い教育をみんなに」について取り上げる場となり、岡山大学東京オフィス駐在で岡山大学SDGs推進企画会議委員である佐藤法仁URA・副理事(企画・評価・総務担当)[内閣府科学技術政策フェロー]が、ゴール4に対する大学の立場で登壇。「教育研究が価値創造を実践する新たなステージが到来~自らの域を越えるパラダイムシフトへの挑戦~」と題して講演を行いました。
SDGsゴール4は「質の高い教育をみんなに:全ての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する」とされており、そのターゲットと指標は、大学を含めた教育機関に深く関係します。わが国の教育は世界でも極めて質の高いものであり、また研究においてもこの教育が基盤となって先進的な研究が日夜行われています。
今回、佐藤法仁URA・副理事はこれまでわが国で培ってきた教育の過程を振り返りつつ、SDGsに関連した「持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development ; ESD)」についても触れ、岡山の地で“社会課題解決の遺伝子”が培われ、それがESDへと結びつき、岡山市が世界初の7つの「ESDに関する地域の拠点(RCE)」に認定された経緯。さらに現在のSDGsへと引き継がれている点を具体例として紹介。学校という“教育の箱の中”だけではなく、その箱の中から越えて実社会でも学び、その学びを課題解決へと具体的に結びつけてきた大切さを紹介しました。さらにSDGsにおいて、より具体的なターゲットと指標が設けられ、それに対して大学の高等教育が一体何ができるのかを見つめ直し、実践へ移すことの重要さについて「パラダイムシフトを起こす挑戦」という観点から、事例を挙げて紹介しました。
さらに教育の研究分野でも数多くの科学技術・イノベーション創出につながる事例が実施されていることに触れ、具体例として教育ビッグデータ研究の第一人者で本学大学院教育学研究科の寺澤孝文教授が進めている「マイクロステップ・スケジューリング技術」の取り組みを好事例として紹介。単に教育の研究という学問の場から社会実装へと橋渡しし、教育に関する課題解決を実践する挑戦の重要性について具体的な事例をもとに紹介しました。
佐藤法仁URA・副理事は「SDGsは教育研究が価値創造を実践する新たなステージの到来であり、現在の教育やその研究の域(枠)から越えて、今までにない新たな取り組み、価値を引き起こすチャンスでもある。このチャンスを有効に活用するには、自前主義や同分野での取り組みから脱却し、さまざまなステークホルダーとの協働による実践的取り組みが重要である。これが教育という学問においてはパラダイムシフトの起爆剤となり、またSDGsの達成にも大きく貢献する」とコメント。SDGsのゴール4の重要性について、社会課題解決と学問としての教育の発展の双方から紹介し、参加者らと共に熱心な意見交換を行いました。
岡山大学も参画する「岡山ESDプロジェクト」は、2016年9月に「ユネスコ/日本ESD賞」を受賞。岡山市は2017年1月に「ユネスコ学習都市賞2017」を受賞するなど、わが国を代表するESDの実践の場です。この岡山でしかできない特色ある取り組みを継続しつつ、SDGsと協同できる体制を構築し、地域と世界の課題解決を着実に進めています。ESDとSDGsの融合の場であり、“社会課題解決の遺伝子”が培われて来た岡山の地から、パラダイムシフトを起こす挑戦を精力的に進めて行きます。
〇参考
SDGs転換:アカデミアとSTI for SDGs 佐藤法仁URA・副理事がシンポジウム「SDGsを実現するためのイノベーション・エコシステム」に登壇(2018年7月11日)
「社会貢献活動から本業へのSDGs転換 ~SDGsターゲットを明確にした事業構想~」について佐藤法仁URA・副理事が講演(2018年11月12日)
SDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」:~well-beingな世界の実現にMedTechは何ができるのか~について佐藤URA・副理事が講演(2019年1月15日)
【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)室 [岡山大学東京オフィス]
TEL:03-6225-2905
教育研究から価値創造を実践する新たなステージの到来について講演した佐藤法仁URA・副理事(企画・評価・総務担当)
岡山大学は2007年、UNESCOに「ユネスコチェア(ユネスコ講義)」の設置認定を受け、産学官民連携でESDを推進しています。
岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」を受賞しています。
http://ura.okayama-u.ac.jp/topics/archives/topics-005-21/
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