潜因性脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔開存閉鎖術:国内のトップを切って岡山大学病院で治療開始
2019年11月22日- 国内で年間20万人近くの人が脳梗塞を発症するといわれています。一度脳梗塞を発症すると重度の障害を残し、寝たきり状態になり、場合によっては死に至ることもあります。
- 脳梗塞の原因の5~10%は卵円孔(心臓の左右の心房間の隙間)開存を介して静脈の中にできた血液の塊(血栓)が脳の血管に詰まって起こります。特に60歳未満で発症する脳梗塞ではその割合が高いといわれています。
- 卵円孔開存が原因と思われる患者さんの、脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔開存閉鎖術が2019年12月保険診療となり、岡山大学病院は全国のトップを切って12月2日からこの治療を導入します。
国内で年間約20万人の人が発症するといわれている脳梗塞には、いろいろな検査を行っても原因の分からないケース(潜因性脳梗塞)があります。潜因性脳梗塞は脳梗塞全体の5~10%を占め、卵円孔開存が重要な要因といわれています。潜因性脳梗塞は若い年齢(60歳未満)の方に多いことも知られており、社会的に大きな問題となっています。
従来、脳梗塞の再発予防には血栓の発生を予防する薬(抗血小板薬や抗凝固薬)が用いられてきました。しかし長期間にわたり服用する必要があり、薬が効きすぎることで出血性の合併症をきたすこともあります。カテーテルを用いて卵円孔を閉鎖する治療を導入することで、脳梗塞の再発率を約60%減らすことができることが報告され、国内での導入が待たれていました。
岡山大学病院では2010年より自由診療として、国内で唯一この治療を行ってきました。また現在、前兆を伴う片頭痛の治療としても、医師主導治験を実施しています。このような治療基盤をもとに、今回の治療導入となりました。
◆研究者からのひとこと
岡山大学では2010年から脳梗塞の再発予防を目的とした卵円孔のカテーテル閉鎖術を先進的に行ってきました。これまでの診療実績を生かし、国内のトップを切って潜因性脳梗塞再発予防に対する経皮的卵円孔開存閉鎖術の保険診療を開始することになりました。60歳未満で脳梗塞や一過性脳虚血発作と診断され、脳梗塞の原因がはっきりしなかった場合には卵円孔開存と関連がないか、一度、岡山大学病院を受診して検査していただければと思います。 | 赤木准教授 |
<詳しい研究内容について>
潜因性脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔開存閉鎖術:国内のトップを切って岡山大学病院で治療開始
<お問い合わせ>
岡山大学病院 循環器内科
准教授 赤木禎治 (あかぎ ていじ)
(電話番号)086-235-7351
(FAX) 086-235-7353
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