目のまれな病気「眼内悪性リンパ腫」と「特発性外眼筋炎」の長期予後を明らかに
- 岡山大学病院眼科ではぶどう膜炎(眼炎症)・眼腫瘍の専門外来を設けて、眼科の中でもまれな疾患である炎症や腫瘍の治療を行っています。
- 眼球内の硝子体混濁として発症する眼内悪性リンパ腫では中枢神経系(脳)リンパ腫を起こすことが多いのですが、中には眼の中だけに留まるリンパ腫があることが明らかになりました。
- 眼球を動かす筋肉(外眼筋)が炎症で腫れる原因不明の特発性外眼筋炎は、長期的には治り、経過がよい独立した疾患であることも明らかにしました。
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科(医)生体機能再生再建医学分野の松尾俊彦教授は、岡山大学病院眼科でぶどう膜炎(眼の炎症疾患)や眼腫瘍の専門外来を行っています。その中で、2005~2019年に受診し、「眼内悪性リンパ腫」と診断された22人の長期経過を調査しました。多く方は中枢神経系(脳)リンパ腫を引き起こしますが、中には眼内リンパ腫のみに留まり、経過がよい方もいることがわかりました。
本研究成果は10月12日、日本リンパ網内系学会の機関誌「Journal of Clinical and Experimental Hematopathology」に掲載されました。
さらに、1996~2018年に受診し、眼球を動かす筋肉(外眼筋)の原因不明の炎症である「特発性外眼筋炎」と診断された7人の長期経過も調査。長期的にみれば治り、経過も良好な独立した疾患であることがわかりました。
本研究成果は8月12日、英国医学雑誌「Japanese Clinical Medicine」に掲載されました。
本研究成果は8月12日、英国医学雑誌「Japanese Clinical Medicine」に掲載されました。
目の炎症や腫瘍はまれな疾患で患者数も少ない「希少疾患」であり、今回の長期経過に関する知見は、今後の治療方針の決定などに役立つと考えらえます。
岡山大学病院眼科ではぶどう膜炎(眼炎症)・眼腫瘍や小児眼科の専門外来を長年担当しています。ぶどう膜炎や眼腫瘍は頻度が低いまれな疾患「希少疾患」なので、どのような疾患なのか、どのような経過をたどるのか、どのような治療がよいのかという疾患単位や標準治療が確立していないのが現状です。大学病院の専門外来という立場を活かして多くの患者様を診療する機会に恵まれたことでさまざまなことが分かってきました。今後の患者様方の治療に活かしていきたいと思います。 | 松尾教授 |
<眼内悪性リンパ腫に関して>
論文名: Are there primary intraocular lymphomas that do not develop into central nervous system lymphomas?掲載誌: Journal of Clinical and Experimental Hematopathology
著 者: Toshihiko Matsuo, Takehiro Tanaka
D O I: 10.3960/jslrt.19019
U R L: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslrt/advpub/0/advpub_19019/_article/-char/en
<特発性外眼筋炎に関して>
論文名: Long-term outcome in 7 patients with idiopathic orbital myositis.掲載誌: Japanese Clinical Medicine著 者: Toshihiko Matsuo
D O I: 10.1177/1179670719866525
U R L: https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1179670719866525
<詳しい研究内容について>
目のまれな病気「眼内悪性リンパ腫」と「特発性外眼筋炎」の長期予後を明らかに
<お問い合わせ>
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科(岡山大学病院眼科)
教授 松尾俊彦
(電話番号)086-251-8106
0 件のコメント:
コメントを投稿