本事業は、感染症流行地の研究拠点における研究の推進などにより、国内外の感染症研究基盤を強化します。また、海外研究拠点で得られる検体や情報などを活用した研究や多様な分野が連携した研究を推進し、感染症の予防・診断・治療に資する基礎的研究の推進を図るものです。
岡山大学は長年、インド西ベンガル州のコルカタ市を中心に感染症対策や健康増進プロジェクトを進めてきました。さらに平成19年9月に文部科学省の「新興・再興感染症研究拠点形成プログラム」に採択され、同市にあるインド国立コレラ及び腸管感染症研究所(NICED)に岡山大学インド感染症共同研究センターを設置しました。現在、3代目となる岡本敬の介センター長代理・特任教授のもと、インド側研究者との密接な国際共同研究体制を構築。コレラや赤痢といった下痢症制圧プロジェクトを精力的に実施して来ました。
今回のプロジェクトでは、本学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)の三好伸一教授を研究代表者として、「インド国コルカタ市を拠点とする感染性下痢症のリザーバー及び伝播と拡散に関する研究」という課題設定のもと、プロジェクトを進めます。
インドでは、未だに下痢症などの数多くの感染症が流行・蔓延しています。また抗菌薬の使用量が多いため、耐性菌の出現や拡大も重大な問題となっています。特にコルカタ市とその周辺地域はコレラの温床地域であり、コルカタから世界に伝播しています。プロジェクトにおいては、「メタゲノム解析を活用した下痢症の感染経路の解明」、「コレラ菌の発生と制御に影響を及ぼす環境因子に関する研究」、「コレラ菌流行株の変異、薬剤耐性、病原性に関する研究」、「下痢症原因微生物の感染予防と制御」の4つの研究開発項目を主として、NICEDや西ベンガル州立感染症病院などの海外連携機関や国立感染症研究所などの国内の研究機関と連携して進めていきます。
また今回の採択を受けて、インド駐在研究者2名を公募します。前述の研究開発項目を担当しつつ、NICEDの研究者らとの定期的な合同セミナーへの参加やわが国を含めた各国から本学センターに来訪する関係者や研究者らの対応業務などを行います。なお、内閣府の「研究力強化・若手研究者総合支援パッケージ」の推進から「若手研究者の自発的な研究活動等」を奨励。40歳未満の方で岡本センター長代理・特任教授が上記の業務の支障がないと判断し、本学が認めた場合には、エフォートの20%を上限として、感染症関係における自発的な研究活動を認め、若手研究者の育成を精力的に実施します。
本プロジェクトは、医歯薬学系部局や研究推進機構、オープンイノベーション機構、大学病院などの「オール岡山大学体制」で臨み、本学とインドが世界の医療・研究を先導し、人類の発展に全力で貢献していきます。さらに現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に見られるように新興感染症において多様な叡智が必要となる際に、本プロジェクト活動を新興感染症対策に活かしていくこと、また一度は下火になった感染症が再び流行する再興感染症への抑制などにおいても大きく貢献していくことを目指します。そのために組織の柔軟な運用や制度改革など、あらゆることに岡山大学全体として精力的に取り組んでいきます。
〇岡山大学インド感染症共同研究センターHPはこちら
(住所:57 Dr. S.C.Banerjee Road, Beliaghata Kolkata, West Bengal, India)
〇本プロジェクトにおけるインド駐在研究者の公募について(JREC-IN)
特任准教授
特任助教
【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)教授 三好伸一
TEL:086-251-7966
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id9382.html
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