- 歯周病原菌が放出する「細胞外分泌小胞」に菌固有の細胞障害性因子が含まれていました。
- 歯周病原菌由来の「細胞外分泌小胞」は,肝臓に移行し,肝細胞の糖の取り込みを抑制したほか、血中のグルコースレベルの増加に関与しました。
- 歯周病による全身性疾患の重症化に歯周病原菌由来の「細胞外分泌小胞」が関与することが分かりました。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(口腔形態学分野)の岡村裕彦教授,池亀美華准教授と徳島大学大学院医歯薬学研究部(口腔保健教育学分野)吉田賀弥准教授,中国医科大学(中国遼寧省瀋陽市)を中心とする国際共同研究グループは,歯周病原菌が放出する「細胞外分泌小胞」に着目して,口腔疾患と全身性疾患である糖尿病の関連について解析しました。
歯周病原菌由来の「細胞外分泌小胞」は,肝臓に移行し,肝細胞の糖の取り込みを抑制して血糖値を上昇させることを明らかにしました。本研究成果は,2020年1月1日科学雑誌「Biochimca et Biophysica Acta-Molecular Basis of Disease」に掲載されました。
本研究は,主として疫学的に明らかにされつつある歯周病と全身性疾患の関連性を,分子生物学的手法により証明したものであり,「全身の健康維持のための口腔ケア」の重要性を改めて示す科学的根拠として注目されます。
小胞を介した口腔細菌と宿主細胞とのコミュニケーションには,未知の点が多く,今後も解明を続けます! | 岡村教授 |
■論文情報論文名:Outer membrane vesicles of Porphyromonas gingivalis attenuate insulin sensitivity by delivering gingipains to the liver.掲載誌:Biochimca et Biophysica Acta-Molecular Basis of Disease著者:Seyama M, Yoshida K, Yoshida K, Fujiwara N, Ono K, Eguchi T, Kawai H, Guo J, Weng Y, Haoze Y, Uchibe K, Ikegame M, Sasaki A, Nagatsuka H, Okamoto K, Okamura H, Ozaki K.DOI:10.1016/j.bbadis.2020.165731.URL:Outer membrane vesicles of Porphyromonas gingivalis attenuate insulin sensitivity by delivering gingipains to the liver - ScienceDirect
<詳しい研究内容について>
小さな分泌物が語る~歯周病と全身性疾患の新たな関連
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
口腔形態学分野
教授 岡村裕彦
(電話番号)086-235-6630
(FAX番号)086-235-6634
https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id715.html
0 件のコメント:
コメントを投稿