2020年5月12日火曜日

【情報発信】電気の力で有機半導体分子の合成に成功 レアメタルを使用しない、低コストかつ高効率での合成を実現

◆発表のポイント
  • 有機半導体分子は有機太陽電池や有機トランジスタに使われる最も重要な物質ですが、これまでの合成法では、高価で希少なレアメタル触媒を使う方法が一般的でした。
  • 今回、レアメタル触媒を使わず、電気の力を使った画期的な合成手法を開発しました。
  • 低コストかつ非常に効率よく有機半導体分子を作れるので、太陽電池やトランジスタの大量生産に役立つと期待されます。
 
 
岡山大学大学院自然科学研究科(工)の菅誠治教授、光藤耕一准教授らの研究グループは、溶液に電気を流して反応をおこなう有機電解という手法を用いることにより、有機太陽電池や有機トランジスタに用いられる有機半導体分子を効率的に作る方法を開発しました。本成果は3月19日、ドイツの科学雑誌「Angewandte Chemie International Edition」の電子版Early Viewに掲載されました。

現在、軽くて柔らかい電子デバイス(ウェアラブルデバイス)の実現に欠かせない、軽量で高性能な有機半導体分子の開発が盛んに研究されています。このような分子を作るには高価で貴重なレアメタル触媒を使うのが一般的ですが、製造コストが高くなり、また合成した半導体にレアメタル触媒が混入してしまうことがあるのが問題でした。今回、安価な臭化物塩をわずかに加えて、電気を流すと、レアメタル触媒を用いなくても、非常に効率よく有機半導体分子が得られることを見いだしました。
本技術を用いれば、有機半導体分子の合成を低コストかつ高効率で行うことができるので、有機半導体分子の大量合成に大いに役立つと期待されます。
 
 
◆研究者からのひとこと
この研究は岡山大学のお家芸ともいえる「有機電解」という手法の利点を最大限に生かした研究です。再生可能エネルギーで作った電気を使えば、環境負荷の少ないサステイナブルな有機合成を実現でき、SDGsの観点からも非常に意義深い研究といえます。この成果は研究室の学生さん達の不断の努力の賜であり、彼らに心より感謝いたします。
菅教授    光藤准教授

■論文情報論 文 名:Electrochemical Synthesis of Thienoacene Derivatives: Transition Metal-Free Dehydrogenative C–S Coupling Promoted by a Halogen Mediator掲 載 紙:Angewandte Chemie International Edition著  者:Koichi Mitsudo,* Ren Matsuo, Toki Yonezawa, Haruka Inoue, Hiroki Mandai, and Seiji Suga*D O I:10.1002/anie.202001149U R L:Electrochemical Synthesis of Thienoacene Derivatives: Transition‐Metal‐Free Dehydrogenative C−S Coupling Promoted by a Halogen Mediator - Mitsudo - - Angewandte Chemie International Edition - Wiley Online Library


<詳しい研究内容について>
電気の力で有機半導体分子の合成に成功 レアメタルを使用しない、低コストかつ高効率での合成を実現


<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(工)教授 菅 誠治
(電話番号)086-251-8081
(FAX)086-251-8081





https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id717.html

0 件のコメント:

コメントを投稿