2018年12月1日土曜日

【情報発信】小脳の抑制性シナプス形成および伝達に重要な分子を発見

◆発表のポイント
  • 小脳の一部、深部小脳核を構成する神経細胞の周囲には、微細な網目状構造のペリニューロナルネット(PNN)が存在しますが、その詳しい役割は不明でした。
  • PNN構成分子の1つであるタンパク質Hapln4/Bral2を欠損させたマウスの小脳核神経細胞において、小脳皮質における出力神経細胞からの抑制性シナプスの形成と伝達に異常が起こっていることが判明しました。
  • 小脳核においてPNNによる新たなシナプス形成・維持のメカニズムの存在が示唆されました。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科分子医化学分野の大橋俊孝教授、枝松緑助教、藤川淳医学部生、藤井郁成医学部生らと、同志社大学の坂場武史教授らの研究グループは、リンクプロテインHapln4/Bral2を含む細胞外マトリックスであるペリニューロナルネットが、深部小脳核神経細胞において抑制性シナプスの形成と伝達に選択的に関与することを発見しました。本研究成果は英国科学誌「Journal of Neurochemistry」に2018年8月20日付けで公開されました。
 
本研究成果は、ペリニューロナルネットによる新たなシナプス形成・維持のメカニズムの存在を示唆しています。このメカニズムの解明はシナプス形成や維持機構の異常を原因とする、多くの精神疾患や発達障害患者の病態解明と治療法開発の鍵となることが期待されます。



■論文情報
論 文 名:Hapln4/Bral2 is a selective regulator for formation and transmission of GABAergic synapses between Purkinje and deep cerebellar nuclei neurons
掲 載 紙:Journal of Neurochemistry
著  者:Midori Edamatsu, Rinako Miyano, Atsushi Fujikawa, Fuminari Fujii, Tetsuya Hori, Takeshi Sakaba, Toshitaka Oohashi
D O I:10.1111/jnc.14571.

<詳しい研究内容について>

小脳の抑制性シナプス形成および伝達に重要な分子を発見


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科分子医化学分野
教授 大橋俊孝
(電話番号)086-235-7127
(FAX)086-222-7768

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科分子医化学分野
助教 枝松緑
(電話番号)086-235-7128





http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id584.html

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