・歯学部学生が国立感染症研究所の研究者の協力のもと、ハンセン病の原因菌らい菌(注1)と培養が困難な菌Mycobacterium haemophilum(注2)の簡便な鑑別法を開発しました。
・本方法は感度が高く、他の菌種には反応しないことも示されました。
・本研究成果は、鑑別の難しい両者による感染症を容易に区別できる方法として、臨床応用されることが期待されます。
岡山大学歯学部4年生の北岡直也さんは、3年生の授業科目「自由研究演習」において国立感染症研究所ハンセン病研究センターに派遣され、同研究所感染制御部の阿戸学部長や星野仁彦室長らの指導を受け、培養ができないらい菌と、培養が困難なためにこれまで鑑別が困難であった抗酸菌の一種Mycobacterium haemophilumを、マルチプレックスPCR法を応用することで簡便に区別する方法を開発しました。
両者は感染するといずれも皮膚に症状を表しますが、M. haemophilumはハンセン病の治療薬であるダプソンに対する感受性が異なるため、その鑑別は重要です。今回開発した方法は感度が高く、また抗酸菌グループの他の菌種には反応しないことも示され、今後臨床の場で応用されることが期待されます。
これらの成果は11月21日、高い評価を受けている米国微生物学会の機関紙「Journal of Clinical Microbiology」にオンラインで掲載されました。
◆学生からのひとこと
自由研究演習の期間は2ヶ月弱と短く、しかも初めて行う研究でしたので悪戦苦闘の日々でした。しかし、多くの先生方の支えがあり、筆頭著者として論文の発表までやり遂げることができました。この経験を活かして今後も勉学に励んでいきたいです。 歯学部の学生は卒業までに研究室に所属することはありませんので、今回のように学部生の時にこのような研究成果を上げる機会は乏しく、論文発表を行うことは極めてまれです。(窓口教員の大学院医歯薬学総合研究科(歯)大原直也教授) | 北岡さん |
■論文情報
論文名:Discrimination of Mycobacterium leprae and Mycobacterium haemophilum in clinical isolates/specimens by multiple PCR assay and prediction of drug susceptibility
掲 載 紙:Journal of Clinical Microbiology
著 者:Naoya Kitaoka, Hanako Fukano, Mitsunori Yoshida, Yuji Miyamoto, Shuichi Mori, Norihisa Ishii, Manabu Ato, Naoya Ohara, Yoshihiko Hoshino
D O I:10.1128/JCM.01760-18
U R L:Discrimination of Mycobacterium leprae and Mycobacterium haemophilum in clinical isolates/specimens by multiple PCR assay and prediction of drug susceptibility
<詳しい研究内容について>
歯学部の学生が国立感染症研究所の研究者と細菌の簡便な鑑別法を開発
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 大原 直也
(電話番号)086-235-6655
(FAX)086-235-6659
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id589.html
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