- 全国調査の結果、視覚障害(注1)の原因疾患の第1位は緑内障(注2)、第2位は網膜色素変性(注3)、第3位は糖尿病網膜症(注4)でした。
- 視覚障害の原因に緑内障が占める割合は28.6%であり、2007年度の調査結果(21.0%)に比べて増加しました。
- 緑内障は自覚症状に乏しい病気ですので、症状がなくても定期的に目の検診を受け、早期に発見し治療を開始することが重要です。
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(白神史雄教授、森實祐基准教授)と山形大学大学院医学系研究科(山下英俊教授)の研究グループ(厚生労働省、難治性疾患等政策研究事業、網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究斑)は、全都道府県を対象に視覚障害の実態調査(2015年度)を行いました。
その結果、日本における視覚障害の原因疾患の第1位は緑内障、第2位は網膜色素変性、第3位は糖尿病網膜症であることが明らかになりました。この内、緑内障が占める割合は28.6%であり、前回調査(2007年度)における割合(21.0%)に比べて増加したことがわかりました。
緑内障や糖尿病網膜症は、症状を自覚しにくく、一度進行してしまうと治療をしても視力を回復することが難しい病気です。そのため、早期に発見し治療を開始することが重要です。たとえ症状がなくても、積極的に目の検診を受け、病気にかかっていないかどうかをチェックする必要があります。
◆研究者からのひとこと:
“本邦初!全ての福祉事務所を対象に調査を実施“
身体障害のデータを管理する事務所(福祉事務所)は自治体単位で設置されており、全国に141の事務所があります(例えば岡山県では、岡山市、倉敷市、岡山県庁内にある福祉事務所の3箇所)。過去の視覚障害の全国調査はいずれも標本調査であったため、全国141事務所のうち、7事務所からデータを集め、その結果を全国調査の結果としてきました。しかし、今回の調査では全ての福祉事務所を対象にデータを集めました。このような全数調査は本邦初の試みであり、従来の調査結果よりも精度の高い調査結果を得ることが可能になります。また、自治体ごとに調査結果がわかりますので、地域の実態に即した福祉行政を推進する上で非常に有用です。今回の調査にご協力いただいた全都道府県の福祉事務所の皆様に御礼を申し上げます。 | 森實准教授 |
<研究成果について>
これらの研究成果は9月25日、国際医学雑誌(Japanese Journal of Ophthalmology)のオンライン版に掲載されました。
■補足・用語説明
(注1)視覚障害:視覚に関連した機能障害の総称。身体障害者福祉法に則って、視力や視野の障害の程度に応じて認定される。
(注2)緑内障:目の神経の障害によって視野が狭くなり、視力が低下する病気。
(注3)網膜色素変性:進行性に網膜が障害され、視野が狭くなり、視力が低下する病気。
(注4)糖尿病網膜症:糖尿病を原因として網膜に出血や網膜剥離を生じる病気。
<詳しい研究内容について>
視覚障害の原因疾患の全国調査:第1位は緑内障~高齢者に多く、増加傾向であることが判明~
<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学
准教授 森實 祐基(もりざね ゆうき)
(電話番号)086-235-7297
(FAX) 086-222-5059
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id566.html
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