2018年10月18日木曜日

【情報発信】藤村篤史助教の研究が「平成30年度革新的がん医療実用化研究事業」に採択

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)細胞生理学分野の藤村篤史助教の研究が10月12日、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「平成30年度革新的がん医療実用化研究事業」に採択されました。

同事業は、研究成果を確実に医療現場に届けるため、応用領域後半から臨床研究領域にて、革新的な診断・治療など、がん医療の実用化を目指した研究を強力に推進するものです。また、がんの本態解明や、革新的な治療薬や診断・予防のためのバイオマーカーなどの開発・実用化の研究の加速化を目指すことを目的としています。今回、藤村助教は同事業の若手育成枠A「分子基盤に基づいた革新的がん診断・創薬等の開発に関する研究」の分野で採択されました。


藤村助教は「膠芽腫におけるBNCT※1プレシジョン・メディシン※2化を実現する統合的分子基盤の創出」(研究期間:平成30~32年度)という題目のもと、研究開発代表者を務めます。


本研究は、BNCTをがんゲノム医療と関連させ、標準治療法上の位置付けを明確にするための方法論を確立するもので「どのようにBNCTの適応症例を決めれば良いか」、「今後、複数のホウ素製剤が開発された際に、どのホウ素製剤を選択すれば良いか」、「どのタイミングで中性子線を照射すべきなのか」という臨床的な問いに対して、明確な科学的根拠をもって答えることを目指します。

今回の採択を受けて藤村助教は「BNCT研究は日本がリードしてきた医療技術であり、先人のたゆまぬ努力のおかげで、社会に広く普及する一歩手前まで開発が進んでいます。オールジャパン体制で推進されてきたBNCT研究をさらに加速させるような、岡山大学発の成果をあげていきたいです」とコメント。3年間の研究活動に意欲を見せました。

岡山大学は、2017年4月に中性子医療研究センター(NTRC)を設立し、BNCTに関する治療法やルールなどの確立を目指して活動しています。藤村助教もNTRCのメンバーのひとりです。本学が世界に誇る技術をもとに、いち早く着実に医療現場に最新のがん治療法を届けられるように事業を力強く推進していきます。

※1 BNCT
ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy)のこと。BNCTは、がん細胞のみをピンポイントで破壊する次世代のがん治療法として、世界中から注目されています。がん細胞に取り込まれやすいホウ素薬剤を投与し、加速器を使用してエネルギーの低い中性子線を照射。ホウ素と中性子が衝突した際、α粒子とリチウム粒子が飛び、がん細胞を破壊する仕組みです。

※2 プレシジョン・メディシン
Precision Medicine(精密医療)。オーダーメイドの治療法のこと。


<参考>
岡山大学広報誌「いちょう並木」Vol.86(2017年7月号) 特集「BNCT 近未来のがん治療」

【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科(医学系)助教 藤村篤史
TEL:086-235-7105




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7988.html

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