2018年10月26日金曜日

【情報発信】日本国内のかぜ患者への抗菌薬処方状況を初めて解明

◆発表のポイント
2013~2015年の3年間にわたる全国規模の観察研究でかぜ(急性気道感染症)診療における抗菌薬治療の詳細を明らかにしました。
・かぜに対する日本の抗菌薬選択は諸先進国と比べて異なることが明らかになりました。
・本研究成果が薬剤耐性菌の出現抑止の取り組みに活用されることにより、国内外における保健関連のSDGsへの貢献が期待されます。
 
 
世界的に多剤耐性菌の増加が懸念される中、岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科の狩野光伸教授・大学院医歯薬学総合研究科(薬)の小山敏広助教らの研究グループは、岡山大学病院の千堂年昭教授、北村佳久准教授、建部泰尚氏、田坂健氏、札幌医科大学の樋之津史郎教授、徳島大学病院の座間味義人准教授、大阪大学の萩谷英大助教、千葉大学病院の三上奈緒子氏との共同研究によって、日本国内のかぜ(急性気道感染症)に対する抗菌薬の処方状況の詳細を初めて明らかにしました。
本研究成果は、2018年9月29日付の英国の医学誌「Family Practice」誌に掲載されました。
2013~2015年の全国規模の診療レセプトデータによると、わが国では、かぜに対し、国内外の臨床ガイドラインが推奨するペニシリンの処方率が欧米と比較すると低い一方で、広域抗菌薬の割合は高いことが明らかになりました。広域抗菌薬の過剰投与は薬剤耐性菌出現の原因となります。
 
本研究の成果により、実態を踏まえた抗菌薬の適正使用推進を通じ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成への貢献も期待されます。


◆研究者からのひとこと
今回の研究は6大学・大学病院の研究者による、医療ビッグデータを活用した、SDGsへ貢献しうる共同研究です。抗菌薬への耐性を持つ薬剤耐性菌の出現は国際的な脅威です。しかし、さまざまな研究者の視点を取り入れ、新しい医療ビッグデータを活用することで、日本だけでなく世界の人々に貢献することができると期待しています。
小山助教


■論文情報
論 文 名:Pattern of antibiotic prescriptions for outpatients with acute respiratory tract infections in Japan, 2013–15: a retrospective observational study
掲 載 紙:Family Practice
著  者:Yusuke Teratani, Hideharu Hagiya, Toshihiro Koyama, Mayu Adachi, Ayako Ohshima, Yoshito Zamami, Hiroyoshi Y. Tanaka, Yasuhisa Tatebe, Ken Tasaka, Naoko Mikami, Kazuaki Shinomiya, Yoshihisa Kitamura, Mitsunobu R. Kano, Shiro Hinotsu, Toshiaki Sendo
D O I:10.1093/fampra/cmy094
U R L:
Pattern of antibiotic prescriptions for outpatients with acute respiratory tract infections in Japan, 2013–15: a retrospective observational study

<詳しい研究内容について>
日本国内のかぜ患者への抗菌薬処方状況を初めて解明


<お問い合わせ>
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科
 教授 狩野光伸

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)
 助教 小山敏広
(電話番号)086-235-6585


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id571.html




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