- 1分未満の充電時間で電池最大容量の半分以上の充電を確認
- チタン酸バリウムのナノ粒子を担持した薄膜正極で電極反応を定量的解析
- 担持物近傍の正極上にて電極副反応が抑制されることを発見
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所の伊藤満教授、安井伸太郎助教、物質理工学院 材料系の安原颯大学院生らは、岡山大学 大学院自然科学研究科 応用化学専攻の寺西貴志准教授、茶島圭介大学院生、吉川祐未大学院生らと共同で、ナノサイズの酸化物を表面に堆積させた正極のエピタキシャル薄膜を作製し、超高速での充電/放電時でも電池最大容量の50%以上の出力に成功した。
この特性向上の機構解明に取り組んだ結果、酸化物ナノ粒子の近傍に電流が集中し、リチウムイオンが電極-電解液界面を通過する際の抵抗が減少していることが分かった。さらに酸化物近傍の正極上では、副反応生成物であるSEIの生成が抑制されていることも発見した。従来のリチウムイオン電池の開発研究では種々の電極用粉末と電解質液体を使用して組み立てた電池を使用して行うため、電池を充電/放電する際に起きる電気化学反応を詳細に検討することが難しかった。本研究では単結晶薄膜を用いて電池を組み立てることにより、定量的な電気化学反応の議論を可能とした。
電子デバイスだけでなく電気自動車のバッテリーや大容量蓄電池への展開により、さらなる高性能化が要求されているリチウムイオン電池の分野では、超高速駆動化原理解明により当該分野の飛躍的な発展が期待できる。
研究成果は米国化学会紙「Nano Letters(ナノ・レターズ)」のオンライン版で電子版に2月13日(米国時間)に公開された。
■論文情報
掲 載 紙:Nano Letters, 2019
論 文 名:Enhancement of Ultrahigh Rate Chargeability by Interfacial Nanodot BaTiO3 Treatment on LiCoO2 Cathode Thin Film Batteries
著 者:Sou Yasuhara, Shintaro Yasui, Takashi Teranishi, Keisuke Chajima, Yumi Yoshikawa, Yutaka Majima, Tomoyasu Taniyama, Mitsuru Itoh
D O I:10.1021/acs.nanolett.8b04690
<詳しい研究内容はこちら>
リチウムイオン電池の充放電反応を超高速化-充電時間の短縮と高性能化への道を拓く-
<お問い合わせ>
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授
伊藤 満(いとう みつる)
TEL: 045-924-5354
FAX: 045-924-5354
岡山大学 大学院自然科学研究科 応用化学専攻 准教授
寺西 貴志(てらにし たかし)
TEL: 086-251-8069
FAX: 086-251-8069
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