2019年3月5日火曜日

【情報発信】手術後など炎症時における睡眠薬の使用には注意が必要!GABAA受容体機能が重要な役割

◆発表のポイント
  • 大きな手術後では炎症状態が認められます。そのような状況で睡眠導入薬を服用した場合、時間や場所がわからなくなる「せん妄」が高頻度で発症することが問題となっています。
  • 炎症によりGABAA受容体の機能が亢進し、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の作用が増強することを明らかにしました。
  • 本研究成果により、手術後における睡眠導入剤の適正使用への貢献が期待されます。

岡山大学病院薬剤部の北村佳久准教授・千堂年昭教授の研究グループは、全身炎症によりベンゾジアゼピン系睡眠薬の効果が増強されることを明らかにしました。

本研究成果はオランダの学術誌「European Journal of Pharmacology」に2018年11月2日付けで掲載されました。

これまで、侵襲度が高い手術後にベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用した場合、せん妄の発症が高くなることは知られていました。本研究では、炎症を引き起こす薬物の投与により炎症を誘発した動物を用いて検討した結果、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の睡眠効果が増強し、その作用にはGABAA受容体機能の亢進が関与することを明らかにしました。本研究成果により手術後における睡眠導入剤の適正使用への貢献が期待されます。

◆研究者からのひとこと
手術後の安全な薬物使用の推進は薬剤師の重要な仕事です。その中で、せん妄の発症には睡眠導入剤が影響していることは明らかになっていました。その病態メカニズムを明らかにすることは手術前から手術後にかけての適正な薬物治療につながっていきます。
北村准教授

■論文情報
論 文 名:Influence of lipopolysaccharide on diazepam-modified loss of righting reflex duration by pentobarbital treatment in mice.
掲 載 紙:European Journal of Pharmacology
著  者:Yoshihisa Kitamura, Shiho Hongo, Yoshiaki Yamashita, Shinpei Yagi, Kanami Otsuki, Akihisa Miki, Ayumi Okada, Soichiro Ushio, Satoru Esumi, Toshiaki Sendo
D O I:10.1016/j.ejphar.2018.10.049.

<詳しい研究内容はこちら>
手術後など炎症時における睡眠薬の使用には注意が必要!GABAA受容体機能が重要な役割

<お問い合わせ>
岡山大学病院 薬剤部
准教授 北村佳久
(電話番号)086-235-7641
(FAX)086-235-7974





http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id598.html


0 件のコメント:

コメントを投稿