2019年3月21日木曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.64 発行 「Inflammation in the brain enhances the side-effects of hypnotic medication」

岡山大学は3月6日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果を英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.64を発行しました。
 

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。
 

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
 

本号では、岡山大学病院薬剤部の北村佳久准教授と千堂年昭教授らの GABAA受容体機能が重要な役割を持ち、手術後など炎症時における睡眠薬の使用には注意が必要である研究成果について紹介しています。
 

これまで、侵襲度が高い手術後にベンゾジアゼピン系睡眠薬を服用した場合、せん妄の発症が高くなることは知られていました。北村准教授と千堂教授らは、炎症を引き起こす薬物の投与により炎症を誘発した動物を用いて検討した結果、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の睡眠効果が増強し、その作用にはGABAA受容体※1機能の亢進が関与することを明らかにしました。今後、さらにせん妄発症の病態機序の解明が進むことより、予防策および治療薬の開発につながり、安全な周術期管理※2の実施が期待されます。
 

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある医療分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
 

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。


※1:GABAA受容体
 中枢神経系における主要な抑制性の神経伝達物質である、γ-アミノ酪酸(GABA)の受容体。GABAは代表的なアミノ酸神経伝達物質であり、抑制性神経伝達を担っています。GABAA受容体に作用する薬物としてベンゾジアゼピン系睡眠薬、麻酔薬、アルコールなどがあります。

※2:周術期
周術期手術前、手術中、手術後の期間のこと。岡山大学病院では手術を受ける患者さんに快適で安全、安心な周術期の環境を効率的に提供することを目的に
周術期管理センターを設立し、多職種で連携して活動しています。


Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.64:
Inflammation in the brain enhances the side-effects of hypnotic medication


<Back Issues:Vol.56~Vol.63>
Vol.56:
New device for assisting accurate hemodialysis catheter placement (大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 大原利章助教)
Vol.57:
Possible link between excess chewing muscle activity and dental disease (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)皆木省吾教授、加藤聖也医員)
Vol.58:
Insights Into Mechanisms Governing the Resistance to the Anti-Cancer Medication Cetuximab (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)江口傑徳助教)
Vol.59:
Role of commensal flora in periodontal immune response investigated (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、福原大樹医員)
Vol.60:
Role of commensal microbiota in bone remodeling (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、内田瑶子歯科医師)
Vol.61:
Mechanical stress affects normal bone development (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)池亀美華准教授)
Vol.62:
3D tissue model offers insights into treating pancreatic cancer (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授&大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)田中啓祥助教)
Vol.63:
Promising biomarker for vascular disease relapse revealed (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)渡辺晴樹助教、佐田憲映准教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp



0 件のコメント:

コメントを投稿