2014年11月1日土曜日

【情報発信】農林水産省「革新的技術創造促進事業」革新的ウイルス対策技術分野研究拠点 始動



岡山大学は、農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発分野(革新的ウイルス対策技術分野)の研究拠点を担っており、農林畜産分野において今までにないウイルス対策の技術開発を進めています。


今回、研究拠点である本学をサポートする公募(補完)研究機関が決定したことに伴い、当事業のキックオフとなる第1回全体会議を本学(岡山市北区)にて開催しました。


現在、農林畜産分野ではウイルスによる被害が大きな問題となっています。例えば鳥インフルエンザウイルスによる家畜業界への経済的打撃や私たちの食生活への不安などは大変深刻です。また観梅の名所がウイルス感染によりすべて伐採に至るなど文化的損失も問題となっています。当事業では、産学官連携のもと今までにない革新的な手法を開発することで、ウイルス感染の完全防御や早期感染診断などを実施します。


全体会議では、はじめに研究拠点を代表して山本進一研究担当理事・副学長が、「それぞれの機関が持つ強みと弱みを共有することでやるべきことが明確になる。やるべきことを迅速かつ的確に実施するためにも密な連携で進めて行きたい」と挨拶。続いて、コンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁学長特命(研究担当)・リサーチ・アドミニストレーター(URA)が全体戦略についての概要説明を、研究拠点代表者の本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授や補完研究機関の各代表者らが実施内容について講演しました。


参加した農林水産省農林水産技術会議事務局研究推進課産学連携室の田中健一室長や独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)新技術開発部基礎的研究課の江上智一課長らと、より効率的な技術開発や社会実装の進め方について熱心に議論を行いました。


岡山大学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。この高い研究力を社会実装に結びつけるには、他機関や企業などとの連携が必要不可欠となります。今後も本事業において多種多様な幅広い機関・企業の参画を募るとともに、農林畜産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進めていきます。


<拠点研究機関(岡山大学)の取り組みについて>
・先導・革新的人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術の確立と社会実装
 RNAウイルスを認識する人工RNA結合タンパク質デザイン法の確立
抗インフルエンザタンパク質製剤の開発
ウイルス耐性小麦の創出
ウイルス簡易検査キットで日常的に使用されているイムノクロマト法の高感度検知技術の確立

<補完研究機関とその取り組み、代表研究者について>
・農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所:H5・H7亜型高(低)病原性鳥インフルエンザの診断・防除法の開発(内田裕子博士)
・理化学研究所:Reverse vaccinology手法を用いた新規牛白血病VLP(ウイルス様粒子)ワクチンの開発(間陽子博士)
・岩手生物工学研究センター:高効率なウイルス・ウイロイドRNA検出技術の開発(関根健太郎博士)
・鹿児島大学:ナノテクノロジーとラップトップ型PCR測定機による家禽・家畜ウイルスの正確・超高感度・簡便検出法の開発(隅田泰生博士)
・岡山県農林水産総合センター生物科学研究所:抵抗性誘導剤による革新的ウイルス防除技術の開発(鳴坂義弘博士)