2019年10月31日木曜日

【情報発信】教育学研究科の寺澤孝文教授が、教育ビッグデータの研究開発と社会実装活動で文部科学大臣賞の受賞決定!

岡山大学大学院教育学研究科の寺澤孝文教授が、一般社団法人e-Learning Initiative Japanが主催する「eラーニングアワード2019フォーラム」において文部科学大臣賞を受賞することが10月17日、同法人より発表されました。

同法人は、eラーニングに関する学術および技術の振興をはかることにより、eラーニングの発展に寄与することを目的とした法人です。毎年、eラーニングを活用した人材教育、組織戦略の現状と未来を語り合う専門フォーラムを東京で開催しており、その中で当該分野において活躍する第一人者の表彰制度を設けています。今回、寺澤教授は「高精度教育ビッグデータによる学力測定精度の飛躍的向上」という題目のもと、受賞が決定しました。

寺澤教授はこれまでの長年の研究に基づき、「マイクロステップ・スケジューリング法」という新しい技術を開発しました。これは収集した大量の学習データ(高精度教育ビッグデータ)を分析することで、これまで意識できなかったわずかな学習の効果の積み重ねを個人ごとに可視化し、学習者の実力の変動を正確に推定することを可能にするものです。これにより、実力レベルで習得されたと判定される問題を学習から外すことで、実効性を持つテーラーメイドの個別学習が提供できるようになりました。現在は産学官民とともに教育現場でのさらなる実装化を進めています。

また、内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が進める科学技術イノベーションを実現するためのプログラム「戦略的イノベーション創造プログラム」(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program;SIP)の第2期の課題のひとつである「ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術」(管理法人:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))においても「高精度教育ビッグデータをベースとした教育支援の公教育への導入推進」(実施期間:2018~2022年度)として研究開発と社会実装を進めています。

今回の文部科学大臣賞の受賞決定を受けて寺澤教授は、「常識を覆す基礎研究から始まった研究を20年以上かけて新しい教育サービスにまでつなげられた結果が評価されたことは、素直にうれしいです。岡山大学がEd-Tech(教育とテクノロジーの融合)の最先端を走っていることやSIPに採択されたことがあってのことで、恵まれた環境と研究開発のサポートに深謝します。わが国の教育産業に貢献する他、意欲を失っている子どもや学生たちに一日も早く役立てるように今後も活動を推進したいと思います」とコメント。今後の研究開発と教育や産業界における新たな価値提供に意欲を見せました。

なお今回の大賞表彰式と受賞講演は、11月13日に御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(千代田区神田駿河台)にて開催されます。

<参考>
eラーニングアワード2019フォーラム(2019年11月13日~15日):
Webサイトはこちら


【本件問い合わせ先】
大学院教育学研究科 教授 寺澤孝文
TEL:086-251-7714

https://edu.okayama-u.ac.jp/~shinri/terasawa/index.html



【情報発信】ラオス人民民主共和国のキーケオ・チャンタブリー計画投資副大臣らが来学

ラオス人民民主共和国計画投資副大臣キーケオ・チャンタブリー閣下および駐日ラオス人民民主共和国特命全権大使ヴィロード・スンダーラ閣下らが10月30日、本学を訪れ、槇野博史学長を表敬訪問しました。


槇野学長をはじめ、木村邦生副学長(国際担当)、横井篤文副学長(特命(海外戦略)担当)および田中共子社会文化科学研究科教授らが出席。槇野学長は「本学で受託する日本留学海外拠点連携推進事業はASEANをターゲットとしており、ラオスの学生の日本留学をさらに促進していきたい」と語りました。キーケオ副大臣およびヴィロード大使は、「SDGsに取り組む岡山大学で学べることは、ラオスにとって有益であり、今後、ラオスの留学生が増えるようご協力いただきたい」と述べました。


また、槇野学長は、ラオスと本学との交流に対して多大なご協力をいただいている、鈴木基義ラオス人民民主共和国計画投資大臣特別顧問・ラオスビジネス商業大学(LSBC) 学長に対し、グローバル人材育成院海外特別教授の称号を授与しました。グローバル人材育成院海外特別教授は、海外における諸活動への協力を通じて、本学の発展に重要な役割を担う方に対し授与しており、任期は3年です。
  
【本件問い合わせ先】
国際部国際企画課
TEL:086-251-7038

【情報発信】ラオス投資セミナー「ラオスの経済・投資環境、人材育成」を開催

10月30日、日本留学海外拠点連携推進事業・特別セミナー「ラオスの経済・投資環境、人材育成」を文法経講義棟で開催しました。セミナーには、ラオス人民民主共和国計画投資副大臣キーケオ・チャンタブリー閣下および鈴木基義ラオス人民民主共和国計画投資大臣特別顧問・ラオスビジネス商業大学(LSBC)学長を本学にお招きし、岡山県内の企業、本学教職員・学生を中心に、約120人が参加しました。

駐日ラオス人民民主共和国特命全権大使ヴィロード・スンダーラー閣下があいさつ。キーケオ副大臣より「日本企業・大学へのメッセージ」、鈴木特別顧問より「ラオスの経済・投資環境、人材育成」についての基調講演があり、講演者らに対して岡山商工会議所会頭の松田久氏が感謝を述べました。また、本学学生がミャンマーとラオスでの経験をもとに海外研究発表をしたほか、岡山の地元企業によるラオス進出の事例紹介、経済特区代表者による紹介がありました。

本イベントは、国際機関日本アセアンセンター、ラオス人民民主共和国計画投資省と本学が主催し、岡山商工会議所、日本貿易振興機構(JETRO)岡山貿易情報センターとの共催により開催いたしました。

 【本件問い合わせ先】
国際部国際企画課
TEL:086-251-8326



2019年10月30日水曜日

【情報発信】強相関電子系国際会議SCES2019を開催

物質中の電子が示す新しい性質を探求する基礎物理学の研究分野「強相関電子系」をテーマにした国際会議が、本学の後援のもと、9月23日から28日の6日間にわたって岡山コンベンションセンターにおいて開催されました。国内を含めて、37カ国・地域から844人(うち国外から335人)が参加し、7件の基調講演、3件の受賞講演、99件の招待講演、81件の口頭発表、597件のポスター発表(合計787件の発表)が行われました。これは、岡山で開催される国際学会としては最大級の規模といえます。


発表された成果は、ウランを含む磁場に強い超伝導物質の発見や、500テスラもの超強磁場による電子の性質の制御、レーザー光電子分光などの最先端計測技術による電子状態の観察、渦状の磁気配列をもつトポロジカル磁性体など、多岐に渡りました。これらの成果は、次世代の磁気デバイスや小型高性能の超伝導磁石の開発につながるものです。


強相関電子系国際会議 (International Conference on Strongly Correlated Electron Systems) は世界の同分野の研究者らが各国持ち回りで毎年開催しています。国内ではこれまでに仙台(1992年)、長野(1999年)、京都(2006年)、東京(2013年)において開催されました。本年の岡山での開催は、同分野の研究拠点の一つである本学の最近の研究成果が評価され決定されたもので、本学から17人の教員が実行委員として、31人の学生がStudent Staff として会議の運営に携わりました。


岡山大学は、2013年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。

【本件問い合わせ先】
岡山大学異分野基礎科学研究所 野原実
TEL:086-251-7828



2019年10月28日月曜日

【情報発信】岡山大学広報「いちょう並木」Vol.93を発行

岡山大学の活動などを紹介する広報誌「いちょう並木」のVol.93を発行しました。
ぜひ、ご覧ください。

全ページ通してご覧いただくのはこちらから


● 研究大学 世界をリードするリサーチユニバーシティへ
● 学外からの視点と期待(青山竜文 理事)
● CLSプログラム
● 広い世界で活躍する岡山大学の学生たち
● 大学祭特集
● OU NAVI



バックナンバーはこちらからご覧ください


【本件問い合わせ先】
総務・企画部広報課
TEL:086-251-7292




【情報発信】農業の未来を考える農学部公開シンポジウムを開催

10月26日、本学のホームカミングデイ2019の行事の一環として、「学士農業のススメ」をテーマに第18回農学部公開シンポジウム(「地域活性化システム論」第2回講義)を開催しました。

農業従事者の高齢化と後継者不足による農業就業者人口の減少が危機感をもって論じられるようになり、「生業」としての農業を見直す動きが増え始めています。本シンポジウムでは、まず農林水産省経営局就農・女性課の佐藤方行氏(後継者担当)が、大学で学んだことを生かした、日本における新規就農者数の現況と支援策について解説。その後、農学部卒業後、数年間企業などに就職して社会経験を積んだ後に就農し、現在も活躍している卒業生3人による講演を行いました。徳島県でイチゴ園を営む蔵本英治さんは、栽培した果物のブランド化の過程と、どのように公共の支援制度を生かして経営を安定させてきたかについて紹介。広島県でミカンを栽培する稲角大地さんは、「儲かる農業は工夫次第です」などと話し、親から譲り受けたミカン園の規模を拡大させて収益を増やす過程での、自らの経験を踏まえた栽培と販売に関する工夫について、笑いを交えながら紹介しました。岡山でフルーツ園を経営する高原弘雅さんは、従来の農産品の流通経路の枠を飛び越えて、新しい流通と経営理念、および新規就農者の育成支援について講演しました。

フロアと講演者の間でパネルディスカッションも行い、参加者からは「新規就農にあたって公的な補助制度をどのように活用すれば良いのか」や、「農産品のブランド化と流通をどのように考えれば良いのか」などといった質問があり、これからの農業のあり方について白熱した議論が繰り広げられました。

◯本シンポジウムは、岡山県、岡山県農業協同組合中央会、中国四国農政局、NPO法人中国四国農林水産・食品先進技術研究会の後援を受け開催いたしました。

 

【本件問い合わせ先】
岡山大学農学部事務室総務担当
TEL:086-251-8282
E-mail:QEE8273@adm.okayama-u.ac.jp

2019年10月22日火曜日

【情報発信】自分の口が健康だと自覚のある大学生は「話す」「食べる」などの口に関わる生活の質が高いことを、3年の追跡調査で明らかに

自分の口が健康だと自覚のある大学生は「話す」「食べる」などの口に関わる生活の質が高いことを、3年の追跡調査で明らかに

 
2019年09月27日

◆発表のポイント
  • 口に関わる生活の質(Quality of Life; QOL)が高いことは、口の中のトラブルのせいで「話しにくい」「食べにくい」といったことがない状態を意味します。
  • 大学入学時に自分の口が健康であると自覚のある大学生は、3年後においても口に関わるQOLが高いことが明らかになりました。
  • さらに、むし歯の治療経験が少ない、歯並びがよい、口内炎ができにくいことが、自分の口の中が健康であると自覚するための要因であることも明らかになりました。
 
 
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科予防歯科学分野の佐保輝医員・森田学教授、同大学保健管理センターの岩﨑良章教授らの共同研究グループは、大学入学時に自分の口が健康であると自覚していることが、3年後の口に関わる生活の質(QOL)の高さを予測する指標となることを世界で初めて明らかにしました。
 
また、「むし歯の治療経験」、「歯並び」、「口内炎のできやすさ」は「自分の口が健康であると自覚していること」と関連していました。この研究成果は7月29日、オランダの学術雑誌「Quality of life research」に掲載されました。
 
むし歯や口内炎を予防すること、歯並びをよくすることで口に関わるQOLを高く保ち、健康で充実した大学生生活を送るとともに、その後の将来のQOLを高めることが期待されます。


◆研究者からのひとこと
大学生は食生活などのライフスタイルの変化に伴い、口の状態が変化しやすい時期です。自分の口の状態を把握するために、まずは歯科健診に足を運んでみましょう♪
佐保医員


■論文情報
論 文 名:Structural equation modeling to detect predictors of oral health-related quality of life among Japanese university students: a prospective cohort study.掲 載 紙:Quality of life research : an international journal of quality of life aspects of treatment, care and rehabilitation.著  者:Saho H, Ekuni D, Kataoka K, Taniguchi-Tabata A, Toyama N, Sugiura Y, Islam MM,Iwasaki Y, Morita M.D O I:10.1007/s11136-019-02251-4.

<詳しい研究内容について>
自分の口が健康だと自覚のある大学生は「話す」「食べる」などの口に関わる生活の質が高いことを、3年の追跡調査で明らかに


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX)086-235-6714



2019年10月21日月曜日

【情報発信】光合成で“ゆがんだイス”型の触媒が酸素分子を形成する仕組みを解明~人工光合成触媒の合理的設計の糸口に~

光合成で“ゆがんだイス”型の触媒が酸素分子を形成する仕組みを解明~人工光合成触媒の合理的設計の糸口に~

 
2019年10月18日

 
◆発表のポイント
  • 光合成は光エネルギーを利用して、光化学系IIと呼ばれるタンパク質が水分子から酸素分子を形成する反応で始まりますが、酸素分子が形成される仕組みは分かっていませんでした。
  • 量子ビームであるX線自由電子レーザーを用いて、光化学系IIの“ゆがんだイス”型の触媒が酸素分子を形成する直前の状態の立体構造を正確に決定しました。
  • 本研究成果は、光合成で水分子から水素イオンや電子を取り出す仕組みの解明だけでなく、光で水を分解するための人工光合成触媒の設計にも役立つことが期待されます。
 
 
岡山大学異分野基礎科学研究所の菅倫寛准教授、秋田総理准教授、沈建仁教授、理化学研究所の吾郷日出夫専任研究員らの共同研究グループは光化学系IIの“ゆがんだイス”の形をした触媒が酸素分子を形成する直前の状態の立体構造を決定しました。この結果から、光合成において酸素分子が形成される反応の仕組みが明らかになりました。
 
本研究成果は、米国東部時間10月17日午後2時(日本時間10月18日午前3時)米国科学誌「Science」のResearch Articleとして掲載されます。
 
光合成は光エネルギーを利用して、光化学系IIと呼ばれるタンパク質が水分子から電子と水素イオンを取り出し、酸素分子を形成する反応によって始まります。これまでの研究で、反応が起こる触媒部分の立体構造や酸素形成の部位が明らかになっていましたが、酸素分子が形成される仕組みはよく分かっていませんでした。
 
研究グループは、光化学系IIの結晶にX線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLAの発振する量子ビームを照射し、立体構造を高い解像度で解析しました。その結果、酸素分子の形成に必要と考えられる2つの酸素原子を触媒中に発見し、量子化学計算の結果と考え合わせることによって、これら2つの酸素原子の化学的な性質を明らかにしました。さらに反応に必要な水分子を取り込むための経路や反応で生じた水素イオンを排出するための経路を見いだしました。
 
本研究で明らかになった酸素分子を形成する仕組みは、光エネルギーを利用して水から電子と水素イオンを取り出して有用な化学物質を作り出す「人工光合成」の技術を開発するための重要な知見を与えると期待されます。
 
 
◆研究者からのひとこと
本成果は光合成における水分解反応の仕組みの核心に迫るものです。光化学系Ⅱの高品質サンプル、X線自由電子レーザーの高度な技術、強力なチームワークの連携によって本研究を成し遂げることができたと考えています。失敗の連続で実験がうまくいかないこともありましたが、光化学系IIというタンパク質がとても魅力的だったので諦めず、成功にたどり着くことができたと思っています。
菅准教授


■論文情報
論 文 名:“An oxyl/oxo mechanism for oxygen-oxygen coupling in PSII revealed by an X-ray free electron laser”
「X線自由電子レーザーで明らかにしたPSIIのO-O形成におけるoxyl/oxo機構」
掲載紙:Science
著 者:Michihiro Suga, Fusamichi Akita, Keitaro Yamashita, Yoshiki Nakajima, Go Ueno, Hongjie Li, Takahiro Yamane, Kunio Hirata, Yasufumi Umena, Shinichiro Yonekura, Long-Jiang Yu, Hironori Murakami, Takashi Nomura, Tetsunari Kimura, Minoru Kubo, Seiki Baba,
Takashi Kumasaka, Kensuke Tono, Makina Yabashi, Hiroshi Isobe, Kizashi Yamaguchi,
Masaki Yamamoto, Hideo Ago, and Jian-Ren Shen
DOI:10.1126/science.aax6998

<詳しい研究内容について>
光合成で“ゆがんだイス”型の触媒が酸素分子を形成する仕組みを解明~人工光合成触媒の合理的設計の糸口に~


 <研究に関するお問い合わせ>
岡山大学 異分野基礎科学研究所
准教授 菅 倫寛 (すが みちひろ)
(電話番号)086-251-7877

 教授 沈 建仁(しん けんじん)
(電話番号)086-251-8502

<広報に関するお問合せ>
 岡山大学 総務・企画部広報課
(電話番号)086-251-7292

<JSTの事業に関するお問合せ>
 科学技術振興機構 戦略研究推進部
川口 哲(かわぐち てつ)
(電話番号)03-3512-3525

<AMED事業に関するお問合せ>
日本医療研究開発機構
創薬戦略部 医薬品研究課
(電話番号)03-6870-2219


 

2019年10月17日木曜日

【情報発信】Okayama University e-Bulletin Vol.25を発行 

岡山大学は10月11日、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin Vol.25」を発行しました。

e-Bulletinは、海外への情報発信を強化し、本学の国際的知名度を高めるため、2012年より発行しており、メーリングリストなどを利用し、世界の研究者らにニュースやトピックスを配信しています。

e-Bulletinはこちらからご覧いただけます。


Vol.25は、本学創立70周年を記念して7月に開催した、SDGsに関連した2つのシンポジウムについて掲載するほか、槇野学長が国連本部でのハイレベルフォーラムで行った本学のSDGsに関する発表報告や、SDGsで高校生をつなぐ全国プロジェクト「SDGsユースプロジェクト」のキックオフイベントなど、本学のSDGsの取り組みを紹介しています。ぜひご覧ください。


【本件問い合わせ先】
総務・企画部 広報課
TEL:086-251-7292


岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。



2019年10月11日金曜日

【情報発信】「岡山県 企業と大学との共同研究センター」と岡山県寄付講座「おかやまIoT・AI・セキュリティ講座」を開設

「岡山県 企業と大学との共同研究センター」と岡山県寄付講座「おかやまIoT・AI・セキュリティ講座」が10月1日、本学内に開設されました。

「岡山県 企業と大学との共同研究センター」は、大学など高等教育機関の知の活用により新たな技術課題に対応しながら成長・発展を目指す県内企業を支援する「大学と連携した地域産業振興事業」の中核を担う拠点として岡山県が設置。本年3月に本学が岡山県と締結した「大学と連携した地域産業振興に係る協力に関する協定」に基づき、津島キャンパス旧事務局庁舎2階に設置することとなったものです。


この日行われた開所式では、伊原木隆太岡山県知事が「産学官連携に関する今までの取り組みをさらに深め、県内企業と研究者との的確なマッチングを行い、地域と大学がお互いに良い影響を与えあう関係を築きたい」とあいさつ。本学の槇野博史学長が「岡山大学はSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みを行っている。本センターと連携を深め、共同研究や人材育成を推進することで、その取り組みを加速していきたい」と述べました。


今後、同センターを窓口に、県内企業と大学等とのマッチングや共同研究の推進に加え、前述の協定に基づく事業の一環として、大学における県内企業の研究開発力向上のためのプラットフォームづくりや企業人材育成を目指す教育プログラムの実施などに取り組むことにしています。


同日には、岡山県との協定に基づき設置された寄付講座「おかやまIoT・AI・セキュリティ講座」の看板上掲式も自然科学系総合研究棟にて行われました。


この寄付講座は、「Society5.0」に向けた岡山県内の中小企業の技術開発力、企画提案力の向上のため、IoT・AI・セキュリティを中心とした教育を行うことを目的に開設されました。大学院自然科学研究科の野上保之教授や大学院ヘルスシステム統合科学研究科の原直助教らが中心になって準備を進めてきたもので、改組後の自然科学研究科としては初めての寄付講座の開設になります。当日は冨田栄二自然科学研究科長、阿部匡伸工学部長、野上教授、原助教らが出席しました。


今後、岡山県と本学は、連携して県内企業の研究開発力向上や企業人材の育成などをさらに促進し、地域の活性化につなげていきます。

 

【本件問い合わせ先】
「岡山県 企業と大学との共同研究センター」について:
  研究協力部研究協力課 TEL: 086-251-8462
 

寄付講座「おかやまIoT・AI・セキュリティ講座」について:
  大学院自然科学研究科 教授・野上 保之 TEL: 086-251- 8127



2019年10月10日木曜日

【情報発信】SPring-8で地球マントル主要鉱物の高圧相転移を超高精度で決定~地球マントル660km不連続の成因を解明~

SPring-8で地球マントル主要鉱物の高圧相転移を超高精度で決定~地球マントル660km不連続の成因を解明~

 
2019年10月04日


 
【概要】
ドイツ連邦共和国バイロイト大学バイエルン地球科学研究所の石井貴之研究員・桂 智男教授、高輝度光科学研究センター回折・散乱推進室の丹下慶範・肥後祐司主幹研究員らとブリストル大学・ドイツ電子シンクロトロン・北京高圧科学研究センター・東北大学・広島大学・岡山大学の国際共同研究チームは、大型放射光施設SPring-8の放射光X線を利用した高温高圧下その場観察実験(BL04B1)と熱化学計算を組み合わせて、上部マントルの主要鉱物リングウッダイトから下部マントル主要構成鉱物のブリッジマナイトとフェロペリクレースへの分解反応(ポストスピネル転移)を精密に決定しました。
 
この相転移は、地球の上部・下部マントルの境界となる660km不連続を引き起こすと考えられてきましたが、これまでの相転移実験では、2km以下であると報告されている660 km不連続の極端な薄さを説明することが出来ませんでした。
 
今回、独自に開発した世界最高精度の高温高圧実験と熱化学計算によりポストスピネル転移の圧力幅が地震学的観測で検出できる厚みよりさらに一桁薄いことを示し、660km不連続がこの相転移で説明できることを明らかにしました。
 
本研究成果は、全地球マントルがパイロライト組成であるという説が有力であることを明らかにすると共に、マントル対流の新しい検出方法を提案しています。この手法を用いれば、これまで検出不能であった地球マントルのダイナミクスを明らかすることが出来ます。
 
本研究成果は、世界最高の地球科学の学術雑誌、「Nature Geoscience」に9月23日に掲載されました。

 
■論文情報
題  名:Sharp 660-km discontinuity controlled by extremely narrow binary post-spinel transition日本語訳:転移幅の極めて狭い2成分系ポストスピネル転移が引き起こす鋭い660 km不連続著  者:Takayuki Ishii, Rong Huang, Robert Myhill, Hongzhan Fei, Iuliia Koemets, Zhaodong Liu, Fumiya Maeda, Liang Yuan, Lin Wang, Dmitry Druzhbin, Takafumi Yamamoto, Shrikant Bhat, Robert Farla, Takaaki Kawazoe, Noriyoshi Tsujino, Eleonora Kulik, Yuji Higo, Yoshinori Tange, Tomoo Katsura学術雑誌名:Nature Geoscience


<詳しい研究内容について>
SPring-8で地球マントル主要鉱物の高圧相転移を超高精度で決定~地球マントル660km不連続の成因を解明~

 
<お問い合わせ>
《問い合わせ先》
石井 貴之(イシイ タカユキ)
バイロイト大学 バイエルン地球科学研究所
Bayerisches Geoinstitut (BGI)
Universität Bayreuth
Universitätsstraße 30
D-95447 Bayreuth, Germany

丹下 慶範(タンゲ ヨシノリ)
公益財団法人 高輝度光科学研究センター 放射光利用研究基盤センター 回折・散乱推進室
住所:兵庫県佐用郡佐用町光都1-1-1
TEL:0791-58-0802 FAX:0791-58-0830


(報道に関すること)
(SPring-8 / SACLAに関すること)
公益財団法人 高輝度光科学研究センター 利用推進部 普及情報課 
TEL:0791-58-2785 FAX:0791-58-2786

東北大学理学研究科・理学部広報・アウトリーチ支援室
TEL:022-795-6708 FAX:022-795-5831

広島大学 財務・総務室 広報部 広報グループ
TEL:082-424-6781 FAX:082-424-6040

岡山大学 総務・企画部 広報課
TEL:086-251-7292 FAX:086-251-7294

 

2019年10月2日水曜日

【情報発信】岡山大学と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所が包括的連携協力協定を締結

岡山大学と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所は10月1日、包括的連携協定を締結しました。

本協定は、両機関の研究・教育における連携協力を推進し、我が国発の革新的な医療技術の創出及び人材育成に寄与することを目的としており、岡山大学と医薬基盤・健康・栄養研究所は本協定に基づき、医療・創薬・ライフサイエンス分野を中心に連携・協力を進めていきます。

異分野融合を特長とする岡山大学と、メディカルからヘルスサイエンスまでの幅広い研究を特長とする医薬基盤・健康・栄養研究所が協力し、次世代ライフサイエンスの提案と実現を目指した研究を行うとともに、それぞれが有する資源の相互利用と密接な人的交流を図ることにより、学術研究の振興と研究成果の社会活用の推進に貢献することを目指します。
●詳細はプレスリリースをご覧下さい


【本件問い合わせ先】
研究推進機構 嵯峨山 和美 准教授
TEL:086-251-8960



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8773.html

2019年10月1日火曜日

【情報発信】ダイヤモンドに添加したリン原子の立体原子配列の解明-ダイヤモンドデバイスの性能向上に貢献-

ダイヤモンドに添加したリン原子の立体原子配列の解明-ダイヤモンドデバイスの性能向上に貢献-

 
2019年09月27日

 
◆発表のポイント
  • これまでにない高倍率、高分解能を実現する光電子ホログラフィーを利用し、ダイヤモンドに添加したリン原子の2種類の原子配列およびその配向を世界で初めて観測することに成功しました。
  • 添加原子の原子配列と電気的状態や結晶成長との関係性を明確化できることから、ダイヤモンドを使用したデバイスの性能向上に貢献することが期待されます。
 
 
岡山大学異分野基礎科学研究所の横谷尚睦教授、寺嶋健成特任講師(現NIMS特別研究員)、竹田彩元大学院生(博士前期課程修了)ら、公益財団法人高輝度光科学研究センター(JASRI)の松下智裕主席研究員、木下豊彦主席研究員、室隆桂之主幹研究員、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)の加藤宙光主任研究員、山崎聡招聘研究員、大阪大学産業科学研究所の小口多美夫教授の研究グループは、ダイヤモンドに添加したリン原子周辺の3次元原子配列構造の観測に世界で初めて成功しました。これは、結晶中の添加元素を選択的に10億倍まで拡大・観察できる、光電子ホログラフィーおよび解析理論の開発による成果です。
 
宝石として知られているダイヤモンドは、微量元素の添加により高性能な半導体として機能するため、次世代のパワーデバイスや量子センサーなど、革新的なデバイス開発への応用が期待されています。ダイヤモンドデバイス開発においては、電子が電導性を担うタイプの半導体ダイヤモンド作製が必須であり、リン原子は最も有力な添加元素と考えられています。置換位置(ダイヤモンド構造の炭素原子と置き換わった位置)に取り込まれることで、電子性の伝導が得られますが、添加した元素の一部が電導性を阻害する原子配列を形成することが理論的に予測されていました。これまで、適切な研究手法がなかったため、配列構造まで実験的に特定することはできませんでした。
 
今回、大型放射光施設SPring-8の軟X線固体分光ビームライン(BL25SU)において、光電子ホログラフィー実験を行い、リン原子の2種類の化学状態の片方は電導性の向上に理想的な構造であり、もう一方は電導性の向上を阻害する原子配列であることを突き止めました。加えて、それぞれの原子配列に配向があることも明らかにし、この配向がダイヤモンドの成長プロセスと密接に関連することも示唆しました。
 
原子配列や配向の情報を利用すればより高度な試料作製の戦略立案が可能になるため、ダイヤモンドデバイスの高性能化に貢献します。
 
本研究は、平成26年度に採択された、科学研究費補助金新学術領域研究(研究領域提案型)「3D活性サイト科学」(領域代表:奈良先端科学技術大学院大学 大門寛教授)での分野融合的な連携研究の成果でもあります。
 
本研究成果は、8月2日付けの米国科学誌「Nano Letters」の電子版に掲載されました。


◆研究者からのひとこと
この研究は、2005年岡山大学着任後に開始した研究がもとになっています。ダイヤモンド中の添加リンが2種類の化学結合状態を取ることまではわかったのですが、それらが実際何かという問題は未解明でした。実験的に解明することは無理だろうと内心思っていたのですが、光電子ホログラフィーという実験手法で一気に解決してしまいました。未解明の研究課題が、新たな実験技術により解決するという典型的な研究例ですね。
 

横谷教授


 
■論文情報
論 文 名:Asymmetric Phosphorus Incorporation in Homoepitaxial P-Doped (111) Diamond Revealed by Photoelectron Holography掲 載 紙:Nano Letters著  者:T. Yokoya, K. Terashima, A. Takeda, T. Fukura, H. Fujiwara, T. Muro, T. Kinoshita, H. Kato, S. Yamasaki, T. Oguchi, T. Wakita, Y. Muraoka, and T. MatsushitaD O I:http://dx.doi.org/10.1021/acs.nanolett.9b01481


<詳しい研究内容について>
ダイヤモンドに添加したリン原子の立体原子配列の解明-ダイヤモンドデバイスの性能向上に貢献-

 

<お問い合わせ>
(研究全般に関すること)
岡山大学 異分野基礎科学研究所
教授 横谷尚睦
(電話番号)086-251-7897
(FAX番号)086-251-7903