2017年12月10日日曜日

【情報発信】Okayama University e-Bulletin Vol.20を発行

岡山大学は12月7日、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin Vol.20」を発行しました。

e-Bulletinは、海外への情報発信を強化し、本学の国際的知名度を高めるため、2012年より発行しており、メーリングリスト等を利用し、世界の研究者等にニュースやトピックスを配信しています。

Vol.20は以下の内容です。ぜひご覧ください。
●Feature
  岡山大学のSGDsの取り組み


●News
・槇野学長らが国際競争力向上のための連携強化に向け蘭・ライデン大学を訪問
・駐日欧州連合代表部が岡山大学を訪問
・岡山大学病院で左右の肺を組み合わせて一つの肺を形成する移植手術に世界で初めて成功
・岡山大学病院が「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)」の認定を取得
・2年連続! 馬教授、山地准教授に「Highly Cited Researchers」認定証
・ベトナム前国家主席らが槇野学長を表敬訪問 農学部視察も
・セネガルの教育関係者が本学で研修を開始


●Research Highlights
・昆虫の細菌感染密度に季節性 世界に先駆けて発見
・エンドウ褐紋病に対する植物の抵抗性反応を解明
・メダカは「顔」で仲間を見分ける 〜メダカの「顔」を見分ける仕組みは特化している?〜
・植物細胞が真っすぐ伸びる仕組みを解明 〜細胞骨格を整理整頓するタンパクNEK6の働きを解明〜


●Topics
・将棋部の羽仁さんが将棋の学生名人戦で見事準優勝!
・アーカンソー大学生と本学学生の交流会を実施


e-Bulletinはこちらからご覧いただけます。




e-Bulletin Vol.20

岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7201.html
 

2017年12月9日土曜日

【情報発信】国連開発計画の中井博士を招きSDGs講演会を開催

岡山大学環境理工学部は10月24日、国連開発計画の中井淳子博士を招き国連の持続可能な開発目標「SDGs」※1に関する講演会を開催しました。

中井博士は京都大学、スタンフォード大学で環境工学や環境科学を学び、ミシガン大学で経済学を専攻した後、国連環境計画・国連人間居住計画(ハビタット)・国連児童基金(ユニセフ)・米国NASAで環境、経済問題に関した業務に従事。現在は国連開発計画で西アフリカにおいて環境やエネルギーの専門家として従事しています。

当日は槇野博史学長や本学教職員・学生に対し「Sustainable Development & the Environment」(持続的開発と自然環境)と題し英語で講演。SDGsの前身である8つの目標から成るMDGs(2000-2015年)からSDGs(2016-2030年)への変遷や、産業革命後の人類による自然支配がもたらした経済発展と、その代償としての自然環境破壊の根本的な問題について分かりやすく講述しました。

さらに、現在の環境破壊を伴う経済発展モデルが先進国と発展途上国間の貧富の差を生じさせ、その経済格差がさらなる環境破壊を助長している仕組みを解説。今までとは異なる発展モデルが必要であること、とりわけ先進国には持続性のある発展を自ら実現しその可能性を世界に示す責任があると訴えました。
参加者はSDGsの推進について認識と決意を新たにしていました。

※1 「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals;SDGs)
2015年9月に国連が開催した「国連持続可能な開発サミット」において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。このアジェンダでは人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標を掲げています。この17の目標と169のターゲットからなるものが「持続可能な開発目標」(SDGs)です。

<参考>

岡山大学SDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」はこちら



講演する中井博士


会場の様子


あいさつする槇野学長

岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7200.html
 

2017年12月2日土曜日

【情報発信】がん細胞内の鉄を制御することで幹細胞性が喪失 がんの新規治療法の確立へ

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科免疫病理学分野の大原利章助教と消化器外科学分野の二宮卓之助教(指導:藤原俊義教授)らの研究チームは、大学院自然科学研究科の妹尾昌治教授が樹立した「マウスiPS細胞由来のがん幹細胞モデル」を用いて、鉄キレート剤で細胞内の鉄(Fe)を減らすと幹細胞性が喪失することを世界で初めて発見しました。この効果は通常の抗がん剤には認められない効果です。本研究成果は10月12日、米国のがん治療の科学誌「Oncotarget」のオンライン版に掲載されました。

私たちの生命を脅かすことのあるがんに対する治療には、さまざまな方法があります。その中でがんが治療に“抵抗”する原因として、がんの腫瘍内に幹細胞性を持つがん細胞である「がん幹細胞」が存在することが考えられています。しかし、がん幹細胞に対して、有効な治療法はありません。


この問題を解決するために大原助教らは鉄に注目。鉄は生体にとって必須の微量元素ですが、過剰になると発がんを引き起こすことが知られています。がんも生体内の鉄を巧みに利用して、生存していると考えられており、がん細胞内の鉄を制御することは、がんの生存を脅かしていると考えられます。
本研究成果により、がんの新規治療法になり得ると考えられます。
図1.既存の抗がん剤(5-FU, Cisplatin:上段)では幹細胞性マーカー(Nanog)の発現は高容量でも抑制されませんが、鉄キレート剤(Deferasirox, DFO:下段)では発現が抑制されます。
図2.既存の抗がん剤では、増殖性を抑えられても、がん幹細胞の抑制が難しいため、再発などを引き起こします。鉄キレート剤の使用では、増殖性とがん幹細胞性の両方の低下が認められます。


<論文情報等>
論文名:Iron depletion is a novel therapeutic strategy to target cancer stem cells掲載誌:Oncotarget掲載号:Volume 8 98405-98416著 者:Takayuki Ninomiya, Toshiaki Ohara, Kazuhiro Noma, Yuki Katsura, Ryoichi Katsube, Hajime Kashima, Takuya Kato, Yasuko Tomono, Hiroshi Tazawa, Shunsuke Kagawa, Yasuhiro Shirakawa, Fumiaki Kimura, Ling Chen, Tomonari Kasai, Masaharu Seno, Akihiro Matsukawa and Toshiyoshi FujiwaraD O I: https://doi.org/10.18632/oncotarget.21846
発表論文はこちらからご確認いただけます。

<詳しい研究内容について>
がん細胞内の鉄を制御することで幹細胞性が喪失 がんの新規治療法の確立へ


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)免疫病理学分野
助教 大原 利章
(電話番号)086-235-7143
(FAX番号)086-235-7648
(URL)
//www.okayama-u.ac.jp/user/byouri/pathology-1/HOME.html

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id513.html

【情報発信】1兆分の1秒の時間分解能で液晶分子の動画を観測 -新しい測定・解析手法の確立-

ディスプレイなど非常に広く産業利用されている液晶分子について、これまでの概念を覆す新しい計測・解析手法を用いて、液晶分子に紫外線光を当て分子が動く様子を直接観察することに世界で初めて、岡山大学大学院自然科学研究科(工)の羽田真毅助教、林靖彦教授、京都大学大学院理学研究科の齊藤尚平准教授、筑波大学計算科学研究センターの重田育照教授、九州大学大学院理学研究院の恩田健教授らが成功しました。

これまで、液晶分子の立体構造を決定し、その機能の元となる分子運動を理解することで、より高精度かつ広範囲な液晶材料の開発が可能になると期待されていました。しかし、液晶中の炭素鎖に埋もれた分子骨格の高速な動的挙動を直接的に構造解析する手法は全く存在せず、液晶分子の運動を解析する新しい手法の確立が求められてきました。


本共同研究グループによる、時間分解電子線回折法と時間分解赤外分光法を組み合わせた液晶分子の構造解析と動的挙動の直接観察は、これまでの概念を覆す新しい計測・解析手法です。また、光照射後1~100ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)程度の時間スケールにおいて発現する励起状態芳香族性を観測し、理論計算でその妥当性を確認したことは、この物質を基にした光機能性分子材料の設計方針に重要な知見を与えるものになります。

本研究手法は、光応答性・機能性の液晶分子やソフトマテリアルの構造決定を革新する測定・解析手法として応用展開が期待されます。
本研究成果は10月16日、米国化学会雑誌「Journal of American Chemical Society」誌で公開されました。
図1 本研究で用いた光応答性液晶分子の構造
基底状態のπ-シクロオクタテトラエン分子はサドル型の構造をしています。青色は光を吸収して応答を起こすメソゲンを示しており、オレンジ色は光応答を生じない運動性や柔軟性に寄与する炭素鎖部分を示しています。
図2 岡山大学で開発した時間分解電子線回折装置
図3 九州大学で開発した時間分解赤外分光装
図4 明らかとなった液晶分子の構造変化


<論文情報等>
論文名:Structural Monitoring of the Onset of Excited-State Aromaticity in a Liquid Crystal Phase
「液晶相における励起状態芳香族性の発現過程の構造解析」
掲載誌: Journal of the American Chemical Society 著 者:Masaki Hada*, Shohei Saito*, Sei’ichi Tanaka, Ryuma Sato, Masahiko Yoshimura,
Kazuhiro Mouri, Kyohei Matsuo, Shigehiro Yamaguchi, Mitsuo Hara, Yasuhiko Hayashi,
Fynn Röhricht, Rainer Herges, Yasuteru Shigeta*, Ken Onda*, R. J. Dwayne Miller
D O I:10.1021/jacs.7b08021
発表論文はこちらからご確認いただけます。

<詳しい研究内容について>
1兆分の1秒の時間分解能で液晶分子の動画を観測
-新しい測定・解析手法の確立-



<お問い合わせ>
岡山大学大学院自然科学研究科(工)
助教 羽田 真毅
(電話番号)086-251-8133
(FAX番号)086-251-8110

http://www.geocities.jp/yhayashi_okayamauniv/

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id512.html

【情報発信】槇野学長らが国際競争力向上のための連携強化に向けフランス・ストラスブール大学を訪問

岡山大学は総合大学としてさまざまな叡智を結集して課題解決の実践を行っていますが、その中で国際競争力の強化促進も大きな柱となっています。

今回、本学との教育・研究分野において密な連携をしているフランス北東部のバ=ラン県にあるストラスブール大学に11月6日、槇野博史学長と本学地域総合研究センター(アゴラ)の岩淵泰助教、流尾正亮職員(岡山市との人事交流)が訪問。今後のさらなる連携強化の具体策について同大学関係者らと議論を行いました。

はじめに、ミシェル・デネケン(Michel Deneken)学長とカトリーヌ・フロレンツ(Catherine Florentz)筆頭副学長(研究・博士課程担当)らと会談。研究交流発展についてデネケン学長は、パリ大学連合に負けない研究力を持つ同大学は、日本と岡山の連携に期待している点や、学生や研究者交流をさらに発展させ、将来的には博士課程の大学院生やポスドクの人事交流にも発展させていきたい旨を述べました。槇野学長は、本学が国連の
SDGs(持続可能な開発目標)やESD(持続可能な開発のための教育)などを核にして、教育研究を世界基準に併せながら大学改革を展開している点を紹介。「本学としてもストラスブール大学との交流を加速していきたい」と述べました。

また、同大学の医学部を訪問し、シアマク・バラム(Siamak Bahram)教授とエレヌ・ドルフュス(Helene Dollfus)教授らと会談を実施。同大学は医学部を中心に先端研究が進められており、医学・医療研究連携のあり方について積極的に意見交換を行いました。さらにはストラスブールを拠点として、ブラジルや台湾にネットワークも持つ、国際的なガン治療のトレーニングセンターである
IRCADを訪問。ベルナール・ダルマーニュ(Bernard Dallemagne)教授から施設の説明を受けました。

ストラスブール大学は、ヨーロッパ研究大学連盟(League of European Research Universities; LERU)とライン川上流域ヨーロッパ大学連合(EUCOR)のメンバーとして、学生数46,000人、研究者4,600人を抱える総合大学です。また、ノーベル賞研究者が4人在籍するフランス屈指の研究大学であり、本学とは
大学間交流協定のほかに、教員交流協定研究協議などを密に実施しています。2016年10月には、デネケン学長とカトリーヌ・トロットマン(Catherine Trautmann)ストラスブール市元市長を本学に招待し、研究・教育大学を実現するために大学と都市はいかに協働することができるのかをテーマにした国際学都シンポジウムを開催しています。

岡山大学では、ストラスブール大学を欧州における重要なパートナーとして位置づけており、今後も具体的な交流を強化推進していきます。

<参考>

岡山大学SDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」はこちら



デネケン学長と槇野学長(右)


バラム教授とドルフュス教授との会談



国際的な医療トレーニングセンターであるIRCAD
 

ダルマーニュ教授からIRCADの説明を受ける槇野学長(左)

国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています

【情報発信】槇野学長らが本学のSDGsとESDの取り組みを発信するためユネスコ本部を訪問

国連教育科学文化機関(ユネスコ)などが中心となって実施している「持続可能な開発のための教育(ESD)」※1や国連が全世界を巻き込んで達成を目指している「持続可能な開発目標(SDGs)」※2に関する取り組みの情報収集と、本学のSDGs 、ESDの取り組みの情報発信などを目的として、槇野博史学長らが11月2~3日、フランス共和国パリにあるユネスコ本部を訪問しました。

ユネスコは、2005~2014年の「国連ESDの10年」、2015~2019年の
「ESDに関するグローバル・アクション・プログラム(GAP)」を主導する国連の機関です。2005年に岡山地域がESD推進の地域拠点(RCE)となり、2007年には本学がユネスコチェアに認定されました。2014年には「ESDに関するユネスコ世界会議」を岡山市等で開催するなど、岡山地域や本学はESDを先導してきており、ユネスコとも深く関わっています。

今回の訪問では、槇野学長のほかに、横井篤文副理事・上級UGA、
地域総合研究センター(アゴラ)の流尾正亮職員が、ユネスコ総会に関連した第3回ユネスコ/日本ESD賞授賞団体との会合やSDGs・ESD関連出版記念会などに参加。「ユネスコ/日本ESD賞」のスポンサーである日本政府を代表して参加していた文部科学省の林芳正大臣をはじめ、ユネスコのチェン・タン事務局長補佐や同教育局ESD課のアレクサンダー・ライヒト氏、ミリアム・テレック氏らと会談し、「槇野ビジョン」とともに共創する本学ならではのSDGs、ESDの取り組みについて精力的に紹介し、意見交換を実施しました。

2016年の
第2回ユネスコ/日本ESD賞は、本学も参画する「岡山ESDプロジェクト」が授賞しており、ユネスコや文部科学省の関係者からは、「ESDの先進地である岡山で、岡山大学が中心となってより一層SDGs 、ESDの推進に尽力してほしい」など、期待の声もありました。

今後はこれらの関係機関とさらなる連携を深めつつ、これまで培ってきた本学ならびに岡山の地での特色ある取り組みを継続しつつ、槇野ビジョンの「実りの学都」を基礎としてSDGs、ESDを強力に推進していきます。


なお、本学と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)、RCE岡山は、国連会議
「SDGsの達成に向けたRCE第一回世界会議」を12月5日~7日の3日間、岡山市に誘致して開催します。

※1 
「持続可能な開発のための教育」(Education for Sustainable Development;ESD)」
 環境、貧困、人権、平和、開発などのさまざまな現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、解決につながる新たな価値観や行動を生み出すようにします。それによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動を行います。ESDは、「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」とも言えます。

※2 
「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals;SDGs)
 2015年9月に国連が開催した「国連持続可能な開発サミット」において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。このアジェンダでは人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標を掲げています。この17の目標と169のターゲットからなるものが「持続可能な開発目標」(SDGs)です。

<参考>

岡山大学SDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」はこちら




フランス・パリにあるユネスコ本部を訪問した槇野学長


林芳正文部科学大臣と槇野学長(左)


SDGs・ESD関連出版記念会に参加する槇野学長と横井副理事(右)
 

ユネスコ/日本ESD賞受賞者との意見交換会の様子

国立大学法人岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています