2019年12月30日月曜日

【情報発信】「第4回岡山医療教育国際シンポジウム」を開催

岡山大学歯学部教員と学生らで構成する「岡山歯学会」は12月14日、本学歯学部第一講義室で「第4回岡山医療教育国際シンポジウム」を開催しました。


本シンポジウムは、教育・研究分野における国際的な歯科大学連携を構築することを目的として開催。インドネシア2大学、ベトナム2大学、オランダ、米国、中国各1大学の歯学部長または附属病院長を招待し、各大学の特色ある教育・研究制度について情報を共有しました。総数200人以上の歯学部教員・学生が参加し、招待講演者による講演(2セッション)があったほか、ODAPUS(注1)学生やO-NECUS(注2)学生、大学院生、海外若手研究者による講演やポスターセッションも実施しました。


ハサヌディン大学のMuhammad Ruslin准教授の講演から始まったシンポジウムでは、10人の研究者と ODAPUSおよびO-NECUSの留学生を含む学部生・大学院生7人が研究発表や大学の紹介を行いました。フロアで24演題のポスターに対する質疑応答も行われ、全てのセッションにおいて活発な討論がなされました。優れたポスター発表を行ったEman A. Tahaさん(歯科薬理学分野)、Ha Thi Thu Nguyenさん(インプラント再生補綴学分野)、Islam Md Moniruiさん(予防歯科学分野)、河合穂高助教(口腔病理学分野)の4人には、優秀ポスター賞を授与しました。


本シンポジウムには、教員のみならず、各種留学制度に関わった学部学生・大学院生が積極的に参加しています。新しい国際的な歯科大学連携を構築するために、将来の歯科医学・歯科医療の発展を担う次世代の歯学生と若手研究者にとって、国際学術交流に必要な知識や体験を得る良い機会となりました。

(注1)ODAPUS : Okayama University Dental School Short-term-Study- Abroad Program for Undergraduate Students
(注2)O-NECUS : Okayama University-North East China Universities platform, ‘Graduate’ Student Exchange Program

○本シンポジウムは、アステラス製薬Educational support、アルファバイオ株式会社の支援により実施しました。

○発表者と発表内容
・Muhammad Ruslin准教授(ハサヌディン大学):インドネシアの歯科医療の現状と将来について
・Tong Minh Son准教授(ハノイ医科大学):ベトナムにおける高齢者の口腔健康状態について
・Vu Quang Hung教授(ハイフォン医科薬科大学):ハイフォン医科薬科大学の紹介
・Tianna Wahyu Utami准教授(ガジャマダ大学):Scorodocarpus borneensisの葉に含まれるオイルの効能について
・Hongchen Sun教授(中国医科大学):象牙質形成におけるAcvr1の役割について
・ Albert Feilzer教授(Academic Center for Dentistry Amsterdam):歯科材料の副作用について
・ Igor Spigelman教授(University of California, Los Angeles(UCLA)):慢性疼痛治療のための新規非精神活性カンナビノイドについて
・小見山裕司さん(本学歯学部5年)、夏目和歩さん(同3年)、Nur Mohammad Hassan博士(Charles Sturt大学):ODAPUSプログラムに関連した講演
・Yuhan Heさん(中国医科大学、2019年度O-NECUS生)Qianqian Luさん(吉林大学、2019年度O-NECUS生):出身大学の紹介
・Akhter Mst Nahidさん(本学大学院医歯薬学総合研究科生(生体材料学分野))、May Wathone Ooさん(同口腔病理学分野)、Ei Ei Hsu Hlaingさん(同歯科矯正学分野):研究発表
・Heni Susilowati准教授(ガジャマダ大学)、 Pham Thanh Hai博士(ハイフォン医科薬科大学):研究内容の講演

【本件問い合わせ先】
岡山大学医歯薬学総合研究科口腔形態学分野
池亀美華、岡村裕彦
TEL: 086-235-6632
E-mail: ikegame◎md.okayama-u.ac.jp; hiro-okamura◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。

2019年12月26日木曜日

【情報発信】大学院環境生命科学研究科の赤木剛士 准教授が「日本農学進歩賞」を受賞

岡山大学大学院環境生命科学研究科の赤木剛士准教授が、日本の農学分野において先進的な研究を行った若手研究者を称える「日本農学進歩賞」(公益財団法人 農学会)の令和元年度の受賞者に選ばれ、11月22日に東京大学農学部弥生講堂で授賞式が行われました。

赤木准教授は、果樹作物を中心とした植物の「性」について研究しており、柿を使った植物で初めてとなる性別決定遺伝子の発見や、キウイフルーツを用いた性決定の進化・性表現の人為的制御に関する研究が高く評価されました。赤木准教授は受賞を受け、「日本農学進歩賞に選ばれることは大変な名誉であり、ご推薦をいただいた方々に心より感謝するとともに、今後も様々な作物における生殖機構の解明や人為的制御の研究に邁進していきたい」と話しています。

参考:
公益財団法人農学会授賞式ニュース

http://www.nougaku.jp/award/award2.2019.html

園芸利用学研究室HP
//www.okayama-u.ac.jp/user/ushijima/phlab/index.html

【本件問い合わせ先】
大学院環境生命科学研究科 准教授 赤木剛士
TEL: 086-251-8337



2019年12月23日月曜日

【情報発信】教育学研究科の国吉康雄記念講座が岡山市文化奨励賞を受賞

岡山大学の教育学研究科寄付講座「国吉康雄記念・美術教育研究と地域創生講座」が岡山市文化奨励賞の芸術部門に選ばれ、11月25日、岡山市役所で行われた表彰式に出席しました。


同講座は学校や市民と協同してアートイベント、ワークショップなどを開き、芸術文化の振興に貢献したことなどが評価され、この度の受賞となりました。


式では、大森雅夫岡山市長から同講座の伊藤駿助教、櫛田みつきさん(文学部4年生)、菊野智慧さん(同)に表彰状と記念のレリーフが手渡されました。受賞者のあいさつでは、同講座の才士真司准教授が「世界的に高く評価される地域の文化芸術資源(国吉康雄コレクション)について、大学が研究するだけでなく、その運用を学生と共に地域市民、行政、企業などと協働で行うというスタイルを評価いただいた。こうした取り組みは他に例がなく、岡山の地域力を総合的・学際的に活用した岡山大学独自のものといえます」と受賞の喜びを話しました。


岡山市文化奨励賞は、市の文化向上に中堅的存在として活躍している個人、団体が対象で、1974年度に創設され、今回が46回目となります。本学教育学部(教育学研究科)関係者が受賞するのは、学術部門を含め6回目となります。


同講座は7月にも「岡山芸術文化賞」で準グランプリを受賞しており、今後岡山の文化活動への更なる貢献が期待されます。

【本件問い合わせ先】
教育学研究科寄付講座「国吉康雄記念・美術教育研究と地域創生講座」
TEL 086-251-7633

【情報発信】第74回SDGs岡大サイエンスカフェ 『気候変動下で頻発する水害への対応を考える』、『世界を変える「バイオバンク」-「岡大バイオバンク」と医学・創薬研究を支える基盤の明日』を開催

岡山大学研究推進機構は11月8日、「第74回SDGs岡大サイエンスカフェ」を本学創立五十周年記念館で開催しました。

岡山大学では、2006年から本学の研究者が最新の科学を分かりやすく解説する「岡大サイエンスカフェ」を10年以上にわたって開催。現在では、毎回100人を超える来場者でにぎわう人気イベントとなっています。74回目となる今回は、「SDGs岡大サイエンスカフェ」と題し、SDGsに関連し、かつ市民の方の関心が高いと考えられるテーマを取り上げ、また、より多くの研究に触れていただくため、初の2部構成で開催しました。

第1部は、『気候変動下で頻発する水害への対応を考える』をテーマとし、本学環境生命科学研究科の吉田 圭介准教授が登壇。水害の種類とメカニズムについて、河川堤防決壊の例などをもとに解説し、近年水害が頻発しているのは、地球温暖化など気候変動が影響している可能性があると話しました。また、平成30年西日本豪雨で被害が拡大した原因として、市民の避難行動の遅れを指摘。「洪水・土砂災害から命を守るためには、災害を我がことと捉え、早めの避難行動を心がけることや、普段からハザードマップなどを確認し、地理的なリスクを理解しておくことなどが必要」と呼びかけました。

第2部は、『世界を変える「バイオバンク」-「岡大バイオバンク」と医学・創薬研究を支える基盤の明日-』と題して、本学ヘルスシステム統合科学研究科の森田瑞樹教授が講演。創薬などの研究開発では、動物を対象にした基礎研究とヒトを対象にした臨床研究とのギャップや、動物実験の世界的な禁止傾向などの課題に直面していることを説明。そうした状況の中で、血液、尿などいわゆる「ヒトの生体試料」を治療や検査の記録などとあわせて集め、保管・管理し、研究に活用する「バイオバンク」が注目されており、本学でも2015年から岡山大学病院の施設の一つとして「岡山大学病院バイオバンク(通称:岡大バイオバンク)」を運営していることを紹介しました。民間企業も利用しやすいようにしている点や、自らを「生体試料利用に関する支援を行う部門」と定義し、生体試料の保管にとどまらず解析の支援なども行っている点に特徴があり、既に多くの成果を挙げていることなどを話しました。

講演には一般の方や本学学生、高校生など約140人が参加し、興味深げに耳を傾けていました。


○会場に「学都基金」の募金箱を設置し、ご寄付を募りましたところ、多数の方からご寄付をいただき、募金総額は20,507円となりました。ご協力いただきまして、誠にありがとうございました。心より厚く御礼申し上げます。
 皆様からお寄せいただきましたご厚意は、SDGs推進に資する教育プログラム、研究プロジェクト、社会貢献活動への支援等に使わせていただきます。

○次回のサイエンスカフェもSDGsに関連した内容とし、第1部「これからの移動手段を考える ―エンジン熱効率向上の取組を加えて―」、第2部「未来の酵母は何をもたらすのか?」をテーマとして、2020年1月30日(木)18時から開催します。
 
参加を希望される方はこちらからお申し込みください。


【参考】
●岡山大学×SDGs

●気候変動下で頻発する水害から命を守る防災研究(岡山大学×SDGs取組事例HP)

●岡山県ハザードマップ(岡山県HP)

●医学・創薬研究を支える持続的な基盤としてのバイオバンクの確立(岡山大学×SDGs取組事例HP)

●岡山大学バイオバンク

●岡山大学 学都基金


【本件問い合わせ先】
研究推進機構 
TEL:086-251-7112


2019年12月18日水曜日

【情報発信】植物研の馬教授、山地准教授が2019年版の「世界で最も影響力のある科学者」に選出!

Clarivate Analytics社(旧トムソン・ロイターIP&Science)が発表した高被引用論文著者リスト(Highly Cited Researchers)2019年版において、本学資源植物科学研究所植物ストレス学グループの馬建鋒教授と山地直樹准教授が選出されました。馬建鋒教授は2015年版から5年連続、山地直樹准教授は4回目の受賞となります。

馬教授、山地准教授は、植物の生育に不可欠な各種ミネラルの輸送メカニズムを数多く解明し、「植物・動物学/ Plant & Animal Science」分野において世界で最も影響力のある科学者として、国際的に高く評価されました。

毎年世界で注目されている本リストでは、自然科学および社会科学の21研究分野と、複数分野を合算した業績を評価するクロスフィールドカテゴリーにおいて、2007年1月から2017年12月の11年間に世界中で発表された全論文のうち、引用された回数が非常に高い(上位1%に入る)論文を複数発表した約6,000人の各国の著名な研究者が選出されています。引用数が顕著に高い論文は、科学コミュニティが意義深く有益であると判断した一つの目安となるため、これらの研究者は後続の研究に大きな影響を与えているといえます。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化などのために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。
その一つとして資源植物科学研究所(IPSR)は、Top10%補正論文割合(Q値)の最も高い組織として評価されており、馬教授、山地准教授は本学研究力強化促進の大きな原動力となる研究者です。

◯2019年版Highly Cited Researchers受賞者一覧はこちら

【本件問い合わせ先】
資源植物科学研究所 教授 馬 建鋒
TEL: 086-434-1209


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8937.html

2019年12月11日水曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.73「Primary intraocular lymphoma does not always spread to the central nervous system」 発行

岡山大学は12月4日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.73を発行しました。

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院ヘルスシステム統合科学研究科の松尾俊彦教授大学院医歯薬学総合研究科(医学系)腫瘍病理学分野の田中健大助教目のまれな病気「眼内悪性リンパ腫」の長期予後の研究成果について紹介しています。


眼内悪性リンパ腫は、硝子体混濁として発症するため、眼の炎症であるぶどう膜炎との区別(鑑別)が難しいのが現状です。原因が不明で炎症に対する消炎薬の点眼や内服が効かない硝子体混濁を診たときには、ぶどう膜炎と鑑別するため、硝子体手術を行い、切除した硝子体混濁を集めて病理検査に出します。病理医が免疫染色によって細胞を染め分け、どのような細胞がいるのかを調べて診断します。病理診断で悪性リンパ腫と決まった場合、リンパ腫が眼の中だけなのか、それとも中枢神経系(脳)にもリンパ腫がないかどうかの画像検査を実施します。眼内リンパ腫の場合、脳リンパ腫をいつ頃引き起こすのか、脳リンパ腫を引き起こさない場合はあるのか、どういう治療を行えば脳リンパ腫を引き起こさずに済むのかは分かっていません。

今回、松尾教授と田中助教は、2005~2019年に岡山大学病院を受診し、「眼内悪性リンパ腫」と診断された22人の長期経過を調査しました。その結果、多く方は中枢神経系(脳)リンパ腫を引き起こしますが、中には眼内リンパ腫のみに留まり、経過がよい方もいることがわかりました。眼内悪性リンパ腫はまれな疾患ですが、本研究成果のように比較的多くの患者さんの治療経過を振り返ることによって、今後、標準的な治療の確立や新規治療の創出に向かって基盤となる情報を提供できるようになります。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も強みある医療系や異分野融合から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.73:Primary intraocular lymphoma does not always spread to the central nervous system


<Back Issues:Vol.65~Vol.72>
Vol.65:
Game changer: How do bacteria play Tag? (大学院環境生命科学研究科(農学系)田村隆教授)
Vol.66:
Is too much protein a bad thing? (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.67:
Technology to rapidly detect cancer markers for cancer diagnosis (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.68:
Improving the diagnosis of pancreatic cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)岡田裕之教授、松本和幸助教)
Vol.69:
Early Gastric Cancer Endoscopic Diagnosis System Using Artificial Intelligence (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)河原祥朗教授)
Vol.70:
Prosthetics for Retinal Stimulation (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授&大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.71:
The nervous system can contribute to breast cancer progression (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)神谷厚範教授)
Vol.72:
Synthetic compound provides fast screening for potential drugs (大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)加来田博貴准教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp


2019年12月5日木曜日

【情報発信】おかやまIoT・AI・セキュリティ講座にて公開講座を開始 ―受講登録始まります―

岡山大学大学院自然科学研究科に設置した寄付講座『おかやま IoT・AI・セキュリティ講座』では、12月2日より公開講座を実施します。

岡山大学は、平成31年3月に岡山県と「大学と連携した地域産業振興」に係る協力に関する協定を締結しました。本協定は、岡山大学と岡山県が、県内企業の技術開発及び大学の教育・研究を促進するとともに地域活性化につなげることを目的とし、相互に協力していくために締結しています。

本寄付講座はその事業の一環として、岡山県からの寄付金にて10月1日に設置されました。「Society5.0」に向けた岡山県内の中小企業の技術開発力、企画提案力の向上のため、IoT・AI・セキュリティを中心とした教育を行うことを目的としています。

12月から始まる公開講座では、IoT情報理論、画像処理とAI、セキュリティガイドライン、などIoT・AI・セキュリティに関する専門的なVoD(ビデオ・オン・デマンド動画配信サービス)教材によるWEB講義と、実際にデバイスやプログラミングを用いたPBL演習(課題解決型演習)を中心とした21の受講科目を用意しています。

定員は20名で、岡山県内に本社がある企業にお勤めの方、または、岡山県内に製造事業所をお持ちの企業にお勤めの方が対象です。お申し込み後、担当教員によるヒアリングにて受講科目を決定します。
◯お申し込みはこちらからお願いします。

 【本件問い合わせ先】
 寄付講座「おかやまIoT・AI・セキュリティ講座」について:
  大学院自然科学研究科 教授・野上 保之 
  TEL: 086-251-8127
  E-mail: oias◎okayama-u.ac.jp
※@を◎に置き換えています。
 申込みについて:
  自然系研究科等総務課 TEL: 086-251-8811


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8909.html

2019年12月4日水曜日

【情報発信】カナダ・ヨーク大のチャールズ・ホプキンス教授に名誉博士号を授与

岡山大学は11月22日、カナダ・ヨーク大学のチャールズ・ホプキンス教授に岡山大学名誉博士の称号を授与しました。

同日、ESD教師教育世界大会の開会式中に行った授与式では、国内外の研究者や教育者ら約160人が見守る中、槇野博史学長が名誉博士記をチャールズ・ホプキンス教授に手渡しました。

名誉博士の称号は学術文化の発展への貢献が特に顕著であり、本学において顕彰することが適当と認めた方、または、本学における教育研究の発展への貢献が顕著な方を顕彰するものです。チャールズ・ホプキンス教授は持続可能な開発のための教育(ESD)の世界的権威であり、岡山大学のSDGs 推進にも多大な協力をされています。今回、学術文化の発展への貢献が特に顕著であることから名誉博士の称号を授与することとなりました。

岡山大学が名誉博士の称号を授与するのは6人目になります。そのうち、学術文化の発展への貢献が特に顕著であることで授与するのは、平成23 年3月のノーベル化学賞受賞者根岸英一・パデュー大学特別教授以降、2人目です。

【本件問い合わせ先】
国際部国際企画課
TEL:086-251-7036



2019年12月1日日曜日

【情報発信】保険診療による「がん遺伝子パネル検査」の受付を11月20日から開始

保険診療による「がん遺伝子パネル検査」の受付を11月20日から開始

2019年11月22日


がん患者の遺伝子変異を調べる検査として「がん遺伝子パネル検査」が6月に保険適用され、岡山大学病院においても11月20日から受付を開始しました。

保険診療で使用される遺伝子パネルとしては、「Foundation One CDx」「NCCオンコパネル」があり、それぞれ評価する遺伝子の数や種類、調べる検体(がん組織と血液)が異なり、腫瘍の種類などにより使い分けることになります。

今回の保険診療は、固形がんのうち標準治療で効果が認められない例や希少がんなどの方が対象となります。

岡山大学は国内でもいち早くがん遺伝子パネル検査を行って参りましたが、検査の一部が保険適用となったことで、患者さんの負担軽減につながり、遺伝子変異情報に基づいた個別化医療である「がんゲノム医療」の普及が期待されます。

岡山大学病院 がんゲノム外来HP



<詳しい研究内容について>
保険診療による「がん遺伝子パネル検査」の受付を11月20日から開始


<お問い合わせ>
岡山大学病院
ゲノム医療総合推進センター
准教授  遠西 大輔
(電話番号)086-235-7414


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id683.html

2019年11月28日木曜日

【情報発信】炎症性腸疾患の新たな炎症抑制の機序を発見

炎症性腸疾患の新たな炎症抑制の機序を発見

2019年11月22日

◆発表のポイント
  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)は再燃、再発を繰り返す消化管の慢性疾患で、患者数は増加しており、より有効で安全性の高い治療が望まれています。
  • 保険診療で整腸剤として使用されている生薬ベルベリンが、大腸炎動物モデルの腸管粘膜内のリンパ球のエネルギー代謝関連酵素AMPK(注1)を活性化し、炎症を抑制する事を発見しました。
  • 本研究を発展させることにより、炎症性腸疾患の新たな安全性の高い治療薬開発につながる可能性があります。
 
岡山大学病院光学医療診療部の高原政宏医員、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)消化器・肝臓内科学の高木章乃夫准教授、岡山大学病院炎症性腸疾患センターの平岡佐規子准教授らの研究グループは、免疫学講座・農学部との共同研究で、整腸剤として使用されている生薬ベルベリンが、腸管粘膜のCD4+T細胞(注2)内のエネルギー代謝関連酵素AMPK活性化を誘導し、慢性腸炎マウスモデルの腸炎を抑制することを発見しました

ベルベリンが細胞内のAMPKを活性化させることは知られていましたが、腸管の炎症を抑制するという作用は、初めて明らかにされたものです。AMPKの活性化が、難治性疾患である炎症性腸疾患の新たな治療アプローチとなる事が期待されます。

これらの研究成果は8月15日、英国科学誌「Scientific Reports」のResearch Articleとして掲載されました。
 

◆研究者からのひとこと
この研究をさらに発展させて、治療薬の開発につなげていければと考えています。Keyとなる重要なデータの測定にご協力いただいた免疫学の鵜殿平一郎教授、腸内細菌叢を測定していただいた農学部の森田英利教授に感謝いたします。
高原医員


■論文情報
論 文 名:Berberine improved experimental chronic colitis by regulating interferon-γ- and IL-17A-producing lamina propria CD4+ T cells through AMPK activation.掲 載 紙:Scientific Reports 著  者:Masahiro Takahara, Akinobu Takaki, Sakiko Hiraoka, Takuya Adachi, Yasuyuki Shimomura, Hiroshi Matsushita, Tien Thi Thuy Nguyen, Kazuko Koike1, Airi Ikeda, Shiho Takashima, Yasushi Yamasaki, Toshihiro Inokuchi, Hideaki Kinugasa, Yusaku Sugihara, Keita Harada, Shingo Eikawa, Hidetoshi Morita, Heiichiro Udono, Hiroyuki OkadaD O I:10.1038/s41598-019-48331-w.U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31417110

<詳しい研究内容について>
炎症性腸疾患の新たな炎症抑制の機序を発見


<お問い合わせ>
岡山大学病院光学医療診療部
医員   高原 政宏


 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
消化器・肝臓内科学
准教授  高木 章乃夫
(電話番号)086-235-7219 

(FAX)086-225-5991

 

【情報発信】AI(人工知能)による糖尿病性腎症の自動判断ツールを開発

AI(人工知能)による糖尿病性腎症の自動判断ツールを開発

2019年11月22日

◆発表のポイント
  • 生活習慣病の糖尿病からの腎臓病は透析導入の原因1位であり、その診断治療は重要です。
  • これまで困難とされていた、腎臓の蛍光顕微鏡(注1)画像から糖尿病性腎症の診断を行うことがAI(人工知能)により可能かどうか検証を行い、トレーニング画像から作成したプログラムで、テスト画像で100%の確率で診断できるAIを開発しました。
  • 人間の目では気付きにくい糖尿病性腎症の診断の補助が、AIによってできる可能性が示唆されました。


岡山大学病院腎臓・糖尿病・内分泌内科の喜多村真治講師らの研究グループは、本来、蛍光画像からは診断が困難な糖尿病性腎症を、AI(人工知能)により診断が可能であるかテスト画像を用いて検討し、100%の正解率で診断可能なAIによる診断ツールを開発しました。

生活習慣病である糖尿病からの腎臓病は透析導入の原因1位であり、その診断治療は重要です。糖尿病性腎症は臨床経過や合併症、3種類の腎病理画像(蛍光顕微鏡画像=以下・蛍光画像、光学顕微鏡画像=以下、光顕画像、電子顕微鏡画像=以下、電顕画像)から診断されますが、蛍光画像からの診断はほぼ困難であり、通常、医師は光顕画像、電顕画像から診断を行います。

今回本研究グループは、本来診断困難な蛍光画像から糖尿病性腎症をAI(人工知能)により診断し得るか検証を行い、トレーニング画像から作成したプログラムで、テスト画像で100%の確率で診断できるAIを開発しました。AI診断に対して、腎臓専門医が行ったテスト画像による診断では正解率は67.5%であり、人間の目では気付きにくい糖尿病性腎症の診断の補助が、AIによってできる可能性が示唆されました。

本研究成果は、11月30日から岡山コンベンションセンターで開かれる「第31回日本糖尿病性腎症研究会」で発表予定です。


◆研究者からのひとこと
 糖尿病性腎症をAIにより診断ができることは、糖尿病性腎症の精確な診断への第一歩です。AIは人間が判断困難な事柄も判断できることが確認できましたが、開発はまだまだ発展途上であり、さらなる改善に努めていきます。
喜多村講師


<詳しい研究内容について>
AI(人工知能)による糖尿病性腎症の自動判断ツールを開発


<お問い合わせ>
岡山大学病院 腎臓・糖尿病・内分泌内科
講師 喜多村真治
(電話番号)086-235-7235
(FAX)  086-222-5214


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id684.html

 

2019年11月26日火曜日

【情報発信】ヒトiPS細胞から心筋梗塞のモデルを開発 ヒトへの有効性の高い予防・治療薬の開発へ

ヒトiPS細胞から心筋梗塞のモデルを開発 ヒトへの有効性の高い予防・治療薬の開発へ

2019年10月31日
◆発表のポイント
  • これまで心筋梗塞の研究にはマウスなどの実験動物が用いられてきましたが、心拍数などの特徴がヒトと異なることや、動物を犠牲にすることなどが問題となっていました。
  • ヒトiPS細胞から分化させた心筋細胞を用い、虚血性心疾患のモデルを開発しました。
  • 動物を犠牲にすることがないうえ、薬効の異なる個人由来の細胞から心筋梗塞の状態を再現できるため、優れた心筋梗塞の予防・治療薬の開発につながることが期待されます。
 
 
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科システム生理学研究室の高橋賢助教らの研究チームは、ヒトiPS細胞から分化した心筋細胞を用いて心筋梗塞の病態モデルを開発しました。本研究成果は10月14日、米国の学術誌「Biochemical and Biophysical Research Communications」の電子版で公開されました。
 
これまで心筋梗塞の研究にはマウスなどの実験動物が用いられてきましたが、心拍数などの特徴がヒトとは異なることが問題となっていました。今回開発された方法は動物を犠牲にすることなく、かつ薬効の異なる個人由来の細胞から心筋梗塞の状態を再現できるため、優れた心筋梗塞の予防・治療薬の開発につながることが期待されます。
 
 
 
◆研究者からのひとこと
ヒトのiPS細胞を用いて、動物を犠牲にすることなく虚血性心疾患の状態を再現できるのは大きなメリットです。虚血性疾患の予防・治療薬の探索に貢献したいです。
魏大学院生
この研究は魏君の発想から生まれました。ビジョンを持って科学・医学の研究を進めていく学生さんたちに、今後も期待しています。共同研究のパートナーも募集中です。
高橋助教


■論文情報
論文名:Development of a model of ischemic heart disease using cardiomyocytes differentiated from human induced pluripotent stem cells掲載紙:Biochemical and Biophysical Research Communications著 者:Heng Wei, Cheng Wang, Rui Guo, Ken Takahashi, Keiji NaruseD O I:10.1016/j.bbrc.2019.09.119
U R L//www.okayama-u.ac.jp/user/med/phy2/album/album19/191014j.html

<詳しい研究内容について>
ヒトiPS細胞から心筋梗塞のモデルを開発 ヒトへの有効性の高い予防・治療薬の開発へ


<お問い合わせ>
大学院医歯薬学総合研究科 システム生理学
助教 高橋 賢
(電話番号)086-235-7119
(FAX)086-235-7430


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id676.html

2019年11月25日月曜日

【情報発信】「第9回 国際DAMPsとAlarminsシンポジウム」を開催

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科・薬理学の西堀正洋教授は11月6~8日、「第9回 国際DAMPsとAlarminsシンポジウム」を岡山大学鹿田キャンパスJunko Fukutake Hallにて開催しました


HMGB1(high-mobility group box-1、損傷や感染、炎症性刺激を受けて産生されるサイトカイン(細胞間相互作用に関与するタンパク質)の一種)をはじめとするDAMPs(生体警告分子群)研究において世界を牽引する先端研究者から若手研究者まで、総勢157人(うち外国人参加者61人)が参加。大阪大学免疫学フロンティア研究センターのセンター長・審良静男教授による特別講演「エンドリボヌクレアーゼRegnase-1による免疫応答制御」のほか、招待演者・一般演者による口頭発表35題、ポスター発表50題があり、活発な議論と情報交換が行われました。難治臨床疾患であるアルツハイマー病、神経因性疼痛、脊髄損傷、てんかん、敗血症の病態におけるDAMPsの意義と新しい治療法の方向性が具体的に検討されました。


ホテルグランヴィア岡山および岡山城天守・前庭で開催された各交流会では、ウェルカムパーティーなどが開かれ、地元の備中神楽や地酒酒造のご協力を得て楽しい交流のひとときを過ごすことができました。


本学をはじめ多くの企業・団体・個人からの開催費支援と企画・運営協力により実現した本シンポジウムの開催は、若手研究者を中心とした国内外におけるネットワークの形成と、抗HMGB1抗体治療法開発および当該領域研究のさらなる発展を推進するものと期待されます。


 【本件問い合わせ先】
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 薬理学
TEL:086-235-7140

 

2019年11月24日日曜日

【情報発信】双子葉植物がリンを若い葉や種子に優先的に分配する仕組みを解明

双子葉植物がリンを若い葉や種子に優先的に分配する仕組みを解明

2019年11月22日
◆発表のポイント
  • 植物は土壌から吸収したミネラルを各器官の必要に応じて分配しますが、その仕組みは双子葉植物と単子葉植物で異なることがわかりました。
  • シロイヌナズナのリン酸輸送体AtSPDTは主に維管束形成層に発現し、維管束に沿ってリンを導管から篩管へと徐々に移し替えることで発達中の器官へとリンを優先的に分配します。
  • 双子葉植物のミネラル分配機構の理解を深めることで、ミネラルの過不足が生じる不良土壌での植物の生育の改善や、作物の可食部の栄養価の向上などに応用できます。
 
 
岡山大学資源植物科学研究所の馬建鋒教授らの研究グループは、モデル双子葉植物シロイヌナズナのリンの分配を司る遺伝子を世界で初めて突き止め、根から吸収したリンを若い葉や種子に優先的に分配するメカニズムを解明しました。本研究成果は10月10日、植物科学のトップジャーナル「Molecular Plant」にOnlineで公開されました。
 
植物は土壌から吸収したミネラルを各器官の必要に応じて分配し生育します。イネなどの単子葉植物では主に節の発達した維管束構造において維管束間輸送によってこの分配が行われます。節の維管束が発達しない双子葉植物では、本研究で見出したリンの分配を担う輸送体AtSPDTは、節だけでなく茎葉基部や葉柄などの維管束形成層に発現し、根から葉へとリンが運ばれる過程で維管束に沿って徐々に導管から篩管へとリンを乗せ換え、発達中の器官へと行き先を変えていることがわかりました。
 
本研究成果により、双子葉植物と単子葉植物がそれぞれの体制に応じた異なる栄養素の分配メカニズムを備えており、双子葉植物では維管束形成層が栄養素の分配にも機能していることが初めて示されました。
これにより、双子葉植物のミネラル分配機構の理解を深めることができ、ミネラルの過不足が生じる不良土壌での植物の生育の改善や、作物の可食部の栄養価の向上などへの応用が期待されます。
 
 
◆研究者からのひとこと
長い間植物の根によって吸収された栄養素がどのように各器官の必要量に応じて分配されるのかについて不明でした。近年、我々はイネ科植物の場合、節でミネラル栄養分の分配を行っていることを世界で初めて明らかにしてきました。今回はリン酸輸送体AtSPDTの解析を通じて、双子葉植物におけるミネラル栄養分の分配の仕組みがイネ科植物のとは異なることを突き止めました。
馬教授


■論文情報
論 文 名:Vascular cambium-localized AtSPDT mediates Xylem-Phloem transfer of phosphorus for its preferential distribution in Arabidopsis.掲 載 紙:Molecular Plant著  者:Guangda Ding, Gui Jie Lei, Naoki Yamaji, Kengo Yokosho, Namiki Mitani-Ueno, Sheng Huang and Jian Feng MaD O I:doi.org/10.1016/j.molp.2019.10.002U R L:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1674205219303260?via=ihub

<詳しい研究内容について>
双子葉植物がリンを若い葉や種子に優先的に分配する仕組みを解明


<お問い合わせ>
岡山大学資源植物科学研究所
教授  馬 建鋒
(電話・FAX)086-434-1209


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id681.html

【情報発信】潜因性脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔開存閉鎖術:国内のトップを切って岡山大学病院で治療開始

潜因性脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔開存閉鎖術:国内のトップを切って岡山大学病院で治療開始

2019年11月22日

◆発表のポイント
  • 国内で年間20万人近くの人が脳梗塞を発症するといわれています。一度脳梗塞を発症すると重度の障害を残し、寝たきり状態になり、場合によっては死に至ることもあります。
  • 脳梗塞の原因の5~10%は卵円孔(心臓の左右の心房間の隙間)開存を介して静脈の中にできた血液の塊(血栓)が脳の血管に詰まって起こります。特に60歳未満で発症する脳梗塞ではその割合が高いといわれています。
  • 卵円孔開存が原因と思われる患者さんの、脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔開存閉鎖術が2019年12月保険診療となり、岡山大学病院は全国のトップを切って12月2日からこの治療を導入します。


国内で年間約20万人の人が発症するといわれている脳梗塞には、いろいろな検査を行っても原因の分からないケース(潜因性脳梗塞)があります。潜因性脳梗塞は脳梗塞全体の5~10%を占め、卵円孔開存が重要な要因といわれています。潜因性脳梗塞は若い年齢(60歳未満)の方に多いことも知られており、社会的に大きな問題となっています。

従来、脳梗塞の再発予防には血栓の発生を予防する薬(抗血小板薬や抗凝固薬)が用いられてきました。しかし長期間にわたり服用する必要があり、薬が効きすぎることで出血性の合併症をきたすこともあります。カテーテルを用いて卵円孔を閉鎖する治療を導入することで、脳梗塞の再発率を約60%減らすことができることが報告され、国内での導入が待たれていました。

岡山大学病院では2010年より自由診療として、国内で唯一この治療を行ってきました。また現在、前兆を伴う片頭痛の治療としても、医師主導治験を実施しています。このような治療基盤をもとに、今回の治療導入となりました。


◆研究者からのひとこと
岡山大学では2010年から脳梗塞の再発予防を目的とした卵円孔のカテーテル閉鎖術を先進的に行ってきました。これまでの診療実績を生かし、国内のトップを切って潜因性脳梗塞再発予防に対する経皮的卵円孔開存閉鎖術の保険診療を開始することになりました。60歳未満で脳梗塞や一過性脳虚血発作と診断され、脳梗塞の原因がはっきりしなかった場合には卵円孔開存と関連がないか、一度、岡山大学病院を受診して検査していただければと思います。
赤木准教授

<詳しい研究内容について>
潜因性脳梗塞再発予防を目的とした経皮的卵円孔開存閉鎖術:国内のトップを切って岡山大学病院で治療開始


<お問い合わせ>
岡山大学病院 循環器内科
准教授 赤木禎治 (あかぎ ていじ)
(電話番号)086-235-7351
(FAX) 086-235-7353



【情報発信】火山噴火の際の、粘性の高い黒曜石溶岩の広がり方を明らかに 火山防災を考える上で重要な知見

火山噴火の際の、粘性の高い黒曜石溶岩の広がり方を明らかに 火山防災を考える上で重要な知見

2019年11月22日
 
◆発表のポイント
  • 黒曜石(流紋岩)の原料となる溶岩は粘性が高く、火山の噴火によって黒曜石溶岩が流出した際には他の溶岩と違い独特の挙動を示すため、防災にあたっては独自のリスク評価が必要とされていますが、流動する様子が直接観察された事例が非常に少なく、研究が不十分でした。
  • 約7万年前に噴出した際に固結した黒曜石溶岩を用いて流動当時の様子を探ることに成功し、間欠的な流動が長期間続く可能性を見出しました。
  • 火山防災を考える上で非常に貴重な知見となります。
 
 
黒曜石(流紋岩)は一般に厚い溶岩を形成するため、火山の噴火によってその溶岩が流出した際には大きな災害につながるリスクを考慮しなければなりません。しかし、この溶岩が噴火時にどのように流動するかについては十分理解されていません。その最大の原因は、黒曜石溶岩が流動する様子が直接観察された事例が非常に少ないことです。黒曜石溶岩の科学的な観測事例は南米チリからの2例しかなく、2008年のチャイテン火山と2011年のコルドンカウジェ火山の噴火のみです。
 
岡山大学大学院教育学研究科の宇野康司教授(地球科学領域)、愛知大学経営学部の古川邦之准教授、日本大学文理学部の金丸龍夫准教授らの研究グループは、地質学と物理学に基礎を置いた古地磁気学とよばれる手法からのアプローチで、過去に噴出して固結した黒曜石溶岩を用いた研究を行い、その流動当時の様子を探ることに成功しました。
 
本研究の対象となった、伊豆諸島神津島で約7万年前に噴出した黒曜石溶岩はその流動時に、溶岩先端の冷え固まった部分を、内部の溶融した溶岩が突き破るようにして拡大を続けたことを明らかにしました。これは火山防災を考える上でも非常に重要な発見であると言えます。
 
本研究成果は9月30日、 英国の科学雑誌「Geophysical Journal International」の電子版に掲載されました。


◆研究者からのひとこと
黒曜石溶岩は、流紋岩とよばれる岩石の一種で、マグマからできる岩石です。粘性の高いマグマ(ねばねばマグマ)が作る岩石の代表のような流紋岩ですが、黒曜石溶岩が噴出するとその粘性の高さにもかかわらず広範囲に流れ出ることがわかってきました。その不思議な流動のしくみを探りたいと思っています。
宇野教授


■論文情報
論 文 名: Deformation of rhyolite lava crust associated with intermittent inner flow of lava: palaeomagnetic evidence 「流紋岩溶岩の断続的な内部流動に伴う溶岩外皮の変形:古地磁気学的証拠」掲 載 紙: Geophysical Journal International著   者: Koji Uno, Kuniyuki Furukawa, Kotaro Nakai, Takuma Kamio, and Tatsuo KanamaruD O I: 10.1093/gji/ggz432
U R L: https://academic.oup.com/gji/article/220/1/190/5579022


<詳しい研究内容について>
火山噴火の際の、粘性の高い黒曜石溶岩の広がり方を明らかに 火山防災を考える上で重要な知見

<お問い合わせ>
岡山大学大学院教育学研究科
教授 宇野康司
(電話番号)086-251-7641



2019年11月16日土曜日

【情報発信】モノ・サービス・テクノロジーが一堂に会する、国内最大級のITおよびエレクトロニクスの専門展示会「CEATEC 2019」に出展

岡山大学は10月15~18日、幕張メッセで開催された、国内最大級のITおよびエレクトロニクスの専門展示会「CEATEC 2019」に出展しました。

今回で20周年を迎えた本展示会は、IoTを使った超スマート社会「Society5.0」の実現を開催趣旨としており、大学院自然科学研究科の野上保之教授、同研究科の五百旗頭健吾助教が、暗号技術の実装、ハードウェアセキュリティ技術に関する研究及び、IoT、AI、情報セキュリティ人材を育成する岡山県からの寄付講座について、ブース展示を行いました。

多数の来訪者があり、活発な意見交換を行いました。

【本件問い合わせ先】
研究推進機構
TEL:086-251-8463


2019年11月8日金曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.72「Synthetic compound provides fast screening for potential drugs」 発行

岡山大学は11月4日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究開発の成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.72を発行しました。

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)合成医薬品開発学分野の加来田博貴准教授らの、レチノイドX受容体に対する結合性分子の簡便な判定法の開発についての研究成果を紹介しています。

加来田准教授らは、静岡県立大学食品栄養科学部の中野祥吾助教[New window]らと日本大学、立教大学、アイバイオズ株式会社の共同研究により、レチノイドX受容体(RXR)に対する結合物質の簡便な探索技術の開発とその作用機序の解明に成功しました。

RXRは、DNAに結合して標的とする遺伝子の発現を制御するスイッチとして機能し、このスイッチ機能はRXRに結合する低分子によって制御されます。また、食品中に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)もRXRに結合し、学習能力の向上につながるとされています。しかしながら、これまでのRXRに対する結合性分子の探索法は、ラジオアイソトープ(放射性同位体)を用いる方法や細胞を用いる方法であり、法規制、特殊装置の必要性、時間を要するなどの課題がありました。

今回、加来田准教授らが創出した技術は、RXRに結合すると蛍光が弱まり、RXRから外れると強い蛍光を発するRXR結合分子CU-6PMN(1)の創出とその利用に関するものです。RXRと本研究で創出したCU-6PMN(1)を混合した溶液に、評価したい溶液を加え、汎用性の高い測定機器(蛍光プレートリーダー)を用いて蛍光を測定することで、その溶液中にRXR結合性分子の有無が数時間内に判定できます。この技術を使えば、創薬や機能性食品開発のみならず、湖沼水、海水中のRXR結合性分子の探索が容易に行えます。また、この技術をもとに、エストロゲン受容体や甲状腺ホルモン受容体を対象とする結合性分子の探索技術への応用も期待されます。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も強みある医療系や異分野融合から生み出される成果を産学官民共創のオープンイノベーションの加速や社会、医療現場が求める革新的技術、健康維持増進により早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.72:
Synthetic compound provides fast screening for potential drugs


<Back Issues:Vol.64~Vol.71>
Vol.64:
Inflammation in the brain enhances the side-effects of hypnotic medication (岡山大学病院薬剤部 北村佳久准教授)
Vol.65:
Game changer: How do bacteria play Tag? (大学院環境生命科学研究科(農学系)田村隆教授)
Vol.66:
Is too much protein a bad thing? (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.67:
Technology to rapidly detect cancer markers for cancer diagnosis (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.68:
Improving the diagnosis of pancreatic cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)岡田裕之教授、松本和幸助教)
Vol.69:
Early Gastric Cancer Endoscopic Diagnosis System Using Artificial Intelligence (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)河原祥朗教授)
Vol.70:
Prosthetics for Retinal Stimulation (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 松尾俊彦准教授&大学院自然科学研究科(工学系)内田哲也准教授)
Vol.71:
The nervous system can contribute to breast cancer progression (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)神谷厚範教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp



2019年11月4日月曜日

【情報発信】四量体を形成する光化学系Ⅰの立体構造を解明~光合成生物の適応進化を解明する手がかりに~

四量体を形成する光化学系Ⅰの立体構造を解明~光合成生物の適応進化を解明する手がかりに~

 
2019年10月30日
 
◆発表のポイント
  • 光合成生物種によってさまざまな形態で存在する光化学系Ⅰの中で、詳細な構造が不明だった四量体で存在する光化学系Ⅰの立体構造を決定しました。
  • 決定した構造と時間分解蛍光分析の結果から、光化学系Ⅰ四量体が他のものと比較して、強すぎる光エネルギーを逃すことに優れていることが明らかになりました。
  • これらの研究結果から、光合成生物が多様な環境に応じて光化学系Ⅰ四量体の形態を変化させる仕組みを獲得してきたことが示唆されました。
 
 
岡山大学異分野基礎科学研究所の加藤公児特任准教授、長尾遼特任助教、蔣天翼大学院生、秋田総理准教授、沈建仁教授、筑波大学生存ダイナミクス研究センターの宮崎直幸助教、神戸大学の秋本誠志准教授、東京大学大学院総合文化研究科の池内昌彦名誉教授らの共同研究グループは、クライオ電子顕微鏡を用いて、シアノバクテリア由来の光化学系Ⅰ四量体の立体構造解析に成功し、四量体構造を形成する仕組み、また四量体特有の集光色素の並び方を明らかにしました。
さらに時間分解蛍光分析から光化学系Ⅰ四量体が強すぎる光に対する優れた防御機構を持っていることが明らかになりました。
 
これらの結果から、光合成生物が多様な光環境に応じて光化学系Ⅰ集合状態を変化させてきた仕組みが明らかになりました。
 
本研究成果は、日本時間10月30日(水)午後7時(英国時間:30日午前10時)、英国の科学雑誌「Nature Communications」に掲載されました。
 
この成果は、光合成生物の環境適応の謎をひもとく知見になるだけではなく、太陽光エネルギー有効利用のための技術開発にも重要な知見を与えることが期待されます。


◆研究者からのひとこと
この研究は生化学的なタンパク質試料調製法、構造解析法と分光学的解析法を駆使して、はじめて達成することができました。研究成果を発表するまでには多くの困難が有りましたが、共同研究者の皆様、研究室メンバーの協力により得られた成果です。
加藤特任准教授


■論文情報
論 文 名:“Structure of a cyanobacterial photosystem I tetramer revealed by cryo-electron microscopy”
「クライオ電子顕微鏡によって明らかにされたシアノバクテリア由来光化学系Ⅰ四量体の構造」
掲 載 紙:Nature communications著 者:Koji Kato, Ryo Nagao, Tian-Yi Jiang, Yoshifumi Ueno, Makio Yokono, Siu Kit Chan, Mai Watanabe, Masahiko Ikeuchi, Jian-Ren Shen, Seiji Akimoto, Naoyuki Miyazaki and Fusamichi AkitaD O I:10.1038/s41467-019-12942-8

<詳しい研究内容について>
四量体を形成する光化学系Ⅰの立体構造を解明~光合成生物の適応進化を解明する手がかりに~


<お問い合わせ>
岡山大学 異分野基礎科学研究所
特任准教授 加藤 公児 (かとう こうじ)
(電話番号)086-251-8630
(FAX) 086-251-8502

岡山大学 異分野基礎科学研究所
准教授 秋田 総理(あきた ふさみち)
(電話番号)086-251-8630
(FAX) 086-251-8502


筑波大学 生存ダイナミクス研究センター
助教 宮崎直幸(みやざき なおゆき)
(電話番号・FAX)0298-53-6389


神戸大学 大学院理学研究科 
准教授 秋本 誠志 (あきもと せいじ)
(電話番号・FAX)078-803-5705


 

2019年11月1日金曜日

【情報発信】目のまれな病気「眼内悪性リンパ腫」と「特発性外眼筋炎」の長期予後を明らかに

目のまれな病気「眼内悪性リンパ腫」と「特発性外眼筋炎」の長期予後を明らかに

 
2019年10月31日

◆発表のポイント
  • 岡山大学病院眼科ではぶどう膜炎(眼炎症)・眼腫瘍の専門外来を設けて、眼科の中でもまれな疾患である炎症や腫瘍の治療を行っています。
  • 眼球内の硝子体混濁として発症する眼内悪性リンパ腫では中枢神経系(脳)リンパ腫を起こすことが多いのですが、中には眼の中だけに留まるリンパ腫があることが明らかになりました。
  • 眼球を動かす筋肉(外眼筋)が炎症で腫れる原因不明の特発性外眼筋炎は、長期的には治り、経過がよい独立した疾患であることも明らかにしました。
 
 
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科(医)生体機能再生再建医学分野の松尾俊彦教授は、岡山大学病院眼科でぶどう膜炎(眼の炎症疾患)や眼腫瘍の専門外来を行っています。その中で、2005~2019年に受診し、「眼内悪性リンパ腫」と診断された22人の長期経過を調査しました。多く方は中枢神経系(脳)リンパ腫を引き起こしますが、中には眼内リンパ腫のみに留まり、経過がよい方もいることがわかりました。
本研究成果は10月12日、日本リンパ網内系学会の機関誌「Journal of Clinical and Experimental Hematopathology」に掲載されました。
 
さらに、1996~2018年に受診し、眼球を動かす筋肉(外眼筋)の原因不明の炎症である「特発性外眼筋炎」と診断された7人の長期経過も調査。長期的にみれば治り、経過も良好な独立した疾患であることがわかりました。
本研究成果は8月12日、英国医学雑誌「Japanese Clinical Medicine」に掲載されました。
 
目の炎症や腫瘍はまれな疾患で患者数も少ない「希少疾患」であり、今回の長期経過に関する知見は、今後の治療方針の決定などに役立つと考えらえます。
 
 
◆研究者からのひとこと
岡山大学病院眼科ではぶどう膜炎(眼炎症)・眼腫瘍や小児眼科の専門外来を長年担当しています。ぶどう膜炎や眼腫瘍は頻度が低いまれな疾患「希少疾患」なので、どのような疾患なのか、どのような経過をたどるのか、どのような治療がよいのかという疾患単位や標準治療が確立していないのが現状です。大学病院の専門外来という立場を活かして多くの患者様を診療する機会に恵まれたことでさまざまなことが分かってきました。今後の患者様方の治療に活かしていきたいと思います。
松尾教授

 
■論文情報
<眼内悪性リンパ腫に関して>

論文名: Are there primary intraocular lymphomas that do not develop into central nervous system lymphomas?掲載誌: Journal of Clinical and Experimental Hematopathology
著 者: Toshihiko Matsuo, Takehiro Tanaka
D O I: 10.3960/jslrt.19019

U R L: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslrt/advpub/0/advpub_19019/_article/-char/en

<特発性外眼筋炎に関して>
論文名: Long-term outcome in 7 patients with idiopathic orbital myositis.掲載誌: Japanese Clinical Medicine著 者: Toshihiko Matsuo
D O I: 10.1177/1179670719866525

U R L: https://journals.sagepub.com/doi/full/10.1177/1179670719866525


<詳しい研究内容について>
目のまれな病気「眼内悪性リンパ腫」と「特発性外眼筋炎」の長期予後を明らかに


<お問い合わせ>
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科(岡山大学病院眼科)
教授 松尾俊彦
(電話番号)086-251-8106

 

【情報発信】世界初の認知症予防を実現~「認知症は酸化ストレス病」を臨床試験で実証~

世界初の認知症予防を実現~「認知症は酸化ストレス病」を臨床試験で実証~

 
2019年10月31日


◆発表のポイント
  • 認知症の原因として酸化ストレスが重要なファクターであることを、臨床試験により世界で初めて実証しました。
  • 抗酸化配合剤Twendee X(TwX)が、認知症予防効果があると世界で初めて公的学会から認定を受けました。
  • TwXは医薬品に要求される安全性試験を行っているサプリメントであり、副作用なく認知症の診断前からの投与が可能です。
  • 今後の新たな認知症治療薬の開発につながることが期待されます。
 
 
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経内科学の阿部康二教授のグループは、岐阜大学研究推進・社会連携機構科学研究基盤センター共同研究講座・抗酸化研究部門の犬房春彦特任教授らとの共同研究により、認知症の原因として酸化ストレスが重要なファクターであることを、臨床試験により世界で初めて実証しました。
 
同研究チームは、ヒトによる認知症の前段階であるmild cognitive impairment(MCI)の前向き、多施設、ランダム化二重盲検、プラセボ・コントロール介入試験を実施。その結果知的評価スケールであるMMSEと長谷川式認知症スコアの2評価法において、犬房特任教授らが開発・研究する抗酸化配合剤TwXが有意差をもってMCIの進行を防止することを明らかにしました。本研究結果は8月24日、米国の医学雑誌「Journal of Alzheimer’s Disease」誌に掲載されました。
 
また、これによりTwXは、認知症予防学会エビデンス創出委員会の6段階ある認定グレードでA判定「認知症を予防する効果がある(★★★)」を受けました(学会認定は9月3日に公開)。

 
■論文情報
論文名:Clinical Benefits of Antioxidative Supplement Twendee X for Mild Cognitive Impairment: A Multicenter, Randomized, Double-Blind, and Placebo-Controlled Prospective Interventional Study.
掲載紙:Journal of Alzheimer’s Disease
著 者:Tadokoro K, Morihara R, Ohta Y, Hishikawa N, Kawano S, Sasaki R, Matsumoto N, Nomura E, Nakano Y, Takahashi Y, Takemoto M, Yamashita T, Ueno S, Wakutani Y, Takao Y, Morimoto N, Kutoku Y, Sunada Y, Taomoto K, Manabe Y, Deguchi K, Higashi Y, Inufusa H, You F, Yoshikawa T, von Greiffenclau MM, Abe K.
D O I:10.3233/JAD-190644
U R L:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31476161

 

図5:ヒトMCIへの効果

 
<詳しい研究内容について>
世界初の認知症予防を実現~「認知症は酸化ストレス病」を臨床試験で実証~


<お問い合わせ>
(臨床試験研究に関すること)
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
脳神経内科学教授
 教授 阿部 康二

(TwXに関すること)
岐阜大学研究推進・社会連携機構
科学研究基盤センター 共同研究講座・抗酸化研究部門
 特任教授 犬房 春彦

 

【情報発信】ストレス対処能力のある労働者は歯周炎のリスクが低いことを発見!

ストレス対処能力のある労働者は歯周炎のリスクが低いことを発見!

2019年10月31日
◆発表のポイント
  • 職場でのストレスが無い労働者と比べて、ストレスを感じながらも対処能力1)が低い労働者は、歯周炎であるリスクが2.79倍であることがわかりました。
  • また、ストレスが無い労働者と比べて、ストレスを感じながらも対処能力が高い労働者は、歯周炎であるリスクが0.30倍であることがわかりました。
  • したがって、労働者にとって、ストレスに対処する能力はメンタルヘルスだけでなく、歯周炎にも影響を与える可能性が示されました。
 
 
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)の森田学教授とIslam Md Monirul大学院生らのグループは、職場におけるストレスとストレス対処能力のバランスが、歯周炎の有無に影響していることを発見しました。職場でストレスを感じ、ストレス対処能力が低い日本人労働者は、ストレスがない人と比べて歯周炎のリスクが2.79倍高いことがわかりました。今回の研究成果は9月22日、スイスの科学雑誌「International Journal of Environmental Research and Public Health」に掲載されました。
 
労働者の歯周炎を予防するためには、職場のストレスの軽減だけでなく、上手にストレスに対処する方法を身につけ、ストレス対処能力を高めることが必要かもしれません。今後は、縦断調査を行うことで、ストレスとストレス対処能力のバランスが、歯周炎の発症・進行にどのように影響するか、その因果関係を明らかにしていきます。
 
 
 
◆研究者からのひとこと
近年、職場におけるストレスと、歯周炎との関係が注目されています。歯周病を予防するために、ストレスとストレス対処能力について、さらなる研究を継続していきます。
モニルルさん

■論文情報
論 文 名:Influence of occupational stress and coping style on periodontitis among Japanese workers: a cross-sectional study掲 載 紙:International Journal of Environmental Research and Public Health著 者:Md Monirul Islam, Daisuke Ekuni, Toshiki Yoneda, Aya Yokoi, Manabu MoritaD O I:10.3390/ijerph16193540U R L:https://www.mdpi.com/1660-4601/16/19/3540

<詳しい研究内容について>
ストレス対処能力のある労働者は歯周炎のリスクが低いことを発見!

<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 森田 学
(電話番号)086-235-6712
(FAX)086-235-6714