2018年1月31日水曜日

【情報発信】岡山大学方式の人工網膜OURePTM 黄斑変性サルの視覚誘発電位を改善 ~OURePTMの有効性の証明と医師主導治験への進展の加速~

岡山大学方式の人工網膜OURePTM 黄斑変性サルの視覚誘発電位を改善 ~OURePTMの有効性の証明と医師主導治験への進展の加速~


岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)眼科学分野の松尾俊彦准教授、同大学院自然科学研究科(工)高分子材料学分野の内田哲也准教授、岡山大学病院新医療研究開発センターの神川邦久教授、櫻井淳准教授の医工連携研究グループは、「岡山大学方式の人工網膜OURePTM」が、黄斑変性を有するサルの視覚誘発電位を回復することを証明しました。人工網膜OURePTMを黄斑変性サルに硝子体手術で安全に植込むことが可能で、術後6か月の間、合併症もなく安定していることも示しました。本研究成果はアメリカの人工臓器学会の機関誌『Artificial Organs』に掲載されました。
岡山大学方式の人工網膜OURePTMは、色素結合薄膜型の人工網膜であり、2013年にアメリカで販売開始されたカメラ撮像・電極アレイ方式とはまったく異なる技術の“世界初の新方式”の人工網膜です。現在、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と薬事戦略相談を積み重ね、「医薬品医療機器法(旧薬事法)」に基づく医師主導治験を岡山大学病院で実施する準備を進めています。
治験機器である人工網膜には極めて高い安全性、有効性、品質管理が求められており、良い研究シーズがあるからと言ってすぐに患者に適応することはできず、長い時間を掛けていくつもの試験を適正に実施しなければなりません。
本研究成果によって、人工網膜の有効性と安全性が更に示されたことにより、医師主導治験の実施に向けた確実な階段をまた一歩上がりました。

<論文情報>
発表論文1:サル植込み試験

タイトル:Visual evoked potential recovery by subretinal implantation of photoelectric dye-coupled thin film retinal prosthesis (OURePTM) in monkey eyes with macular degeneration.著   者:Matsuo T, Uchida T, Sakurai J, Yamashita K, Matsuo C, Araki T, Yamashita Y, Kamikawa K.
掲 載 誌:Artificial Organs
掲 載 号:42, 2018.
D O I:10.1111/aor.13120
U R L:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/aor.13120


発表論文2:イヌ植込み試験での安全性を5か月にわたっての評価
タイトル:Subretinal implantation of Okayama University-type retinal prosthesis (OURePTM) in canine eyes by vitrectomy.著  者:Matsuo T, Uchida T, Nitta M, Yamashita K, Takei S, Ido D, Tanaka M, Oguchi M, Furukawa T.
掲 載 誌:Journal of Veterinary Medical Science
掲 載 号:Volume 79 (2017), Issue 12, Pages 1939-1946.
D O I:
https://doi.org/10.1292/jvms.17-0450
U R L:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/79/12/79_17-0450/_article

発表論文3:ウサギ植込み試験での安全性を6か月にわたっての視覚誘発電位評価
タイトル:Visual evoked potential in rabbits’ eyes with subretinal implantation by vitrectomy of Okayama University-type retinal prosthesis (OURePTM).著  者:Matsuo T, Uchida T, Yamashita K, Takei S, Ido D, Tanaka M, Oguchi M, Furukawa T.
掲 載 誌:Journal of Veterinary Medical Science
掲 載 号:80(2), 2018.
D O I:
https://doi.org/10.1292/jvms.17-0422
U R L:https://www.jstage.jst.go.jp/article/jvms/advpub/0/advpub_17-0422/_article

<詳しい研究内容について>
岡山大学方式の人工網膜OURePTM 黄斑変性サルの視覚誘発電位を改善
~ OURePTMの有効性の証明と医師主導治験への進展の加速 ~



<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)眼科学分野
准教授 松尾 俊彦
(電話番号)086-235-7297
(FAX番号)086-222-5059
(URL)
//www.okayama-u.ac.jp/user/opth/index.htm

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id519.html

2018年1月26日金曜日

【情報発信】有馬東京大学総長特任補佐と青木IRデータ担当課長を招きIR/IE講演会を開催

岡山大学は1月22日、東京大学の有馬孝尚総長特任補佐(IR担当)と東京大学総合企画部の青木志帆IRデータ担当課長を招き、IR/IE講演会を開催しました。
有馬総長特任補佐は「東京大学におけるIR活動~現状等将来像~」と題し、経済社会における構造変化やSDGs(Sustainable Development Goals)への取り組みなどを紹介。
さらに、国立大学法人における経営力の強化、好循環の確立による自律的な大学経営、予算配分の透明化と組織体制、教員・研究者の戦略的配置、東京大学IRデータ室の役割と体制について、具体的な数値データを交えながら講演しました。

青木IRデータ担当課長は「大学の特性を踏まえたIRデータ活動とは? - 東京大学が統合報告書を目指す理由 -」と題して講演。教学情報、研究情報の公表のみでなく、ステークホルダーに対してさらなる支援の拡大を訴えるため、非財務情報と財務情報に加え、経営理念・ビジョンを統合させた「統合報告書」を作成する必要性があると強調。統合報告書作成に向けたIRデータ室が果たす役割について、東京大学の実情などを交えながら講演しました。講演後の質疑応答では、データ抽出の要望やKPI設定における全学と部局数値の整合性、卒業生へのデータ収集方法、ビジョンを踏まえたKPI(短期・長期的視点)の設定に関する質問があり、活発な意見交換が行われました。槇野博史学長をはじめ、役員や部局長、教職員ら約80人が聴講しました。
また、IR/IE講演会前には、「財務(決算等)に関する勉強会」と「IRに関する担当レベル意見交換会」も実施しました。
大学経営を取り巻く環境が厳しさを増す中で、大学内の財務や教育研究活動に関する諸情報を、効果的に集約・管理・分析し、大学の意思決定や組織戦略に活用するためのIR(Institutional Research:IR)を構築・整備することが、各大学にとって重要な課題となってきています。今回の講演を踏まえ、本学におけるIR体制の充実・発展に活用していきます。

【本件問い合わせ先】
総務・企画部 大学改革推進室(IR/IE室)
TEL:086-251-8998,7754

 

有馬総長特任補佐による講演


あいさつする槇野学長


青木IRデータ担当課長との意見交換会
 

熱心に聴講する槇野学長ら本学執行部

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7286.html
 

2018年1月23日火曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.47 発行

岡山大学は1月16日、本学の強みである医療系分野の研究成果について、革新的な基礎研究や臨床現場、医療産業等に結びつく成果を英語で情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.47を発行しました。

2012年より本学では、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン
「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者等にニュースやトピックスを交えて配信し、本学の海外への情報発信を強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、強みある医療系分野の更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。
本号では、
大学院医歯薬学総合研究科(医学系)眼科学分野の松尾俊彦准教授らの斜視発症に関連する遺伝子候補を発見について紹介しています。
松尾准教授らの研究グループは、目の病気の一つである「斜視」について、その発症に関連する遺伝子候補として二つの遺伝子(MGST2、WNT2)を世界に先駆けて明らかにしました。斜視は、遺伝要因と環境要因の両方が発症に関わる「多因子疾患」です。
斜視では一方の眼の視線がずれているため、両眼をうまく使うことが難しくなり、モノが立体的に見える機能が落ちたりします。例えば近年、3D映画などが流行しており、両眼視でものを立体的に見えることに対する需要が増えつつあります。また、子どもの頃から近くのものを見るスマートフォンなどが普及して、子どもに両眼視の負荷を与えることもあります。ものを 近くで見るときには、目を寄せて(輻湊して)、ピントを合わせる(調節する)負荷がかかります。もともと両眼視機能が弱い子どもの場合は、このような負荷によって斜視(特に内斜視)になります。斜視関連遺伝子は両眼視関連遺伝子で、この観点から今後注目されてくると思われます。本研究成果は、今後の眼科医療に大きく貢献することが期待されます

本学は、平成25年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、 「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進していきます。また、強みある医療系分野から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術として、より早く届けられるように研究開発を推進していきます。
なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.47:
Candidate genes for eye misalignment identified


<Back Issues:Vol.40~Vol.46>
Vol.40:
Antibodies prolong seizure latency in epileptic mice (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)西堀正洋教授)
Vol.41:
Inorganic biomaterials for soft-tissue adhesion (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)松本卓也教授)
Vol.42:
Potential drug for treating chronic pain with few side effects (自然生命科学研究支援センター 宮地孝明准教授)
Vol.43:
Potential origin of cancer-associated cells revealed (大学院自然科学研究科(工学系) 妹尾昌治教授)
Vol.44:
Protection from plant extracts (中性子医療研究センター 小野俊朗教授)
Vol.45:
Link between biological-clock disturbance and brain dysfunction uncovered (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)宝田剛志准教授)
Vol.46:
New method for suppressing lung cancer oncogene (大学院自然科学研究科(工学系) 世良貴史教授)


<参考>
Okayama University e-Bulletin:
//www.okayama-u.ac.jp/user/kouhou/ebulletin/

【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp


 

本号で紹介した研究成果を担当した本学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)の松尾俊彦准教授
 

国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7278.html
 

2018年1月19日金曜日

【情報発信】軟骨細胞の破裂が骨形成の場を作る! 骨ができる新しいメカニズムを発見

軟骨細胞の破裂が骨形成の場を作る! 骨ができる新しいメカニズムを発見

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)生体材料学分野の原エミリオ助教、松本卓也教授、大阪大学の共同研究グループは、骨が形成される新しいメカニズムをマウスモデルを使って発見しました。
この新しいメカニズムは二次骨化中心と呼ばれる大腿骨などの関節部分における骨化初期において認められます。研究グループはこの部位における軟骨細胞が肥大化した結果、細胞の一部が破裂し骨形成に必要なスペースができること、この破裂の際に残された細胞膜断片が骨石灰化の開始点になることを見出しました。
さらにこの細胞破裂は歩くことなどによって生じる機械的刺激によって誘引されることも突き止めました。本研究成果は骨の成長に適した環境の理解や新しい骨再生材料の開発につながります。
成果は1月17日 日本時間午前0時(米国時間16日午前10時)米科学雑誌「ACS Biomaterials Science & Engineering」ならびに、1月15日 日本時間午後10時(英国時間午後1時)英科学雑誌「Integrative Biology」のオンライン電子版に掲載されました。
 
 


<論文情報等>
論文名:Bioinspired mineralization using chondrocyte membrane nanofragments掲載誌:ACS Biomaterials Science & Engineering著者: Emilio Satoshi Hara, Masahiro Okada, Noriyuki Nagaoka, Takako Hattori, Takuo Kuboki, Takayoshi Nakano, Takuya Matsumoto

論文名:Chondrocyte burst promotes space for mineral expansion掲載誌:Integrative Biology著者: Emilio Satoshi Hara, Masahiro Okada, Noriyuki Nagaoka, Takako Hattori, Takuo Kuboki, Takayoshi Nakano, Takuya Matsumoto

<詳しい研究内容について>
軟骨細胞の破裂が骨形成の場を作る! 骨ができる新しいメカニズムを発見


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 松本 卓也
(電話番号)086-235-6667
(FAX番号)086-235-6669


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id517.html

2018年1月18日木曜日

【情報発信】マレーシア天然資源環境省環境庁官らが来学

マレーシア天然資源環境省環境庁官らが12月22日、本学を訪れ、神崎浩理事・副学長(国際担当)を表敬訪問しました。

訪問団は、Dato’ Dr. Haji Ahmad Kamarulnajuib bin Che Ibrahim(ダトゥ ハジ アーマッド カマルルナジュィブ ビン チェ イブラヒム)庁官とマレーシア工科大学の教授ら5人。同省と同大は、マレーシアでESDプログラムのための教育を進めており、持続可能な環境マネジメントに関する市民の認知を高めることを目的としたキャンペーンの実施に向け、ESDとSDGsを精力的に進める本学と意見交換を行いました。


マレーシア工科大学は、2010年9月に本学と大学間協定を締結しており、教員交流や学生交流を毎年実施しています。懇談に同席した大学院環境生命科学研究科の藤原健史教授の所属する低炭素・廃棄物循環研究センターと、同大のアジア低炭素研究センターは研究協力関係にあり、マレーシアの地球温暖化や廃棄物関係など、環境教育分野における活動の情報交換を行っています。

※1 
「持続可能な開発のための教育(ESD;Education for Sustainable Development)」
環境、貧困、人権、平和、開発などのさまざまな現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、それによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のことです。ESDは、「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」ともいえます。
2014年秋には、国連「ESDの10年」の最終年として、先進的に取り組む岡山市で秋に「ESDに関するユネスコ世界会議」が開かれました。

※2 
「持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)」
2015年9月に国連が開催した「国連持続可能な開発サミット」において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。このアジェンダでは人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標を掲げています。この17の目標と169のターゲットからなるものが「持続可能な開発目標」(SDGs)です。

【本件問い合わせ先】
グローバル・パートナーズ国際企画課
TEL:086-251-7038



環境に関する取り組みなどを紹介する訪問団


理事表敬の記念撮影

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7273.html

 

2018年1月13日土曜日

【情報発信】岡山大学が第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞!! 国公立大学では唯一

岡山大学は12月26日、第1回「ジャパンSDGsアワード」の特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しました。

ジャパンSDGsアワードは、国連の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals;SDGs)達成に向けた企業・団体等の取り組みを促し、オールジャパンの取り組みを推進するために、SDGs達成に資する優れた取り組みを行っている企業・団体等を、SDGs推進本部(本部長:内閣総理大臣)が選定し、表彰するものです。本学は、特筆すべき功績があったと認められる企業・団体に贈られる特別賞「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しました。国公立大学では唯一の受賞です。

首相官邸で授賞式が開催され、本学より槇野博史学長、高橋香代理事・副学長(企画・評価・総務担当)、狩野光伸副理事、渡邊和良事務局長が出席。槇野学長が表彰状を受け取りました。

同日、津島キャンパスで記者会見が行われ、槇野学長は「岡山大学の取り組みが評価されたことは大変光栄なことです。これまでの岡山市域でのESD活動をはじめとする、地域の皆さまの活動あっての受賞と考えています。今後、さらに地域や国際社会と協働し、SDGsの達成に貢献してまいります」と話しました。

岡山大学は今後、学内の各種取り組みの可視化と連携を進めていきます。また、地域や企業、NPO等さまざまな組織や人々とも連携して、活動を推進してまいります。

岡山大学のSDGsの取り組みなどは、以下をご覧ください。

岡山大学SDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」

参考:第1回ジャパンSDGsアワード表彰式 | 首相官邸

持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第4回)及び第1回「ジャパンSDGsアワード」表彰式|外務省

持続可能な開発目標(SDGs)推進本部

【本件問い合わせ先】
総務・企画部広報・情報戦略室
TEL: 086-251-7292、8415


岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。


授与式であいさつする安倍首相(首相官邸HPより)


 安倍首相らとの記念撮影(首相官邸HPより)


会見中の記念撮影

 

授与された表彰状と盾


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7256.html
 

【情報発信】SDGsの達成に向けた世界初の国際会議を開催

岡山大学と国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)とRCE岡山は12月5~7日、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」をテーマにしたRCE第1回世界会議を、岡山市の岡山コンベンションセンターなどで開催しました。

世界26の国と地域の自治体、研究者、NPO法人、市民グループの代表ら約200人が出席。気候変動、生物多様性、持続可能な生産と消費(食料)といった地球規模の課題解決にむけて、方策を議論し合いました。

初日(5日)の開会式では、岡山ESD推進協議会の阿部宏史会長(本学教授)、本学の槇野博史学長、UNU-IASの竹本和彦所長、岡山市の大森雅夫市長、環境省の小林正明顧問(前環境事務次官)があいさつ。また、UNU-IASの塚本直也プロジェクトディレクターが、RCEネットワークの動向について講演しました。

このほか、5日は全体会合「SDGsをふまえたESDの更なる展開」もあり、気候変動、生物多様性などについて議論し合いました。国の天然記念物・アユモドキを守る会の小林一郎代表や、おかやまエネルギーの未来を考える会の廣本悦子会長、イオントップバリュ株式会社の有本幸泰氏らが登壇しました。

本学が企画した「岡山からSDGsを考える-更なる産学連携の展開へ-」と題した全体会合2では、槇野学長が登壇し、「SDGsに共鳴して、大学を挙げて教育、研究、社会貢献を進め、新たな価値を創造していく」と話しました。

また、神崎浩理事・副学長(国際担当)が司会進行する中、経団連企業行動憲章改定TF座長の関正雄氏(損害保険ジャパン日本興亜株式会社CSR室 シニア アドバイザー)が、SDGsにかかる国内の産業界の動向と、地域に対する期待について講演。一般社団法人岡山経済同友会の松田久代表幹事(両備ホールディングス代表取締役社長)もSDGsにかかる岡山の産業界の動向と、大学に対する期待について話しました。本学の産学連携事例として、冨田栄二工学部長が産学連携プロジェクトとして進めている環境負荷の少ないエンジンを紹介したほか、大学院医歯薬学総合研究科の那須保友研究科長が遺伝子治療薬の開発について、異分野融合先端研究コアの仁科勇太准教授による炭素材料「酸化グラフェン」などの素材開発の研究について、それぞれ紹介しました。

6日は全体会合や分科会を開催。7日は岡山市や真庭市の企業などを訪問し、本学が企画した真庭市のフィールドトリップでは、バイオマス集積基地・バイオマス発電所、CLT(直交集成板)専用工場、蒜山のワイナリーを視察しました。また、本学学生も、運営サポートスタッフとして本会議やフィールドトリップに参加しました。

※1 
「持続可能な開発のための教育(ESD;Education for Sustainable Development)」
環境、貧困、人権、平和、開発などのさまざまな現代社会の課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組む(think globally, act locally)ことにより、解決につながる新たな価値観や行動を生み出すこと、それによって持続可能な社会を創造していくことを目指す学習や活動のことです。ESDは、「持続可能な社会づくりの担い手を育む教育」ともいえます。
2014年秋には、国連「ESDの10年」の最終年として、先進的に取り組む岡山市で秋に「ESDに関するユネスコ世界会議」が開かれました。

※2 
「持続可能な開発目標(SDGs;Sustainable Development Goals)」
2015年9月に国連が開催した「国連持続可能な開発サミット」において「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。このアジェンダでは人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標を掲げています。この17の目標と169のターゲットからなるものが「持続可能な開発目標」(SDGs)です。

※3 RCE
ESDに関する地域拠点。岡山市域は2005年、国連大学から世界最初の7地域の一つとして認定された。


【主催】国連大学サステイナビリティ高等研究所、岡山ESD推進協議会、岡山大学
【共催】岡山市
【協力】真庭市、公益社団法人おかやま観光コンベンション協会、株式会社岡山コンベンションセンター、両備ホールディングス株式会社、イオントップバリュ株式会社、岡山フェアトレードの会
【後援】一般社団法人岡山経済同友会、株式会社山陽新聞社


<参考>
岡山大学SDGs専用WEBページ「岡山大学×SDGs」はこちら


【本件問い合わせ先】
岡山大学副理事(国際担当) 横井 篤文
グローバル・パートナーズ 講師 木島 正博
TEL:086-251-8326

 
岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。


SDGsの達成に向けたRCE第一回世界会議


SDGsの達成に向けた世界初の国際会議を開催で講演する槇野学長



記念撮影(左から小林顧問、大森市長、槇野学長、阿部会長、竹本所長)
 

真庭市フィールドトリップ

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7269.html
 

【情報発信】FOCUS ON(Vol.4)「体内時計の不思議に迫る」 発行

本学は12月28日、さまざまな分野のユニークな研究者に焦点を当て、研究内容やその人柄を紹介する「FOCUS ON」のVol.4を発行しました。

本学は11学部・1コース・1プログラム、7研究科、3研究所を有しており、幅広い学問領域をカバーしています。

今回は、大学院自然科学研究科時間生物学研究室の吉井大志准教授の研究活動について紹介しています。
 

海外旅行をした時に「時差ぼけ」に悩まされたことがある人は少なくないでしょう。私たちヒトは昼に動き、夜に寝るという一日のリズムで生活しており、このリズムを生み出しているのが体内時計(概日時計)です。2017年ノーベル医学生理学賞は体内時計をコントロールする「時計遺伝子」を解明した米国の研究者3人に贈られましたが、実はまだその全容は解明されていません。皆さんも一度は聞いたことがある「体内時計」。その謎の解明に挑む吉井准教授に解説してもらいました。ぜひご覧ください。

FOCUS ON(Vol.4):
体内時計の不思議に迫る

<Back Issues>
Vol.3:
キリスト教修道制研究とグローバルヒストリーへの展望 (大学院社会文化科学研究科 大貫俊夫准教授)
Vol.2:
イメージの中の建築物を読み解く (大学院社会文化科学研究科 本田晃子准教授)
Vol.1:
身近な液体「水」の謎に迫る (異分野基礎科学研究所 松本正和准教授)


<参考:研究系web国際広報>
Okayama University e-Bulletin
Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)

【本件問い合わせ先】
広報・情報戦略室
TEL:086-251-7292


自然科学研究科の吉井准教授




顕微鏡を使いキイロショウジョウバエの脳を観察


岡山大学は持続可能な開発目標を支援しています
 

【情報発信】がん微小環境に関する新たな発見~宿主由来細胞外マトリックスが腫瘍成長を促進する~

岡山大学大学院保健学研究科の廣畑聡教授、大学院医歯薬学総合研究科大橋俊孝教授、浅野恵一大学院生らの国際共同研究グループは、がん微小環境において、がん細胞ではなく周囲の宿主由来の細胞がたんぱく質の一種、バーシカンを発現することで血管新生を促進し、がんの成長を促進していることを発見しました。

今回の研究では、がん組織の中に周囲から自身の細胞が入り込んでバーシカンを分泌することに加えて、分解産物はその分布が変化(再配置)することが明らかとなりました。本研究成果は12月8日、英国の科学雑誌「Scientific Reports」の電子版に掲載されました。
 

この研究成果は、がん細胞以外の細胞を含んだ『がん微小環境』の重要性を示しています。つまり、がん細胞のみならず宿主の細胞が腫瘍成長を促進する役割を担っていることを示しており、今後のがん治療に新たな課題を提示しているといえます。
 

本研究成果は、これからのがん治療を考える上で、がん細胞自身に対する直接的な治療でなく免疫チェックポイント薬のような新たな治療戦略の開発が重要となってくることを示しています。

図1:腫瘍血管におけるバーシカンの分解産物の再配置(relocation:本文中より一部図を改変)
左では赤色と緑色はほとんど重なっていないが右では特に血管内腔で重なっている


<論文情報等>
論文名:Stromal Versican Regulates Tumor Growth by Promoting Angiogenesis
「間質由来バーシカンは血管新生を促進することで腫瘍成長を制御する」
掲載誌:Scientific ReportsDOI:http://dx.doi.org/10.1038/s41598-017-17613-6
著者: Keiichi Asano, Courtney M. Nelson, Sumeda Nandadasa, Noriko Aramaki-Hattori, Daniel J. Lindner, Tyler Alban, Junko Inagaki, Takashi Ohtsuki, Toshitaka Oohashi, Suneel S. Apte, Satoshi Hirohata*

<詳しい研究内容について>
がん微小環境に関する新たな発見~宿主由来細胞外マトリックスが腫瘍成長を促進する~


<お問い合わせ>
岡山大学大学院保健学研究科
教授 廣畑 聡
(電話番号)086-235-6897
(FAX番号)086-235-6897


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id516.html

【情報発信】ステルス効果を有する腫瘍融解アデノウイルス製剤の開発~局所投与から全身投与への適応拡大~

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医)消化器外科学分野の藤原俊義教授、岡山大学病院新医療研究開発センターの田澤大准教授、黒田新士助教らの研究グループは、これまで局所投与にのみ適応が限定されていた腫瘍融解アデノウイルスを、ナノ技術と融合することにより、全身投与可能なステルス性腫瘍融解アデノウイルス製剤の開発に成功しました。本研究成果は10月26日、英国の科学雑誌「Scientific Reports」(Nature Publishing Group)電子版で公開されました。

腫瘍融解アデノウイルスは現在、国内臨床試験において局所投与による有効性が検証されています。今後、全身投与可能なステルス性腫瘍融解アデノウイルス製剤の臨床開発を進めていくことで、転移を有する進行がんや局所投与が困難な領域のがんへのウイルス治療が可能となり、さらなる適応拡大につながることが期待されます。




<論文情報>
発 表 誌:Scientific Reports
発 表 日:2017年10月26日

著  者:Aoyama K, Kuroda S, Morihiro T, Kanaya N, Kubota T, Kakiuchi Y, Kikuchi S, Nishizaki M, Kagawa S, Tazawa H, Fujiwara T.タイトル:Liposome-encapsulated plasmid DNA of telomerase-specific oncolytic adenovirus with stealth effect on the immune system.DOI : 10.1038/s41598-017-14717-x.
発表論文はこちらからご覧いただけます。


<詳しい研究内容について>
ステルス効果を有する腫瘍融解アデノウイルス製剤の開発~ 局所投与から全身投与への適応拡大 ~


<お問い合わせ>
岡山大学病院新医療研究開発センター
助教 黒田 新士
(電話番号)086-235-7257
(FAX番号)086-221-8775
(URL)
http://www.ges-okayama-u.com/

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id515.html

2018年1月3日水曜日

【情報発信】第64回岡大サイエンスカフェを開催

本学研究推進産学官連携機構は12月18日、本学の研究者が最新の科学を分かりやすく説明する「第64回岡大サイエンスカフェ」を創立五十周年記念館で開催し、市民ら171人が参加しました。
 

本学大学院社会文化科学研究科の清家章教授が「邪馬台国女王と女性首長」と題して、邪馬台国女王・卑弥呼がいかなる歴史的特質を持つのかを講演しました。 古墳時代には多くの女性首長が存在したことに触れ、彼女たちと卑弥呼を比較。邪馬台国で女王が誕生した背景と特質について、分かりやすく説明しました。
 

次回のサイエンスカフェは「現代社会における地域語のあり方 ― 地域方言の衰退と変容 ―」と題して、平成30年2月1日に開催します。日本の地域社会で話される方言、すなわち「地域語」は、全国共通語化が進んだ現在、衰退・変容しています。一方、近年若者を中心に「方言ブーム」が起こり、地域語に新たな価値が見出されています。大学院社会文化科学研究科の中東靖恵准教授がその動向についてお話します。

【本件問い合わせ先】
研究推進産学官連携機構 
TEL:086-251-7112

 

講師の清家教授


熱心に話を聞く参加者

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7239.html