2018年11月30日金曜日

【情報発信】馬教授が4年連続受賞の快挙! 世界で最も影響力のある科学者に選出

Clarivate Analytics社(旧トムソン・ロイターIP&Science)が発表した論文の引用動向分析、高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)2018年版において、岡山大学資源植物科学研究所植物ストレス学グループの馬建鋒教授が選出されました。2015年版2016年版2017年版に続き4年連続の受賞となります。


馬教授は、植物の生育に不可欠な各種ミネラルの輸送メカニズムを数多く解明し、「植物・動物学/ Plant & Animal Science」分野において世界で最も影響力のある科学者として、国際的に高く評価されました。

毎年世界で注目されている本リストでは、自然科学および社会科学の21研究分野において、2006年1月から2016年12月の11年間に発表された論文のうち、被引用数が非常に高い論文を発表した約4,000人の各国の著名な研究者(うち、日本の研究機関に所属する研究者は約90人)が選出されています。引用数が顕著に高い論文は、科学コミュニティが意義深く有益であると判断した一つの目安となります。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省が日本のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化などのために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」としての高い研究力を有しています。その一つとして資源植物科学研究所(IPSR)は、Top10%補正論文割合(Q値)の最も高い組織として評価されており、馬教授は本学研究力強化促進の大きな原動力となる研究者です。

●Highly Cited Researcher 2018受賞者リスト(Clarivate Analytics社)


本学広報誌「いちょう並木」の最新号(2017年10月号 Vol.87)に馬教授が紹介されています。植物は“小さな宇宙”~その未知なる可能性を探る~


 【本件問い合わせ先】
資源植物科学研究所 教授 馬 建鋒
TEL: 086-434-1209


 

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8112.html

【情報発信】菅裕明東京大学大学院理学系研究科教授を招き、学長トップセミナーを開催

岡山大学は11月14日、東京大学大学院理学系研究科の菅裕明教授本学エグゼクティブ・アドバイザー)を招き、学長トップセミナーを開催しました。


菅教授は、「大学教員にイノベーションはできるのか?-ペプチドリーム社創業のケーススタディ-」と題して講演。本学の部局長、教職員のほか、菅教授が工学部の卒業生ということもあり本学の大学院生も加わり約150人余りが聴講しました。講演では、「異端は認められた瞬間に先端に変わる」という研究哲学をはじめ、研究内容や会社起業の経緯などについて、自身の経験を基に講演しました。質疑応答では、菅教授の研究や起業に対する考え方などに関し、活発な質疑応答が行われました。


学長トップセミナーは、大学を取り巻くさまざまな課題へ対応する知見を探るため、各界の有識者を招き、大学構成員の意識改革と実践に資するために開催しています。今後も各方面で活躍している講師を招き、多くの教職員が業務を遂行する上での知識を深める場として活用していきます。


【本件問い合わせ先】
総務・企画部総務課
TEL:086-251-7004




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8111.html

【情報発信】Okayama University e-Bulletin Vol.23を発行

岡山大学は11月16日、研究成果や知的財産活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin Vol.23」を発行しました。

e-Bulletinは、海外への情報発信を強化し、本学の国際的知名度を高めるため、2012年より発行しており、メーリングリストなどを利用し、世界の研究者らにニュースやトピックスを配信しています。

e-Bulletinはこちらからご覧いただけます。

Vol.23は、9月に東京で開催された国際青年交流会議における横井篤文副学長(海外戦略担当)の講演や、韓国・ソウル市で開催された「第3回GCED国際会議」への参加報告など、本学のSDGsの取り組みについて紹介しています。ぜひご覧ください。


【本件問い合わせ先】
総務・企画部 広報・情報戦略室
TEL:086-251-7012


岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。

 

e-Bulletin Vol.23


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8074.html

【情報発信】ホームカミングデイ2018を開催

岡山大学は10月20日、在学生、留学生および教職員が、同窓生や地域の人を招き、大学に親しんでもらうイベント「ホームカミングデイ2018」を開催しました。当日は天候にも恵まれ、訪れた述べ2000人の来場者が互いに交流を深めました。


今年も応援団総部による力強い演舞で開幕。創立五十周年記念館では、歓迎式典や岡山大学Alumni(全学同窓会)総会、金光功労賞授賞式および受賞者による講演会、フォトコンテスト表彰式を開催しました。このほか、うらじゃ連「楽鬼(らっき)」による演舞や、学生の音楽系サークル・団体が出演する「ミュージックフェスティバル」、茶道部お茶席などが繰り広げられました。


記念館周辺では、国立吉備青少年自然の家によるクラフトブース、同窓生・在学生・留学生らによる模擬店のテントが立ち並び、初の試みとして、アパレルメーカー・ストライプインターナショナル協力のもと「岡山大学ストライプマルシェ」も開催されるなど、多彩な催しを実施。Jテラスカフェでは俳句の会が開かれたり、各学部では講演会やシンポジウムなども行われ、来場者は楽しそうに会場を回っていました。
 

【本件問い合わせ先】
岡山大学総務・企画部総務課
TEL:086-251-7019




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8081.html

【情報発信】「平成30年7月西日本豪雨災害 学生ボランティア報告会」を開催

11月17日、大学コンソーシアム岡山主催の「平成30年7月西日本豪雨災害 学生ボランティア報告会」を津島キャンパス文・法・経講義棟で開催しました。

当日は、学生40人、大学関係者49人、行政関係者ら15人が出席。開会のあいさつとして、大学コンソーシアム岡山の会長を務める本学の槇野博史学長が本報告会の趣旨などを説明。兵庫県立大学の冨永良喜教授から、学生ボランティアが感じるストレスやボランティアを通しての成長について講演があった後、過覚醒に対するリラクセーションや絆を深める「絆のワーク」を体験しました。

4会場で開催された分科会では、11大学21人の学生が、自身が行ったボランティア活動について報告。その後分科会ごとに討論を行いました。

パネルディスカッションには、パネリストとして各分科会の発表学生の代表、大学関係者、行政が参加し、ボランティアを通じて得たものや、感じたことなどについて意見交換を行いました。田中亮多さん(大学院教育学研究科1年)は、「ボランティアで求められていたのは、掃除や泥のかき出しだけではなく、話をしながら一緒に作業をすることだと感じた」と自身の体験談を語りました。日本財団学生ボランティアセンターの古川秀雄常務理事は「被災者からすれば、学生が来て話しをしてくれるだけでも元気をもらえるはず。まずは行動に移してほしい」と述べました。

ポスター会場には、大学コンソーシアム岡山加盟大学・岡山県などが作成した被災地支援のポスターが掲示されました。

【本件問い合わせ先】
学務部学務企画課総務・企画グループ企画担当
TEL:086-251-7170



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8089.html

【情報発信】「教員の資質向上のための研修プログラム開発支援事業」報告会・フォーラムを開催

岡山大学大学院教育学研究科および教師教育開発センターは11月11日、平成30年度教職支援機構「教員の資質向上のための研修プログラム開発支援事業」の報告会・フォーラムを本学で開催しました。「教職大学院と現職教員研修の未来 — 校内OJTチームを核とした若手・中堅教員授業力向上研修プログラムの研究開発 —」と題して、県内外の大学や県内の小中学校から参加した約80人が、熱心な議論を繰り広げました。

会に先立ち、本学大学院教育学研究科長および教師教育開発センター長を務める三村由香里教授が開会のあいさつを行い、本学教師教育開発センターの三島知剛講師並びに岡山県教育委員会津山教育事務所義務教育支援課の山下啓介総括主幹から事業報告がありました。

フォーラムでは、文部科学省総合教育政策局教育人材政策課の柳澤好治課長が「教職大学院の使命と現職教員研修の未来」と題して基調講演。「教職大学院と現職教員研修の未来」がテーマのパネルディスカッションもあり、現職教員に研修講座などの受講によって教職大学院の単位を与える本学の「ラーニングポイント制」を例に、教職大学院と現職教員研修の今後の在り方について、大学・教育委員会・行政それぞれの立場から報告がありました。また、独立行政法人教職員支援機構つくば中央研修センターの葛上秀文センター長からパネリストへの質疑など活発な議論が行われました。

【本件問い合わせ先】
教師教育開発センター
TEL:086-251-7728



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8072.html

2018年11月19日月曜日

【情報発信】槇野学長らがウェイン州立大学創立150周年記念行事に参加 研究大学同士の連携強化の促進へ

岡山大学の協定校であり、これまでにさまざまな連携を密にしてきたアメリカ、ミシガン州デトロイト市にあるウェイン州立大学(Wayne State University)の創立150周年記念行事に、槇野博史学長と大学院ヘルスシステム統合科学研究科の妹尾昌治研究科長・教授が招聘を受け、参加しました。

記念行事は10月24〜26日の3日間開催。初日は、ウェイン州立大学の国際担当准副学長兼上級学長特別補佐を務めるアーマド・エゼディン(Ahmad Ezzeddine)博士夫妻による歓迎レセプションが開催され、本学と同様に協定校となっているリーガ工科大学(ラトビア)、リーガビジネススクール(ラトビア)、復旦大学(中国)、浙江工業大学(中国)、プキョン大学(韓国)、淡江大学(台湾)の学長や副学長らが参加し、それぞれの大学の教育・研究・社会貢献の活動などについての意見交換を実施しました。協定校同士のネットワークの深化が図られました。

翌25日には、ニューヨーク・コロンビア大学のリー C. ボリンジャー(Lee C. Bollinger)学長(前ミシガン大学長、前ワシントンポスト、現グラハムホールディングカンパニー・ディレクター)により、「アカデミアにおける言論の自由と責任(Free and Responsible Speech in the Academy )」と題して、アメリカの世相を反映した講演などが開催されました。
さらにはウェイン州立大学のプロボスト兼学術担当上級副学長であるキース・ホイットフィールド(Keith Whitfield)博士や部局長らとの意見交換も行われ、大学運営などさまざまな分野に関する議論が行われました。

最終日は、ロイ・マサオ・ウィルソン(Roy Masao Wilson)学長の取り計らいで同大学のエゼディン准副学長と槇野学長、妹尾研究科長・教授でモーニングミーティングが行われ、両大学の今後のより良い発展につながる関係についての意見交換が行われ、今後も広範に協力を強化していくことで合意しました。

その後、槇野学長らはウェイン州立大学に併設されているカルマノスがん研究所(Karmanos Cancer Institute)を訪問。同研究所のラリー・マザリー(Larry Matherly)がん生物学プログラム・ディレクターとマノハ・ラットナム(Manoha Ratnam)教授(分子腫瘍学)らと対談しました。これまでの岡山大学との協力関係について意見を交換し、協定の充実と期間の延長を行うことで合意しました。

さらに、ウェイン州立大学の産学連携拠点のひとつであるインテグレーティブ・バイオサイエンス・センター(Integrative Biosciences Center ; IBio)へ移動し、同センターの研究担当副学長を務めるステファン・ラニア(Stephen Lanier)博士らの案内により、本学がIBioに設置しているラボ「OU-SCEED」を含め、センター全体を視察した後、意見交換を行いました。意見交換では、本学との共同研究を含めて同センターでの研究の全体像についての紹介が行われ、今後も研究連携強化に努めていくことで合意しました。

次に槇野学長らは、最近設置されたマイク・イリッチ・ビジネススクール(Mike Ilitch School of Business)の建物を視察。最新鋭の大講義室や施設全体の案内とビジネススクール運営の概要などについて説明を受けました。

同日夕刻からは、同窓会(Alumni)を中心とした祝賀会のほか地域関係者も含め約1,000人規模の盛大な歓迎レセプションが開催され、幅広い交流が行われました。


今回の槇野学長らの訪問では、両大学の学長同士の会談や重要な責任者との意見交換を持つことで、ウェイン州立大学の現状と将来の可能性を把握し、現在の親交を温めることができました。今後、同大学とさらなる関係を構築し、教育・研究・社会貢献の国際化の強化促進を加速させていきます。



※OU-SCEED
Okayama University Research Laboratory of Stem Cell Engineering in Detroit.
参考:
https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press28/press-161220-1.pdf


〇参考:ウェイン州立大学の概要
アメリカ、ミシガン州立の研究大学であり、全米55位にランクされています。本学のほぼ2倍の規模(学部生および大学院生の総数約 26,000人)であり、日本人向けプログラムである集中英語コースが用意されているなど、海外からの学生も多い大学です。キャンパス内には、デトロイト歴史博物館やデトロイト美術館を擁し、新旧の建物が混在する中、ニューヨークの世界貿易センタービルなどで知られる著名な建築家ミノル・ヤマサキ(Minoru Yamasaki)の設計による建築物が複数存在します。


岡山大学と比べて予算の規模は大きいものの、ミシガン州政府からの支援は約30%であり、財政的な自立性が高い大学です。また外部資金の獲得でも2012年度で、アメリカ国立衛生研究所(NIH)などから約300億円の競争的研究資金を獲得しています。また、国立がん研究所の位置付けを担うカルマノスがん研究所が、大学に設置されており、研究大学としてのポテンシャルが高い大学です。

岡山大学とウェイン州立大学は、2014年2月に大学間協定を締結しており、前述の岡山大学・ウェイン州立大学共同研究室「OU-SCEED」の設置や研究セッションの開催インターンシッププログラムとして学生の受入など、活発な交流を実施しています。


【本件問い合わせ先】
大学院ヘルスシステム統合科学研究科 研究科長・教授 妹尾昌治
TEL:086-251-8216




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8076.html

【情報発信】小学生に見られる数字を擬人化する傾向と発達的変化

東京農工大学、岡山大学、立教大学、東京大学の研究グループは、数字の擬人化に関して小学4年生、6年生、大人を対象にした調査を行い、小学4年生には数字を擬人化する傾向が強く見られ、年齢とともに消失していくことを明らかにしました。
 
これまで研究されてきた子どもの擬人化傾向は、ぬいぐるみなど無生物に関するものであり、数字などの抽象的な事物に対しては研究されていませんでした。
 
本研究では、発達の過程で数字の具体的操作期から形式的操作期へ移行するのに伴い、擬人化が消失する可能性を、擬人化表現の一貫性や多様性の観点から定量的に明らかにしました。
本研究成果は、Frontiers in Psychology(11月15日付)に掲載されました。
 

<詳しい研究内容について>
小学生に見られる数字を擬人化する傾向と発達的変化


 <お問い合わせ>
東京大学情報学環 学際情報学圏
情報生命・思想学域 助教
松田 英子(まつだ えいこ)
TEL:03-5841-2381

岡山大学大学院教育学研究科 講師
岡崎善弘 (おかざき よしひろ)
TEL: 086-251-7713
FAX: 086-251-7755


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id580.html

2018年11月16日金曜日

【情報発信】世良貴史教授がJST主催の「新技術説明会」に登壇 人、動物、植物に使える「三方よし」の革新的技術の発明を紹介

岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科バイオ・創薬部門の世良貴史教授が11月8日、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が主催する「新技術説明会」(千代田区)に登壇し、世良教授が独自に開発した人工核酸結合タンパク質をデザインする技術の発明について紹介しました。

新技術説明会は、大学などの公的研究機関から生まれた研究成果(特許)の実用化(技術移転)を目的に、新技術や産学連携に関心のある企業関係者に向けて、研究者(発明者)自らが直接プレゼンする特許の説明会です。JSTが主催し、産と学の出会いの場をセッティングし、各研究機関はこの場で出会った産と学をマッチングへと導くものです。今回の新技術説明会には、世良教授とともに知財を担当する
本学研究推進産官学連携機構知的財産本部の平野芳彦准教授東京駐在の佐藤法仁副理事・URAが参加しました。

今回、世良教授は
「人工核酸結合タンパク質のデザインとその応用」と題して講演しました。世良教授は、標的の核酸配列に結合するタンパク質のデザインが容易にでき、さらに特異性が高い人工核酸結合タンパク質を短時間に創出し、タンパク質や核酸として細胞や個体への導入が可能にできる技術を開発しました。この開発した技術は人、動物、植物に対して有効です。例えば人に対しては、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の複製阻害や肺がんや食道がんの原因遺伝子「SOX2遺伝子」の発現抑制などが確認されています。

また、農業などの植物・畜産分野に対しても応用が可能であり、現在、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター(BRAIN)が事業実施主体として行うプロジェクトにおいて、サクラ属であるウメやモモ、スモモ、アンズなどに感染するプラムポックスウイルス(PPV)の対策技術の一つとして研究開発を自治体などとともに進めています。

世良教授は講演の中で「これまでの実績で、この開発した技術が人・動物・植物、さまざまな分野において大いに役立つことが確実に分かってきた。この発明した革新的な技術をオープンイノベーションのもと、国内外の産学官、多くの方々に活用してもらうことでSDGs(持続可能な開発目標)をはじめ、さまざまな社会課題の具体的な解決につなげていきたい。そして社会課題の解決とともにイノベーションの創出にも大きく貢献していきたい」と開発した技術の発明からイノベーション創出に至る道について力強くコメント。今後のさまざまな分野における本技術の応用に向けて、多くの関係者を巻き込んだオープンイノベーションの推進と社会実装にを目指して抱負を述べました。


○当日の講演資料は下記よりご欄いただけます(JST)

JST「新技術説明会 ライフサイエンス」人工核酸結合タンパク質のデザインとその応用(2018.11.8)


○参考
岡山大学「大学案内2019」(人工のハサミを使って!害を及ぼすウイルスから身を守る!人、動物、植物に使える『三方よし』の革新的研究開発の挑戦)(7ページ)

農林水産省・革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)理学・工学との連携による革新的ウイルス対策技術の開発


【本件問い合わせ先】
大学院ヘルスシステム統合科学研究科 教授 世良貴史
TEL:086-251-8194

https://www.okayama-u.ac.jp/user/seralab/index.html


(知財に関するお問い合わせ先)
研究推進産学官連携機構 知的財産本部 准教授 平野芳彦
TEL:086-251-8476



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8070.html

【情報発信】アジア最大級のバイオパートナリングイベント「Bio Japan 2018」に出展

岡山大学は10月10~12日、パシフィコ横浜で開催されたバイオビジネスにおけるアジア最大のパートナリングイベント「Bio Japan 2018」に出展しました。人工核酸結合タンパク質の医療・農業への応用や、がん幹細胞アトラス計画、現場検査を可能にする農作物品種識別法、大麦の効率的形質転換事業などに関する研究成果を報告したほか、岡山大学病院バイオバンクおかやまメディカルイノベーションセンターにおける分子イメージング研究・活動実績の展示・発表を行いました。

大学院ヘルスシステム統合科学研究科の世良貴史教授は、標的の塩基配列に高い親和性で特異的に結合する人工核酸結合タンパク質を容易にデザイン・創出するシステムを開発。人工核酸結合タンパク質に核酸消化酵素をつなげた人工制限酵素を使ってウイルスゲノムを切断し、標的ウイルスの増殖を阻止することにより、ウイルスを原因とする病の発生を抑える技術を開発しました。また、人工核酸結合タンパク質に転写調節ドメインを融合させることにより、がん増殖に重要な働きをする遺伝子発現を調節できる人工転写因子も開発しました。

資源植物科学研究所の久野裕准教授は、遺伝学的解析により、大麦の遺伝子導入に必要な形質転換の効率に関わる遺伝子座(Transformation Amenability: TFA)を3つ発見。TFAを目印として、目的とする品種と醸造用大麦品種「ゴールデンプロミス(GP)」との交雑後代の中から、遺伝子鑑定で形質転換可能な大麦系統を抽出・育成することを可能にしました。これまでGP以外の品種では形質転換することは困難でしたが、この技術により、ほぼ全ての大麦品種で形質転換が可能となり、品種の育成や遺伝子機能の解析にかかる時間を大幅に短縮しました。

会場の一画に設けられたパートナリングルームでは、研究に興味を持った製薬企業や医療・医薬関係団体、食料品企業と精力的に技術移転や共同研究の実施に向けて意見交換・協議を行いました。

展示内容詳細はこちら(連携機構ホームページ)

【本件問い合わせ先】
研究推進産学官連携機構 産学官連携本部
TEL:086-251-8460



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8056.html


【情報発信】学生二人が日本代表として世界ユースサミットOne Young World 2018に参加

岡山大学文学部4年の阿部若奈さんとマッチング・プログラム(MP)コース4年の大内田裕美さんが、オランダのハーグ市で10月17日~20日に開催された世界ユースサミットOne Young World(OYW)2018に日本代表団の一員として参加しました。

本学は、2015年タイ・バンコク市で開催されたサミットから公式パートナーとして参画し、毎年2人の学生代表と、オブザーバーとして横井篤文副学長(海外戦略担当)を派遣しています。本学の出場は、15年のタイ・バンコク市、16年のカナダ・オタワ市、17年の南米コロンビア・ボゴタ市に続いて4大会連続です。

今回のサミットは、9月19日に駐日オランダ大使館で 日本代表団壮行会が開催されたほか、世界平和の象徴である国連の常設機関「平和宮(国際司法裁判所)」で行われたサミット開会式では、オランダのマキシマ王妃がスピーチするなど、オランダ政府やオランダ王室も積極的に関わり、国を挙げての歓迎行事が開かれました。

阿部さんと大内田さんは、全体セッションやワークショップ、ネットワーキング(交流会)などに参加。国連の持続可能な開発目標(SDGs)を枠組みとしながら、気候変動から戦争と平和、教育、人権、リーダーシップ、グローバルビジネスなど、多岐にわたるディスカッションを行いました。全体セッションでは、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス博士やユニリーバのCEOポール・ポールマン氏をはじめ、現職の世界のリーダーや各国代表者らのスピーチを聴講しました。

また、 SDGsを推進する「ヤングリーダーズ・イニシアティブ」 を率いるジャヤトマ・ウィクラマナヤケ国連ユース担当事務総長特使が、国連と世界ユースサミットOne Young World、ならびに世界を代表する企業と協業してSDGsに貢献する若手らの事業やプロジェクトを支援するためのプラットフォーム「Lead 2030」を発表するなど、グローバルな産学官連携の最新の取組にも触れることが出来ました。

今年で第9回目となるOYWは、世界193カ国からおよそ1,800人が出席。2019年度は
テリーザ・メイ英首相がOYW設立10周年を踏まえて「ホーム」としてのイギリスでの開催宣言をしており、首都ロンドン市で開催される予定です。

●世界ユースサミットOne Young World(OYW)
2009年の世界経済フォーラム「通称ダボス会議」(World Economic Forum、本部:スイス・ジュネーブ)において宣言され、2010年イギリス・首都ロンドン市で開催されてから、年に一度、世界190カ国以上から各国を代表する次世代の若いリーダーたち(18~30歳)が一堂に会する世界最大級のサミットです。世界が直面する地球規模の課題に対し、世界的指導者達の下、次世代リーダーたちが連携して問題を解決するための全世界合同産官学連携の次世代リーダー育成プロジェクトとして、その規模とネットワークを急速に拡大し続けています。

サミット参加者は「OYWアンバサダー」の称号が授けられるとともに、世界中の約1万人の有能な若者たちと長年にわたる人脈を広げることができます。

OYWカウンセラーとして、ノーベル平和賞受賞者でグラミン銀行創設者のモハマド・ユヌス氏をはじめ、首相・大統領、政府関係者、米・フォーチュン誌が発表する世界の企業ランキング「フォーチュン 500」のリーディングカンパニー、文化・スポーツ界、メディア界、NGO、起業家やアーティストなど、さまざまな分野を代表する世界的指導者や著名人などが支援しています。

【本件問い合わせ先】
グローバル・パートナーズ留学交流課
TEL:086-251-7037




【情報発信】持続可能な岡山医療に向けた医療連携シンポジウムを開催

岡山大学は11月6日、持続可能な医療の提供をテーマにしたシンポジウムを本学Junko Fukutake Hallで開催しました。本シンポジウムは、岡山市内に病院をもつ6団体で構成する岡山医療連携推進協議会が岡山経済同友会、岡山商工会議所との共催で開催。岡山市内の医療機関による連携の在り方について、産学官などの関係者が意見を交わしました。

当日は医療、行政、経済界から約250人が出席。本学の槇野博史学長が、協議会の設立経緯や医療人材の育成と治験・臨床研究の連携を構築する活動について紹介。「治験の品質向上や実施件数を増やし、地域経済の活性化にもつなげたい」と将来構想を披露しました。

続いて、経済産業省の江崎禎英政策統括調整官が「超高齢化社会への対応~社会保障制度改革の視点~」と題し講演しました。パネルディスカッションでは「持続可能な岡山医療と協議会への期待」について、協議会メンバーらが発言。人口減社会の到来を踏まえた連携の必要性や岡山にある病院のレベル向上などについて意見を交換しました。
 
●岡山医療連携推進協議会
(英語表記:Council for Medical Alliance, Okayama《略称;CMA- Okayama 》)
岡山医療圏における健康寿命の延伸と健康格差の縮小に向けた、良質で安定的な医療提供体制の継続的整備に向け、その根幹となる医療人材育成及び治験・臨床研究の発展的連携を目的とし、2017年6月に発足。岡山市内に病院をもつ本学、恩賜財団済生会、国立病院機構、労働者健康安全機構、日本赤十字社、岡山市の6団体で構成しています。

【本件問い合わせ先】
総務・企画部総務課
TEL:086-251-7015
 

  

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8063.html

【情報発信】金惠淑准教授(薬)が「第1回日本熱帯医学会女性賞」を受賞

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)の金惠淑准教授が「第1回日本熱帯医学会女性賞」を受賞し、11月10日に長崎大学で開催された「第59回日本熱帯医学会大会」において受賞講演および授章式が行われました。

今回、金惠淑准教授のマラリアの創薬研究に関する業績が高く評価され、同賞の受賞が決定しました。金准教授は1990年代後半より、薬剤耐性マラリアに有効な新薬候補の探索研究を開始。8000を超える化合物を用いて薬効を評価し、その中から「N-89」、「N-251」を臨床開発の有力候補として選抜しました。金准教授は受賞に対し「第一回の女性賞に選ばれ、本当に嬉しいです。女性賞の重みにつぶされない様に研究にまい進したいと思います」と述べました。

同賞は、一般社団法人日本熱帯医学会が、熱帯医学の分野において顕著な成果を挙げ、その貢献が著しいと認められる女性に対して授与するものであり、金准教授は第1回目の受賞者となりました。

 【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科(薬)准教授 金惠淑
TEL: 086-251-7975




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8062.html

【情報発信】上原孝教授(薬)が「平成30年度次世代がん医療創生研究事業」に採択

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)薬効解析学分野の上原孝教授が11月2日、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「平成30年度次世代がん医療創生研究事業」に採択されました。

同事業は、日本発の革新的な診断・治療薬の開発を促進するため、基礎研究の有望な成果を厳選して、次世代のがん医療を創生することを目指した研究を強力に推進するものです。全く新しい視点によるがんの治療薬や診断法の開発に直結するような基礎研究のシーズを、実用化を目指した研究開発段階にまで推し進めることを目的としています。今回、上原教授は同事業の「がん創薬シーズやバイオマーカー候補の探索に資する新規アプローチを含む標的探索研究」の分野で採択されました。

上原教授は「酸化によるDNAメチル基転移酵素活性抑制を特異的に阻止する世界初の化合物を用いた最新バイオマーカー開発とがん治療戦略構築」(研究期間:平成30~31年度)という題目のもと、研究開発代表者を務めます。この研究は、これまでの抗がん剤とは全く異なる作用機序を有した化合物の薬理作用を動物モデルやヒト病態組織を用いて調べることを目標にしています。

今回の採択を受けて上原教授は、「本研究を介して、これまでに得られた成果やアイデアを基にして新規がん発症機序を解明したいと考えています。特に、臨床応用を目的としたバイオマーカーの開発と化合物の抗がん活性を明らかにしたいと思います」とコメント。2年間の研究活動に意欲を見せました。

なお今回、同事業には174課題の申請があり、27課題が採択されました。本学の上原教授以外にも本学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)細胞生理学分野の藤村篤史助教が「tRNAエピトランスクリプトーム創薬で実現するがん幹細胞標的型抗がん剤の開発」という課題のもと採択を受けており、本学のがん研究の強化促進を進めています。今後、本学の研究開発力を基に新たながん治療戦略が構築できるよう、本事業を強力に推進していきます。


【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)教授 上原孝
TEL:086-251-7939

 
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8058.html
 

2018年11月13日火曜日

【情報発信】日本の結核の動向を詳細に解明 結核撲滅に向けての取り組み、加速が必要

◆発表のポイント
・1997 年~2016 年の20 年間において、日本国内の結核の新規登録患者数および死亡者数は減少しました。
男女ともこの20 年間で同様に減少しましたが、国際的な結核撲滅の目標を達成するには一層の取り組みが必要であることが示唆されました。
本研究成果は結核撲滅への取り組みに活用されることにより、SDGs の達成において国内外への貢献が期待されます。
 
 
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科の狩野光伸教授と大学院医歯薬学総合研究科の小山敏広助教の研究グループは、国内外の研究機関と医療機関の研究者(札幌医科大学 樋之津史郎教授、大阪大学 朝野和典教授、萩谷英大助教、徳島大学病院 座間味義人准教授、千葉大学病院 三上奈緒子氏、岡山大学病院 千堂年昭教授、北村佳久准教授、建部泰久氏、University of MinnesotaMedical School 港 雄介博士)との共同研究において、これまで不明であった日本国内の結核の罹患率や死亡率の長期的な傾向を、詳細に明らかにしました。
 
結核は不治の病と恐れられてきましたが、現代でも世界で毎年約1000万人が罹患し、約160万人が死亡する世界三大感染症の一つです。本研究グループは、1997年から2016年の20年間における、日本国内の新規登録患者数と死亡者数を調査。男女とも、この20年間で新規登録者数と死亡者数が減少していることが判明しました。

本研究成果は、2018年11月9日現地時間午後に英国の医学誌「Epidemiology and Infection」に掲載されます。


◆研究者からのひとこと
 今回の研究は内外の7大学・大学病院の研究者による、SDGsの達成へ貢献するための共同研究です。結核の撲滅は国際的な目標です。さまざまな研究者の視点を取り入れ、医療ビッグデータを活用することで、日本だけでなく世界の人々に貢献することができると期待しています。
小山助教

 
■論文情報
論 文 名:Trends in incidence and mortality of tuberculosis in Japan: A population-based study, 1997–2016

掲 載 紙:Epidemiology and Infection
著  者:Hideharu Hagiya, Toshihiro Koyama, Yoshito Zamami, Yusuke Minato, Yasuhisa Tatebe, Naoko Mikami, Yusuke Teratani, Ayako Ohshima, Kazuaki Shinomiya, Yoshihisa Kitamura, Toshiaki Sendo, Shiro Hinotsu, Kazunori Tomono, Mitsunobu R. Kano. 
D O I:10.1017/S095026881800290X
U R L:
https://doi.org/10.1017/S095026881800290X


<詳しい研究内容について>
日本の結核の動向を詳細に解明 結核撲滅に向けての取り組み、加速が必要

 
<お問い合わせ>
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科
 教授 狩野光伸

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬)
 助教 小山敏広
(電話番号)086-235-6585



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id578.html


2018年11月9日金曜日

【情報発信】藤村篤史助教(医)が「平成30年度次世代がん医療創生研究事業」に採択

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)細胞生理学分野の藤村篤史助教が11月2日、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「平成30年度次世代がん医療創生研究事業」に採択されました。

同事業は、日本発の革新的な診断・治療薬の開発を促進するため、基礎研究の有望な成果を厳選して、次世代のがん医療を創生することを目指した研究を強力に推進するものです。全く新しい視点によるがんの治療薬や診断法の開発に直結するような基礎研究のシーズを、実用化を目指した研究開発段階にまで推し進めることを目的としています。今回、藤村助教は同事業の「がん創薬シーズやバイオマーカー候補の探索に資する新規アプローチを含む標的探索研究」の分野で採択されました。


藤村助教は「tRNAエピトランスクリプトーム創薬※1で実現するがん幹細胞※2標的型抗がん剤の開発」(研究期間:平成30~31年度)という題目のもと、研究開発代表者を務めます。この研究は、従来の遺伝子発現解析だけでは解らなかったがん幹細胞特有のタンパク質合成の分子メカニズムに着目し、それを選択的に阻害する薬剤を開発することで、これまでになかった「tRNAエピトランスクリプトーム創薬」という概念を提唱し、「がん幹細胞標的型抗がん剤」を世界に先駆けて開発することを目指すものです。

今回の採択を受けて藤村助教は、「tRNAエピトランスクリプトーム創薬という全く新しい理論を一から構築することは大きなチャレンジになりますが、これまでにない画期的な抗がん剤を開発するために、多くの研究協力者とともに研究に邁進してまいります」とコメント。2年間の研究活動に意欲を見せました。
 

なお、藤村助教はAEMDの「平成30年度革新的がん医療実用化研究事業」にも採択されており、がん研究の若手研究代表者として、精力的に研究開発を進めています。今後本学は、“岡山大学発”の抗がん剤が、新しい創薬化学の分野を開拓するとともに、がん治療法のパラダイムシフトに直結するようなマイルストーンとなるよう、本事業を強力に推進していきます。


※1 tRNAエピトランスクリプトーム創薬
tRNAによるタンパク質合成制御機構を標的とした創薬のこと。がん細胞は、正常細胞にはないタンパク質合成機構を獲得することで、治療抵抗性や転移能などを促進していることが知られていましたが、その詳細な分子機構は不明でした。藤村助教が代表を務める研究チームは、tRNAによるタンパク質合成制御がその要諦であることをつきとめ、これを標的とする創薬概念を「tRNAエピトランスクリプトーム」と命名しました。

※2 がん幹細胞
がん組織を維持する元凶となる特定のがん細胞集団。治療抵抗性や浸潤・転移能が高く、がんの病勢を左右する因子として、これを標的とする創薬が世界中で試みられています。


<参考>
藤村助教の研究が「平成30年度革新的がん医療実用化研究事業」に採択(2018.10.18 岡山大学新着ニュース)


【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科(医学系)助教 藤村篤史
TEL:086-235-7105





http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8047.html


2018年11月7日水曜日

【情報発信】FOCUS ON(Vol.13)「光による生命現象の制御-『光をくすりに』を目指して-」 発行

岡山大学は11月5日、さまざまな分野のユニークな研究者に焦点を当て、研究内容やその人柄を紹介する「FOCUS ON」のVol.13を発行しました。

本学は11学部・1プログラム、8研究科、3研究所を有しており、幅広い学問領域をカバーしています。

今回は、大学院医歯薬学総合研究科の須藤雄気教授の研究活動について紹介しています。

光を当てるだけで、たちどころに病気を治療できる―。大学院医歯薬学総合研究科の須藤雄気教授は、光による生命現象の制御をテーマとした研究を通して、そんな未来を実現させようとしています。鍵を握るのは、光に反応して構造を変えるタンパク質「ロドプシン」。創薬開発や植物への応用など、幅広い活用が期待されています。


FOCUS ON(Vol.13):光による生命現象の制御-「光をくすりに」を目指して-


 <Back Issues>
Vol.12:
AIがもたらす情報セキュリティの新時代
Vol.11:電気抵抗ゼロの物質「超電導体」を創り出す
Vol.10:アオコ問題解決の鍵を握るバイオ燃料電池
Vol.9:古墳に隠された背景
Vol.8:生体材料で未来を創る
Vol.7: COPD患者の声に耳を傾ける
Vol.6:データ科学で食糧危機に対抗する
Vol.5:“クニヨシズム”に倣う教育精神
Vol.4:体内時計の不思議に迫る
Vol.3:キリスト教修道制研究とグローバルヒストリーへの展望
Vol.2:イメージの中の建築物を読み解く
Vol.1:身近な液体「水」の謎に迫る


<参考:研究系web国際広報>
Okayama University e-Bulletin
Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)


 【本件問い合わせ先】
総務・企画部広報・情報戦略室
TEL:086-251-7292



岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id7990.html

2018年11月4日日曜日

【情報発信】がん治療法・ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の新たな薬剤開発で共同研究契約を締結

岡山大学中性子医療研究センター(NTRC)は、がんの治療法の一種BNCT(ホウ素中性子捕捉療法、注1)におけるより効果的なホウ素薬剤の開発に向け11月2日、株式会社スリー・ディー・マトリックス(3DM、注3)と共同研究契約を締結しました。

BNCTで使用する、ホウ素元素を12個含むホウ素薬剤BSH(注2)は、過去にBNCTでのヒト臨床試験の実績があります。BPA(注4)と呼ばれるホウ素薬剤と併用してBNCTを行い、その後放射線治療を施すことで、悪性脳腫瘍患者を対象とした臨床研究で著しい延命効果(中央値)を示したことが報告されています。しかしながら、BSHはがん細胞に取り込まれないこと、更にはがん細胞のみに取り込ませることができないことから、その活用が限定されるため、BNCTでの可能性が閉ざされていました。

NTRCは、3DMが提供する「自己組織化ペプチド(注5)」A6K塩酸塩水溶液とBSH水溶液を混合するという極めて簡便な方法を用いて、BSHを効率よくがん細胞に取り込ませることに成功しました。この方法は、岡山大学が単独で特許出願を済ませています。これに際し岡山大学は、3DMと今後の研究開発について協議を行い、その結果、開発を加速して一日も早く新薬剤を患者様に届けるべきとの合意に至り、共同研究契約を締結することとなりました。


◆担当者からのひとこと

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)と呼ばれる、新しいがん治療法の研究を行っています。「ホウ素」と聞くとホウ酸団子を思い浮かべる方が多いと思いますが、今回発表のホウ素薬剤は、がん治療に使用する新しい薬剤です。早く多くの方に、ホウ素薬剤ががんのお薬として認知されるように頑張りたいです。
また、この分野は化学者、物理学者、生物学者、がん研究者、医療関係者が知恵を出し合って研究を進める分野です。岡山大学内外の研究者でBNCTに興味を持っていらっしゃる方、大歓迎です。皆様と一緒に研究できたら幸せです。ぜひ、声をかけてください。
早くがん治療で困っている方々に新しいホウ素薬剤が届くように頑張りたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

道上宏之准教授



■補足・用語説明
注1:BNCT(Boron Neutron Capture Therapy、ホウ素中性子捕捉療法)
中性子とホウ素原子(10B)が衝突することで大きなエネルギーを生み出す「アルファ崩壊反応」を活用したがん治療法です。あらかじめホウ素薬剤を用いてがん細胞にホウ素原子を取り込ませた後、中性子を照射することで、がん細胞のみにアルファ崩壊反応を起こし、これを破壊します。中性子自体もエネルギーは小さく、正常な細胞へのダメージが少ないため、副作用の少ない「切らずに治す」がん治療となることが期待されています。


注2:BSH
1968 年に初めて使われたホウ素薬剤です(化学名:メルカプトウンデカハイドロドデカボレート)。ひとつの分子に12 個のホウ素原子が含まれ、これらが結晶状の「鳥かご」と呼ばれる構造をつくっています。


注3:株式会社スリー・ディー・マトリックス(3DM)
米国マサチューセッツ工科大学(MIT)からライセンスされた自己組織化ペプチド技術をコアとして、外科領域、薬物送達システム(DDS)領域、再生医療領域において、医療製品の開発に国内外で取り組んでいます。東証JASDAQ 上場(証券コード7777)。
企業 HP:
http://www.3d-matrix.co.jp/index.html
※薬物送達システム(DDS):服用した薬剤の体内分布を量的・空間的・時間的に制御し、それぞれの臓器や組織での濃度などをコントロールして、薬の効き目を調節するシステム。


注4:BPA
現在 BNCT に最も多く用いられているホウ素薬剤です。アミノ酸であるフェニルアラニンにホウ酸が結合したボロノフェニルアラニンのことです。ひとつの分子中に1 個のホウ素原子を含みます。


注5:自己組織化ペプチド
株式会社スリー・ディー・マトリックスが提供する機能性のあるペプチド(アミノ酸が複数個結合したもの)群を示します。本共同研究で使用する配列のものは薬物送達システム能力を持ち、医薬品の担体として日本国内での臨床使用実績があります。



<詳しい研究内容について>
がん治療法・ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の新たな薬剤開発で共同研究契約を締結


<お問い合わせ>
岡山大学中性子医療研究センター
副センター長 古矢 修一
(電話番号)086-235-7785
(FAX)086-235-7784


株式会社スリー・ディー・マトリックス
(電話番号)03-3511-3440
(FAX)03-3511-3402


 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id577.html



【情報発信】腸内細菌が産生するD 型アミノ酸の新たな腎臓保護効果を発見~腎臓と腸管・腸内細菌叢をつなぐ新たな全身ネットワーク~

金沢大学医薬保健研究域医学系の和田隆志教授と大学院医薬保健学総合研究科医学博士課程の中出祐介さんは,早稲田大学理工学術院の服部正平教授,国立研究開発法人理化学研究所の須田亙研究員,岡山大学大学院環境生命科学研究科の森田英利教授,九州大学薬学研究院の浜瀬健司教授,北里大学薬学部の本間浩教授の研究グループとの共同研究により,生命現象のさまざまな局面において重要な生理機能を有する可能性のあるD-アミノ酸が,腎臓と腸内細菌において産生されるとともに,腎臓保護効果を示す仕組みを世界で初めて明らかにしました。

近年,腸内細菌叢(※1)がヒトの健康と関係し,さまざまな病気で変化することが報告され注目されています。しかしながら,その詳細な調節の仕組みに関しては不明な点が多く,未知の領域となっています。本研究により,腎臓が障害を受けた際に腸内細菌叢が変化する腎・腸連関があることと共に,腸内細菌からD-アミノ酸が産生され,血液を介して腎臓を保護する仕組みを明らかにしました。さらにD-アミノ酸は,長らくその産生場所や機能などが不明でした。本研究で,腎臓病に伴い腸内細菌叢が変化すること,少なくとも腎臓病に関連するD-アミノ酸の主たる産生部位は腸内細菌叢であること,およびD-アミノ酸を介して腎臓保護効果を示すことなどを明らかにしたことにより,これまでの謎の解明に新たな解釈を与える可能性もあります。
 
本研究で得られた知見は将来,腎臓病で発症するさまざまな全身疾患の成り立ちの理解を深めることにつながるとともに,D-アミノ酸を標的とした新規の腎臓病に対するバイオマーカーや治療薬開発へ活用されることが期待されます。
 
本研究成果は,2018 年10 月18 日(米国東部標準時間)に米国科学誌「The Journal of Clinical Investigation Insight」のオンライン版に掲載されました。また,新規の急性腎障害診断バイオマーカー候補として特許出願も行いました。


■補足・用語説明
※1 腸内細菌叢
 腸内に生息するさまざまな細菌が1 つずつではなく,集団で生態系を作りお互いに作用したり,生体から影響を受けたり,生体へ影響を及ぼしたりする細菌の集団。健常人では,保有している菌や菌が持つ作用などはほぼ一定と考えられている。他方,病気になった場合には腸内細菌叢が変化し,生体へさまざまな影響を及ぼしていると考えられている。

<詳しい研究内容について>

腸内細菌が産生するD 型アミノ酸の新たな腎臓保護効果を発見~腎臓と腸管・腸内細菌叢をつなぐ新たな全身ネットワーク~


<お問い合わせ>
研究内容に関すること
金沢大学医薬保健研究域医学系 教授 和田 隆志
TEL:076-265-2000(内線番号2499)

【広報担当】
金沢大学総務部広報室広報係
TEL:076-264-5024

金沢大学医薬保健系事務部総務課総務係
TEL:076-265-2109

岡山大学総務・企画部広報・情報戦略室
TEL:086-251-7292

学校法人北里研究所総務部広報課
TEL:03-5791-6422


https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id576.html



2018年11月1日木曜日

【情報発信】次世代研究育成グループ「中四国出生前コホート立ち上げワーキンググループ」始動

岡山大学は、いままでの「全方位的」「総花的」な研究推進から、岡山大学を代表し本学の次世代研究を拓く強みとなる「重点研究分野」を選定しています。

また重点分野の選定とともに、岡山大学の顔となる学術研究拠点、社会実装拠点に育てるため「次世代研究育成グループ」と「次世代研究拠点」を選定し、人的・資金的支援などを実施しています。今回、次世代研究育成グループのひとつである「中四国出生前コホート立ち上げワーキンググループ」の初会合を10月23日に実施。次世代の岡山大学の顔となる学術拠点を形成すべく活動を開始しました。

同ワーキンググループは、本年度「こどもの健康を守るための大規模出生前コホート立ち上げ可能性の検証」という課題名のもと、大学院環境生命科学研究科(環境理工学系)人間生態学講座の頼藤貴志准教授が研究代表者を務めます。

胎児や小児では、未熟な代謝経路や脆弱な発達過程のため、母体・生活・医療・化学物質などの環境要因により、健康・成長・発達の面において健康影響を受けやすく、またその負荷は一生続くという特徴があります。これまでに頼藤准教授らは、出生児約9万人を対象とした「21世紀出生児縦断調査」(厚生労働省)を解析し、日本国内の小児の諸疾患や発達の多様性についての病因分析において顕著な実績を残してきました。

初会合では、大規模出生前コホート確立と臨床研究実施に向けたプロジェクト形成を核に、ワーキンググループが持つリソースの確認が行われ、今後の国内外の医療機関や大学・研究機関との連携の方法について議論。試験的にデータを取り扱うための医療機関の選定と具体的な訪問などが決まりました。また、競争的資金や共同研究資金などの外部資金を積極的に獲得していくことも再確認されました。


今回の初会合を受けて研究代表者を務める頼藤准教授は「臨床の現場で入手可能な周産期のデータベースは、出生以後の情報が欠落しています。一方『21世紀出生児縦断調査』のような小児を追跡した調査では、妊娠中や両親の情報が不足しています。このプロジェクトをさらに発展させることはわが国の医療などに大きな貢献となります。岡山大学の強みある医療系分野をさらに増強・促進するためにも、本ワーキンググループが早く拠点形成できるように精力的に活動していきます」とコメント。今後の次世代研究育成の活動と学術拠点の形成に意欲を見せました。


<中四国出生前コホート立ち上げワーキンググループメンバー(学内メンバーのみ掲載)>
 頼藤貴志 大学院環境生命科学研究科(環境理工学系) 人間生態学講座 准教授【研究代表者】

 増山寿  大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 産科・婦人科学分野 教授
 塚原宏一 大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 小児医科学分野 教授 
 小林勝弘 大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 小児医科学分野(発達神経病態学領域)教授
 土居弘幸 大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 疫学・衛生学分野 教授
 櫻井淳  岡山大学病院新医療研究開発センター 准教授
 鷲尾洋介 大学院医歯薬学総合研究科(医学系) 小児医科学分野 助教
 三橋利晴 岡山大学病院新医療研究開発センター 助教
(コーディネーター 佐藤法仁 企画・評価・総務担当副理事・URA)


<参考>
岡山大学広報誌「いちょう並木」Vol.90(2018年10月号) 特集「人類の今と未来をつなぐ~SDGs達成に向けて~」(時空を超えた命のつながり。疫学で人々の暮らしに貢献する)


【本件問い合わせ先】
大学院環境生命科学研究科(環境理学系)准教授 頼藤貴志
TEL:086-235-8925



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8026.html


【情報発信】ASEAN大学連合(AUN)における活動を実施

岡山大学の日本留学海外拠点連携推進事業(ASEAN)は、本学大学院環境生命科学研究科が推進する「国際異分野共同による教育研究を核とする国際社会人共同博士号取得拠点の形成-日本版大学院高等教育システムの海外展開-」と連携して、10月17日にベトナム・ホーチミン市で意見交換会(Study in Japan Global Network Project Meeting in Ho Chi Minh City)を開催しました。

佐野寛理事・副学長(教育担当、国際担当)参加の下、ミャンマーやベトナムの大学関係者と意見交換をするとともに、ヤンゴンの鳥越麻美コーディネーター、ホーチミンの津波優コーディネーターが事業紹介を行いました。ミャンマーからはヤンゴン大学、ヤンゴン経済大学、マンダレー大学の参加があったほか、国立六大学からは長崎大学の参加もありました。参加者による大学紹介、日本留学の状況などの報告があった後、カンボジアの王立プノンペン大学の代表者とも情報交換しました。


翌日からはASEAN大学連合(AUN)によるThe 8th ASEAN+3 Heads of International Relations Meetingに国立六大学の金沢大学、長崎大学、新潟大学とともに参加し、釣雅雄グローバル・パートナーズ副センター長が本学や国立六大学および日本留学海外拠点連携事業の紹介をしました。日本留学海外拠点連携事業で国立六大学と連携して実施しているAcademicセミナーなどが関心を集め、本学事業のASEAN拡充への着実な進展に向けての足がかりとなりました。


2020年には、国立六大学連携コンソーシアムの加盟校である金沢大学がAUN+3学長会議を開催する予定となっています。本学は国立六大学とともに、ASEAN地域でのプレゼンス向上をはかり、より多くの優秀な学生が本学に来ることを目指しています。


●国立六大学連携コンソーシアム
国立六大学(岡山大、千葉大、新潟大、金沢大、長崎大、熊本大)が、教育・研究・国際などに関する事業を連携・協力して推進しています。

ASEAN大学連合
1992年第4回のASEANサミットの提案により、1995年に設立された国際大学連合。2013年、国立六大学連携コンソーシアムはASEAN大学連合とパートナーシップ協定を締結し、学生交流の活発化や国立六大学の国際化に取り組んでいます。

●「国際異分野共同による教育研究を核とする国際社会人共同博士号取得拠点の形成-日本版大学院高等教育システムの海外展開-」は、本学と国際交流協定を持つ指定校から博士号未取得の若手教員を本学博士後期課程に受け入れ、日本型大学院教育を受けた本学出身の次世代リーダー養成を目指しています。

●本学は、2014年9月より留学コーディネーター配置事業(ミャンマー)に取り組んでいます。2018年4月からは
日本留学海外拠点連携推進事業となり、対象がASEAN全域に拡大されました。OJEICをヤンゴンに設置して、日本留学促進のための事業を行っています。


【本件問い合わせ先】
グローバル・パートナーズ 副センター長 釣 雅雄
TEL:086-251-7541




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8023.html

【情報発信】経済学部第1回ECBO合同報告会で学生の海外研修成果を発表

岡山大学経済学部は10月29日、ECBO (Economics Cross-Border Study)プロジェクトの第1回海外研修合同報告会を中央図書館本館3階セミナー室で開催しました。

ECBOは、経済学部が主催する留学・海外研修プログラムの総称です。報告会では、今夏実施したシンガポール研修、フランス研修、台湾・開南大学短期留学、ブルネイ・ダルサラーム大学短期留学、北京での研修プログラム「隣人を知ろう!」の各プログラムに参加した学生たちが、現地調査の結果や体験談などを報告しました。

佐野寛理事・副学長(教育担当、国際担当)のあいさつの後、シンガポール研修に参加した学生たちの3チームがそれぞれの調査テーマ(食と文化、ホーカーズ、統合型リゾート施設)の両国比較について、シンガポール国立大学の学生たちとの議論を盛り込んで発表。

フランス研修に参加した2チームの学生たちは、ヴィシーのクレルモン・オーベルニュ大学で提供されたプログラムとパリの企業訪問などについて報告しました。
台湾・開南大学およびブルネイ・ダルサラーム大学に短期留学した学生たちは、現地大学で提供されたプログラムについて紹介。
北京で「隣人を知ろう!」のプログラムに参加した学生2チームは、中国・中央財経大学、韓国・江原大学校の学生たちとの交流や現地で感じたことについて語りました。

報告会には、さまざまな部局から多くの教員が参加し、活発な質疑応答が行われ、最後に張星源学部長が参加者への謝辞を述べました。異なるプログラムの参加者たちが一堂に会することで、それぞれが海外で一歩前に踏み出したことを知り、互いに良い刺激を受けた報告会となりました。
 

【本件問い合わせ先】
経済学部教務学生グループ
TEL : 086-251-7365



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/news/news_id8025.html