2019年8月30日金曜日

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.70「Prosthetics for Retinal Stimulation」 発行

岡山大学は7月29日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.70を発行しました。

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院ヘルスシステム統合科学研究科の松尾俊彦准教授大学院自然科学研究科(工学系)高分子材料学研究室の内田哲也准教授らの医工連携研究が進めている、岡山大学方式人工網膜「OURePTMについて、ラット変性網膜に活動電位を発生させることを初めて示した研究成果について紹介しています。

岡山大学方式の人工網膜OURePTMは、色素結合薄膜型の人工網膜であり、2013年にアメリカで販売開始されたカメラ撮像・電極アレイ方式とはまったく異なる技術の“世界初の新方式”の人工網膜です。現在、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と薬事戦略相談を積み重ね、実用化を目指して開発を進めています。

今回、松尾准教授らはヒトの網膜色素変性と同じ網膜変性を来すラットから変性した網膜組織を取り出し、電極シャーレに置いて神経細胞の活動電位を記録する方法を確立しました。また、光電変換色素を結合したポリエチレン薄膜の人工網膜を、摘出したラットの変性網膜組織の上に乗せて光を当てると、神経細胞の活動電位を発生させることを初めて示しました。

これらの研究成果は、松尾准教授らの人工網膜の有効性を改めて示し、医師主導治験の実施に向けた確実な階段をまた一歩上がりました。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した、「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。今後も強みある医療系と異分野融合から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術、健康維持増進へより早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.70:
Prosthetics for Retinal Stimulation


<Back Issues:Vol.62~Vol.69>
Vol.62:
3D tissue model offers insights into treating pancreatic cancer (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授&大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)田中啓祥助教)
Vol.63:
Promising biomarker for vascular disease relapse revealed (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)渡辺晴樹助教、佐田憲映准教授)
Vol.64:
Inflammation in the brain enhances the side-effects of hypnotic medication (岡山大学病院薬剤部 北村佳久准教授)
Vol.65:
Game changer: How do bacteria play Tag? (大学院環境生命科学研究科(農学系)田村隆教授)
Vol.66:
Is too much protein a bad thing? (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)
Vol.67:
Technology to rapidly detect cancer markers for cancer diagnosis (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 紀和利彦准教授)
Vol.68:
Improving the diagnosis of pancreatic cancer (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)岡田裕之教授、松本和幸助教)
Vol.69:
Early Gastric Cancer Endoscopic Diagnosis System Using Artificial Intelligence (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)河原祥朗教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
 ・
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp



【情報発信】高口豊准教授に岡山大学「研究教授」の称号を付与

岡山大学は大学院環境生命科学研究科有機機能材料学分野の高口豊准教授を7月10日に研究教授として選任し、8月21日に研究教授の称号付与式を本学学長室にて開催しました。付与式では、那須保友理事(研究担当)・副学長の立ち合いのもと、槇野博史学長が高口准教授に研究教授の称号を付与しました。

高口研究教授は、太陽光とカーボンナノチューブ光触媒を利用した水分解によるCO2フリーの水素製造に関する研究を行っており、その研究成果は水素社会を支えるクリーンな水素エネルギー製造法として期待されます。




詳しい研究内容についてはこちらをご覧ください。


◯研究教授制度について
重点研究分野の推進および学術研究拠点、社会実装拠点づくりを進めていく上で、優れた研究者の参加を得て、高い成果を挙げることや、そうした活動をするための研究費(外部資金)の獲得がますます重要となっています。こうした背景から本学では、優れた研究実績があり、研究代表者(PI:Principal Investigator)として外部資金を獲得して研究マネジメントを行っている准教授に対し、新たに「研究教授」(英文名称:Research Professor)の呼称を付与する制度を設け、2018年10月から開始しています。
詳細はこちらをご覧ください。


◯これまでに研究教授の称号を付与された者(所属は付与時のもの)
河原伸幸 大学院自然科学研究科(工学系)
佐藤伸 異分野融合先端研究コア
仁科勇太 異分野融合先端研究コア
宮地孝明 自然生命科学研究支援センター
宝田剛志 大学院医歯薬学総合研究科(医学系)
平木隆夫 大学院医歯薬学総合研究科(医学系)


 【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)室
TEL:086-251-8930
HP:
http://ura.okayama-u.ac.jp/



【情報発信】光が創る新しい炭素材料 -酸化グラフェンの光による酸素除去メカニズムを解明-

光が創る新しい炭素材料 -酸化グラフェンの光による酸素除去メカニズムを解明-


◆発表のポイント
  • 酸化グラフェンに光を照射すると酸素が除去されるメカニズムを初めて明らかにしました。
  • 光照射による物質の変化を1兆分の1秒の時間で追跡できる複数の計測手法と理論計算を駆使し、メカニズムの解明につなげました。
  • センサーや蓄電池などのデバイス応用からドラッグデリバリーなどのバイオ応用まで、幅広く役立つ、新しい機能を持った炭素二次元シートの合成につながります。
 
 
筑波大学数理物質系(前所属・岡山大学大学院自然科学研究科)の羽田真毅准教授、岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太研究教授、九州大学大学院理学研究院の恩田健教授らは共同で、酸化グラフェンに光を照射することにより酸素が除去されるメカニズムを解明することに成功しました。
 
酸化グラフェンは、次世代材料として期待されている炭素二次元シート(炭素からなるナノメートルオーダーの厚みの材料)の原料物質です。安価で大量に入手しやすい黒鉛から合成できます。
 
しかし、酸化グラフェンはそのままでは電気を流さないため、電子デバイスなどに応用する際には、酸素を適切に除去する必要があります。除去には、光の照射や加熱が用いられますが、そのメカニズムは十分に解明されておらず、望みの機能を持った炭素二次元シートを作製する方法は定まっていませんでした。
 
加熱による酸素除去では、一酸化炭素や二酸化炭素の形で酸素が除去されるような複雑な化学反応が進行し、特定の酸素原子のみを除去することはできません。一方、光照射による酸素除去は、酸化グラフェン中にさまざまな形で結合している酸素原子のうち、特定の結合をしている酸素原子のみが除去されることが本研究により明らかになりました。このような光による選択的な酸素除去を活用すれば、望みの構造を持つ炭素二次元シートを効率的に合成することにつながると期待されます。
 
本研究成果は、米国東部標準時の8月27日午前0時(日本時間同日午後2時)付で、アメリカ化学会の学術誌「ACS Nano」で公開されました。
 
 
 

図1:黒鉛(左)と酸化グラフェン(中央)とグラフェン(右)の構造。黒鉛から酸化グラフェンが合成され、酸化グラフェンから酸素が除去されるとグラフェンに近い構造へと変化します。




■論文情報
論文名:Selective Reduction Mechanism of Graphene Oxide Driven by the Photon Mode , versus the Thermal Mode掲載紙:ACS Nano
著 者:羽田真毅*、宮田潔志、大村訓史、嵐田雄介、一柳光平、片山郁文、鈴木貴之、陳望、溝手翔太、佐和孝嘉、横谷尚睦、瀬木利夫、松尾二郎、徳永智春、伊東千尋、鶴田健二、深谷亮、野澤俊介、足立伸一、武田淳、恩田健*、腰原伸也、林靖彦、仁科勇太*D O I:10.1021/acsnano.9b03060

<詳しい研究内容について>
光が創る新しい炭素材料-酸化グラフェンの光による酸素除去メカニズムを解明-


 <お問い合わせ>
羽田 真毅(はだ まさき)
筑波大学 数理物質系 
エネルギー物質科学研究センター(准教授)
〒305-8572 茨城県つくば市天王台1-1-1
Tel: 029-853-5289

仁科 勇太(にしな ゆうた)
岡山大学 異分野融合先端研究コア(研究教授)
〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1
Tel: 086-251-8718
 
恩田 健(おんだ けん)
九州大学大学院理学研究院(教授)
〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡744
Tel: 092-802-4170


 

【情報発信】マレーシアで、日本の大学での研究の魅力を伝える「Academicセミナー」を開催

岡山大学は8月2日、マレーシアのマレーシアプトラ大学でAcademicセミナーを開催しました。

当セミナーは、文部科学省より委託されている日本留学海外拠点連携推進事業(ASEAN)の一環で、日本の大学での研究の魅力を伝えることを目的としたもので、マレーシアにおいては初の開催です。当日は、学生や教員など128人が参加。マレーシアプトラ大学大学院副院長のルスリ・ビン・ハジャ・アブドゥル教授(Prof. Dr. Rusli Bin Hj Abdullah)の歓迎のあいさつで開会し、本学から参加した講師らが講演。個別相談ブースにも多くの学生らが訪れ、日本留学に関することや今後のキャリアプランについて質問がありました。

今回のセミナー前後には、本学から参加した講師らが国民マレーシア大学やマレーシア日本国際工科院、マレーシア元留日学生協会(JAGAM)などを訪問し、本事業の取り組みについて紹介。マレーシアにおける今後のセミナー開催に向けて、意見交換を行いました。

マレーシアは、経済水準が高まっており、日本への関心が高いことから、日本留学者数が増加することが見込まれ、本事業では引き続き、日本留学支援を続けていきます。

●日本留学海外拠点連携推進事業(東南アジア) 
岡山大学は、2014年9月より留学コーディネーター配置事業(ミャンマー)に取り組んでいます。2018年4月からは日本留学海外拠点連携推進事業となり、対象がASEAN全域に拡大されました。ミャンマーに設置されている岡山大学日本留学情報センター(OJEIC)を中心に、日本留学促進のための事業を行っています。


 <セミナー講師(分野)>
 村田 芳行 大学院環境生命科学研究科教授(植物生理学)
稲森 岳央 グローバル人材育成院准教授(農業開発)
津波 優  大学院環境生命科学研究科チーフコーディネーター(国際社会人共同博士号取得プログラム)
鳥越 麻美 OJEIC日本留学コーディネーター(日本留学説明)

【本件問い合わせ先】
国際部国際企画課
TEL:086-251-7038


【情報発信】文部科学省 新学術領域(研究領域提案型)「出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明」が発足

文部科学省 新学術領域(研究領域提案型)「出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明」が発足

 
2019年08月30日
 
新学術領域研究(研究領域提案型)「出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明」(2019~2023年度)が、岡山大学大学院社会文化科学研究科・松本直子教授を代表として発足しました。

本プロジェクトは、認知・脳・遺伝の最新研究成果をもとに、私たち人間が文明を生み、繁栄のための人工的環境を地球全体に張りめぐらすにいたった理由・メカニズムを解明し、さらに未来の展望を示す、新世代の人類史学を構築するものです。それぞれ独立して展開した文明の形成過程を比較分析できる「歴史の実験的観察」の場として、ユーラシア大陸の先のアメリカ大陸・日本・オセアニアの3地域を対象とします。

3地域の人工的環境が、人間の身体・心との相互作用として形成されていくプロセスを、考古学・民族学・遺伝学・脳科学の観察・実験・分析により「文明創出メカニズム」として復元します。

これは、物質/心、自然/文化、普遍性/多様性といった二元論的見方を超えた新世代パラダイムの研究領域「統合的人類史学」の構築であり、文・理の枠を無くした考古学・人類学・認知科学・脳神経科学・遺伝学・数理学・各種分析科学などの約50名のコアメンバーを核とした第一線の学際的研究者集団が、公募研究を募り、人材育成も図りつつ、5年間で総額10億6900万円の交付を受けて遂行します。


・本プロジェクトのWebサイト
出ユーラシアの統合的人類史学 - 文明創出メカニズムの解明 -


<詳しい発表内容について>
文部科学省 新学術領域(研究領域提案型)「出ユーラシアの統合的人類史学:文明創出メカニズムの解明」が発足


 <お問い合わせ>
岡山大学大学院社会文化科学研究科
 教授 松本直子
(電話番号)086-251-7519(研究室・FAX兼用)


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id657.html

2019年8月29日木曜日

【情報発信】岡山大学で開発した医療用針穿刺ロボット(Zerobot®)の初めての臨床試験を実施!10例全例で成功!

岡山大学で開発した医療用針穿刺ロボット(Zerobot®)の初めての臨床試験を実施! 10例全例で成功!


 
◆発表のポイント
  • 岡山大学において医工連携でがんの診断および治療に用いる医療用針穿刺ロボット(Zerobot®)を開発しました。
  • ロボットを用いて初めての臨床試験(First-in-human試験)を実施し、その有効性や安全性を確認したところ、実施した10例全てにおいて、ロボットによる針穿刺は成功し、不具合や重篤な有害事象もみられませんでした。
  • CTガイド下IVRにおいて、術者への放射線被曝が問題となっていましたが、遠隔操作で針を穿刺できるロボットの開発により、術者への放射線被曝を防ぐことが期待されます。
 
 
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の平木隆夫研究教授、大学院自然科学研究科の松野隆幸准教授、大学院ヘルスシステム統合科学研究科の亀川哲志講師らのグループは、2018年度に、岡山大学で開発したCTガイド下針穿刺ロボット(Zerobot®)を用いた人に対する初めての臨床試験(First-in-human試験)を実施しました。ロボットを用いた病理検査のための針穿刺の実施は、国内では初めてとなります。
 
2018年6月〜10月にかけて、腎臓、肺、縦隔、副腎、筋肉に腫瘍がある10例の患者に対して、事前に臨床試験について担当医から詳細な説明を行った後、ロボットを用いたCTガイド下穿刺を行いました。ロボットによる腫瘍への針穿刺は10例全例で成功しました。またロボットの不具合や重篤な有害事象はみられず、術中の医師へのCTによるX線被曝はありませんでした。
 
外科手術においては、内視鏡手術用ロボットがすでに国内で導入されていますが、針穿刺を行うロボットは国内でも例がありません。
 
本ロボット開発は、2012年より岡山大学が医工連携で行っているものです。臨床試験で使用したロボットは、2014~2016年度 厚生労働科学研究委託費(医療機器開発推進研究事業)(2015年度から日本医療研究開発機構へ移管)において開発したものです。また、試験は日本学術振興会科学研究費助成事業基盤研究(C)において実施しました。
 
本研究成果は、8月23日、ヨーロッパの科学雑誌「European Radiology」に掲載されました。


◆研究者からのひとこと
我々が長年かけて開発したロボットによる臨床試験が成功に終わってホッとしています。人の手で行う手技と違い、ロボットには様々な発展性があり、患者や医師に多くのメリットをもたらす可能性があります。今後は更に大規模な臨床試験(治験)を実施し、日本発・世界初の針穿刺ロボットの製品化を実現したいと思います。
平木研究教授


■論文情報
論文名:Robotic Needle Insertion during Computed Tomography Fluoroscopy-guided Biopsy: Prospective First-in-Human Feasibility Trial掲載紙:European Radiology
著 者:Hiraki T, Kamegawa T, Matsuno T, Sakurai J, Komaki T, Yamaguchi T, Tomita K, Uka M, Matsui Y, Iguchi T, Gobara H, Kanazawa S.D O I:10.1007/s00330-019-06409-z
U R L:
https://doi.org/10.1007/s00330-019-06409-z


<詳しい研究内容について>
岡山大学で開発した医療用針穿刺ロボット(Zerobot®)の初めての臨床試験を実施!10例全例で成功!


<お問い合わせ>
岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科
研究教授 平木隆夫
(電話番号)086-235-7313
(FAX)   086-235-7316

(AMED事業に関する問合せ先)
日本医療研究開発機構(AMED)
産学連携部医療機器研究課
(電話番号)03-6870-2213


2019年8月26日月曜日

【情報発信】教育研究に伴う著作権リスクとその対策 第1回知財フォーラム2019を開催

岡山大学研究推進機構産学連携・技術移転本部は8月22日、知的財産と関連する著作権について考える「第1回岡山大学知財フォーラム2019」を、津島キャンパス創立五十周年記念館で開催しました。

山口大学学長特命補佐・知的財産センター長の木村友久氏が、「教育研究に伴う著作権リスクとその対策」と題し、昨今の著作権をめぐる実例に基づいて聴講者との対話形式で講演。質疑応答では、参加者が現に直面している著作権問題について活発なやりとりがなされました。現実の問題への対応・対策に向けた筋道が見える、実り多いフォーラムとなりました。

<昨年度の知財フォーラム>
知財フォーラム2018 第1回:
金のタマゴ特許VS金喰い虫特許
知財フォーラム2018 第2回:研究者・研究支援者・学生にお伝えしたい~トラブルを起こさない 研究果実の正しい取り扱い方~

 【本件お問合わせ先】
研究推進機構 産学連携・技術移転本部
TEL:086-251-8417

 

2019年8月16日金曜日

【情報発信】第73回岡大サイエンスカフェ「高圧実験から解き明かす地球内部の流動」を開催

岡山大学研究推進機構は8月1日、本学の研究者が最新の科学を分かりやすく解説する「第73回岡大サイエンスカフェ」を創立五十周年記念館で開催しました。

今回は「高圧実験から解き明かす地球内部の流動」をテーマとし、本学惑星物質研究所の山﨑大輔准教授が登壇しました。講演では、人類が掘削できた距離は地球の大きさと比べるとほんのわずかであり、地球の内部を見た人間は誰もいないが、地球内部と同じ高温高圧条件を実験室で再現し、その条件で鉱物がどのような性質を表すのかを調べることで、地球内部の鉱物の流動特性について明らかにできると説明。鉱物の流動特性が判明すれば、地球内部の鉱物の流れ(マントル対流)についても明らかにすることができ、それが火山活動や地震のメカニズム解明につながると話しました。

講演には一般の方約110人が参加。いまだ人類が見ることがかなわない地球内部の真実に迫る内容に、興味深げに耳を傾けていました。

次回のサイエンスカフェは「SDGsサイエンスカフェ」と銘打ち、「気候変動下で頻発する水害から命を守る防災研究」および「医学・創薬研究を支える持続的な基盤としてのバイオバンクの確立」(いずれも仮題)をテーマとして、11月8日18時から開催します。参加を希望される方はこちらからお申し込みください。

 【参考】
岡山大学プレスリリース(2016.10.18)
地球内部に最も多いブリッジマナイトの結晶選択配向の決定 沈み込んでいくプレートの流れる方向を解明~火山や地震に影響を与えるマントルダイナミクスの解明に前進~

国立大学附置研究所・センター会議HP「人類未踏の地球内部へ 高圧発生装置でマントルの流動特性を解き明かす」山﨑准教授 研究紹介)

【本件問い合わせ先】
岡山大学研究推進機構 
TEL:086-251-7112


2019年8月15日木曜日

【情報発信】「三朝国際学生インターンプログラム2019」を開催 各国の学生が最先端研究を体験

岡山大学惑星物質研究所(鳥取県東伯郡三朝町)は、7月1日~8月8日、国内外の大学生や大学院生に、最先端の研究に参加してもらう「三朝国際学生インターンプログラム2019」を開催しました。

同プログラムは、国際的研究・教育の推進と次世代研究者育成を目的として、国内外の大学3~4年生や修士課程学生を対象に2005年度から毎年実施しています。これまで、すでに150人以上のインターン生を輩出し、その多くは現在世界各国で研究者として活躍しています。また、今年度からは、共同利用・共同研究の一環として実施しています。今年度は44カ国から157人の応募があり、アメリカ、カナダ、ロシア、日本の4カ国から6人の学生がインターン生に選抜されました。

インターン生は3つの最先端研究プロジェクトごとにグループに分かれ、教員や研究グループによる指導のもと、6週間に渡ってプロジェクトを実施しました。プログラムの最後に開催した発表会では、インターン生がグループごとに研究成果を発表しました。その後は、終了証授与式・送別会において、薛献宇所長より修了証が手渡され、和やかな雰囲気の中で所員と最後の交流を楽しみました。

参加したインターン生からは、「日本に来るのは初めてだったが、惑星物質研究所でとても有意義な体験ができて良い思い出となった」、「今回のプログラムを通じて得た知識・体験を自分の国に戻って活かしていきたい」、「このプログラムが継続的に実施されることを望みます」といった感想が寄せられました。

同プログラムを通じて、参加者は高度な実験・分析技術を体験するのみでなく、研究者としての最先端研究への情熱が育まれたことと思います。今後は研究者として活躍し、惑星物質研究所と世界との研究交流の架け橋になることが期待されます。

◯「三朝国際学生インターンプログラム2019」の研究プロジェクトは以下のとおりです。
1.Water in Martian and asteroidal basaltic meteorites
2.Heat transport in the Earth: Thermal conductivity measurement of ferropericlase under high pressure
3.Experimental and theoretical study of the incorporation mechanisms of halogens in serpentine minerals: Implications for the cycling of halogens during subduction

【本件問い合わせ先】
惑星物質研究所庶務担当
TEL: 0858-43-1215



2019年8月9日金曜日

【情報発信】キウイフルーツが紐解く「植物が性別を手に入れた進化の仕組み」

キウイフルーツが紐解く「植物が性別を手に入れた進化の仕組み」

 
2019年08月06日
 
◆発表のポイント
  • キウイフルーツの性別決定遺伝子の一つである「Friendly Boy」を発見しました。
  • キウイフルーツの二つの性決定遺伝子「Shy Girl」と「Friendly Boy」の成立過程を明らかにし、40年以上前に提唱されていた植物における性別の獲得進化理論を証明しました。
  • 人為的に「両性花」キウイフルーツを作出することに成功し、安定的な栽培への展開やこれまで出来なかった組み合わせによる育種が可能になると期待されます。
 
 
「性別」による有性生殖は生物の多様性を維持する最重要システムです。また、農業という観点から見ても、性別は作物の性表現として、栽培や育種など多くの場面で考慮するべき性質です。しかし、植物における性別の決定の仕組みやその成立過程は100年以上も謎に包まれています。
 
岡山大学大学院環境生命科学研究科(農) 赤木剛士准教授は、これまでキウイフルーツを用いた植物の性別決定の仕組みの解明に取り組んでおり、このたび、オス機能の制御を担う性別決定遺伝子を発見し、「Friendly Boy」と命名しました。
 
さらに、赤木准教授らの研究から既に見つかっていたメス機能の制御を担う「Shy Girl」遺伝子とともに、二つの遺伝子の成立過程を明らかにし、40年以上前から提唱されていた「植物が性別を手に入れる進化の仕組み」に関する理論の証明に至ることができました。また、本来は性別を持っているキウイフルーツにおいて、本研究で明らかになった性別決定遺伝子の組み換え・遺伝子編集を行うことで「人為的に両性花を作り出すこと」に成功しました。本研究の成果は今後、作物の性表現を自由自在に制御する技術へと発展していくと期待できます。
 
本研究成果は、日本時間8月6日午前0時(英国時間:8月5日午後4時)、英国の科学雑誌「Nature Plants」に掲載されました。
 
本研究は、香川大学農学部、京都大学大学院農学研究科、立命館大学グローバルイノベーション研究機構・ニュージーランドPlant & Food Research、カリフォルニア大学デービス校との共同研究として行われました。


◆研究者からのひとこと
私たちのチームでは柿やキウイフルーツなどの果物(果樹作物)を使って、植物における「花の性別決定」の仕組みを研究してきました。花の性別が変われば、実の様子もさまざまに変わります。みなさんの身の回りに「おかしな花、気になる実をつける」柿やキウイフルーツがあればぜひ教えてください。もちろん、それ以外の果物、野菜、花、なんでも大歓迎です。
赤木准教授
 
■論文情報
論 文 名:Two Y-encoded genes determine sex in kiwifruit
掲 載 紙:Nature Plants
著  者:Takashi Akagi, Sarah M. Pilkington, Erika Varkonyi-Gasic, Isabelle M. Henry, Shigeo S. Sugano, Minori Sonoda, Alana Firl, Mark A. McNeilage, Mikaela J. Douglas, Tianchi Wang, Ria Rebstock, Charlotte Voogd, Paul Datson, Andrew C. Allan, Kenji Beppu, Ikuo Kataoka, Ryutaro Tao
キウイフルーツが紐解く「植物が性別を手に入れた進化の仕組み」


 <お問い合わせ>
岡山大学 大学院環境生命科学研究科
准教授 赤木 剛士
(電話番号)086-251-8337

 岡山大学 総務・企画部 広報課
(電話番号)086-251-7292

<JSTの事業に関すること>
科学技術振興機構 戦略研究推進部
川口 哲
(電話番号)03-3512-3525
(Fax)03-3222-2064

科学技術振興機構 広報課
(電話番号)03-5214-8404
(Fax)03-5214-8432


2019年8月8日木曜日

【情報発信】中四国最大規模の新生工学部誕生へ 令和3年4月開設に向けて構想中

中四国最大規模の新生工学部誕生へ 令和3年4月開設に向けて構想中

 
2019年08月05日

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのデジタル技術の革新により社会のあり方が大きく変わろうとしている現代において、Society5.0の実現と、新たな産業を支える技術基盤の創出、およびSDGs(国連の持続可能な開発目標)の達成のため、工学系教育改革は喫緊の課題となっています。
 
この情勢を受け岡山大学では、幅広い視野をもち、社会課題を発見・解決できる創造的な工学系人材の育成を目指し、工学部と環境理工学部を再編して、新たな工学部を設置する構想を固め、細部の検討に入りました。令和3年4月の開設を予定しています。
 
「Society5.0 for SDGsの実践的教育」を特色としながら、数理データサイエンスのプロフェッショナル育成や、これまで本学になかった建築系の教育プログラムなどを盛り込んだ、入学定員610名の中四国地方最大規模の工学系学部となる予定です。両学部の特長を生かし、情報系や数理系など工学系諸分野の連携を図ることで、科学技術とイノベーションを担う人材を育成し、SDGsへの更なる貢献を目指します。
 

<詳しい発表内容について>
中四国最大規模の新生工学部誕生へ 令和3年4月開設に向けて構想中


添付資料


 <お問い合わせ先>
岡山大学総務・企画部広報課
(電話番号)086-251-7013
(FAX番号)086-251-7294


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id653.html