2019年6月7日金曜日

【情報発信】テラヘルツ波を用いた次世代電池評価装置の開発・商品化事業を加速 -電気自動車(EV)などに必要な高性能電池の普及へ-

◆発表のポイント
  • 中国経産局「戦略的基盤技術高度化支援事業」として岡山大学と協和ファインテック株式会社が共同で、テラヘルツ波を用いた次世代電池評価装置の開発・商品化を目指します。
  • 紀和利彦准教授が独自に開発したテラヘルツ波ケミカル顕微鏡のシーズ技術をもとに、全固体リチウムイオン電池(注3)などの内部の電位の様子を可視化する装置を開発します。
  • 電池の開発期間の大幅短縮が可能になり、電気自動車(EV)の普及加速が期待されます。
 
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科の紀和利彦准教授らの研究グループと協和ファインテック株式会社(岡山市東区金岡)はこれまで、テラヘルツ波を用いた次世代電池評価装置の開発・商品化に向けて共同研究を行ってきました。この度6月4日付で中国経産局「戦略的基盤技術高度化支援事業」に採択されたことを受け7月より、今後3年間での製品第一号機の開発をめどに研究開発を加速します。
 
開発する装置は、全固体リチウムイオン電池などの内部の電位の様子を動作下で可視化することができる新しい装置です。実現できれば、電池の開発期間を大幅に短縮することが可能になり、高性能電池を搭載することが必要な電気自動車(EV)の普及を加速することになります。電池開発メーカー、電池評価会社などへ供給する予定です。


◆研究者からのひとこと
産官学が一体となって革新的な計測装置を開発し、次世代電池に関わる新しい産業を創出して、地方創生に貢献します。
また、大学ではこのような研究を通して、全世界の課題であるエネルギー環境問題の解決に取り組みます。

紀和准教授


<詳しい研究内容について>
テラヘルツ波を用いた次世代電池評価装置の開発・商品化事業を加速 -電気自動車(EV)などに必要な高性能電池の普及へ-


<お問い合わせ>
岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科
准教授 紀和 利彦
(電話番号)086-251-8130
(FAX番号)086-251-8130


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id631.html

【情報発信】SDGsゴール11「住み続けられるまちづくりを」:その街の形を誰もがわかる言葉で表すことで社会実装が見えてくる~コレクティブ・インパクトで価値変化を体感できるまちづくりへのヒント~について佐藤URA・副理事が講演

2015年9月に国連本部で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals ; SDGs)」は、17のゴールと169のターゲットなどからなり、「誰一人取り残さない」世界の実現を目指しています。国内外で盛んにSDGsが取り組まれている中、岡山大学では、槇野博史学長が学長就任時に掲げた“槇野ビジョン”のもと、SDGsを大学経営の中核のひとつに据え、全学を挙げて地域などのさまざまなステークホルダーらとともにSDGsを強力に推進しています。そして、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」を受賞するなど、アカデミアにおいてSDGsを先導する大学として多方面で活躍しています。

今回、SDGsの17のゴールについて紐解き、個々のゴールにどのようにターゲットベースでSDGs達成に貢献して行くのかという点について議論する場が3月19日、都内で開催されました。

今回は、「ゴール11:住み続けられるまちづくりを」について取り上げる場となり、岡山大学東京オフィス駐在で本学SDGs推進企画会議委員である佐藤法仁URA・副理事(企画・評価・総務担当)[内閣府科学技術政策フェロー]が登壇。「その街の形を誰もがわかる言葉で表すことで社会実装が見えてくる ~コレクティブ・インパクトで価値変化を体感できるまちづくりへのヒント~」と題して講演を行いました。

SDGsゴール11は「住み続けられるまちづくりを:都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」とされており、私たちの生活や産業、さらには親や子など、世代に渡る点に直結する幅広い内容となっています。

今回のセッションで佐藤法仁URA・副理事は「まちづくり」における課題解決の試みを紹介する立場で登壇。まちづくりにおける課題の捉え方と、その解決への道筋において社会実装に至る際のポイントについて、事例を基に紹介。特にまちづくりにおける課題解決の方法として注目されている産学官民などのさまざまなステークホルダーらが強みを持ちあい、また補完しつつ共創のもと、より良い実行性のある形に持って行く「コレクティブ・インパクト(Collective Impact)」について触れ、その中で行動や体感に良い変化をもたらす社会実装の重要性について紹介しました。

登壇した佐藤法仁URA・副理事は「まずしなければならないのは、そのまちづくりにおける課題について、フワっとした抽象的・感覚的なものではなく、誰もがわかる言葉に落とし込むことが大切である。形成された“誰もがわかる言葉”、つまり課題の根源について、それを解決するための手法をコレクティブ・インパクト(Collective Impact)を用いて社会実装まで作り込むこと。その際には、いま流行りのテック系(テクノロジー)での社会課題解決だけが主ではないこと。また、社会実証止まりにならない人・物・金・場のロードマップ(時間軸)とその実装によって価値の変化を体感できることが重要である。そういう行動の変化を促す連続的な価値提供の社会実装が、そのまちに新陳代謝を生む。さらにそれを群発的にいろいろなまちで行うことで、より大きな価値の変化を体感できることになる」と述べ、事例をもとに紹介しました。
さらにSDGsに照らし合わせ、その取り組みが海外を含めた横展開できるパッケージとして枠組みを作れるとより良い形になるともコメント。参加した自治体やNPO・NGOなどの関係者らとともにコレクティブ・インパクト形成の仕組みや行動科学に基づいた価値転換の効果的なやり方、さらには限界集落などにおける展開のあり方などについて、活発な議論とアイデア出しなどが行われました。

岡山大学のある岡山地域では、県庁所在地で政令指定都市でもある岡山市やその周辺の倉敷市などは都市部としてのまちがあり、県北には里山や山間部に位置するまちもあり、多様性を持ち合わせています。もちろん限界集落に区分される地域もあります。課題を解決する中で、アイデアソン協議体医療連携推進など、さまざまなステークホルダーらとともに課題をわかりやすい言葉に落とし込み、総合研究大学としての力をその課題に適応させ、課題解決に至る社会実装への取り組みを協働で行っています。今後も、現在と近い将来だけはなく、海外への横展開や次世代にも渡る長い枠組みでの価値提供にもつながっていく社会実装を精力的に進めて行きます。


〇参考
SDGs転換:アカデミアとSTI for SDGs 佐藤法仁URA・副理事がシンポジウム「SDGsを実現するためのイノベーション・エコシステム」に登壇(2018年7月11日)

「社会貢献活動から本業へのSDGs転換 ~SDGsターゲットを明確にした事業構想~」について佐藤法仁URA・副理事が講演(2018年11月12日)

SDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」:~well-beingな世界の実現にMedTechは何ができるのか~について佐藤法仁URA・副理事が講演(2019年1月15日)

SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」:教育研究が価値創造を実践する新たなステージが到来~自らの域を越えるパラダイムシフトへの挑戦~について佐藤法仁URA・副理事が講演(2019年2月5日)

SDGsゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」:SDGsスタートアップの力をSTI for SDGsへ ~リバース・イノベーションで社会実証から社会実装に至るヒント~について佐藤法仁URA・副理事が講演(2019年3月4日) 
 

 【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)室 [岡山大学東京オフィス]
TEL:03-6225-2905


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コレクティブ・インパクトで価値変化を体感できるまちづくりへのヒントについて講演した佐藤法仁URA・副理事
 
第1回「ジャパンSDGsアワード」.png
 
 
岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」を受賞しています。

 


【情報発信】赤木剛士准教授(農)が文部科学大臣表彰を受賞

日本の科学技術の発展に寄与する独創性の高い研究や開発を行った研究者を称える「平成31年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」の受賞者が決まり、科学技術賞若手科学者賞に本学大学院環境生命科学研究科(農学系)の赤木剛士准教授が選ばれました。4月17日、文部科学省(東京都千代田区)で表彰式が行われました。

赤木准教授は「被子植物の性決定進化に関する研究」で、文部科学省、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の推薦をもとに受賞しました。赤木准教授は、主に果実・花を用いて、農産物の価値に関与するさまざまな重要形質を扱い、人為的にそれらの制御を行う技術の開発を目指しています。園芸作物の花器官における多様な「性決定・性表現」の制御機構や、果実の形状・生理障害に関する研究を行うとともに、ディープラーニング(AI)技術の適用による青果物の品質判断・嗜好性に寄与する要因の解明にも挑戦しています。

岡山大学は、平成25年8月に文部科学省が全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)の一つであり、世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」を目指しています。赤木准教授をはじめとする若手研究者の育成を進めると共に、最先端の研究成果をより迅速・効果的に社会に届けるように積極的に推進していきます。

【本件問い合わせ先】
大学院環境生命科学研究科(農学系) 准教授 赤木剛士
TEL:086-251-8337


【情報発信】世代を超えたSDGs推進を!「SDGsユースプロジェクト」始動

岡山大学は、槇野ビジョンのもと国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を大学の柱のひとつに置き、全学を挙げて取り組んでいます。SDGsは、さまざまなステークホルダーらと共に目標のゴールを目指すものであり、世代を超えたつながりも重要なものとなるため、若い世代と共にSDGsを考え、その多様なアイデアや意見を本学のSDGs活動に組み込んでいます。今回、小村俊平学長特別補佐発案の、SDGsで高校生をつなぐ全国プロジェクト「SDGsユースプロジェクト」が本学東京オフィス協同のもと始動。キックオフとなる第1回イベントを4月17日、東京オフィス(東京都港区)にて開催しました。

今回はSDGsのゴール16「平和と公正をすべての人に」をテーマに、各地の34人の高校生が参加。ゲストとして、社会活動家の森下雄一郎氏が登壇しました。森下氏はプロバスケットボール選手としてアメリカで活躍し、その後は世界を回り、平和社会の実現や地方活性化などの活動を盛んに実施しており、これまでの経験を通して感じたこと、学んだことについて実例をもとに参加した高校生らに語り掛けました。本学のSDGs推進本部の狩野光伸副理事・教授らも参加し、高校生らと共に世代を超えて、森下氏のトークを基にした平和な社会のあり方について議論を深めました。異なる学校から集まった高校生らと共にディスカッションタイムも実施。高校生らは初めて出会う他校の参加者と臆することなく、自分の感じたものを言葉にし、また他の人の意見に傾聴して、新たな知識に触れていました。


また会場では、講演やディスカッションの内容をイラストで図式化していくグラフィック・ファシリテーションも行われました。目に見えない言葉を図式化することで、よりわかりやすく物事を捉えることができ、参加者からは「わかりやすい!」と好評でした。
主催した小村学長特別補佐は、「複数の学校が集まり、社会人ゲストと対話する場は、高校生・社会人の双方にとって大きな刺激となります。SDGsをテーマにさまざまな人が対話し、学びあう場を作ることは、大学がその社会的な役割を果たすうえでも大きな意味があります」とコメント。今後も世代を超えたSDGsのイベントを精力的に開催し、さまざまなステークホルダーらと共にSDGsの目標達成に向けての歩みを着実に進めて行くことの重要性を述べました。 


本学では引き続き教育・研究・社会貢献の面において、全学を挙げてSDGsを推進し、多様なステークホルダーとさらなる連携を深めていきます。さらにこれまで培ってきた岡山大学ならびに岡山の地での特色ある取り組みを継続しつつ、169のターゲットベースでクリアーできるようにアカデミアの旗手として強力かつ、着実に推進していきます。

【本件問い合わせ先】
岡山大学東京オフィス
TEL:03-6225-2905


岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。


【情報発信】SDGsゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」:SDGsスタートアップの力をSTI for SDGsへ~リバース・イノベーションで社会実証から社会実装に至るヒント~について佐藤URA・副理事が講演

2015年9月に国連本部で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals ; SDGs)」は、17のゴールと169のターゲットなどからなり、「誰一人取り残さない」世界の実現を目指しています。国内外で盛んにSDGsが取り組まれている中、岡山大学では、槇野博史学長が学長就任時に掲げた“槇野ビジョン”のもと、SDGsを大学経営の中核のひとつに据え、全学を挙げてさまざまな業界や地域などのステークホルダーらと共にSDGsを強力に推進しています。そして、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」を受賞するなど、アカデミアにおけるSDGsを先導する大学として多方面で精力的に活躍しています。

今回、SDGsの17のゴールについて紐解き、個々のゴールにどのようにターゲットベースでSDGs達成に貢献して行くのかという点について議論する場が3月4日、都内で開催されました。

今回は、「ゴール9:産業と技術革新の基盤をつくろう」について取り上げる場となり、岡山大学東京オフィス駐在で本学SDGs推進企画会議委員である佐藤法仁URA・副理事(企画・評価・総務担当)[内閣府科学技術政策フェロー]が登壇。「SDGsスタートアップの力をSTI for SDGsへ ~リバース・イノベーションで社会実証から社会実装に至るヒント~」と題して講演を行いました。

SDGsゴール9は「産業と技術革新の基盤をつくろう:レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」とされており、私たちの生活や産業に直結する内容となっています。

今回、佐藤法仁URA・副理事は創業に関する点について、SDGsに関わるスタートアップを「SDGsスタートアップ」として焦点を当てるとともに、キラリと光る技術力(テクノロジー)を用いて既存産業のさらなる成長や新規事業としての技術革新を起こそうとしているSDGsスタートアップについて、国内外の事例をもとに紹介。海外の事例では特にt中国やアフリカなどの地域における取り組みについて、それを他国に転換するリバース・イノベーションの事例についても触れました。
また本邦でのSDGsの取り組みも、その街や地域だけで通用するものではなく、わが国の他地域や特に世界の同じ課題を抱える地域に横展開できる「逆リバース・イノベーション」の手法も重要である点について事例を基に紹介しました。 

登壇した、佐藤法仁URA・副理事は「科学技術、特に学術・学問としての基礎研究とイノベーションは別物であり、これらを混在して物事を進めてはならない。STI for SDGsの場合、基礎研究をイノベーションに繋げる橋渡し役のひとつとして、SDGsスタートアップがあるかもしれない。このSDGsスタートアップが活躍できるフィールド、特に社会実証ではなく、社会実装の場においても共創できるフィールドの整備が必要である。そしてそのフィールドから世界に展開できるプラットフォームの再整備するなどの試みも必要である」とコメント。講演での事例などをもとに、SDGsのゴール9におけるSDGsスタートアップの可能性やわが国における新たな試みやそれに繋がるヒントなどを紹介。参加者らと共に熱心な意見交換を行いました。

岡山大学は総合研究大学として、他分野に渡る研究力を有し、特に社会課題解決のための研究や科学も実施しています。また準備中の「オープインイノベーション機構」においても社会に新たな価値を提供する取り組みを実施予定です。引き続き、社会課題解決の遺伝子が培われて来た岡山の地から、SDGsをもとに社会のパラダイムシフトを起こす挑戦を精力的に進めて行きます。


〇参考
SDGs転換:アカデミアとSTI for SDGs 佐藤法仁URA・副理事がシンポジウム「SDGsを実現するためのイノベーション・エコシステム」に登壇(2018年7月11日)

「社会貢献活動から本業へのSDGs転換 ~SDGsターゲットを明確にした事業構想~」について佐藤法仁URA・副理事が講演(2018年11月12日)

SDGsゴール3「すべての人に健康と福祉を」:~well-beingな世界の実現にMedTechは何ができるのか~について佐藤法仁URA・副理事が講演(2019年1月15日)

SDGsゴール4「質の高い教育をみんなに」:教育研究が価値創造を実践する新たなステージが到来~自らの域を越えるパラダイムシフトへの挑戦~について佐藤法仁URA・副理事が講演(2019年2月5日)
 
 【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)室 [岡山大学東京オフィス]
TEL:03-6225-2905

 
 
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STI for SDGsにおけるSDGsスタートアップの活躍とリバース・イノベーションのヒントについて講演した佐藤法仁URA・副理事
 
第1回「ジャパンSDGsアワード」.png
 
 
岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」を受賞しています。


http://ura.okayama-u.ac.jp/topics/archives/20190304-sdgs%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB9%E3%80%8C%E7%94%A3%E6%A5%AD%E3%81%A8%E6%8A%80%E8%A1%93%E9%9D%A9%E6%96%B0%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%9B%A4%E3%82%92%E3%81%A4%E3%81%8F%E3%82%8D%E3%81%86%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E4%BD%90%E8%97%A4ura%E3%83%BB%E5%89%AF%E7%90%86%E4%BA%8B%E3%81%8C%E8%AC%9B%E6%BC%94/

【情報発信】トリノ大学アヤニ学長らが岡山大学を訪問:国際連携強化のための会合を開催

イタリアのトリノ大学のジャンマリア・アヤニ学長が、ロレンザ・オペルチ副学長(教育・国際担当)、ジャンルカ・コチ東アジア連携アドバイザーと共に5月11日、本学を訪れ、那須保友理事(研究担当)・副学長や古矢修一副理事(研究担当)および本学教員らと、両学の今後の交流および国際連携の強化について意見交換を行いました。

本学は同大学と2016年に大学間協定を、2018年には学生交流協定を締結しています。国際連携強化に向けた今回の会合では、那須理事とベルナール・シュヌヴィエ特任教授・特別URAが本学の国際研究戦略や取り組みを説明。アヤニ学長が同大学の研究・国際戦略について紹介し、「東アジア、特に日本とのパートナーシップ強化を一層図りたい」と話しました。

異分野基礎科学研究所の鈴木孝義教授は、今春から大学院自然科学研究科を中心に実施している「インターナショナル・マスターコース(IMAC)」について説明。トリノ大学との国際共同の研究プロジェクトを実施している大学院社会文化科学研究科の松本直子教授は、考古学分野を中心としたトランスディシプリナリーなプロジェクトであり、トリノ大学を代表とする欧州6研究機関・企業が参画するホライズン2020ライズプログラム”BE-ARCHAEO”について、その取り組みと、2月20日に開催されたキックオフミーティングおよびシンポジウムを紹介しました。また、異分野基礎科学研究所の野原実教授、中性子医療研究センターの松浦栄次教授と大学院環境生命科学研究科の守屋央朗准教授が、今後の共同研究の発展に向け研究紹介を行いました。


本学は、研究大学強化促進事業およびスーパーグローバル大学の選定校として、海外の大学研究機関との学術交流協定締結を強化しており、トリノ大学と本学はこれまで研究者間の共同研究や学生交流を行ってきました。この訪問により、これまでの活動成果を確認するとともに、今後もさらなる交流の発展が期待されます。

【本件問い合わせ先】
研究推進機構 教授、特別URA
ベルナール・シュヌヴィエ(Bernard Chenevier)
TEL:086-251-8917



【情報発信】人工知能(AI)を用いた早期胃がん内視鏡診断システムを開発

◆発表のポイント
  • 人工知能(AI)を用いた早期胃がんの内視鏡深達度診断システムを開発しました。
  • 早期胃がんの深達度診断は治療法を決定する上で重要ですが、個々の医師の経験に基づいて行われており、診断能は医師によりバラツキがあります。
  • 本システムにより個々の内視鏡医の診断能に頼っている現況が大きく改善され、より確実な治療法の選択に寄与できると思われます。

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科の河原祥朗教授(実践地域内視鏡学)、大学院ヘルスシステム統合科学研究科の相田敏明講師、岡山大学病院消化器内科の濱田健太医師、株式会社両備システムズIoT、AI事業推進室の研究グループは人工知能(AI)を用いた早期胃がんの内視鏡診断システムを開発しました。これらの研究成果は5月31日に東京で開催される日本消化器内視鏡学会総会で発表予定です。

早期胃がんの治療法には、胃を温存できる内視鏡治療(ESD)と胃切除が必要な外科的治療があります。その選択には病変の正確な深達度診断が必要ですが、施行医が画像を見て経験に基づいて診断を行っているのが実情です。個々の医師によりその診断能にはバラツキがあり、本来の適応でない治療法が選択されることも稀ではありません。本システムを用いることで、その診断能の均一化、正診率の向上、確実な治療法の選択が期待されます。


◆研究者からのひとこと
医療分野においても人工知能の応用は非常にホットな話題であり、多くの研究機関において開発競争がなされています。世界でも有数の内視鏡治療症例数を誇る岡山大学病院のデータを使って開発した人工知能は、日本のみならず世界の内視鏡診断に変革をもたらすものと期待しています。
河原教授


<詳しい研究内容について>
人工知能(AI)を用いた早期胃がん内視鏡診断システムを開発


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
実践地域内視鏡学講座
教授 河原 祥朗
(電話番号)086-235-7219
(FAX)086-225-5991


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id629.html

【情報発信】Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.67「Technology to rapidly detect cancer markers for cancer diagnosis」 発行

岡山大学は4月29日、岡山大学の強みのひとつである医療系分野の研究成果について、革新的な技術に橋渡すことのできる基礎研究や臨床現場、医療イノベーションなどに結びつく成果などを英語で世界に情報発信するWebレター「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」のVol.67を発行しました。

2012年より岡山大学では、研究成果や知的財産、技術移転活動などを英語で情報発信するWebマガジン「Okayama University e-Bulletin」を年3~4回発行。世界の大学・研究機関の研究者やマスコミ関係者などにニュースやトピックスを交えて配信し、岡山大学の海外への情報発信の強化と国際的知名度の向上などを推進しています。

OU-MRUは、e-Bulletinの姉妹誌として、岡山大学の強みある医療系分野とその融合分野などの更なる増強と本学研究者が同分野で発表したイノベーティブな研究成果を世界にタイムリーに発信するために発行しています。

本号では、大学院ヘルスシステム統合科学研究科先端医用電子工学研究室の紀和利彦准教授らのテラヘルツ波ケミカル顕微鏡を用いて乳がん細胞の高感度検出に成功した成果について紹介しています。

がんマーカーを用いた早期診断は、低侵襲かつ迅速簡便な診断方法として期待されています。がんマーカーの検出のためには、特定のがんマーカーを認識し、結合する物質の開発が重要です。一方で、岡山大学とケベック先端科学技術大学院大学(INRS、カナダ)は、2016年に大学間協定を締結し、岡山大学の開発した「テラヘルツ波ケミカル顕微鏡」の高精度化と産業応用探索を行ってきました。

今回、紀和准教授らのグループは、INRSとカールトン大学が新規に開発した、乳がんを選択的に認識するアプタマー※1をテラヘルツ波※2ケミカル顕微鏡に適用することで、1mL中に含まれるわずか10個の乳がん細胞を高感度に検出することに世界ではじめて成功しました。これは、テラヘルツ波ケミカル顕微鏡を用いた高感度がん細胞検出が可能であることを、はじめて実証できたといえます。今回のこの成果により、がん早期診断に必要な新規がんマーカーの開発、新薬の開発に大きく貢献することが期待されます。

岡山大学は、2013年8月に文部科学省がわが国のさらなる大学研究力向上や国際的な研究競争力強化等のために全国の大学・研究機関から選定した「研究大学強化促進事業」の選定大学(国内19大学)です。世界で研究の量、質ともに存在感を示す「リサーチ・ユニバーシティ(研究大学):岡山大学」の構築のため、強みある分野の国際的な情報発信を力強く推進しています。
今回の紀和准教授とINRSの尾崎恒之教授らの国際共同研究も同事業などにおいて連携を強化させ、イノベーティブな成果を生み出し、社会に新たな価値を提供することができています。今後も強みある医療系と異分野融合から生み出される成果を社会や医療現場が求める革新的技術、健康維持増進へより早く届けられるように研究開発を推進していきます。

なおOU-MRUは、文部科学省「研究大学強化促進事業」の一環として実施されています。

※1 アプタマー
 特定の細胞を認識し、結合する物質のこと。

※2 テラヘルツ波
 1テラヘルツ=1兆ヘルツの電磁波のこと。

Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU) Vol.67:
Technology to rapidly detect cancer markers for cancer diagnosis


<Back Issues:Vol.59~Vol.66>
Vol.59:
Role of commensal flora in periodontal immune response investigated (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、福原大樹医員)
Vol.60:
Role of commensal microbiota in bone remodeling (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)森田学教授、内田瑶子歯科医師)
Vol.61:
Mechanical stress affects normal bone development (大学院医歯薬学総合研究科(歯学系)池亀美華准教授)
Vol.62:
3D tissue model offers insights into treating pancreatic cancer (大学院ヘルスシステム統合科学研究科 狩野光伸教授&大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)田中啓祥助教)
Vol.63:
Promising biomarker for vascular disease relapse revealed (大学院医歯薬学総合研究科(医学系)渡辺晴樹助教、佐田憲映准教授)
Vol.64:
Inflammation in the brain enhances the side-effects of hypnotic medication (岡山大学病院薬剤部 北村佳久准教授)
Vol.65:
Game changer: How do bacteria play Tag? (大学院環境生命科学研究科(農学系)田村隆教授)
Vol.66:
Is too much protein a bad thing? (異分野融合先端研究コア 守屋央朗准教授)


<参考>
「Okayama University Medical Research Updates(OU-MRU)」バックナンバー
岡山大学国際Webマガジン「Okayama University e-Bulletin」


【本件問い合わせ先】
総務部 広報課
TEL:086-251-7293
E-mail:www-adm@adm.okayama-u.ac.jp



【情報発信】岡山大学創立70周年記念式典を挙行

岡山大学は5月31日に迎える創立70周年を記念して19日、記念式典をホテルグランヴィア岡山で挙行しました。

学内関係者や本学の卒業生、名誉教授のほか、県内外の教育関係者や政財界関係者など約300人が出席しました。槇野博史学長が、「今後ますます教育研究と社会貢献を通じて、地球と人類社会におけるSustainability(持続可能性)とWell-being(幸福)を追究し、地域の皆さまとともに、岡山から世界に、新たな価値を創造し続ける岡山大学の大いなる可能性を感じてもらいたい」と式辞。柴山昌彦文部科学大臣(伯井美徳高等教育局長代読)と伊原木隆太岡山県知事が祝辞を述べました。

岡山大学の発展に格別の貢献をいただいた方を顕彰する「特別名誉会員」の初の称号付与も行い、本学法文学部第1期生の、小長啓一岡山大学Alumni(全学同窓会)会長に槇野学長が特別名誉会員記を贈呈。上田久利名誉教授が制作した、小長会長の胸像レリーフも贈りました。

式典に続く記念講演で、槇野学長は「時を超え未来に受け継ぐ、岡山の『熱意』と建学の『精神』」と題して、SDGs大学経営を盛り込んだ本学の新たなステージへの展望を紹介。小長会長は「リーダーの資格と生きざま-田中角栄元首相生誕100周年に想う-」と題し、田中元首相秘書官や通産事務次官などを歴任した自身の経験を振り返り、リーダーに求められる資質や困難を突破するための心構えを話しました。
本学はこれからも、岡山ならではの世界に輝く「実りの学都」をつくり上げるため、教育・研究・社会貢献活動に全力で取り組んでいきます。

【本件問い合わせ先】
総務・企画部総務課
TEL:086-251-7015


【情報発信】モータータンパク質「F1回転分子モーター」のエネルギー変換効率を実証これまでの定説より有意に下回ることが判明

◆発表のポイント
  • 生体の化学エネルギーと力学的運動とを互いに変換するF1回転分子モーター(F1-ATPase)のエネルギー変換効率は、これまでほぼ100%に達していると考えられていました。
  • F1による回転力と外部トルクが釣り合った停止状態においても、スリップ逆回転に起因した内部熱散逸が生じており、実際にはその変換効率が100%を有意に下回る(40~80%程度である)ことを実証しました。
  • 高性能で高効率な人工ナノ分子機械の設計指針へとつながる知見といえます。
 
 
F1-ATPaseは生命のエネルギー通貨と呼ばれているATP(アデノシン3リン酸)の加水分解エネルギーを仕事へ変換する、タンパク質でできた回転分子モーターとして知られており、一方細胞内では、生体膜内外のプロトン濃度差を利用して逆にATPを生成する、FOF1-ATP合成酵素の一部として働いています。ヒトの場合、1日で30kgものATP合成を担う、極めて重要なタンパク質です。
 
岡山大学異分野基礎科学研究所の墨智成准教授およびGöttingen 大学Stefan Klumpp教授は、F1分子モーターの1分子計測データを理論的に分析し、そのエネルギー変換効率は、分子内熱散逸のため、100%を優位に下回る(40~80%程度である)ことを定量的に実証しました。本研究成果は4月24日、アメリカ化学会誌「Nano Letters」に掲載されました。
 
F1はゆらぐミクロ系の熱力学を適用するモデルシステムとしても重要な役割を演じており、電動モーター(逆回転で発電する)と同様な高い可逆性を有する「ナノ分子機械」としても注目を集めています。そのエネルギー変換効率は長年に渡り議論されており、ほぼ100%に達していると考えられていました。本研究では、その根拠の一つとなっている1分子計測データを定量的に分析し、F1による回転力と外部トルクが釣り合った停止状態においても、スリップ逆回転に起因した内部熱散逸が生じるため、変換効率は条件に応じて40~80%程度であることを示しました。
 
本研究成果は、分子の柔らかさに起因したナノ分子機械内部で起きうる熱散逸の一例を示しており、より高性能な人工ナノ分子機械の設計指針へとつながる知見であるといえます。


◆研究者からのひとこと
日本は世界でF1研究をリードする存在であり、今回解析に用いた鳥谷部博士(現東北大学)らによる1分子計測データは、他の追随を許さない高い計測技術と綿密な実験計画によって初めて実現した、極めて高品質な実験データです。これをなくして、今回の結論は導けませんでした。
 Stefan Klumpp教授とは2011年に共同研究を開始して、今回初めて共著論文を発表できました。私の中で記念に残る研究となりました。

墨准教授

■論文情報
論文名: Is F1-ATPase a rotary motor with nearly 100% efficiency? Quantitative analysis of chemomechanical coupling and mechanical slip
掲載誌: Nano Letters
著者: Tomonari Sumi, Stefan Klumpp
DOI:
https://doi.org/10.1021/acs.nanolett.9b01181
URL:https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.nanolett.9b01181



<詳しい研究内容について>
モータータンパク質「F1回転分子モーター」のエネルギー変換効率を実証これまでの定説より有意に下回ることが判明


<お問い合わせ>
岡山大学異分野基礎科学研究所
准教授 墨 智成(すみ ともなり)
(電話番号) 086-251-7837



 

F1分子モーターのATP加水分解による回転トルク発生。F1-ATPaseはリング状に配置されたαβサブユニットが、回転軸に相当するγサブユニットを取り囲んだ形状を持つ。図は回転運動を観測するプローブとして、巨大なアクチン繊維がγサブユニットに取り付けられている様子を示す。外部トルク下における準静的回転(極めて遅い回転)時では、プローブの溶媒との粘性摩擦による熱散逸が生じないが、一方で外部トルクによって誘起される分子変形に起因したスリップ逆回転により、分子内熱散逸(ロス)が生じる。


【情報発信】日中大学フェア&フォーラムin CHINA 2019 に参加

岡山大学は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)主催による「日中大学フェア&フォーラムin CHINA 2019」(5月25日~27日に中国四川省成都で開催)に参加しました。これは「大学交流」「留学促進」「産学連携」をミッションに日中の大学、研究機関、企業などを対象とした中国最大規模の学術交流、産学連携のイベントです。


初日には日中学長円卓会議が開催。「大学における教員評価及び育成について」、「日中共同研究をいかに推進するか」、「グローバル人材の育成について」、「産学連携のベストプラクティス」、「技術者の育成における国際協力について」の5つのテーマ別に、各グループ10~15校の日中の大学の学長らが、各校の取組みについてプレゼンテーションを行いました。本学は、槇野博史学長からグローバル人材の育成について、グローバル・ディスカバリー・プログラムやSDGsへの取組みを中心に発表しました。


2日目には日中学長個別会談と大学フェアが開催され、日本の大学との協定や連携を希望する中国側の大学との学長同士のトップ会談が行われたほか、大学フェアのブースでは、日本留学を希望する中国の学生や大学・日本語学校など関係者へ本学の概要説明を行いました。

【本件問い合わせ先】
国際部留学交流課
TEL:086-251-7079



【情報発信】米アーカンソー大学学生が来学し、本学学生と交流

米国アーカンソー州・アーカンソー大学の学生12人が5月25日、本学に来学し、本学学生と交流会を開きました。

この交流会は、アーカンソー大学経営学部のRobert Bruce Stapp教授が20年以上実施している同大学のJapan Study Abroad Program (JSAP、日本の企業訪問や歴史、文化、伝統行事の体験研修事業)のプログラムのひとつで、岡山大学では2017年から始まり今回で3回目の実施となります。岡山選出の山下貴司衆議院議員のサポートを受け、岡山大学での実施が実現しました。

本学からはグローバル人材育成特別コース生や、留学経験のある学生10人が参加。佐野寛理事(教学担当)・総括副学長が歓迎のあいさつを述べ、本学がアーカンソー大学と設立時期がほぼ同じで、およそ150年の歴史を持つ大学であることや、SDGs推進に向けて国際的な教育連携や学生交流を積極的に展開していることを紹介しました。各自が自己紹介した後、それぞれが興味のある内容について意見交換したり、キャンパス内を散策するなどして交流しました。短い時間でしたが学生たちは親睦を深め合い、閉会の際には互いに別れを惜しんでいました。

この訪問により、アーカンソー大学と本学の関係が深まり、教職員間や学生間などでさらに交流が発展していくことが期待されます。

※アーカンソー大学は1871年に創立され、学生数約26、000人で、世界的に有名なフルブライト奨学金制度を設立したウィリアム・フルブライト元上院議員を輩出した大学です。経営学部は特に高い評価を受けています。

【本件問い合わせ先】
グローバル人材育成院/国際部留学交流課
TEL:086-251-7045



【情報発信】第72回岡大サイエンスカフェ「味覚の不思議 ~口だけではないその機能~」を開催

岡山大学研究推進機構は5月16日、本学の研究者が最新の科学を分かりやすく説明する「第72回岡大サイエンスカフェ」を創立五十周年記念館で開催し、市民ら141人が参加しました。

私たちは生きていくために日々食物を食べる必要があります。そのため味覚は食に対して非常に重要な感覚で、食を通じた健康維持のためには欠かせません。そんな味覚に関して、大学院医歯薬学総合研究科口腔生理学分野の吉田竜介教授が「味覚の不思議 ~口だけではないその機能~」と題して講演。味覚についての基本的事項や最新の研究トピックを紹介するとともに、あめと3種類の溶液を使って、参加者に味覚の不思議について体験してもらいました。

【本件問い合わせ先】
研究推進機構 
TEL:086-251-7112

  

【情報発信】LGBTの子どもはライフプランを持つことができるのか?「ライフプランを考えるあなたへ -まんがで読む- 未来への選択肢(拡大版)」を作成

岡山大学大学院保健学研究科では、中学・高校生に、卵子の老化など「年齢と妊娠しやすさとの関連」「体外受精などの不妊治療の実際」を知り、後悔しないライフプランを考えてもらうため、岡山県からの受託事業で、2015年、妊孕性の啓発のための教材「ライフプランを考えるあなたへ -まんがで読む- 未来への選択肢」(緑の表紙)を作成しました。
 
しかし、そのような中学・高校生の約8%は、LGBT(L:レズビアン、G:ゲイ、B:バイセクシュアル、T:トランスジェンダー)の子どもとされます。海外では、トランスジェンダー(身体は女性、心は男性)の子どもが将来の妊娠に向けて、ホルモン療法の前に卵子を凍結保存した例もあります。
 
日本においても、2015年の文部科学省の通知以降、LGBTの子どもたちへの支援が始まりました。しかし、不登校、自殺未遂、うつなどを防止するための対応に終始しており、LGBTの子どもたちが、自身の将来のことを考えて、仕事をしながら結婚したり、子どもを持ったりというようなライフプランを考えることまではできていない状況です。また、2018年夏の「LGBTは生産性がない」という雑誌記事に見られるように、誤った情報に子どもたちは晒されています。
 
今回、私たちは、LGBTの子どもたちのために、「ライフプランを考えるあなたへ -まんがで読む- 未来への選択肢(拡大版)」(クリーム色の表紙)を作成しました。LGBTの子どもにとって、自身の将来像を考えることができれば、学校における最大の支援のひとつになると思います。
 
拡大版では、従来版では述べられなかった「性の多様性と家族形成」についても加えました。LGBTの子どもにとって、今、目の前の問題を解決することも重要ですが、将来のライフプランを考えることができることも必要です。さらに多くの人々が手に取ってくれることを願います。


◆研究者からのひとこと
岡山大学ジェンダークリニックで性同一性障害の方々の診療を行っています。2018年度は、岡山市の男女共同参画委員会の委員長として「性の多様性」を認める条例づくりにも取り組みました。
 GID(性同一性障害)学会理事長として、性同一性障害当事者の戸籍の性別変更のための特例法の改正、性同一性障害のホルモン療法の保険適用などの課題解決に向かって活動中です。その中には「LGBT当事者の家族形成」への支援があります。

岡山大学大学院保健学研究科 研究科長
岡山県不妊専門相談センター「不妊・不育とこころの相談室」 センター長
岡山大学病院リプロダクションセンター センター長
岡山大学生殖補助医療技術教育研究(ART)センター 教授
中塚幹也



<詳しい研究内容について>
LGBTの子どもはライフプランを持つことができるのか?「ライフプランを考えるあなたへ-まんがで読む-未来への選択肢(拡大版)」を作成

 
<お問い合わせ>
岡山大学大学院保健学研究科 中塚研究室
教授 中塚幹也
(電話番号)086-235-6538(FAX兼)



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id627.html

【情報発信】駐大阪オーストラリア総領事館のデイビッド・ローソン総領事らが来学

駐大阪オーストラリア総領事館のデイビッド・ローソン総領事、および南オーストラリア州代表オーストラリア大使館商務部のサリー・タウンゼントコミッショナーが4月23日、本学を訪れ、槇野博史学長を表敬訪問しました。

槇野学長をはじめ、木村邦生副学長(国際担当)、横井篤文海外副学長(特命(海外戦略)担当)、木島正博グローバル人材育成院講師が出席。ローソン総領事は「岡山県と南オーストラリア州は長く友好提携を結んでおり、産業や教育など幅広い分野で交流を行ってきた。今後、交流をより一層強化していきたい」と述べました。槇野学長は、本学で行われているSDGsの取り組みを紹介。「本学が強みとする分野で協力できるのでは」と、今後の交流の可能性について期待を込めました。

ローソン総領事の槇野学長への表敬は平成29年に引き続き2度目。今回の訪問をきっかけに、さらなる交流強化が期待されます。

【本件問い合わせ先】
国際部国際企画課
TEL:086-251-7038


【情報発信】コラーゲンに結合する増殖因子を用いて、歯槽骨の再生促進に成功 歯周病の再生医療の可能性拡大へ

◆発表のポイント
  • 歯周病に対する再生医療は、薬剤が投与部位から容易に流れてしまうことから、適応症が垂直性骨欠損に限られ、全ての症例に適応することは困難です。
  • 創傷治癒に重要な役割をもつ塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)にコラーゲンに結合する能力を持たせた「CB-bFGF」を用いて、これまで困難であった水平性骨欠損に対する再生療法を行うことで、歯槽骨の再生を促進しました。
  • これまでの再生医療では困難であった症例に対しても、CB-bFGFが有効に作用することが期待されます。
 
 
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯周病態学分野の中村心大学院生・髙柴正悟教授、同研究科病原細菌学分野の松下治教授・美間健彦助教、北里大学医学部整形外科学の内田健太郎講師らの研究グループは、増殖因子の一つである塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)をコラーゲンに結合できるように改変した「CB-bFGF」が、bFGFと比較して失った歯槽骨の再生をより促進することを発見しました。
 
歯周病は口腔内細菌の感染によって、歯槽骨を始めとする歯の周囲の組織が破壊される病気です。破壊された歯周組織の再生のために再生療法が行われますが、薬剤や材料が投与部位から容易に流れてしまうために、これまでは全ての症例へ使用できず、特に水平性の歯槽骨欠損へ適応することは困難でした。
 
今回の研究成果では、ラットの水平性歯槽骨欠損モデルに対して、CB-bFGFをコラーゲン粉末と共に投与したところ、水平的に歯槽骨の再生を促進することが明らかになりました。本研究成果により、従来よりも再生療法の適応症を拡大できることが期待されます。
 
本研究成果は3月19日に、米国の国際学術誌「Journal of Periodontology」のオンライン版に掲載されました。


◆研究者からのひとこと
本研究を進めるにあたって、たくさんのご支援・ご指導をいただいた高柴教授をはじめ、研究チームのメンバーに感謝します。今後も研究を継続し、将来的に臨床の場へ届けることができるように頑張りたいと思います。
中村さん     髙柴教授


■論文情報
論文名:Acceleration of bone regeneration of horizontal bone defect in rats using collagen-binding basic fibroblast growth factor combined with collagen scaffolds
掲載紙:Journal of Periodontology
著者:Shin Nakamura, Takashi Ito, Kentaro Okamoto, Takehiko Mima, Kentaro Uchida, Yasir Dilshad Siddiqui, Masahiro Ito, Masako Tai, Keisuke Okubo, Keisuke Yamashiro, Kazuhiro Omori, Tadashi Yamamoto, Osamu Matsushita, Shogo Takashiba
D O I:10.1002/JPER.18-0674


<詳しい研究内容について>
コラーゲンに結合する増殖因子を用いて、歯槽骨の再生促進に成功 歯周病の再生医療の可能性拡大へ


<お問い合わせ>
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(歯)
教授 髙柴 正悟
(電話番号) 086-235-6675
(FAX) 086-235-6679



http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id623.html



【情報発信】岡山大学病院に「不明熱外来」を開設

岡山大学病院は5月14日、総合内科・総合診療科に「不明熱外来」を設置します。
 
「不明熱」とは原因不明のまま3週間以上続く発熱(通常38度以上)の状態を指し、近年、不明熱の患者さんの紹介受診が増加しています。「不明熱外来」は、原因不明の発熱を患っている患者さんをより広く受け入れる窓口となります。発熱の原因となる疾患を鑑別し、必要に応じて他の診療科とも連携して、専門性の高い発熱に関する診療を行うことを目指します。


<発表内容>
いわゆるインフルエンザ感染症のように病因が明確なものではなく、原因不明のまま発熱が続く病状が「不明熱」です。精密検査によって、感染症・リンパ腫などの悪性腫瘍・膠原病と診断されることが多かったのですが、最近では、薬剤による発熱や遺伝性疾患による不明熱など、病因が多様化しています。その診療は複雑となっているため、診療体制の整った環境で、体系的に診断・治療を行うことが重要です。大学病院で行える専門的な検査や他診療科との連携を活かし、総合内科・総合診療科が中心となって診断・治療にあたります。

原因不明の発熱に悩む患者さん、ならびにその担当医師からの紹介の受け皿となり、診療方針の決定からマネージメントまで総合的に行い、地域の医療機関とも連携して発熱患者さんの診療を円滑に行いたいと考えています。
※原則予約制となりますので、かかりつけ医からの紹介状を元に、岡山大学病院 患者支援センター内 初診予約係(086-235-7205(電話)、086-235-6761(FAX))を通じてご予約ください。

<プレスリリースはこちら>

岡山大学病院に「不明熱外来」を開設


<お問い合わせ>
岡山大学病院 総合内科・総合診療科
徳増一樹(助教)、萩谷英大(准教授)、大塚文男(教授)


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id620.html

【情報発信】高齢者はなぜ「迷惑」を口にするのか?長生きはめでたいことなのか?-“老い”をめぐる論文集の刊行

◆発表のポイント
  • “老い”をめぐるさまざまな問題を研究する「老年学」の重要性は増していますが、これまでこの分野は人文学分野との研究成果の共有が十分になされていませんでした。
  • 人文学分野に加え、医療や介護の分野からの視点や、異なる時代や文化圏などの観点から行った“老い”の捉え方や観念について、検討した研究成果をまとめた論文集を刊行しました。
  • この分野について歴史的、比較文化的に考察する必要性があることを明らかにしました。

超高齢・人口減少社会を迎えた現代日本において、“老い”をめぐるさまざまな問題が噴出しています。こうした問題を研究するのが「老年学」という学問分野です。しかし、これまでの「老年学」研究では、人文学の分野との研究成果を共有が十分になされていませんでした。

この研究状況を踏まえ、本学大学院ヘルスシステム統合科学研究科の本村昌文教授、日笠晴香講師、吉葉恭行教授と東北大学学術資源研究公開センターの加藤諭准教授、福井医療大学保健医療学部の近田真美子准教授を中心としたプロジェクトチームは、人文学と「老年学」との架橋を試み、協働する基盤の構築を目指し、その成果をまとめた論文集『老い-人文学・ケアの現場・老年学』を制作。ポラーノ出版から3月28日に刊行しました。

プロジェクトでは、医療や介護の現場における“老い”の捉え方(第1部)、過去の日本における“老い”の捉え方や“老い”の観念(第2部)、日本と異なる文化圏における“老い”の捉え方や“老い”の観念(第3部)を検討。それぞれの論考をふまえ、①近代日本における「老年学」の草創期(明治末~大正期)では、人文学の研究が「老年学」の全体構想の中に位置づけられており、さまざまな分野を総合するという意識があったこと、②過去から現在まで「40歳」「40代」が身体的な問題から“老い”のはじまりと捉えられており、この年代の意味をあらためて考える重要性、③“老い”を考える際に「迷惑をかけたくない」という意識が日本において過去から現在にまで共通して見られたこと―といった点から、この意識について歴史的、比較文化的に考察する必要性があることが明らかになりました。


◆研究者からのひとこと
本書は3部構成(現代日本における「老い」/変容する「老い」/「老い」の多様性)からなります。哲学、宗教学、思想史、日本史、西洋史、日本文学、看護学などさまざまな分野からの論考に加え、在宅医療や施設の現場、老いと年齢、介護者サポート活動、障がいをもつ子どもの親の「老い」を娘の立場からみつめる―といったテーマのコラムを設け、多角的に「老い」について考えられるようにしています。
本村教授

 
■書籍情報
 書名:老い-人文学・ケアの現場・老年学
 編者:本村昌文、加藤諭、近田真美子、日笠晴香、吉葉恭行
 出版社:ポラーノ出版
 刊行年月日:2019年3月28日

 

<詳しい内容について>
高齢者はなぜ「迷惑」を口にするのか?長生きはめでたいことなのか?-“老い”をめぐる論文集の刊行


<お問い合わせ>
岡山大学 大学院ヘルスシステム統合科学研究科
教授 本村昌文
(電話番号)086-251-7395


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id625.html

【情報発信】オレンジ色酸化鉄の開発に初めて成功―微生物が関与したプロセスを利用―

◆発表のポイント
  • 酸化鉄は赤色、黒色や褐色の顔料として古くから使われてきましたが、これらの色調以外は知られていませんでした。
  • 微生物が関与するプロセスを用いた従来とは全く異なる作製方法を開発することで、オレンジ色酸化鉄(ベンガラ)を世界で初めて作製することに成功しました。
  • 新色は色褪せしにくい無機顔料であり、かつ深みのある色調を示すことから、高級車塗装など画期的な新規顔料として広い利用が期待されます。
 
酸化鉄は赤色、黒色や褐色の顔料として古くから使われてきましたが、これらの色調以外は知られていませんでした。岡山大学の髙田潤名誉教授(岡山大学大学院自然科学研究科非常勤研究員)と同大大学院自然科学研究科の田村勝徳客員研究員、中西真助教、藤井達生教授の研究グループは、酸化鉄の従来とは全く異なる作製方法を開発。これを利用してアルミニウムと硫黄を含有する微小鞘状水酸化鉄を作製した後に、高温で加熱することによってオレンジ色酸化鉄(ベンガラ)を世界で初めて作製することに成功しました。2013年に発表した研究成果を発展させ、2018年に結実した研究です。
 
この水酸化鉄を作る新しい作製方法では、微生物が関与するプロセスを利用します。すなわち、微生物が作る有機質の鞘(さや)をテンプレート(鋳型)にして、これを鉄源、塩化アルミニウムおよび硫酸亜鉛を含む溶液中で保持することによって、アルミニウムと硫黄を含む鞘状水酸化鉄を作製するというものです。硫酸亜鉛の処理量に依存して、完成した酸化鉄の色調は赤色からオレンジ色へと変化します。このオレンジ色酸化鉄は、従来の常識とは異なる新規な色調を示すことから、高級車塗装など画期的な新規顔料として広い利用が期待されます。


◆研究者からのひとこと
古くから赤色顔料として使用されてきた酸化鉄は、柿右衛門の紅として広く世界に知られています。また国内の歴史的建造物の塗色にも使用され、日本人になじみ深い材料です。本成果は材料の起源に遡った研究成果からの一例ですが、活用範囲は顔料に留まらず植物を病害から守る消毒薬や高活性触媒、電池材料としても期待されています。
高田名誉教授

 
■論文情報(参考・本研究が本格化した時点での基本文献)
論文名:Acidic amorphous silica prepared from iron oxide of bacterial origin
掲載紙:ACS Applied Materials & Interfaces vol. 5, pp.518-523, 2013
著 者:Hideki Hashimoto, Atsushi Itadani, Takayuki Kudoh, Yasushige Kuroda, Masaharu Seno, Yoshihiro Kusano, Yasunori Ikeda, Makoto Nakanishi, Tatsuo Fujii, Jun Takada
D O I:10.1021/am302837p


<詳しい研究内容について>

オレンジ色酸化鉄の開発に初めて成功―微生物が関与したプロセスを利用―


<お問い合わせ>
岡山大学研究推進機構 産学連携・技術移転本部
本部長 渡邊 裕
(電話番号) 086-235-6675
(FAX) 086-235-6679
岡山大学 名誉教授 
髙田 潤




http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id624.html


【情報発信】心理の専門家ではないスタッフのための流死産・不育症カップルへのメンタルサポート実践の手引き「グリーフケアとテンダー・ラビング・ケア(DVD付き)」が完成

不育症の女性は、流産や死産を繰り返すことにより、不安を持ったり抑うつ状態になったりすることがあります。そして次の妊娠が始まるとその不安はさらに強くなっていきます。このような一連の時期に必要になるのが医療スタッフによる精神支援であるグリーフケア、テンダー・ラビング・ケア(TLC)です。その実践により不育症の女性はやさしさに包まれたような環境に置かれます。しかし、日本における普及は十分ではなく、認識のない医療スタッフも多く見られ、辛い思いをしている流死産女性も少なくありません。
 
今回、岡山大学大学院保健学研究科では、AMED「不育症の原因解明、予防治療に関する研究」により、不育症カップルへの調査を行い、その結果をもとに、臨床心理士などが在籍しない医療施設でも始めることができる「グリーフケア、テンダー・ラビング・ケア実践の手引き」とDVDを作成しました。全国の産婦人科施設に送付し、啓発・普及を推進する予定です。


◆研究者からのひとこと
流産や死産を繰り返す不育症女性は約4.2%(24人に1人)ともされ、少なくありませんが、周囲にも話すことができないため、孤独感が強く、うつや不安症の発生頻度も高くなります。20年以上前に不育症専門外来を開設して以来、検査や治療を行うとともに、多職種での精神支援を行ってきました。
 医療スタッフはもちろん、一般の方々にも「不育症」を知っていただければと思います。

岡山大学大学院保健学研究科 研究科長
岡山県不妊専門相談センター「不妊・不育とこころの相談室」 センター長
岡山大学病院リプロダクションセンター センター長
岡山大学生殖補助医療技術教育研究(ART)センター リカレント教育部門長
中塚幹也


<詳しい内容はこちら>
心理の専門家ではないスタッフのための流死産・不育症カップルへのメンタルサポート実践の手引き「グリーフケアとテンダー・ラビング・ケア(DVD付き)」が完成


<お問い合わせ>
岡山大学大学院保健学研究科 研究科長
岡山大学生殖補助医療技術教育研究(ART)センター
教授 中塚幹也
(電話番号)086-235-6538(FAX兼)


http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id621.html